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2018年03月15日
例の神社【祟り】【怖い話】
二十年ほど前、当時俺は大学生で、
夏休みに車で田舎の実家に帰省していたときだった。
その時はいつも帰省時に通ってる道とは別の道を通っていった。
見渡す限りの山や田んぼに囲まれた、
いかにも田舎って感じの道をしばらく運転していたとき、
少し先の山の入り口みたいなところに
赤い鳥居が建っているのを見かけた。
とても寂れた雰囲気がよかったので、車を停めて、
ぶらりと立ち寄ってみることにした。
赤い鳥居をくぐると、勾配のきつい石段があり、
山の上の方まで続いていた。
人気は全くなく、周りは木々に囲まれ、薄暗く、
石段にはびっしりと苔が生えて、
足元に気を付けながら登っていった。
階段を上りきると、すぐ目の前に小さな社があった。
もう何十年も人の手が入ってなかったのだろうか、
その社は酷く朽ち果てていた。
せっかくなので、手を合わせ参拝した後、石段を下りて、実家に帰省した。
その時は特に何もなかった。
しかし、
その日から変な夢を見るようになった。
夢の中で俺は例の神社に行き、鳥居をくぐって、石段を上がって、
社の前で参拝して、石段を下る、という全くあの時と同じ行動をしていた。
そして三日三晩その同じ夢をみた。
流石に気味が悪くなったが、4日目以降はその夢を見ることはなくなり、
気にはなっていたが、その後は特に何事もなく過ごしていた。
それから十年以上経ち、
結婚もし、子供はいなかったが、それなりに幸せな日々を過ごしていた。
あの神社も不可解な夢のこともすっかり忘れていた。
ある年のお盆に、
嫁と実家に帰ることとなった。
途中で近道をしようと見知らぬ山道を俺は進んでいったせいで、
道に迷ってしまった。
途方に暮れていると、お婆さんが道端で歩いていたので、
道を聞くとニコニコしながら丁寧に教えてくれた。
お婆さんに挨拶をして、
教えてもらった道をしばらく運転していくと、見覚えのある道に出た。
安心よりも、凄い嫌な気持ちになった。
なぜならその道は例の神社がある道だったからだ。
しかし、戻るわけにも行かないので、そのまま進むことにした。
赤い鳥居が見えてきた。
俺は気にせず通り過ぎようとしたが、赤い鳥居の前に誰かがいる。
見てはいけないと思いながら見ると、さっきのお婆さんだった。
お婆さんはニコニコこちらをずっと見ていた。
俺は怖くなって、車でスピードを上げ、すぐにその場所から去った。
しばらくすると、いつも通ってる道に出て、少し安心したところで、
ふと助手席の嫁を見ると、嫁の顔が蒼白になっていた。
アレを見たのか?と口には出さず心の中で思いながら、
どうしたのか聞いてみると、何かおかしい。
嫁が言うには、
確かに鳥居の前に人がいるのを見たが、俺が見た「お婆さん」ではなく、
嫁が高校時代に自殺した同級性の女だったというのだ。
自殺の原因はいじめらしく、嫁は直接はいじめに加担してなかったが、
見て見ぬふりをしてたとのことだった。
しかし、ずっとその事を気にはしていたらしい。
俺は嫁に気のせいだよと諭しながら、気丈に振る舞いながらも、
あのお婆さんが俺達をあの神社に誘ったのか?
など、いろいろ考えながら、運転していた。
俺はあの神社の事、
俺が見たのはお婆さんだったことなど嫁には黙っていた。
とにかくすごく怖かった。
その日から、嫁が夢をみるようになった。
内容を聞くと、例の神社に行き、石段をあがると、社があって・・・
実際に神社へ行ったわけでもないのに、俺がかつて見た夢と同じだった。
ただし大きく2つ違うところがあった。
一つは参拝して帰ろうと振り向くと、目の前に例の自殺した女が現れて、
そこで目が覚めるのと、
もう一つは、
もう数十日たっても同じ夢を見続けることだ。
嫁は元気もどんどんなくなり、病院につれていくと鬱と診断された。
ほとんど寝られてないせいか、目も虚ろになってる場合がほとんどだった。
俺があの神社に立ち寄り参拝してから十数年、ようやく理解した。
俺はずっと祟られていたのだと。
今思えば、帰省時、
あの道は普段絶対に通るはずのない道だった。
なのに何故か、通ってしまった。
何かに呼び寄せられたのか?
とにかく嫁に本当に申し訳ないことをしたと思っている。
さらに数年が経った今でもかつての幸せな日々は戻ってこない。
嫁が自殺しないか常に気を配る毎日だ。
タグ:神社
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今、家に誰もいないはず・・・【怖い話】
ガキの頃に体験した話だ。
俺がまだ小学生の頃、友達数人と伊藤君の家へ遊びに行った。
伊藤君の家は結構大きな一軒家で、
俺達はインターホンを押して伊藤君を呼んだ。
しかし伊藤君は中々出ず、
調子に乗った俺達はインターホンを連打する。
しばらくした頃、伊藤君が玄関から出てきた。
伊藤君は玄関の扉を開けたまま俺達の横に並び、
「・・・ったく、うるさい〜」
と少し怒った表情を見せた。
さらに調子に乗る俺達は、「ピザの宅配で〜す」などと、
インターホンを連打しながらふざけていた。
その間も伊藤君の家の玄関の扉は開きっぱなしだったため、
家の中の構造が良く見えた。
玄関を通って直ぐ右側に部屋の扉、その先にはトイレのドア。
さらに奥にはリビングへと繋がる扉が見える。
前述した通り伊藤君の家は広いため、リビングの先にもまた別の部屋があり、
いくつ部屋があるんだ?と考えていた。
伊藤君が出てきてからもインターホンで遊ぶ友達はさらにヒートアップし、
俺は家族に迷惑が掛かるんじゃないかとようやく思い始めた。
そんな時、
『ガチャッ、バタンッ!』と、
伊藤君の家の中から扉が開いて勢いよく閉まる音が聞こえた。
「家族の人かな?」
俺も悪乗りする友達も顔を見合わせた。
『ガチャッ、バタンッ!』
また聞こえる。
リビングの奥からだ。
『ガチャッ、バタンッ!』
次は2階から聞こえた。
(家族の人が怒ったのかな?)
俺は、
「お母さんたち居たんだ?」
と伊藤君を見た。
伊藤君は絶句した表情で俺を見ると、自分の家へと視線を移した。
「今、家に誰も居ない・・・」
悪乗りしていた友達もそれを聞いた。
もうインターホンには触っていない。
緊張した表情で伊藤君の家をじっと見る。
俺も見ていた。
『ガチャッ、バタンッ!』
リビングの扉が開いた。
開けた人は見えなかった。
(開けてすぐ隠れたのか?)
『ガチャッ、バタンッ!』
今度はトイレの扉が開いた。
(中にずっと入っていたのか?)
