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2016年11月08日

アガサ・クリスティから (73) (ミス・マープルと十三の謎*@-1)






アガサ・クリスティから (73)
(ミス・マープルと十三の謎*@ー1)





「さてこのささやかなドラマの登場人物を紹介しなければなりませんが、かりに夫と妻をジョーンズ夫妻、妻のお相手役(有給で生活や旅の相手をする人を指す=コンパニオン)をミス・クラークとしておきましょう。

ジョーンズ氏は製薬会社の外交員でしたが、五十がらみのがさつな、赤ら顔のちょっといい男で、その細君は四十五歳くらいのまあ平凡な女でした。

お相手役のミス・クラークというのは、つやのいい顔をした、太った元気な女で六十歳。

三人とも、まあ、とりたてて興味を引くような人物じゃなさそうでした。」






ヘンリー卿の話は続いた。





要約すると、以下である。






問題は妙なことから、起こっていた。

ジョーンズ氏は事件の前夜、バーミンガムの小さな商人宿に泊まっていたのだが、その日、偶然にも控え帳の吸取紙が取り換えられた。
ジョーンズ氏が手紙を書いた時にそれを最初に使った・・・・・寝室係の女中が、その吸取紙を鏡にうつして、どんなことを書いたのか、面白半分に調べたという。





その文章は、こうである。
『まったく家のやつ次第だ・・・・・。
家のやつが死んだ暁には私が、なにからなにまで(ハンドレッズ・アンド・サウザンズ)・・・・・。』

(注*ハンドレッズ・アンド・サウザンズ=かざり砂糖という意味もある)






おまけにその少し前に、夫が妻を毒殺した事件があったので、女中たちは想像たくましくして騒ぎ立てた。







(次号に続く)



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