2016年04月13日
アガサ・クリスティから(33) (茶色の服を着た男*その12)
(茶色の服を着た男*その12)
〜佳境に入る前に〜
(茶色の服を着た男)も 物語は中盤を越え、いよいよ佳境に入ることになる。
この作品は、アガサ・クリスティの比較的初期の推理サスペンス小説である。
また冒険活劇ロマンでもある。
初めて読んだ少女時代、少々、荒唐無稽な冒険活劇ロマンに思えたが、妙齢になり読み返してみると、決して古くはないような社会情勢、あり得るかも知れない?シチュエーションを感じていたりする。
この作品(茶色の服を来た男)、アンの冒険活劇ロマンの魅力を何度も読み返された方も多いかと思う。
特に若い女性の琴線にふれるような活気ある物語である。
アガサ・クリスティの中では、冒険活劇風な娯楽色も強いように思うが、実はあの”アクロイド殺害事件”を彷彿させる重要な伏線トリックを先駆的に取り入れた作品である。
後に”アクロイド殺害事件”で花開くことになる、あの【例の】重要な伏線トリックである。
推理小説ファンのみならず、推理小説界を巻き込んでの賛否両論論争にまでなった【例の】トリック。
それが、先駆けて実験的に取り入れられているのである。
ただの娯楽冒険物語ばかりでもないと言うことである。
因みにアガサ・クリスティは、いわゆる”イケメン”が嫌いだという話もある。
数々の作品の中で、確かにクリスティの”イケメン”は最悪なのだが、この(茶色の服を着た男)では、クリスティの最悪の”イケメン”は出てこないし、ある意味、シンデレラストーリーも内在していたりする。(それゆえか?若い女性の心を捉えて離さないお話でもあるのかも知れない。)
つまり、いつものクリスティとは、ひと味違うのである。
アンと親しくなった社交界の花形スーザン・ブレア夫人のセレブぶりも、彼女が何気に使っているお化粧品の最高級クリームで、さらりと描いてみせている。
アガサ・クリスティ=筆者が、女性ならではの着眼点だと思う箇所である。
きっと、よほどでない限り、男性が気づきにくい点だと思うので。
1924年が初版だとは思えない、まだまだ錆び付いていない現代でも通じる物語である。
地下鉄で事件に巻き込まれ、謎めいた紙片を拾い、全財産を投げうって南アフリカ行きに乗ったアンが体験する彼女の冒険の産物・・・の数々。
アンが監視必要と思っている以下、怪き人達。
◯若い外国女性の殺人があった家の所有者・下院議員サー・ユーステス・ペドラー。
◯その秘書で、どうも動向が怪しいガイ・パジェット。
◯牧師にしては怪しげなチチェスター
◯諜報機関の関係者だと噂のあるレイス大佐。
◯サー・ユーステス・ペドラーの新しい秘書レイバン(スーザンは怪しんでいるが、アンは彼に惹かれている為、犯人ではないと主張している。)
どうも事件は、ダイヤモンドにまつわることが鍵になっているらしい。
鉱山王の息子と友人が大きなダイヤモンド原石を発見。キンバリーに検査に行くが、ちょうど別のダイヤモンドの盗難事件があり犯人として捉えられる。しかし鉱山王がダイヤと同等の金額を払い、釈放。戦場に出向き、鉱山王息子は戦死、友人は行方不明となる。
その後、鉱山王は亡くなり、莫大な遺産を遠縁であるレイス大佐が引き継いだ。
またサー・ユーステス・ペドラー所有のマーロウのミル・ハウスで殺害された若い外国女性は、ロシアの有名な美貌のダンサー、マダム・ナディーナと思われる。
スーザンは、レイス大佐から、ロシアの美貌ダンサーは実は巨大な力を持つ国際犯罪組織の一員であると聞かされる。
またその国際犯罪組織を牛耳る謎の人物は(大佐)と呼ばれているらしい。
アンは船上で、何者かに襲われ、レーバンに助けられる。
またアンも以前、船室で肩を刺された彼をかくまって助けていた。
いよいよ南アフリカに着き、キールモーデン・キャッスル号を降りることになった。
殴られて頭にたんこぶを作った秘書と突然、行方不明の秘書を諦めて、一人で下院議員サー・ユーステス・ペドラーは、政府関係者から頼まれていた書類を持って首相と会談する。
・・・が、中身は白紙の一枚の紙になっていた。
(アガサ・クリスティから34に続く)
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