http://bylines.news.yahoo.co.jp/utada/20130430-00024638/
グーグル・グラスの進む先には「爆弾」が潜んでいる
歌田 明弘 | 大正大学表現学部特命教授
2013年4月30日 14時59分
グーグルのメガネ型端末の本格的な発売も年内にも始まりそうだ。
思いのほか早い進展だが、その前途には大きな問題がある。
●アップルの次の新製品は「iWatch」?
携帯電話を使っている人はまだかなりいるはずなのに、電車のなかなどではスマートフォンばかり見かける。さしあたりはスマートフォン全盛だが、いずれは取って代わる機器が現れるかもしれない。実際、早くもその兆しが出てきた。
ウワサ段階のアップルとは違い、グーグルのメガネ型コンピューター「グーグル・グラス」は購入申し込みまで始まった。申し込んだ全員が買えるわけではなくて、グーグル・プラスかツイッターで「グーグル・グラスで何をするか」について50単語内の文章をつけて応募すると、採点のうえ上位8000人が3月半ばまでに通知を受け購入できる。値段は1500ドルだ。
年末までには一般販売も1500ドル以下で開始したいとグーグルが言っていると、Vergeというニュースサイトが書いている。このニュース・サイトは、一昨年に誕生したばかりだが、グーグル・グラスの製品ディレクターとデザイナーに取材したうえ、グーグル・グラスを使わせてもらって長文の記事を書くことに成功している。
●スマートフォンが消えるとき
「OKグラス」と言って起動し、「写真を撮って」と言えば写真を撮ってくれるし、「録画して」と言うと10秒間撮影される。ほとんどの操作を口頭でできるが、メガネのツルを指でこすってスクロールしたりもできる。ツルのタップや、頭を振って操作もできる。もっと長く録画したいときもメガネをタップする。
現状では口頭の操作は完璧ではないようだ。しかし、購入者の手に渡ったあとも毎月アップデートしたいと製品ディレクターは言っている。日本で売り始めたときにはかなり向上しているかもしれない。
メッセージのやりとりや検索もできる。翻訳もしてくれる。
また、GPSが付いていて、グーグル・マップを使って進路を教えてくれたり、その場所の天気予報を知らせてくれたりもする。グーグル・カレンダーに登録した予定を参照し、目的地までの交通機関の時刻や乗り換え方法も教えてくれる。こういったタイムリーな情報提供は「グーグル・ナウ」と名づけてアンドロイド端末でも提供されるが、その機能を使う。
とは言っても、いまのグーグル・グラスにはスマートフォンは不可欠だ。グーグル・グラス単体では携帯電話網に接続できず、WiFiか、WiFiが使えないところではスマートフォンのデザリング機能でネットにつながる必要がある。
●グーグル・グラスが抱える難題――超映像社会の誕生
グーグルが本格的な販売の前に1500ドルという安いとはいえない料金を取りつつ「試用」させるのにはそれなりのわけがありそうだ。
「グーグル・グラスで何をするか」について購入希望者に作文を課していることからもわかるように、グーグルは利用者がこの端末を使って何がしたいかを知りたがっている。これまでにないまったく新しい種類の端末なのでどう使われるかが未知数だ。購入後の反応も見て今後の方向を探っていこうということなのだろう。グーグルがネットでさんざんやってきた「ベータ版」としてとりあえず公開し、ユーザーの反応を見ながら更新していくというやり方をとろうとしているわけだ。
ネットでの募集の文章にはこう書かれていた。
「われわれに加わって、グーグル・グラスの未来の一部になりたい勇敢で創造力のある人を求めている。われわれはみんなに『探検家』になってもらいたい。しかし、われわれは少し小規模な形で始める。われわれはまだ初期段階にある。すべてが完璧であるとは言えないが、エキサイティングであることは約束できる」。
新しい時代の開拓者たらんとする人を募集するというわけで、いかにもグーグルらしい。
実際グーグル・グラスは、目新しい製品というのにとどまらない大きなインパクトをもたらす可能性がある。
Vergeの記事で製品ディレクターは、グーグル・グラスをどう使いたいと思っているかを知るだけではなく、購入者には社会規範を作っていく手助けをしてもらいたいと言っている。
Vergeの記事も示唆していたことだが、グーグルのこの製品は、プライバシーについて、ストリートビューの公開にもまさる激しい議論を引き起こす恐れがある。
撮影しているときに赤いランプがつくようになっているようだが、「隠し撮り」もできるだろう。というよりも、技術的には撮影しっぱなしにしておくこともできるはずだ。リアルタイムでネットに流すこともできるだろうし、画像での検索もできるようになってきたから、探している人がどこで何をしているかを見つけられる。人探しをしている人には便利だが、われわれはいつどこででも知らないうちに撮影されている可能性のある超映像社会に突入する。
iWatchとグーグル・グラスはウェラブル端末ということは同じだが、社会にもたらす意味では、グーグル・グラスのあたえる影響はずっと大きい。グーグル・グラスはプライバシーについてメガトン級の反発を引き起こしかねない。
グーグルもそうした危険性を感じとっているからこそ試験的販売を始めたのだろうし、動画撮影時間も10秒間と短く設定したのではないか。グーグルははたしてプライバシーの問題をあまく回避できるだろうか。
ということ。
どう考えてもこんなものをして歩かれたらたまらない。
周りの人間もこうしたものを許容しなくてよいと思う。
ようはテレビクルーが歩いている、という目で見られるものと社会的には位置づけるべきで、あまり誰にでも売るものではないし、まちなかでは、常時、撮影しようがしてまいが、撮影中という札でも出して歩くべきだろう。
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