むーさんの負けてたまるか

前回に引き続き
出会い 喜びのお話です
あたしが負けてたまるかと
思う様になったきっかけです


今から7年前2013年5/29
あたしはリハビリ病院を退院しました
その日 見上げた空は
透き通るくらい美しい青さでした
ですが気持ちはとても複雑でした
この病と障害を経験した誰もが
思う事・・・
これからどうなるんだろう
どうやって生きていけば
いいんだろうーーー
不安と焦燥の中で
手探り人生が始まります
老いも若きもです
皆なそれぞれの人生なのです
それが新たな人生の扉を
開く事なのです


かおりんの部屋はこちらから

当時のあたしは手は動きませんし
まぁ今も動きませんが (笑)
足も装具や杖が無いと
身動きすらも出来ませんでした
振り返えれば
自らの人生への憤り
身体への思いやりの無さへの悔しさ
明日へ向かおうとする気持ちと
何処かいたたまれぬ想いのハザマで
揺れ動いていました
自分には無関係な世界だと
思っていた事が
行く手を阻むのです

重篤な障害であればあるだけ
その想いは大きいかもしれません
あたしは障害の程度に差は無いと
これまで何度も書いてきました
それは今も同じですが
差がないのは想いの部分です
心の持ち様と明日への想いです
ですが実際の生活は
大変な差がある事も事実です

リハビリ病院を出て2年余り経った
みんつちさんは未だ車椅子です
それをあたしと同等だとするには
あまりにも無理があります
想いだけではどうにもならぬ
そんな現実もまたあるのです
だからこそ
だからこそ挫けちゃいけないのです
あたしらは前を向くしかないのです
諦めれば全てが終わるだけだからです
絶対に負けちゃいけないのです



ある日の午後
あたしはいつもの公園で
必死に訓練をしていました
気がつくと
車椅子に乗った女性を押す男性が
あたしに話しかけてきました
あたしより幾分か歳は上でしょう

＜旦那さんらしき人＞
失礼ですが
あなたはお病気の障害ですか？
見た感じが家内と同じ様なのでー
脳卒中ですか？

＜あたし＞
はい脳出血です

＜旦那さんらしき人＞
そうですか・・・
左半身の障害なんですね
言葉や高次機能障害は
大丈夫ですか？

＜あたし＞
お陰様でそちらの方は
大丈夫でした
歩く事もなんとか
一人で歩ける様に
今頑張っています

＜旦那さんらしき人＞
実は歩かれてる貴方を
妻と毎日あのマンションから
見させて頂いていました
妻は右麻痺で言葉も苦しいですが
私はそれで十分でした
ある日ベランダから外を見る妻が
貴方に出会いました
毎日毎日 そう雨が降っても
何時間も歩き続ける貴方を見て
妻が貴方と話したいと申しました
そこで失礼を顧みず
お声をお掛けした次第です
申し訳ありませんでした
どうぞリハビリをお続け下さい

＜あたし＞
全然平気です 大丈夫です
あたしは単なる負けず嫌いの
アホなんです
だから懲りもせず歩いてるだけです
奥さんも歩ける様になりますよ
負けないでいきましょうよ！！
ガンバですよ
一緒にやりましょうよ



そんな生意気な事を言うあたしに
奥さんは頷き下を向いていました
あとで聞いた話ですが
奥さんは泣いていたそうです
それからも毎日の様にお二人は
あたしの訓練場？に足を運ばれ
ずっと見守っておいででした
時々奥さんは旦那さんに手をとられ
歩く事も始められました
ホンの数歩でしたが
車椅子から立つことさえ大変な
奥さんにとっては凄い事なのです
だからたったの数歩だろうが
旦那さんとあたしは大喜びしました
嬉しそうな奥さんの笑顔が
あたしらへの最高のプレゼントでした
あたしは思いました
へこたれちゃ絶対に駄目だ
奥さんから見ればあたしなんぞは
まだまだいけるじゃないか！
ウダウダ言う資格なんてないさ
明日に向かわねばバチがあたる

全てはあの日の午後の
出会いからです
あたしが負けてたまるかと
想いを心に誓ったのは
急性期病院での脊損の女の子と
このお二人の出会いからです


何年かした後 あたしは
お二人の住むマンションを訪ねました
奥さんがインターフォンに出てくれ
玄関先まであたしを迎えに来てくれた時
あたしは泣きそうになりました
・・・泣いていたかもしれません・・・
たどたどしい言葉で
たどたどしい歩きでした
でしたが・・・
一人で来てくれました！
嬉しかった
本当に嬉しかった
そしてその笑顔を
あたしはあたしの人生で
忘れることは無いでしょう
人は明日を信じていいのです
信じて挑む者には
必ず明日が来るのです
その想いが今のあたしを
形作っています
全ては出会いから始まった
ある日の午後の事でした


人生捨てちゃもんじゃありません
大丈夫です！
絶対に何とかなります！
続くのは明日への想いです
だから、まだまだ続くのです

＜5/7追記＞
先程、ご夫婦さんから
電話を頂戴しました
嬉しいです
めちゃ嬉しいです
読んでくれていました
ホント嬉しいです
ありがとうございます
旦那さんも奥さんもお若く
見えていたのですが
あたしよりも１０歳上だそうです
あの時、奥さんは６０歳だったんですね
コロナが落ち着いたらご夫婦さん宅で
たこ焼きパーティーをします！！
めちゃ楽しみです
出会いって人って
本当に素晴らしい！！


＜5/7追記その２＞
SATOさんよ何を〆てんだよ
何処へ行こうが
何をしようが
お前さんは既に
むーさん谷の住民なんだよ
だから何時でも戻れよ
装具付けてもいいから
全力疾走で帰ってこいよ
谷からの転出届は
おらぁ絶対に受理しないからな
わかったなこの野郎！！＞＜
笑顔が消えたら富山まで
ぶん殴りにいくかんな！
あたしは何時でも
何時までも此処にいるからな
わかったな！！！！