誰かが言った。
「近づいて来てる・・・」
『ガチャッ』
一番手前の部屋の扉が開いた。
今度はゆっくりと開く。
新しく、まだ綺麗な扉なのに、
古びたドアのような『キィィ』と響く嫌な音が聞こえてくる。
(誰も居ない・・・)
扉からは誰も出て来ないし、音も聞こえない。
安堵した俺達は口々に、
「故障か?」
「イタズラしてんだろ(笑)」
などと伊藤君を責めた。
伊藤君は未だに不安そうな表情で自分の家を見つめている。
俺もホっと一息ついた・・・その瞬間、
『バタンッ!!』
玄関の扉が勢いよく閉じた。
俺達はまた瞬時に固まって、伊藤君の家を見つめる。
誰も動き出せない。
伊藤君ですら動けない。
・・・その時、インターホンから音が聞こえた。
「お前まだインターホンで遊んでるのかよ!」
俺は悪乗りが過ぎる友達を叱咤する。
しかし友達は、
「インターホンになんて触ってない・・・」
と半べそで答えた。
(はあ?)
インターホンから音が聞こえる。
『・・ザザ・・・───ッザザ』
雑音ばかりで、
何を言っているのか分からない。
「お前・・・やっぱりお前がインターホンにイタズラしたんだろ!」
と俺はまた友達を責めた。
「インターホンの向こうから音が聞こえる・・・」
伊藤君がボソッと言った。
俺「だからこいつがイタズラしたんだって」
伊「それでも、誰が家の中からインターホンに応答したんだよ・・・」
俺達はまた固まって、伊藤君の家を見る。
玄関の扉にある郵便受けが、ゆっくりと開いているのが見えた。
最初に伊藤君が逃げた。
続いて友達が逃げた。
玄関の扉が少し開いたのを見て、俺も逃げた。
その後は人通りの多い公園で休んだ。
門限の時間になるまで、黙ってみんな一緒に居た。
みんなが帰って伊藤君のお母さん達が帰る時間まで、
俺は伊藤君と一緒に居た。
それからは、伊藤君の家には行っていない。
数年後、伊藤君は登校拒否になってしまった。
彼と最後に会った時には、ゲッソリと痩せていた記憶がある。
某温泉地の宿【怖い話】
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静岡県の某温泉地へ行った時の話。
法事がてら、彼女を連れて実家に近い静岡県の某温泉地へ行った。
ほぼ飛び込みで宿を決め、夕食朝食が付いて2万6千円。
飛び込みだとこんなもんかね?と思いながら、
部屋へ通してもらったら大きな部屋で驚いた。
リビングで12畳、襖で区切った寝室が別に8畳はある。
部屋風呂も檜造りで立派。
これは安いねぇと、部屋は古めかしいけど
何か威厳があるという感じで、早速大浴場でのんびり。
夜になって晩飯の部屋食を頼むと、凄く豪華。
新鮮な魚介に、何とか牛の鉄板焼き、お酒も何本か付いて、
「ここ良いんじゃない?絶対穴場だよ。大成功だね」
と2人して宴会。
酔っ払ってから部屋風呂で2人でうふふ。
襖の奥の寝室に移り、並んだ布団に2人並び、
電気を消して深夜テレビを見ていた。
そのうちに彼女が寝息を立て始め、俺もまどろみながらテレビを見ていて、
いつの間にか寝入っていた。
しばらくした頃、ふっと目が覚めた。
多分、真夜中。
障子を通した月の薄明かりだけで、辺りはほぼ闇。
テレビはスリープにしていたわけでもないのに、いつの間にか消えている。
彼女が消したのかな?
今何時?と携帯で時間を見ようと、手探りで枕元を探した。
すると、何か音がする。
「フーッ、フーッ」
と荒い息遣いのような音。
彼女が変ないびきをしている、なんて思いながら携帯を発見。
時間を確認すると、夜中2時少し過ぎ。
まだ寝れる、なんて思いながら、画面の明かりで彼女の顔を見ると、
彼女は起きていた。
携帯の明かりで微かに見える彼女の顔。
なんと、目を見開いて歯を剥いて笑っている。
さっきの荒い息遣いは、剥いた歯の間から漏れる彼女の息の音だった。
え?!と俺はパニックになりながら、彼女に
「大丈夫?どうしたの?」
と起こそうとすると、彼女は顔をこちらに向けたまま何かを指差した。
首だけをゆっくりとそっちへ向けて見ると、いつの間にか襖が開け放ってある。
奥のリビングはさらに真っ暗。
そして、彼女の指差した先に携帯を向けると、鴨居から首吊りの輪っかを作った
浴衣の帯らしきものがぶら下がっていた。
え?!何これ?どういうこと?!
もう俺は、頭の中で今起こっていることを処理出来ずにパニック。
身動きも出来ない。
彼女は相変わらず目をギラギラさせて満面の笑み。
そして、口だけを動かして小さな声で何か言い出した。
「使え、使え、使え、使え・・・」
オカルトは好きだけど怖がりな俺は、
脳が状況を処理出来ませんとばかりに昏倒。
そこから先の記憶は無い。
そして、微かに聞こえるテレビの音で目が覚めた。
同時に飛び起きた。
あれは夢だったのか・・・。
襖は閉じてあるし、変な帯もぶら下がっていない。
テレビもつけっぱなしだった。
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やっぱり夢か、良かった、と安堵した。
彼女はまだ寝入っている。
でも何か、顔がグチャグチャになっている。
とりあえず起こそうと彼女を揺すった。
すると、ビクっと体を揺らせて起きた彼女。
恐れと不信の入り混じったような顔で俺を伺っている。
「どうしたの?大丈夫?」
と言うと、恐る恐る話し出した。
昨日の夜、とても怖くて不思議な夢を見た、と。
夜中にふと目が覚めると、俺が布団にいなかった。
枕元のランプを点けると、暗い部屋の中で鴨居に帯を掛けていて、
まるで首を吊るような準備をしていた、と。
彼女は驚いて、
「何してるの?」
と声をかけたら、
振り向いた俺が満面の笑みで
「ほら、準備出来たよ。これを使いな」
と言ったという。
その話を聞いて、飛び上がるほど驚いた。
でもあえて、俺の夢の話は彼女へは伝えなかった。
2人で同じような夢を見たということが分かると、
何らかの呪い的なものを受けたような気がするから。
「怖い夢を見たんだね。よしよし。大丈夫」
と慰め、
「とりあえず朝食を食べに行こうか」
と部屋を後にした。
