2016年03月16日
アガサ・クリスティからC (アクロイド殺害事件#その2)
アガサ・クリスティ自身が、アクロイド殺害事件のトリックは一度しか使えないと言っていたという。
読後の読者の感想は様々に違いない。
あれほど高名な他の推理小説作家達が束になって、賛否両論を繰り広げた位なのだから。
私自身は、本当にクリスティならでは。のクリスティの作品であると思う。
登場人物には、
●何よりエルキュール・ポアロ。
そしてポアロが引退した際に隠居を決めた小さな田舎の村の人々。
●大富豪であるロジャー・アクロイド
●やはり裕福な未亡人であるフェラーズ夫人
●ロジャーの義子であり、人気はあるが放蕩的なところも併せ持つラルフ・ペイトン
●ロジャーの弟の未亡人であるセシル・アクロイド夫人
●セシルの娘フローラ・アクロイド
●ロジャーの秘書ジェフリー・レイモンド
●アクロイド家の家政婦エリザベス・ラッセル
●ロジャーの執事ジョン・パーカー
●アクロイド家の小間使いアーシュラ・ボーン
●ロジャーの旧友かつ有名な狩猟家ヘクター・プラント少佐
●ロジャーの友人の医師ジェイムズ・シェパード
●ジェイムズの姉キャロライン・シェパード
●キャロラインの友人で同じく噂好きの老女ガネット
●ロジャーの遺言を預かっていた弁護士ハモンド
後はご近所で老女達と一緒に麻雀をする仲間退役軍人やポアロの手腕に疑問符を持つラグラン警部やポアロを高く評価しているメルローズ州警察本部長など。
まず、題名通りにアクロイド殺害事件が起きる。
伏線も沢山あり、男女の仲の良さ=婚約か?結婚か?を暗示するイニシャル入り指輪が偶然見つかるが、その該当者でさえ錯綜し、動機や手口も分からぬまま、物証もなく推測を出ない状況下で話が進んで行く。
動機となり得るか?どうか?だが、もちろん男女にまつわる話も出てくる。
例えば、ラルフとフローラは叔父のロジャー・アクロイドの意向で婚約してはいるが、お互い、お金目当てである。
どちらもお金には困窮しており、どちらもお金持ちの叔父の意向に逆らえなかった政略結婚的婚約であった。
公な叔父の遺産目当てとも言える。
他にも指輪のイニシャルより、明るみには出ていない男女の仲が考えられている。→もちろん、最終的には誰と誰とが、本当に恋仲で婚約または結婚に関係があるのかは本の中で明白になる。
そういった伏線を元に一読者である私は真剣に謎解きを考え、読み進めていったのだが・・・。
登場人物の各人の性格や資質や好みや趣味やら癖などの個性というものが、”アクロイド殺害事件”を彩っているところも、とてもアガサ・クリスティらしい。と思うところだった。
他の推理小説にはあまり見受けられない点かも?知れない。
アガサ・クリスティの良さのひとつは、何と言っても推理小説のカテゴリーでなくとも読める素材であるということ。
人物描写が魅力的である。
読みやすさもある。
もちろん、そこに推理小説の良さも加味されるのだった。
いろんな意味で、”アクロイド殺害事件”は、クリスティの数ある作品の中でも忘れようにも忘れようがない作品であった。
(アガサ・クリスティからDに続く)
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