2017年04月06日
アガサ・クリスティから (121) (ミス・マープルと十三の謎*血に染まった敷石【5】)
(ミス・マープルと十三の謎*血に染まった敷石【5】)
彼がしゃべっている間もジョイスは絵筆を走らせていた。
ところが、ふと気が付くと、彼の話につりこまれたのか?そこには通常あり得ないであろうものまで、描き込んでしまっていた・・・旅館の前の白い敷石の上にはっきりと血痕を描き込んでいたのだ・・・。
心が手を動かして、見知らぬうちにこんなことをしてしまうなんて、あまりないことだった・・・しかし、いま一度、旅館の方を見て、ぞっとした・・・白い敷石の上にまさしく血のしたたりがあったのだ・・・。
やっぱり目が見たものを描いていたのだ・・・少しの間、その血痕をまじまじとみつめると、目を閉じて、ジョイスは自分自身に言い聞かせた・・・『つまらぬことを考えないで。あそこには何もないんだ、けっして。』
そして目を開けたが・・・血痕は確かにそこにあった・・・。
もう我慢がどうにも出来なくなって、ジョイスはいつ終わるとも分からない漁夫の話をさえぎった。
「あのう、私は目があまりよくないんだけど、あそこの敷石の上にあるのは、あれは血痕なんでしょうか?」
その男はいたわるようにジョイスをのぞきこんだ。
「もう今は血の染みなんかありゃしねえですよ。わしが話していることはもう500年も昔のことですからな。」
「そうよ、だけど・・・今・・・敷石の上に・・・。」
・・・・・言葉が口の中で途切れてしまったのは・・・気がついたからだった。漁夫はけっしてジョイスが見たものを見ようとはしないことを・・・。
その時だった・・・今朝、自動車でやって来たデニスと呼ばれていた若い男性が旅館の玄関から出て来た。
(次号に続く)
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