が、2人ともあまり朝飯に手を付けないまま、食堂を後にした。
部屋に帰る途中にあったレセプションカウンターで、
「すみません。僕らが泊まってる部屋って、 首吊りとかあった部屋ですか?」
と仲居さんの一人に訊いてみた。
もちろん言葉を濁されたけれど、
チェックアウトの時に何故か宿泊代が6千円引かれて安くなっていた。
細かい部分を端折ってしまいましたが、実話です。
静岡県の某温泉地にお泊りの際はご注意を。
部屋は素敵だし、料理も豪華で美味ですが、
無理心中する可能性もございます・・・。
2018年03月14日
山奥の廃墟【怖い話】
今まで生きてきた中で一番怖かった体験を話したい。
もう10年以上前の出来事になるが、当時の俺は都内で学生をやっていた。
地元はとある田舎だが、その地元には気心知れた友人が何人かいて、
休みになると地元に帰っては朝まで飲んだりナンパしたりコンパしたりと
楽しい時間を過ごしていた。
そんな夏休みの最中だった。
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いつものように友人達と夜中に遊んでいて、
引っ掛けた女達とカラオケをやって盛り上がっていたが、
女達はカラオケが終わると「次の日バイトがあるから〜」とかで帰ってしまった。
暇になった俺達は、誰ともなく
「じゃあ、肝試しでもやんねぇ?」という話になり、
山の上にある廃墟と化した別荘に行くことになった。
今だったら絶対に行かないが。
男だけで肝試しって何が楽しいやら・・・。
でも当時は車の免許も取ったばかりで、何をやるにも楽しかった。
その別荘は今では取り壊されてしまって無くなったが、
地元ではかなり有名な所だったらしく、『誰それがそこで殺された』だとか
『夜中に窓から女が覗いている』だとか、色んな噂が流れていた場所だった。
まあ、俺は特にそこで何があったのかとか全然知らなかったし、
一緒に行く友人が4人もいたのでかなり余裕な感じで振舞っていた。
初めて行く場所だったし、怖さよりウキウキ感の方が強かったのだろう。
カラオケで大分時間を過ごしていたので、そこに到着したのはもう深夜0時を回っていた。
そして着いてビックリ・・・。
「なんでこんな山奥に別荘があるの?」という感じで、周りには何も無い。
試しに車のヘッドライトを消してみたら本当に真っ暗で、
”暗黒”というのはこういうことを言うのだろうと思った程だ。
かなりビビってはいたが、仲間もいるし廃墟の中に入ってみることになり、
皆でバリケードをブチ壊して中に。
中は埃とカビ臭く、割れたガラス等が散乱していて雰囲気を醸し出していた。
珍走団も来るらしく、”誰々参上”等とスプレーで書いてあり、そっちの方でもかなりビビっていた。
まあでも、俺はからっきしダメだが、
友人の中には格闘技をやっている奴もいたので、
かなり大人数じゃない限り襲われても平気かな、みたいな感じもあった。
幸い珍走団も来ず、しばらく廃屋の中で探検や何かを物色したり壊したりと、
色々やって遊んでいたがしばらくすると飽きてしまい、俺達は車に戻った。
そして車に戻る際、
運転手の友人がドアを閉めた時に肘がドアロックに当たり、
偶然にも全ドアにカギが掛かった。
俺は助手席だったのでそれを見ていたが、後にこれが俺達を助けることになった。
その後はその場から離れず、
エンジンをかけたまま車内で音楽を聴いたり会話を楽しんでいた。
しばらくすると山頂付近から光が見えた。
どうやら車らしい。
「こんな夜中に山から下りてくる車って何だよ?」
俺達にもちょっとした緊張が走る。
今まで散々不法侵入して遊び倒しているから逃げようかとも思ったが、
何故かその時の車内の雰囲気が「友達同士舐められたくねぇ」みたいな感じで、
誰も逃げようと言わなかった。
そして、あれよあれよという間に車が目の前までやって来た。
一本道だったので当然の成り行きだが、何故かその車はタクシーだった。
「今の時間に山頂で何を?」
「こんな山奥に何故タクシー?」
そう俺達は思った。
そのタクシーは俺達の車の数十メートル後ろで停車すると、
後部座席から二人を降ろし、そのまま俺達の車を追い抜いて行ってしまった。
人が降りたので、「やべぇ、ここの別荘の持ち主か?」と思っていると、
タクシーを降りた二人はしばらく俺達の方を見た後、
ゆっくりとこちらに向かって来る。
しかも、一人は女らしい。
真っ赤なワンピースを着ている。
もう一人は明らかに男でスーツ姿だった。
年齢は全く分からないが40前後と感じた。
顔も暗くて良く見えない。
俺達は微妙に非現実的な出来事に、呆気に取られていたと思う。
そんな俺達をよそに二人は車に近付き、男が運転席側、
そして女が助手席側に回り込むや、いきなりドアを引っ張りだし、
物凄い勢いで俺達の乗る車の中に進入しようとしてきた。
「ヤバイ!!!」
先に述べた通り、偶然カギが掛かっていた為にドアは開かない。
でも彼ら二人はそんなのもお構いなしに、
ドアを半端ないくらいガチャガチャとやっている。
ビビるしか出来ない俺達。
車も凄い勢いで揺れている。
正気に戻った誰かが「逃げろ!!」と叫ぶと、
運転手の友人はすぐさま車を発進させた。
「うぉー!怖ぇー!!」
・・・・・・
・・・・・・
車の中は大騒ぎ。
気が付くと、皆が恐怖のあまり泣いていた。
近くのファミレスに車を止め、
皆で「なんだったんだ、アレ?」みたいな事をギャーギャーと話した。
「一番涙目になってた奴は誰だ?」
「俺じゃねぇよ!」
「お前が一番涙目だったわ」
・・・・・・
俺は友人達がバカで明るい奴らで助かったと思った。
大分落ち着いてから格闘技経験者でイケイケの友人に、
「なんでお前出て行かなかったの?」と訊いてみた。
こいつはかなり気性が激しい奴なので皆が不思議がったのだ。
ちなみにこいつが運転手。
そいつはドリンクを飲みながら一言。
「たぶん俺じゃ勝てないから・・・」
「おぉ?いつも自信満々なのに今回はえらく控え目だねぇ」
誰かが茶化す。
するとそいつはムキになり、
「あのさ、俺の車1トン以上あるんだよ?
