2016年04月18日
アガサ・クリスティから(35) (茶色の服を着た男*その14)
(茶色の服を着た男*その14)
アンは、遠く過ぎ去っていくレイバンの足音を聞いていた。
アンの生活から、遠ざかっていく足音をいつまでも聞いているのではないかなぁと思っていた・・・・・。
正直いって、それから2時間ほど、アンは本当に面白くなかった。
例の面倒なお役所仕事の手続きが、ほとんど済んで、逮捕された人は1人もいないとアンはほっとした。
アンは約束通り、スーザンとマウント・ネルソン・ホテルにタクシーで向かった。
そしてスーザンと食事をし、部屋で少し話しあった。
サー・ユーステス・ペドラーは機嫌が悪かったらしい。
そして、秘書パジェットのブラック・アイのことをスーザンはアンに言った。
「どうしたって言うんでしょう?」とスーザン。
「ただちょっと、私を海にほうり込もうとしただけよ。」と、アンはなにげなく言った。
スーザンはあっけにとられた顔をして、くわしいことをたずねた。
アンが説明すると、スーザンはパジェットではなく、サー・ユーステス・ペドラーとチチェスターの監視で良いと思っていたらしく、「いよいよ訳が分からなくなってきたわ」と言った。
そして、スーザンの夫に電報を打ったあと、友人との昼食約束があり、お迎えが来て出掛けて行った。
アンは1人でケープ・タウンの街を散策し、ホテルに戻ってくると、伝言が待っていた。
それは博物館の管理者からのものだった。
内容は、キールモーデン号で当地に来たことを新聞で読み、亡きベディングフェルド教授のお嬢様であることを知った。
教授を尊敬していたので、出来れば、今日の午後、ミューゼンバーグにある小生の別荘でお茶を差し上げたい。もしお越しくださるなら、家内ともどもお待ちする。といった文面で、別荘までの道順も書き添えてあった。
アンは嬉しくなった。
亡き父の研究を認めてくれる人がいたのだ。
早速、地図を頼りに出掛けた。
途中、海水浴場を通り、お茶の時間にはまだ早かったので、波乗り板を借り、つい波乗りにこうじてしまった。
少し探したが、ヴィラ・メッジーという別荘は見つかった。
山の中腹にあり、ほかの別荘からはうんと離れていた。
ベルを押すと、にこにこしたカフィル人の少年が出てきた。
少年は、先にたって廊下を案内し、ドアを開けた。
入ろうとした瞬間、何かしらアンは躊躇した。
急に胸騒ぎがしてきたのだ・・・。
敷居をまたいだとたんに、後ろでバターンとドアのしまる音がした・・・。
(アガサ・クリスティから36に続く)
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