2016年03月15日
アガサ・クリスティからB (アクロイド殺害事件#その1)
前述アガサ・クリスティからA後半に書いたよう”ヘラクレスの冒険”と行こうか?と迷ったのだが、短編集などは後日にスポットをあて、まずは アガサ・クリスティ推理小説の醍醐味である長編を味わってみたいと考えた。
今回扱う彼女の作品は、推理小説ファンの賛否両論を産みだしたあの”アクロイド殺害事件”である。
単なるアガサ・クリスティのファンのみならず、全推理小説ファンを巻き込んだ賛否両論の内容とは?!
まず主人公のポアロは、我が良き友ヘイスティングズと離れ、引退に田舎町を選んで暮らしている。
そこでの引退生活は、かぼちゃ作りなのだが、幾何学的シンメトリーを愛するポアロには有機的アシンメトリーなかぼちゃの形すら気にくわない。
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この冒頭のヘイスティングスと離れたところで、引退生活をしているポアロ。
ここにも大きなキーワードが隠されている。
(*余談だが、一回目の?引退かも知れない。後に復活しているみたいなので。その際もかぼちゃ作りのことをポアロはさらりと語っていた。)
シャーロック・ホームズにおけるワトソンのようなあのヘイスティングスがいないことが、重要なのだ。と再読した際、つくづく思ったことがある。
つまり、あのヘイスティングスが居れば、成立し得ない何か→この何かが、とても重要な鍵を握るのだ。
以上が、推理小説ファンとして、ネタバレはしたくない私からの”アクロイド殺害事件”における最大のヒントである。
実際、アガサ・クリスティのファンの間でもベスト3あるいはワースト3に挙げられるかなり有名な作品でもある。
また1990年英国推理作家協会(史上最高の推理小説100冊)の中の5位を獲得、1995年アメリカ探偵作家クラブ(史上最高のミステリー小説100冊)の12位を獲得という高い評価も受けている。
各国の有名推理小説作家達もこの賛否両論に参加していた程で、大した話題作に間違いはない。
推理小説ファンには、この推理小説の賛否両論に参戦していた著名な推理小説作家の面々とその論点だけでも垂涎ものである。
興味のある人は、”アクロイド殺害事件”を読み終えた後、他の推理小説作家の面々とその論点含むこの本の余波も楽しんで頂きたい。
マニアックな方なら 【いわずもがな】であるに違いない。
つまり、内外とも啞然とすると思う。と、認める作品なのだ。
私自身は初めて読んだ当時、最後のページを読み終えた後、しばし啞然とし、その後、舞台を見終えたような拍手をしたくなった→そんな感じだった。
ただ当時からポアロのことが気に入っていて、この物語前から、かなりポアロの長編を読んでいた為、作中のポアロの様子から真犯人については、うすうす感づいてはいたのだが・・・。
それでも随分と驚いたものである。
あらすじは、次号のCの方に書き連ねようと思うのだが、とりあえず、一度はネタバレ前に読んで貰いたい。
最後まで読み込んで得た最初の衝撃から、しばらく時間を持ってから再読もして欲しい作品でもある。
最初の体験、感動、衝撃から 解き放たれて、再読時は美味しいワインや食事を味わうように初回では見落としていたような細部や深みに至るまで楽しみたい作品である。
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小さな田舎村のお話ではあるが、退役軍人やオールドミスの老女たちが集い麻雀を行う場面もある。中国伝授の技だという退役軍人の見栄や語り手である医師が滅多と見られない役満であることなども一部、マニアで、その役満にまつわる伝説と出来事を結びつける人もいるくらいである。
![image.jpeg](/mysterytour/file/image/image-903c1-thumbnail2.jpeg)
私は、チョップ・ド・ラムなる医師の姉・老女の作るお昼ご飯やマングースと蛇と言った表現などが思い浮かんでくる。
それらは、あらすじの主体とはなんら関係ない細部の話ではあるが、何故か心に刻まれていたりする。
実際、この医師の姉・オールドミスの老女は、かなり魅力的な人間らしい人物で、ポアロに並ぶクリスティの名探偵ミス・マープルの分身とも一部では言われている。
この老女に限らず、他の作品にも生き生きと老女を描いたものがある。
おいおい作中の人物像も一部紹介していこうと思うが、よく言われているようにクリスティ自身も愛情を注いで描いていたに違いない。
現在は、Wi-Fiだの、GPSだの、携帯にパソコンは当たり前の時代。
このアクロイド殺害事件の時代設定とはかけ離れていて、現在、現実的にはこの話が成立しがたい時代でもある。
ただアクロイドにも当時の最先端技術が登場する。
この最先端技術も話の筋からすると、キーのひとつでもある。
最大の驚きは、もちろん、この最先端技術などではない。
他の著名な推理小説作家も論争するくらいであるトリック。
いろんな意味で、騙されたという人もいる。
もちろん、アガサ・クリスティは堂々とフェアであると公言。
このアクロイド殺害事件は、一言で言うと、アガサ・クリスティゆえのアガサ・クリスティなのだ。
(アガサ・クリスティからCに続く)
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