ドア引っ張るだけでなんであんなに車が揺れるんだよ。あいつら力半端ねぇよ。
・・・つか、お前らあいつらの顔、見てねぇのかよ?目がな、
ヤバ過ぎてとても出て行けねぇって。だって黒目しかねぇんだもん。
アレ、絶対人間じゃないよ」
男女の顔を良く見ていない俺達は、その言葉にガツンと落とされた。
彼は嘘を言うタイプの人間ではない。
そうしてファミレスで朝まで過ごした。
今だから言えるが、あの時に俺は涙は出なかったが小便が少し出ていた。
人間は本当の恐怖を味わうと、小便を漏らすことをその時に初めて知った。
2018年03月13日
地図から消された家【怖い話】
昭和初期の古い一軒家の話。
実際に今でも世田谷に、国の重要文化財としてあるらしい。
その一軒家に住む家柄は、官僚家系のエリート。
家族は五人。
祖父と主と妻、子供二人。
ある日のこと、
イタズラ電話が頻繁にあるようになった。
娘二人はすでに嫁いでいて、家には祖父と主と妻の三人。
(少し日が過ぎて・・・)
家が寝静まる夜中に、何十回も鳴るようになっていた。
内容は無言電話。
主はそのうち、イタズラ電話が掛かってくると受話器を外して床に置き、
それ以上に掛かってくる事を拒んだ。
また日が過ぎ、
いつものように無言電話が掛かってくる。
主は受話器を床に置く。
そして、そのまま寝床に就こうとした。
・・・すると、
受話器からボソボソと話す声が聞こえる。
これは!?と思い、主は起きて受話器に耳を近付ける。
また無言に戻っている。
それが数日続いた。
ボソボソと喋る声は、主が受話器を手に取ると押し黙る。
気味が悪くなった主は、渋々電話番号を変えてみたり、
電話局や警察に連絡したりと、
イタズラ電話の相手から逃れようとした。
しかし・・・何をしても、毎日夜中に黒電話は鳴り続けた。
この世のものではない者の仕業か?と疑い、
精神的に参ってしまった主は、祈祷師に御祓いを頼み、
霊的事象を信じるまでに至った。
が、主の思いとは裏腹に、何をしても一向にイタズラ電話は止まなかった。
精神を病んだ家族は、その家を売り払う事に決めた。
由緒正しい家柄で、家屋にもそれなりの価値がある。
これは当時の価値観からして、辱(はずかし)めを受ける事と同義だった。
が、背に腹は代えられない。
しかし・・・
それが決まった数日後から、電話は嘘のように鳴り止んだ。
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そしてその数日後、実家近くに住む娘が亡くなった。
旦那による撲殺であった。
夫婦仲は良くなかったと聞いてはいたものの、そのような事が起こるとは・・・
信じ難い悲劇であった。
そして警察の手入れの後、娘の遺書が見つかったとの報告。
主は娘の遺書を警察から受け渡された。
が、その内容を見た瞬間、悲しみのどん底に落とされた。
あのイタズラ電話は娘からであった。
『助けてほしい』
『助けてほしい』
『助けてほしい』
・・・・・・
・・・・・・
そういった願いが、その遺書には書き綴られていた。
イタズラ電話の犯人は分かったが、それが娘であったとは。
(幾月か過ぎ・・・)
悲劇から立ち直った主は、変わらずにその古びた家屋で生活していた。
そしてある日、またも無言電話が鳴ったのである。
それは以前に亡き娘が掛けてきた、あの無言電話と全く同じ時間に。
同様の手口で掛けられてきた。
これは悪質で陰湿な嫌がらせだ!主はそう思った。
主は無言電話が掛かってくると、
以前にもそうしたように受話器を床に置く。
そうしてやり過ごす。
が、驚いた事に・・・
娘がした時と同様に、受話器を床に置くとボソボソと話す声が聞こえる。
相手は娘でないのは分かっている。
娘は死んだ。
この事件を知っている者の、悪質な嫌がらせだと思っていた。
当然そう思うだろう。
主は当時最新の録音機を手に入れていた。
・・・そう。
それを使い、ボソボソと話す声を録音してやろうとの企みだ。
いつものようにイタズラ電話が掛かってきた。
主は床に用意しておいた録音機の電源を入れ、
録音を開始したのを確認して受話器を横に置いた。
寝床に就くと、ボソボソと話しているのが聞こえる。
次の日に確認するのが待ち遠しかった。
翌日、主は録音機を再生した。
そこから聞こえてきた声に、主は恐怖して慄(おのの)いた。
そんなはずはない。
そんなはずはない。
気が狂いそうだ。
その後に主はその家を売り払い、今に至る。
家主は頻繁に変わっていった。
そこに住んだ者は皆、この黒電話のイタズラに悩まされたそうだ。
噂によると・・・
その家の内装を新しい物に変える際、
その黒電話のあった場所の下の床を剥ぐと、
女性のものと思われる長い髪の毛が大量に発見されたそうだ。
その髪の毛が一体誰のものなのか、今でも不明らしい。
内装工事は中止され、
現在その家屋は国の重要文化財としてひっそりと保存されている。
そして・・・その家の場所は、地図から削除されているそうだ。
2018年03月12日
変わり果てた姉【怖い話】
友人らと宅飲みをしていた時の話
オカルト好きな伊藤(仮名)が「怪談大会をしようぜ」と言って、
それぞれが知っている話をしていた時に伊藤から聞いた話だ。
伊藤は話をする前置きとして、
「これは俺の知り合いから聞いた作り話なんだが……」
と言って話し始めた。
YouTubeで稼ぐ - 月収10万円特別キット
とある県のさらに田舎の集落に住んでいた男の子の話だ。
その子には祖父、父、母、姉の四人の家族がおり、
それ以外に家には女中が三人と、寝泊まりしているわけでは無いが
隣に住んでいる分家の男二人、つまり親戚がいつも祖父についていたそうだ。
ここまで聞くとわかると思うが、男の子の家はその辺りでは
知らない人がいない名家だった。
名家にはよくある事なのかもしれないが、
その家では家長である祖父が絶対だった。
母はよそから嫁いできた人間だからかそれ程ではないが、
父や分家の人間は誰も祖父に口答えせず、話す時も敬語だった。
そんな家で育った男の子が十五歳になった時、
いつもは学校が終わってすぐ帰るはずの姉が、
夕飯の時間になっても帰って来なかった。
その家では夕飯の時間は決まっており祖父が席につく前には
皆が先に席について待っていなくてはならなかった。
しかし姉は一向に帰って来ず、
横にいた母は心配なのかとてもオロオロとしていた。
そしてついには、分家の男を連れた祖父が来てしまった。
空席を見た祖父は入り口で立ち止まり、
父に向かってどういう事だと冷たい声で言った。
父は緊張した面持ちで、姉が帰って来ていない事、連絡もつかない事を告げた。
すると祖父はしばらく考え込んだのちに分家の男達に何事か伝えると
「お前達はここで待て」と言って出て行った。
待てと言われた残りの家族は言われた通り待っていた。
母は相変わらずオロオロとしており、父に何か話していた。
二時間程経っただろうか、
玄関の方から父の名を呼ぶ分家の男の声がした。
その声が怒鳴り声に近かった事もあり、何事かと家族全員で玄関に向かった。
そこには祖父と分家の男二人と分家の人間が数名、そして変わり果てた姉が居た。
姉は顔面を酷く殴られたように変色しており、服は破かれ、表情は虚ろだった。
母はそれを見て卒倒し、父は驚いた顔をし、
卒倒した母を支えながら姉の名前を呼んだ。
男の子はほぼ裸に近い姉がどういう目にあったのか察していたが、
