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2016年05月24日

アガサ・クリスティから (47) (茶色の服を来た男*その26)


(茶色の服を来た男*その26)



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なんとか命からがら、追手から逃げ延びてきたアンとレイバンは話し合って、いくつかを決めた。

@アンは、意味がなくなったベイラには行かず、スーザンの所にいて身の安全をはかる。
そしてレイバンからの連絡を待つ。

Aダイヤはパーカーという名義で銀行に預けておく。

Bもう偽伝言で騙され、おびき出されないようにアンとレイバンの間で暗号を決めた。
レイバンからの伝言には『and』の言葉を必ず入れ、電報には『Andy』とサインしておくにした。
それ以外は偽物の伝言であるということ。


まもなく列車が入って来て、しばらくの間、アンとレイバンは別れて暮らすことになっていた。

アンは言った。

「それで私は、真面目ないい相手が見つかったら、結婚してもいいの?」
つんと気取って言った。

レイバンが私のそばに寄って来て、言った。
「何を言う!アン、君がこの僕以外の男と結婚しようものなら・・・」

「まあ、素晴らしい旦那さまが見つかった!その考え、一晩で変わらないといいわね!」





******




再び、(サー・ユーステス・ペドラーの日記から)いくつかの記述を拾ってみた。

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平和主義なのに騒ぎに巻き込まれやすいサー・ユーステス・ペドラーにとっては厄介ごとを持ち込む秘書パジェットより、あだっぽさはないが有能なミス・ペティグルーの持っている二、三の技術が有難かった。

ブラワヨーでは随分、不快な思いをしたが、その中にはブレア夫人やアンに押し付けられた木彫りのキリンをぶつけられたりもあった。

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「滝」に着いた夜。
ミス・ペティグルーと口述筆記をしていた所、突然、ブレア夫人が飛び込んで来た。

「アンは、どこに行ったんです?」
と、彼女が叫んだ。

まことに結構なご質問さ・・・まるで、このわしが、あの娘の行動に責任を持っているみたいにね。
ミス・ペティグルーがなんと思うか、考えてのことなのか?
真夜中に、まるでこのわしが、アン・ベディングフェルドという娘をポケットから出しでもするものと思っているのかね?
わしのような地位にあるものにとっては迷惑千万な話だ。



アンが寝床にいないという。
なんだかブレア夫人は良くない夢を見たので、念の為にアンを見に行ったところ、居ないことが判明したという。

レイス大佐もいないらしい。

結婚の話でもしに行ったのではないか?となだめていたが、ブレア夫人は納得しなかった。

そのうち、レイス大佐がホテルに戻り、アンがいないことを知ると、すぐに大騒ぎになった。
隈なく探したが、アンは見つからなかった。

アンは生き生きした娘なので、自殺は考えられなかった。
また列車が入って来ない日時だったので他に移動したことも考えられなかった。

どこに消えてしまったのか?

それからはブレア夫人は表面上は変わりなくレイス大佐に親しそうであったが、何か不信感を抱いているようであった。

川の上流にある妙な小島に男女がいたという噂が、昨日、伝わって来た。

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しかしホテルの支配人もよく知っている数年前から観光客相手にボートで川を案内して、カバやワニを見せる仕事をしている者らしい。

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それを聞いたレイス大佐は大変、興奮していたが、とんだ見当違いである。

その後。
いよいよ明日、ジョバーグに出発することにした。
レイス大佐に勧められたのだ。
情勢が悪化する前に行くのも良いかも知れない。

ブレア夫人は土壇場になって、同行することを中止することにした。
このまま「滝」にとどまり、レイス大佐を見張るつもりのようだ。

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彼女に頼まれた木彫り動物の小物だけを引き受けることにした。


パジェットがさかんにジョバーグに同行したいとせがんで来ているが、ブレア夫人の木彫り動物の梱包保管の為、ケープタウンに残るように指示した。

これで全て片付いて、ミス・ペティグルーとわしは保守党の仕事に専念することが出来るというものだ。
ミス・ペティグルーに会ったことのあるものは、保守党は立派だと思うに違いない。



ヨハネスブルグにて、3月6日。

この土地には何かしら不健全なものがある。
ストライキの団体が、街々を練り歩いていては、今にも殺しかねない形相でこちらを睨みつける。

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昨夜、キールモーデン号で一緒だった労働者側の友人リーバスに会った。

パジェットを色々な策を労して、ケープタウンに押しとどめようとしたがその手もつきはて、ついにヨハネスブルグに同行し、わしと生死を共にすることになった。

わしの『回想録』もしごく、順調に進んでいた。



今朝、ある政府の役人が会いに来た。
わしの立場は重大なので、他の土地に移るべきだと進言しに来た。

「この騒ぎの本当の元は、ストライキをやっている人ではないんです。
彼らの背後に、ひそんでいる組織なんですよ。
武器、弾薬がどんどん、入って来ていますし、われわれが押さえた文書を見ても、それらの輸入の方法がわかるのです。ちゃんとした暗号が、用いられています。
ジャガイモというのは『爆薬』のことですし、カリフラワーは『小銃』で、その他の野菜の名がいろいろな爆発物を意味しているのですよ。」

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なかなか面白いね。と、わしは言った。

「そればかりではありません、サー・ユーステス。この騒動を陰で操っている天才がいま、ヨハネスブルグに来ているのです。」

そういって彼が、わしの顔をじーっと見つめた。
わしは、自分のことを言われているのではないかと思い、恐ろしくなって来た。
冷や汗が出て来て、こんな革命おもちゃなんぞを見にやってくるんじゃなかったと、心から悔やまれた・・・。

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(次号に続く)


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