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2016年03月27日

アガサ・クリスティから(19) (ゼロ時間へ#その1)


(ゼロ時間へ)

この話には、私立探偵ポアロもミス・マープルの推理もない。
(余談だが/映画では、原作と異なり バトル警視をミス・マープルに替えて作られている。)

エルキュール・ポアロの知人であるバトル警視が、作中でポアロを思い出す程度である。

バトルは[チムニーズ館の秘密][七つの時計][ひらいたトランプ][殺人は容易だ]などにも登場するロンドン警視庁勤務のがっしりした体格、彫りが深い無表情の風貌を持つ警視である。目で見たものも確認が取れるまで信用しない確実さを重んじる実直なタイプである。


犯人は、バトル警視を見誤ることが多い。その鈍重な雰囲気からか?くみし易い無能力者のように ついつい考えてしまうようだった。

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ある日のこと、全てを無くし悲観して崖から飛び降り自殺した男が助けられて、病院のベッドの上で困惑していた・・・死ぬことさえ、ままならず。
生きていれば、ただそれだけで、必ず誰か必要としている人の役に立つ日が来ると若く信仰深い看護婦に諭されていた。


また別の場所では、1人の人間が黙々と綿密な計画を紙に記しているのが分かる。びっくりするのは、その内容が用意周到な殺人計画であることだった・・・。

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”ゼロ時間へ”は、犯行時刻を原点ゼロとして、その時間を目指して様々な糸が絡み合い、ついにゼロ時間に達するという構成の元に成り立っている。


登場人物

●トリーヴス
有名な弁護士団の一員である老弁護士。

「私はよく出来た推理小説を読むのが好きでね。」著名なミスター・トリーヴスは、弁護士や判事など法曹関係者が集まっている席で言った。中には王室顧問弁護士もいた位である。
「だがね、どれも出だしがいけない!皆、殺人で始まっておるのだ。しかし、殺人は終局なのだよ。物語はそのはるか前から始まっている。時には何年も前から。」
要するに、すべてが集約されるある点、クライマックスにいたるその時がゼロ時間なのだ。ゼロ時間へ。とミスター・トレーヴは続けた。
彼は、独自の見解を持っていた。
(有名な弁護団の一員であった老弁護士は、独自の見解と別に 自分でも気付かぬうちに大きな鍵をも握っていた・・・。)

●カミラ・トレシリアン夫人
富豪の老未亡人。

●メリィ・アルディン
トレリシアンの遠縁の従妹。

●ネヴィル・ストレンジ
身体能力が高いスポーツ万能選手。

●ケイ
ネヴィルの華やかな雰囲気を持つ現在の妻。

●オードリイ
ネヴィルの最初の妻。

●テッド・ラティマー
ケイの友人。

●トーマス・ロイド
オードリイの遠縁の従兄。

●ハーストール
執事。

●ジェーン・バレット
小間使い。

●アリス・ベンサム
小間使い。

●エンマ・ウエルズ
小間使い。

●スパイサー
料理女。

●アンドリュー・マクハーター
自殺しそこねた男。

●ロバート・ミッチェル
警察署長。

●ラーゼンビイ博士
警察医。

●ジョーンズ
部長刑事。

●バトル
警視。

●ジェームズ・リーチ
警部。バトルの甥。


前述のトリーヴスの独自の見解の”ゼロ時間”とは別の話を彼はしていた。
場所は、お金持ちのカミラ老未亡人の屋敷。

カミラ老未亡人が後見人である人気テニス選手のネヴィルは、現在の妻である華やかなケイを連れて来ていた。
この9月は、いつもネヴィルの元妻オードリイも訪ねて来るのが慣習になっていた為、周囲は心配する。
しかしネヴィルは過去のわだかまりが溶けるようにケイとオードリイの仲を取り持とうとする。
他にはカミラの遠縁の従妹、オードリーの従兄やケイの男友達など。

カミラ老未亡人の屋敷で客人が集まる晩餐会。

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カミラ老未亡人の知人であるトリーヴスは、皆の前で興味深い話をした。

ある小さな子供が友達を弓で射殺してしまった。本人も目前の事故にひどく落ち込んでいて、周囲の人間達は心配して事故に怯える子供をかばった。
しかし森の中で、その子供が弓射撃の練習をかなり積んでいたのを見た農夫がいた。
弓の取り扱い方が分からず、事故で殺めた状況とは考えられない話であった。
結局、その子供は計画殺人を成功させたのではないか?という話であった。

話し手であるトレーヴスは、その子供には他の人にない特徴があって、もし成人した子供に会っても判明出来る。と豪語した。
その子供は事件での不利益を被らないようにと、新しい名前で再スタートしていたはずであった。

そんな話の後には、ネヴィル氏の新しい妻と元妻がこのカミラ老未亡人の屋敷に同時期過ごすことについての懸念が密かに話題となっていた。

その華やかな新しい妻と元妻との間にいるネヴィル・ストレンジ。
もしも英国の中で最も運がいい、これ以上何の申し分もないといったような人物を1人選ぶとしたら、このネヴィルだろうと思われるくらいに全てを兼ね備えていた。
第一級のテニス選手であり、スポーツ万能選手であった。

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テニスだけのチャンピオンになるにはあまりにも万能過ぎたのかも知れない。

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ゴルフが上手く、水泳が達者、アルプス登山のものすごいのも何度かやってのけた。
35歳で輝くばかりの健康美、男前もよく金持ちで、新婚早々のすばらしい美人の奥さんがいた。
それが、ケイであった。
そして別れた元妻が、オードリイである。オードリイは美人ではないが、静かな何か人を惹きつける独特のものを持っていた。

色々な話題も語り尽くした後、晩餐会もお開きになって、トレーヴスは宿泊しているホテルに戻った。
テッド・ラティマが送って行き、散歩途中のトーマス・ロイドとも遭遇。
2人に付き添われてホテルにトレーヴスは着いた。

しかし残念なことにエレベーター前には故障中の貼り紙があった。心臓が悪いトレーヴスには大変だったが、階段を登り、部屋に戻らざる得なかった。
残り2人は、ホテルを後にした。

翌朝、ホテルのベッドの上で、トレーヴスは心臓発作で亡くなっていた。

カミラ老未亡人の屋敷では、やはり目には見えないが ネヴィルを挟んで 新しい妻ケイと元妻オードリイの不自然な同時期の滞在が不穏な空気を醸し出していた。
ネヴィルが元妻オードリイに社交辞令的に気を遣う姿が、勝気で美貌の新妻が気に入らず、オードリイにあたるという風であった。
遂には、ネヴィルはケイと別れてオードリイとやり直したい。とまで口にするようになる。

そんなネヴィルに対して、召使いから動向を聞いたのか?カミラ老未亡人はネヴィルを呼びだし、新しい妻を捨て元妻に戻るような不道徳なことは許さないと叱責をする。

しばらくして、カミラ老未亡人が殺される大事件が起きる。

事件前の男と争うような声、ゴルフクラブで頭部を殴打しての殺人。

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ゴルフクラブはネヴィルのもので、彼の指紋がついていると判明。また隠された衣服には返り血や二、三人の女性のものと思われる髪の毛がついていた。

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事件前に争うような声もネヴィルだと思われた。
全ての証拠がネヴィルを示していた。

あまりにも あっけない程の大量の証拠に違和感を覚えるものがいた。
甥のリーチ警部から手助けを頼まれたバトル警視であった。

本当の事件の真相と犯人の真意をつかむ為、ネヴィルを犯人嫌疑のままにして捜査が始まった。
(アガサ・クリスティから20へ続く)





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