信じられずに唖然としていた。
祖父は女中に姉を預け、何事かつげると父を呼び、
分家の男達を連れて奥の間へ消えて行った。
男の子は倒れた母に付き添いしばらく茫然としていたが、
女中に促され自室へと戻った。
その後、
女中が食事を持って来たが食べる気にはならず、
眠る事もできず、朝が来るまで考え事をしていた。
姉と男の子は一つの部屋だったが、その日に姉は戻って来なかった。
朝になり、男の子は母の部屋へ向かった。
部屋へ入ると母は姉を寝かせており、声を殺して泣いていた。
部屋に来た男の子に気づいた母は男の子を抱きしめ、姉が辛い目に遭い、
おかしくなってしまったと言った。
その声に気づいたのか姉が起きて男の子と母を見た。
その目は虚ろで、普段しっかりしていた姉とは思えないもので、
男の子が姉を呼んだ
が返答もせず、ブツブツと何か言って再び横になった。
母はそれを見て泣き崩れてしまい、
男の子はそこにいるのが苦痛になり部屋へ戻った。
しばらくして父が来た。
そして、
姉の事は誰にも言うなと告げると出て行った。
その後も姉はよくならなかった。
家族の呼び掛けにも返答せず、ただ虚ろで時折何か言っていた。
そんな状態で一週間近くが経とうとしていた。
男の子が夜に奥の間のそばを通ると、母の怒ったような声が聞こえた。
何事かと思ったが、奥の間には普段より祖父と父、
分家の男二人以外は入るなと言われていたので、
男の子は入れずに、その場で聞き耳を立てていた。
しかし、奥の間へは渡り廊下のようなものを挟んでおり、
母の怒鳴り声が微かに聞こえるのみだった。
次の日の夜中、布団に横になっていると父が来た。
父は姉を呼んだが姉は返答せず、
父は姉の体を起こしどこかへ連れて行った。
朝になり、戻って来なかった
姉を気にしていると父から呼ばれた。
ついて行くと祖父が待っていた。
男の子が席につくと祖父が話を始めた。
そこで聞かされた話は、
男の子にとってあまりにもショックだった。
母が姉を連れて出て行った。
二人の事は忘れろというのだ。
男の子はあまりのショックにその後の事はよく覚えていないが、
あんなに優しかった母が姉だけを連れ、自分を置いて出て行った事を知り、
裏切られた気分になった。
後で女中から内緒で預かったという母の連絡先を渡されたが、
裏切られたと思っていたので連絡しなかった。
それから男の子はグレた。
今まで祖父や父からやるなと言われた事をあえてやった。
父からは殴られたが一向にきかず、完全にやけになっていた。
それから一ヶ月程経ち、部屋から外を見ていると、
庭先で袋を持った分家の男が蔵に入って行くのが目に入った。
蔵は子供の頃から近づいてはだめだと言われていた。
グレていた男の子は、蔵を荒らしてやろうと考えた。
蔵には鍵がかかっているが、
幸い男の子は鍵が仏間にある事を知っていた。
夜になり、仏間から栓抜きのような鍵を持ち出すと、
家の者に気づかれないよう蔵へ向かった。
蔵の鍵を開け、中へ入ると埃っぽかった。
暗かったが、タバコに手を出していた男の子は
ライターを取り出し周りを確認した。
中には農具と思われるものや、謎の道具が沢山あった。
奥へ行くと、床にそこだけ埃が少なく、よく見ると取っ手がついた扉があった。
男の子はなにも考えずに開けたが、そこには下に続く階段があった。
男の子は降りてみる事にした。
降りるとそこは想像以上に広く、上とは違い物がほとんど無く、
ランプのようなものが壁についており明るかった。
前へ進むと途中から道が狭くなっていた。
その狭くなった道に差し掛かった所で男の子は固まった。
そこには座敷牢があり、中には人がいた。
それはまさしく姉だった。
男の子は姉を見て驚いた。
姉の名を呼んだが、姉はこちらを見て怯えている様子だった。
男の子がしばらく姉に呼び掛けていると、
ドアアアアアアアアア!!
ヒャアアアアアアアアア!!
といった叫び声がすぐそばで聞こえた。
男の子は腰が抜けそうになりへたり込んだ。
声の主はすぐにわかった。
隣にも座敷牢があり、そこに髪がぼうぼうで毛だらけの男がいた。
毛だらけ男は男の子のほうをじっと見ており、ウオオオオオと騒いでいた。
怖くなった男の子は蔵を飛び出し家へ向かったが、
家の者にバレるのも恐れていたため、鍵の事を思い出し、
戻って鍵を閉め、仏間に鍵を戻し、自分の部屋へ戻った。
蔵の地下にあんな場所があった事、姉がいた事、毛だらけの男の事、
分家の男は二人の世話をしに行っていたのか等を考えていたが、
答えは出なかった。
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ふと母親の連絡先の事を思い出した。
母なら何か知っているだろうかと思い、
連絡先が書かれた紙を持って家を飛び出した。
家から十分ほど離れた公衆電話まで来た。
そこで書かれた連絡先に電話をした。
夜遅い事もありなかなか出なかったが、
しばらくして『もしもし』という不機嫌そうな声がした。
それは母がたの祖母だった。
男の子が自分の名を告げると、祖母は驚いたようだったがとても喜んでくれた。
男の子は祖母の話を適当に切り上げ、母はいるかと聞いた。
祖母が少し待てといって、しばらくすると母が出た。
母は嬉しそうで涙声だった。
男の子は母に、先程見た光景について話した。
すると母は険しい声になり、
『それを家の者に言ったか?』
と聞いた。
言っていないと言うと、絶対言ってはならないと言われた。
それから、母は
『見てしまった限りは教えたほうがいいね』
と言ったが、
その場では長くなるからと話さなかった。
そして母は、あの家は異常だから男の子も危ない、
母親と一緒に暮らそうと提案してきた。
男の子は嬉しかった。
すぐに提案を受け入れると、母はその後の段取りについて説明した。
母は自分の実家へおり、そこへ男の子を呼びたいが、
跡取りを連れて行かれたら祖父は必死に探し連れ戻しに来るだろうから、
二人で別の所に住もう。
住む所の準備に少しかかるが、こちらから連絡しても取り次いでくれないから、
一週間後に家から少し離れた寺で待ち合わせよう、との事だった。
男の子が分かったと伝えると、母は気をつけてねと言って電話を切った。
男の子は戻りたくなかったが、
母との計画を前に問題を起こしたく無かったため、仕方なく家に戻った。
その日から男の子は部屋へ閉じ籠った。
学校にも行かなかったが、父や祖父はもはや何も言わなかった。
そして、母との約束の日が二日後に控えた時だった。
夜中に父がやってきたのだ。
父は男の子の名前を呼んだが、男の子はそれどころでは無かった。
父は子供にあまり興味の無い人で、部屋へ来る事はほとんど無く、
それも夜中に来たのは、前回姉が連れて行かれた時だけだった。
男の子は自分もあそこへ入れられるのだと直感した。
今まで自分は跡取りだから馬鹿をやっても大丈夫だろうと思っていたが、
そんな考えは今の状況では完全に頭から消えていた。
父は返事の無い男の子に近づいて来た為、男の子はあわてて返事をした。
そうすると父は来いとだけ言った。
焦った男の子は考えた。トイレから逃げよう。
男の子はトイレに行きたいから先にトイレへ行かせてくれと言った。
父は渋っていたが、何度も言うと了承した。
男の子はトイレに行くと鍵を閉め、音がでないようそっと窓を開けた。
幸いな事にトイレの窓はかなり大きかった為、すんなり抜け出せた。
外に出ると男の子は正門へ向かった。
