・新SSMはミサイル間通信能力や自立型の脅威回避能力を持っているかもしれない
・エンジンのターボファン化により長射程が期待され、また様々な派生型も構想されている模様
ここ数日、アクセス数が通常の数倍になっていたので、何があったのかと思っていたら、またP-1関連記事がTwitterにリンクされていたようですね。相変わらずP-1ネタは人気でありますな(^^)
ところでATRA(防衛装備庁)からプロモーションビデオが公開されています。その中に開発中の新SSMの映像もありました。
ATLA R&D Projects Progress in FY2022(防衛装備庁の研究開発事業)
映像は陸海空のプラットフォームから発射された新SSMが回避機動をしながら目標へ命中する映像となっています。以前は、研究のみで開発へは移行しないとか囁かれていましたから、社運を賭けていると言われている某社さんにとっては喜ばしいことじゃないんでしょうか。
以前公開されていた画像とは随分外観が異なることと、相手の近接防御火器を避けるために回避行動を取るのが目を引きます。
ただ、従来のSSMが目標手前で機動しないのかと言えばそんなこともなく、例えば88式地対艦誘導弾(SSM-1)の制式要綱にはこんな文言が出てきます。
引用元: 制式要綱 88式地対艦誘導弾(B)
この表の中に「揺動開始距離」という文言が確認できます。世間一般に揺動とは、ゆれ動くこと 又はゆり動かすことを意味すると思いますので、SSM-1はこのような機動を事前に設定できることになります。
88式地対艦誘導弾(SSM-1)試験映像
こちらの映像の0:29辺りにミサイルが変針する映像が確認できます。これが揺動なのか、ウェイポイント通過後の変針なのかは良く分かりませんが、恐らくこんな感じなのでしょう。
(それにしても懐かしい映像。ミサイルが掠ったブイ型標的のポールは暫く立川で野ざらしになってました。当時はレーダーリフレクターではなく、ルネベルグレンズを使っていたのですね。)
まぁ実物でもなくCGで判断するのもなんですけど、この新SSMの映像で関心させられることがあります。それはそれぞれ陸海空の別々のプラットフォームから殆ど同時に発射されたミサイルが、狭い海域にあるそれぞれ別々の目標へ命中していることです。ご存じの通りミサイルは直近の目標か、最もシグネチャが大きな目標へと向かいます。
一度に多数発射されるSSM-1では確率論を応用した精緻なアルゴリズムを用いてミサイルが同じ目標へ集中するのを防いでいると伝えられますが、新SSMではどの様な方法を用いてるのでしょうか。恐らくですが、ミサイル間通信能力を持っているんじゃないかと推察します。
また、映像中の回避行動は単なる機動ではなく、相手の防御火器を避けるように機動しているように見えることから、ミサイル側で脅威を認識して最適な回避機動をするようになっていると考えられます。となると、ミサイル側のセンサーでどのような防御火器を認識して判断しているのでしょう。短距離弾道弾の例ですが、最近のミサイルには相手を欺瞞するため、デコイを搭載したものすらあります。
エンジンの試作が始まっていると映像の中で述べられていますが、これは開発中の小型ターボファンエンジンKJ300のことでしょう。原型であるKJ14は標的機である空対空用小型標的J/AQM-2に使われていますが、元々はMPMS(ATM-4)のジェットエンジン化を目論んで開発されたエンジンです。むしろ、J/AQM-2はこのエンジンの有効活用の為に世に出たものといえます。ターボファン化されたということは、それなりの長射程が期待できます。
新SSMは目標観測弾を始めとして、様々な派生型が構想されているようですから期待したいですね。
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巡航ミサイルにも使えるようなジェットエンジンをATMに積もうとしてたのか…
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