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2016年03月22日

アガサ・クリスティから(13) (予告殺人事件#その1)


(予告殺人事件)

ある日のこと、村人達が皆、見るという地元新聞の広告に皆が驚いていた。
そこには「殺人のお知らせを申し上げます。・・・10月29日金曜日、午後6時半よりリトル・パドック館にて・・・」とあった。
リトル・パドック館の持ち主のレティシア・ブラックロックは、半ば 呆れつつ、このイタズラの犯人=パーティーか余興のサプライズに思いを寄せる。
親友であるドラ・バンナーは心配するが、当日の村人達を想定しながらブラックロックは簡単な飲み物などの用意をする。

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当日、女主人ブラックロックの予想通り、野次馬の村人達は色々な口実を設け、予告のあった時間あたりにリトル・パドック館に集まり始まる。
広告に予告された時間6時半きっかりに停電になり、銃声が鳴り響く。

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その時でさえ、パーティーの余興だと思った人もいた位である。
しかし明かりがつき、本当に人が殺されるのを知ってから、現場はパニックとなる。
殺された人物は、村のホテルに勤務する従業員のスイス人だった。
警察の捜査が始まり、現場にいた1人1人を調べて行く。

騙したはずが騙されていた。そのようなことも、この予告殺人のお話の中でも見受けられた。
もちろん、ネタバレしないこのブログでは”なぞなぞ”のようなヒントを散りばめようと思う。推理小説の醍醐味と共に。

大きなヒントをひとつ。
リトル・パドック館の女主人レティシア・ブラックロックはいつも大きな真珠を身につけている。
それが彼女のトレードマークでもあったが、まがいものか?と思う程の大粒真珠だった。

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ある時、その真珠が切れてバラバラになって落ちてしまった。

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普段とても落ち着き、威風堂々のレティシアが慌てふためく・・・相当な真珠の品なのだろうか?・・・。

ミス・マープルでしか、分かり得なかっただろう人間模様も描かれていて、
最後まで読み尽くすと、儚くも哀しげなお話なのだと分かるのだった。
やはりこの予告殺人の事件には、ポアロよりもミス・マープルが似合うのだった。

ポアロなら、レティシアの真珠の真贋含む資産価値がすぐに分かったかも知れない。
しかし女性がお気に入りの宝石を身につける時、その美しさはもちろん、お洒落であったり、(これは資産価値から来るものだが)ステータスであったり、あるいは思い出に繋がるものや、お守り的な思い入れやその他様々な思いをその人なりに持っていたりするのだ。

男性にとっての資産価値ある真珠は、女性にとっては、その女性の数だけ、様々な思い入れがあるに違いない。
資産価値だけではない宝石の多種多様な側面を女性は感じ取っているのである。

ミス・マープルなら、もちろん真珠の資産価値以外の側面を女性ならではの感性で読み取っていたに違いない。

因みに私自身は、この作品を実は数回読んでいる。

推理小説は、最初の読書時にスリル、ときめき、謎解きの面白さや結末へのカタルシスがあり、次に読む時は結末やアリバイ、トリックも知った上での細部に宿るあれこれを味わう楽しみ方がある。

その後もその本を手に取るのは、上記を越える何か別の魅力を感じた時が多い。
登場人物か?物語か?それとも他の何かか?とても魅力的であるのは間違いない。
(アガサ・クリスティから14に続く)





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