しかし、そこに人の気配がし、陰から覗き込むと分家の男たちがいた。
男の子はゾッとした。
分家の男たちが、おそらく父と男の子を玄関前で待っていたのだ。
男の子は正門を諦め、裏門へ向かった。
途中裏門にも人がいたらと思い泣きそうになったが、幸い人はいなかった。
裏門を出た男の子は走った。
とにかく家から離れなくてはと無我夢中だった。
途中にある田んぼ道は障害物が何も無く、
遠くからでも丸見えだった為、見つかる事を想像して気が狂いそうだった。
夢中でしばらくの間走り、隣町まで来た所で男の子は母親へ電話した。
紙はあの時から肌身離さず持っていた。
母が電話に出て、男の子が息を切らしているの聞き、
我が子の緊急事態を察したのか、
『どこにいる?すぐに迎えに行く!』
と言って場所を聞いて切った。
しばらくして母が車で来て、男の子を車に乗せるとすぐに発車した。
車には運転をしている母の兄(叔父)と母の父(祖父)も乗っていた。
男の子は安心し、母に抱きしめられたまま眠ってしまった。
気がつくと母の顔が見えた。
布団が掛けられ寝ていたようだ。
起き上がり当たりを見ると、どこかのマンションかアパートのようだった。
母は、
「これからはここで暮らすのよ。ここは今までの家がある所とは
かなり離れている所だから、祖父達に見つかる事はないから 安心して」
と言った。
その後、
母は父から色々と聞いていたようで、姉や毛だらけの男について話してくれた。
あの場所は、あの辺を仕切っていた先祖が、
犯罪者や時には自分に従わない者を閉じ込めていた場所である事。
姉は恐らく祖父に怨みを持った人間から、暴行を受けて精神を病み、
それをよしとしない祖父があそこへ閉じ込めた。
母は姉を助けようと祖父に詰め寄り、家を追い出されたとの事。
毛だらけの男については母は存在を知らなかったようだが、
考え込んだ後、分家に行方不明になった人がいたと聞いた事があるので、
その人じゃないかとの事だった。
また、母は姉を助けたいが、祖父達はそれを絶対に許さず、
警察にも繋がりがある祖父なので、警察に訴えても動いてくれないばかりか
立場が悪くなるであろう事を話し、男の子を抱きしめて泣いた。
それから十年程が経った。
母と暮らし始めた当初は、
母の実家にも祖父の使いが押しかけてきたりしたが、
今では諦めたのか何事もない。
あれからずっと男の子は、姉をあんな状態で放って
自分は母と幸せに暮らしている事に負い目を感じていたが、
最近になって母の実家から(父がたの)祖父が亡くなったらしいとの連絡を受けた。
「それを聞いた男の子は どうしたと思う?」
と言った所で伊藤の話は終わった。
俺達は姉を助けに行ったんじゃとか言った後、
伊藤に顛末を聞こうとしたが、知らないと言って笑っていた。
なんだよーと当時は二人でブーブー言っていたが、
最近になって伊藤の家に遊びに行った時に、伊藤の家が母子家庭である事を、
ちらりと伊藤のお母さんが言っているのを聞いた。
そしてあの時の話を思い出し、
あの男の子は実は伊藤なんじゃないのかと思った。
考えているともう一つ気になる事があった。
伊藤は自分で、今の家があるX県の出身だと昔から言っていた。
しかし、驚いた時に「あきゃっ」と言ったり、酔っぱらった時のイントネーションが、
X県地方では聞いた事がないようなものだった。
酔っ払った勢いで一度だけ聞いたが、笑って否定された。
それ以降はその話は一切聞けないでいるが、
俺は今でも伊藤があの男の子だったんだと信じている……
2018年03月09日
そこに近付くと死人が出る【怖い話】
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実家に居た頃の話。
実家のある町内会では、毎月一回くらい集まって地区の道路を掃除したり、
皆で酒を飲んだりする日がある。
その日は、遥か昔からある為に何を奉っているかも分からない
神社だかお寺を掃除する日だった。
町内会の爺ちゃん婆ちゃん達は何故かそこには近づかないので、
その息子たちの世代(俺の親父の世代)が半年に一回くらい掃除をする。
でも、そこの一ヶ所のU字溝の付近だけは、いわくつきと言うのか、
「近づいたら死人が出る」と言われていた。
けれど、親父達の世代はそんなの年寄りの迷信だと思って、構わず掃除していた。
すると、昼間は元気だった近所のおじさんが、その夜に突然亡くなった。
自宅の風呂場で亡くなっていたから警察も来たけれど、
死因は脳梗塞かなんかだと言われていた。
ただ、昼間は凄く元気で健康そのものだった人が急に亡くなったし、
“その人があのU字溝を掃除していた人だった”から、
しばらくはその噂で持ちきりになった。
それからは色々とあって掃除はなかったが、
数年後にまたそこを掃除する日が来た。
年寄り達は反対だったらしいけれど、神聖な場所ではあるだろうから、
U字溝を避けてやることに決まった。
けれど、やっぱり迷信だと言って気にしない人もいるわけで、
U字溝を掃除してしまった人がいた。
その時は、「ヤバイよ」と言う人もいたが、
「笑い話になる」と言う人達が多くて、
実際に気にする人はほとんどいなかった。
でも次の日の昼間、掃除した人が農機具に巻き込まれて亡くなった。
吸い込まれるように刃の中に潜っていったそうだ。
そんなこともあってさすがに何かあると思ったけれど、
知っているかもしれない年寄り衆もほとんど亡くなっていたし、
この科学の時代に怖いとは思っても本気で信じる人はいなかったらしい。
同世代が二人も亡くなって、
「さすがにあそこは避けよう」
ということになり、次の掃除の時は近付く人もいなかった。
掃除も順調に進み、伸びてきた木をうちの親父がチェーンソーで切っていたら、
足場にしていた太い木が急に倒れ、
木から落ち・・・・・・ていたら大惨事だったんだけれど、
近くにいた親父の友人が下から支えてくれて事なきを得た。
しかし、親父の友人が親父を支えた場所が問題で、
その場所は掃除しないようにと蓋をしたU字溝のちょうど蓋の上だった。
そこにいた皆が、
「これはマズイぞ・・・」
という空気になったけれど、蓋の上からだったし大丈夫だろうと思っていた。
でも次の瞬間、下から叩いてるような音と共に、
U字溝の蓋が2〜3回上下に動いた。
大人二人を乗せたままU字溝の蓋が上下に動いたもんだから、気味悪くなって
「掃除はそこまでにしてもう解散」ということになった。
帰りは皆が無言だった。
親父の友人が亡くなったのは次の日の昼間だった。
釣りに行って海に落ちたそうだ。
一緒に行った人達は、
「普通に会話してたのに、 急にフラつきながら海に落ちたからビックリした」
と言ったそうだ。
親父は一緒に行った人達に、
「何ですぐに助けなかった!」と食ってかかったけれど、
海に落ちた時にはすでに亡くなっていたそうで、助けようがなかったという。
親父いわく、
「今年は震災で掃除はなかったけれど、今後掃除があってもあそこには
行きたくない」とのこと。
以上が地元で実際にあった、心霊現象なんか信じない親父の体験した話。
2018年03月08日
負けず嫌いな母の幽霊【笑える怖話】
お盆で帰省した時の話。
死んだ両親の生前の好物を仏壇に供えた日の夜、両親が枕元に現れた。
(私は寝ながら本を読んでいました)
お盆恒例と化しているので恐怖とかはなく、
いつも「ああ、おかえり〜」と言うと、
