2016年05月25日
アガサ・クリスティ (48) (茶色の服を来た男*その 27)
(茶色の服を来た男*その27)
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サー・ユーステス・ペドラーの元には、ある政府の役人が訪ねて来た。
この地から移動すべきであると忠告も受けた。
ジョバーグ〜プレトリア間は汽車も普通である為、車で移動出来るようにするということであった。
万が一、足止めを受けて、身元を調べられた時用に、念の為、政府側に見せる通行証、ストライキ側に見せる通行証を用意するとのことであった。
いざという時、通行証を取り違えて見せて、暴徒に虐殺されるという危険も大いにあった。
しかしサー・ユーステスはランド地区の情勢を調査しに来たのだと言い張った。ゆえに移動する気もなかった。
そこへ電報が届いた。
「アンは無事、キンバリーで一緒にいます。 スーザン・ブレア」
あの娘には不死身といったような感じを受ける・・・どんなことがあっても大丈夫なのだ。
しかし、どうしてあの晩、ホテルから消え、どこにどうやって行き(列車は数日間、動いていなかった。)また、どうやって戻って来たのか?皆目、検討もつかなかった。
あの娘には羽根でも生えていて、飛んで来たのかもしれん。
どうせ、わしには(サー・ユーステス・ペドラー)誰も教えてくれんのだ。どうなっているのか想像するしかなかった。
少し考えていると、いやになってしまう。
わしは電報をたたむと、役人に帰って貰った。
帽子をかぶってお土産品を買いに外に出た。
ジョバーグのお土産品のお店もなかなか愉快だった。
ウィンドーを眺めていると、店からいきなり男が飛び出して来た。
レイス大佐だった。
どう、うぬぼれてみたところで、わしに会って嬉しそうではなかった。
むしろ、困っていた。
いろいろと聞いてみた所、昨日、ジョバーグに着き、友人宅にいたらしい。
行方不明のアンが見つかったことは、アンからの手紙で知っていたらしい。
行方不明中はハリー・レイバンと島にいたらしいこと。もレイス大佐は言っていた。
ブレア夫人からの電報でアンがキンバリーで夫人と一緒にいるらしい。とレイス大佐に告げた。
すると、レイス大佐は大層、驚いていた。
アンの手紙がブラワヨーから、届いたらしい。
内容はブラワヨーからペイラに行き、イギリスに戻るというものだったらしい。
わしが、電報を見せるとレイス大佐は本当に驚いていた。
レイス大佐が利口な男ということになっていたことは、わしも知っている。
だが、わしに言わせれば、あいつはばかだな。
女ってものは、時折、うそをつく動物であるってことを全くご存知ないのだから。
間違いなく、これは故意に誰かが嘘を付いているのだ・・・。
しばらくすると、また例の役人が戻って来た。
「たびたびお邪魔をしまして、申し訳ありません。」
例の役人は言い訳をした。
「実は、あなたさまの秘書について、一つ二つお聞きしたいことがありまして・・・。」
サー・ユーステス・ペドラーは秘書で苦労していると告げた。
一人は、ロンドンで強引に秘書になったかと思うと、重要書類を盗み出し、奇術師のように消えてしまった。
後でわしが大目玉を食らうだろうが・・・と説明した。
すると、例の役人は「その秘書ではなくて。」とさえぎった。
サー・ユーステス・ペドラーはびっくりした。
「パジェットか?」
彼は真面目な秘書であり、長年働いて来たことも説明した。
しかし役人はかぶりを振って、言った。
「いえ、そうではなくて、もう1人の方の・・・。」
「? ? ?」
「ミス・ペティグルーの方です。」
「ミス・ペティグルーが何か?
あれは政府から借り入れている立派な秘書だが・・・。」
例の役人が説明した。
ジョバーグの土産物屋に入るところを目撃されたとの事だった。
ジョバーグでは、そんなことさえも噂になるのか?!
このわしも土産物屋には行ったぞ。とサー・ユーステスが言った。
例の役人は、ミス・ペティグルーが出入りしているその土産物屋は、この街での不穏な動きのアジトになっている所であると告げた。
(次回に続く。)
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