2016年11月17日
アガサ・クリスティから (77) (ミス・マープルと十三の謎*@-5)
(ミス・マープルと十三の謎*@-5)
老人は首を振って言った。
「実を申しますとな、わたしはまったく、こんぐらがってしまいまして。」
彼は、やはり夫があやしいように思うと言った。
どういう風にそれをやったのか?
ただ何らかの方法で、今まで分からなかったような方法で、妻に毒を盛ったのに違いないと。
どうして、その真相が今になって明るみに出たのかは、想像もつかないと述べた。
「ジョイスは?」
「お相手役(コンパニオン)ですわ!」
ジョイスは、きっぱりと言った。
「お相手役(コンパニオン)に決まっているわ!どんな動機があったか?というとね、年をとっていて、太っていて、みっともなくたって、ジョーンズを恋していなかったとは限らないでしょう?」
ジョイスの力説は続いた。
他の理由で夫人が嫌いだった可能性も述べた。
お相手役(コンパニオン)の身になれば、いつでも愛想よく、何にでもさからわず、息がつまりそうな位に自分の感情を押し殺して・・・・・・とうとう我慢できなくなって、夫人を殺してしまった。
コンスターチの茶碗に砒素を入れ、夫人に飲ませた。
そして、自分で全部、飲んでしまったと大嘘をついたのだと。
「ペザリックさんは?」
弁護士は玄人らしく指の先をあわせた。
「なんとももうしあげられませんな。事実にあらわれたところではね。」
「でも、おっしゃらなくちゃいけませんわ。ペザリックさん。
裁判を延期して『権利を侵害せずに』なんて法律家らしくかまえてる場合じゃないのよ。いわば、推理のクラブの遊びですもの。」
「事実をみれば、もういうことはないようですな。」
ペザリック氏は言った。
「こういう事件は、ああ、嫌になるほど見ているんでね、自分の意見としては夫が有罪ですな。」
弁護士のペザリック氏は続けた。
ミス・クラークが何かの事情でジョーンズ氏をかばっているのは、たぶん、二人の間に何かの金銭上の取引があるに違いないと。
ミス・クラークはゆくゆくお金に困ることを考え、ジョーンズ氏は自分が疑われることを知っていた。
そこで、ミス・クラークにコンスターチを全部飲んだと証言することを同意させ、その報酬として相当な金額を支払うことになっていた。
もし自分の推測通りなら、あまりない事件のようにも思うと弁護士は言った。
「僕はどなたにも賛成できないな。」
作家でもあるレイモンドは言った。
「あなたがたは、この事件の大事な点を忘れている。医者の娘ですよ。」
レイモンドの解釈はこうだった。
缶詰のエビはやはり腐っていて、皆は中毒症状を起こした。
医者が呼ばれた。
他の人よりも多くエビを食べたジョーンズ夫人が苦しんでいるので、お話のように医者はアヘン剤を取りにやった。
医者の自宅に取りに行ったのは使いのものだった。
その使いの者にアヘン剤を渡したのは、医者の娘だったのだ。
娘は普段から父親の元で、薬の調剤を行っていたのに違いない。
その娘はジョーンズ氏とはじっこんの仲であった。
アヘン剤を取りに来た使いの者からの話で・・・・・にわかに最悪の本能がわき上がり・・・・・つまり、
今こそジョーンズ氏を自由にする手段と機会が自分の手に握られていると知った。
娘が渡した錠剤には
混じりけのない白い砒素が入っていた。
レイモンド氏はこれが僕の解釈なんです。と言った。
「さあ、ヘンリー卿、おっしゃってくださいな。」
ジョイスはしきりに聞きたがったが、ヘンリー卿は口をはさんだ。
「ちょっとお待ちください、まだミス・マープルが何もおっしゃってませんから。」
(次号に続く)
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