その言葉にニコニコしてスッと消えるのがお決まり。
だが、今年は父が変な表情をしていて、
隣の母がその父を肘でガンガン小突いて何か言わせたい感じだった。
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しばらく眺めていたが、消える気は無さげだし、
母に小突かれまくりの父が段々と不憫になってきたので、
「なんか言いたいん?」と尋ねてみた。
すると、父が口を開きかけたのだが・・・
『あうあうする』
『目が泳ぐ』
『もじもじする』
『母に激しく小突かれる』
を10分くらい繰り返し、私もしばらくそれに付き合った。
が、いい加減イラついたので、
「お父さんがよう言えんなら、お母さん言えや!」と母に言うと、
母が父の脇腹に本気の肘入れをした後に、
「お供えのお菓子に飽きたから他のにして欲しい」と言い難そうに呟いた。
何が希望か訊くと、「今の流行りものがいい!」と子供のように目を輝かせる母。
横の父は「俺は今のがいいんだけど・・・」と呟いたが、母の肘が入り、再び沈黙。
何がいいか具体的に言えと促すと、「まかせる。でも○○ちゃんに負けたくない」と、
意味不明な発言をする母。
詳しく訊くと、どうやら幽霊仲間にお供え物自慢をされたらしく、
負けず嫌いの母は悔しい思いをしたようで。
「今年は勝ちたいの」と半泣きされたので、
友人に土産でもらった生キャラメルをお供えしました。
正直なところ、生キャラメルもピークは過ぎた気もするが。
しかし、毎年お盆に会っていて初めての会話がこれってどうなのよ・・・。
うちの両親は死んでもなお呑気です。
2018年03月06日
長い髪の毛【怖い話】
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ちょうど一昨年の今ぐらいの時期なんだが、
大学のサークルの友人Aが、「引っ越しをするので手伝ってくれ」と言ってきた。
お礼に寿司をおごってくれるって言うのと、
Aには世話になっている事もあって、俺は二つ返事で了解した。
引っ越し当日、現場には俺とA、そして同じくサークルの友人のBとCの男4人で、
引っ越し作業を片付けた。
Aの引っ越し先は、2階建てアパートの1階の角部屋で、
玄関を入ると左に風呂とトイレ(風呂とトイレは別々)で、右にキッチン。
正面に木枠にガラスがはまってるドアがあって、10畳の部屋があるという間取りだった。
その日の夜は、4人で酒を飲んで、寿司を食いながら適当にダベって、床にザコ寝して、
次の日の朝に、B、Cと一緒に電車で帰った。
その帰り道にCが、
「Aの部屋って、すぐ隣の建物が神社だったよな。もしかして・・・出るんじゃねーの」
とか、ふざけて言っていたのを覚えている。
まあ、覚えてるっていうか、忘れられなくなったと言うのが正しいか・・・
Aが引っ越して一週間くらい経った頃、学食でAとBと飯を食っている時に、
BがAに「新しい住まいはどーよ?結構いい部屋だったよなー」と聞いた。
するとAは、
「うーん。まあ部屋は広いし駅も近いし、悪くはないんだけど・・・」と、
何か言いたげな感じで言葉を濁したのが気になって、
俺は「なに。なんか変な事でもあるんか?幽霊とか」とか、
冗談めかして言ったんだよ。
そしたらAが、「いやー、なんか長い毛が良く落ちてるんだよね」って言ってきたんで、
「どうせ女でも連れ込んでんだろコノヤロー」とか、
「外でくっついてきてんだろ」とか、
俺とBはあまり真剣に取り合わなかった。
(ちなみにAは、女を連れ込んではいないと言っていた)
自分以外の毛が落ちてたって、普通そんな気にすることでもないからだ。
Aも「まあそれ以外なんもないし、やっぱたまたまかもな」と思い直したようで、
その日はそれで、Aの部屋の話は終わった。
それからしばらくAは普段通りだったが、
二週間くらいが過ぎてから、妙に疲れているというか、
やつれてきてるように見えるようになった。
ちゃんと大学には来ているから、病気って事もないだろうし、
何か悩みでもあって眠れないとか、そういう事かもしれないってんで、
BとCと一緒にAを飲みに誘って、話を聞いてみる事にした。
飲みながらAに「何かあったのか」と聞くと、Aが、
「言っても信じてもらえるかどうかわからないけど・・・
前にお前(俺の事)とBに、髪の毛が落ちてるって話したじゃん?
んで、最初は外でくっついてるとか、そんなだろうって思ってたんだけど、
どうにもおかしいんだよ。
外でくっついてるなら、長さとかってまちまちだろ?
でも落ちてる毛って、どうも同じような長さのものばっかなんだよ。
しかも、くっついてるとかなら、床に落ちてるのが普通なのに
コップの中とかトイレとか風呂場とか、とにかくどこにでも落ちてるんだぜ?
それに、段々毛が落ちてる頻度っていうか、量が増えてきてるんだよ。
それで、もうなんか気になって気になって、家にいても怖くて落ち着かないんだ」
って話だした。
俺とBは半信半疑というか、そんな変な事をすぐ信じる事もできなくて、
「きっと偶然が重なって、疑心暗鬼になってるんじゃないのか」とか言ってたんだが、
Aは「いや、そんなんじゃないんだよ。マジでおかしいんだって」って真顔で言い張る。
そしたらCが、
「それなら、これからAの家に行って見てみようぜ」って、
好奇心丸出しな感じで言い出してきた。
Aも「そうだな、見てもらった方が早いわ」って言うから、
4人で飲み屋を出てAの家に行った。
Aの家についた俺達は絶句した。
Aの言った通り、流し台、風呂場、トイレ、部屋のそこらじゅうに毛が落ちている。
Aも「・・・家を出る前はなかったんだぜ」って言うからCがまた興味を持ったらしく、
「ちょっとこの毛を集めて、長さとか色とか見てみようぜ」って言い出した。
俺もこの時になって、怖さ半分興味半分で、
「そうだな。同じ毛かどうかくらいわかるかも」って、
Bも促して4人で毛を集めることにした。
10分くらい経ってようやく、目ぼしい所に落ちている毛を集める事ができた。
集めた毛は白い紙の上に置いて、長さや色を適当にチェックしていった。
あからさまに違う長さや、ちぢれた毛(あの毛だ)を取り除いていって、
残った毛をまとめる頃には、何か部屋の空気が重いというか、
うすら寒いものになっていた気がした。
重苦しい雰囲気の中、Bが「・・・同じだよな?」と、全員の顔を見ながらつぶやいた。
確かに長さ、色、手触り等、素人判断ではあるが、同じ人間の毛としか思えなかったので、
俺もAもCも同意せざるを得なかった。
Cが「うわ・・・やばいんじゃねーこれ」とか言い出したんで、Aが弱気になってしまい、
「どうしよう、どうしたらいい?」とかオロオロしだした。
俺は幽霊も見た事がないし、今までそういう体験も無かったので、
幽霊が原因だとか、そういう風に結論づけずに、
あくまで物理的な原因が、必ずどこかにあるんじゃないかと思い、
Aに「そうそう幽霊とかって出ないだろうし、
こうして毛って言う物質がここにあるんだから、
絶対原因があるって」
と説得し、Aをなだめることに終始した。
もう夜も遅いし、後日ちゃんと調べてみようという事になり、
俺達は帰る事にした。
部屋のドアを開けて玄関に向かう中に、Bが
「おい・・・ちょっ・・・これ・・・」と、
すごい顔で風呂場の中を指さしているので、中を覗いて見ると、
一握りくらいの毛の束が、風呂場に落ちていた。
それを見た瞬間、背筋に走った悪寒は今でも忘れられない。
4人全員が転がるように外に出て、近くのファミレスに入った。
しばらくして落ち着いてきたので、さっき見た毛について話が始まった。
確かに4人で部屋の中の毛を拾ったはず、
仮に取りこぼしがあったとしても、あんな目に付く毛の束を見逃すはずがない。
と言うことは、俺たちが拾って、帰ろうと部屋を出るまでの間に落ちた、という事。
あの部屋には4人しかいなかったし、外から人が入ってもすぐわかる。
Aは確定的な出来事を目にして、すっかりびびってるし、
BもCも俺も、恐怖と興奮で頭がいっぱいだった。
4人で髪の毛を集めたり、長さを測ったりしてひっかき回したせいなのか、
次の日事態は急変する事になる。
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朝になるまでファミレスで過ごし、
Aはまだあの家に帰りたくないと言うのでBの家に行き、
Cと俺は一旦家に帰り、土曜日で休みなので、
ひとまず寝てからまた集まろうという事になった。
夕方に目が覚めて、しばらくするとBからメールが来て、
『19時にさっきのファミレスで集まろう』という流れになった。
ファミレスで集まった俺達4人は、どうするか話し合い、
とりあえずAの家の様子を見に行く事にした。
Aの家は前日飛び出したまま、外から見ても電気が点けっぱなしなのがわかった。
Aが鍵を開け、ドアを開ける。
ドアが開くまでの瞬間は、
何か身体が浮いているような感じで生きた心地がしなかった。
ドアを開けるとまず玄関に、数本ではあるが毛が落ちていた。
もう誰も何も言わない。
風呂場を覗く、昨日の毛の束があるが、他は変わったところはなかったと思う。
トイレ、台所、廊下には毛があった。
昨日、あれから誰も入っていないはず。しかし毛は落ちている。
俺はもう内心「夢とかドッキリとかじゃないか。むしろそっちの方がいい」とか、
恐怖と興奮で、現実にいるのか夢にいるのか曖昧な感じだった。
とりあえず部屋の中以外はチェックしたので、いよいよ部屋だと言う時に、
Aが「ヒュー」と、空気が漏れたような声(悲鳴だったのかもしれない)を出した。
俺がAに「どうした?」と聞くと、
Aは引きつった顔で部屋を仕切るガラスつきのドア越しに、
部屋の中を指差している。
BとCと俺は、視線を部屋の中に移した。
テーブルの上には昨日集めた毛の束がある。
別に何かいるわけでも何でもない。
俺は「別に何もいないぞ?」とAに言うと、Cが「窓・・・」とかすれた声で言った。
Aの部屋の窓は上半分が普通のガラス、下半分が曇りガラスになっている。
上半分には何もない。夜なので、すぐそこの物干し竿だけしか見えない。
だが下半分。曇りガラスの向こう側にいた、座り込んでいる髪の長い女がいる。
上が白い長袖のようなものなので、曇りガラス越しでも毛の長さがわかる。
もう直感的に、「この毛はこの女のだ」と思った。
今思えば、生身の女だったのかもしれないが(それはそれで怖いが)、
はっきりと幽霊を見てしまった。
あの時、全身の血が足の方に落ちていく感じがした。
4人全員が悲鳴をあげるでもなく、震える足を引きずって、静かに静かに部屋を出た。
その後Aは、引っ越すまで俺達の家を泊まり歩いた。
俺達もあんなモノを見てしまったので、Aを泊める事は暗黙の了解になっていた。
引っ越しの荷物をまとめるために、数回あの部屋に行く機会があったので、
オカルト板で見た『コップの中に日本酒を入れて置いておく』
『盛り塩を部屋の4隅に置く』等を、だめもとでやってみたのだが、
次に部屋に訪れた時、日本酒はかなり白く濁っており、
盛り塩はカチカチになっていた。(これは湿気のせいかもしれないが)
Aは引っ越した後、何事もなく今では普通に生活している。
しかし、部屋に落ちている毛は今でも気になるらしい。
結局、あの部屋のとなりが神社だった事との関連や、
あの女が何だったのかは分からないままです。
まあ、分からない方がいいのかも・・・
2018年03月02日
神社の月祭りで狐に化かされた時の話【不思議な話】
去年の正月から少し経ったくらいに
誘われて神社に行ったんだ。
きっかけはギャンブル好きの友人が仮想通貨で儲けたいってことで、
御利益があるという神社を探してきていて行くことにになった。
車で一時間、他府県の神社だった。
仕事の都合で、神社についた時間は夜7時。
友人は「神様に時間は関係ない」と言っていたが、、、着いてみると
屋台がポツポツ4つくらいあってイカ焼きやポテトが売られている。
焚き火があり、石燈籠にも明かりが灯っていて、
人もまばらではあるが、それなりにいる。
正月から10日くらい経っているのに人がいるんだなと思っていると、
一人の初老の男性が目についた。皿に猫の餌を入れているところだった。
初老の男性は、地域に一人はいる猫おじさんで、
毎日神社の猫に餌をあげているらしい。
友人が
「こんばんは、正月から10日くらいたつのに人が結構いるんですね」
と話しかけていた。
男性は
「今の時期はまだまだ人が来るけど、普段は毎月の月祭り以外は寂しいものだよ」
と言った。
男性は僕らを気に入ってくれて色々な話を聞かせてくれた。
親の大病を神社の神様が治してくれた話 稲荷社の狐が夢に出てきた話
神の使いが狐で、猫とは仲が良く、お互いに犬のこと嫌っており、
犬の臭いがする人間には御利益がないという話
そして、神様に大きな借りがあるため、
毎日神社の掃除と猫の世話をかかさず20年以上しているという話
どの話もおっさんワールド全開だったけど、
猫に毎日餌をやっていることは間違いなさそうだった
最後にお気に入りの写真を見せてくれた
稲荷社の狛狐の足の間から顔を出す猫の写真で、
男性はとてもいとおしそうに見つめていた
神社から帰って何ヵ月か経った頃、
急に神社のことが気になって友人に聞いてみると、
場所をGoogleマップで送ってきてくれたので、行ってみることにした
休みの日に行ったので昼間に到着した。
前回は夜だったが、明るさとは関係なく、景色が全く違って見えた。
石燈籠も稲荷社も何もなく、焚き火をしていた広場もない
小さな社がぽつんとあるだけだった
間違ったかと思ったが、車を止めた場所は同じだし、
駐車場所から間違うような道ではない
不思議に思いながらお参りをして、
車に戻る途中の自販機でジュースを買っていると、一台の軽トラが来た。
挨拶がてら神社のことをたずねてみた
正月には集落の人はお詣りにくるが、それ以外の人は滅多にこないということ
月祭りのことを聞いても、年に一度秋にお祭りをやっていたが、
今はやっていないということ
まさかと思い初老の男性のことを聞いてみたが、
野良猫はたくさんいるけど、そんな人は知らない
猫の世話をするような人がいたら俺たちが知らないはずがないとのこと
今回も他府県ナンバーの見知らぬ車が停まっているので様子を見に来たらしい
前回来たときと余りにも様子が違うので、
軽トラの男性に話を聞いてもらっていると、男性は笑いながら
「狐に化かされたな、そんなときはタバコを吸え、狐が嫌がって離れていくから」
と言う
また、「神社の屋台で何も食べなくて良かったな」と言っていた
彼のお爺さんくらいの時代には狐に化かされることは
あまり珍しいことではなかったという
最近でもたまに化かされて石や毒キノコを食べさせられたりするらしい
全然怖くなかったけど、不思議だったな