昨日のブログでは、前夜に脱走したシロジローの二匹の猫兄弟が、坂の下から聞こえる大きなキツネの鳴き声の方向をガン見していたところまで書いた。その時何度もサッシを開けたり閉めたりしたので、その夜は先手を打って蚊取り線香を炊いた。蚊取り線香を炊いたので、その夜は網戸にはせず、サッシを閉じてその夜は寝た。特に夜中に猫らの声は聞こえず朝まで寝られた。
翌朝5時、目が覚めるとすぐに縁側のカーテンを引くと、外にシロジローの兄弟がいて、サッシを開けると次々中へと入って来た。この一件で初めて分かったのだが、うちの猫らは脱走すると、茶の間や縁側と座敷下の縁の下に寝ているようだ。ここならもし庭を外敵の野生動物が通過したとしても、縁の下に隠れていれば、ほぼ辺りを城のように板塀に守られて安心だ。
しかも、縁の下に寝ていれば、いざとなれば、すぐ上で寝ている「用心棒」が気づいてくれるだろう、という算段が働いている。今まで木小屋の中などで気楽に寝ているのかと思っていたけれど、「灯台下暗し」で、まさか家の下で寝ていたとは気づかなかった。なかなかの知恵者で可愛い奴らだ。
朝6時、猫トイレの掃除で庭へ出てみると、茶の間の前、一枚だけ縁の下へ入れる板が外れているのだが、その前に青々と長さが揃った、きれいに並んだ猫草が吐かれてあった。きっと猫草好きのシロタンが食べたばかりの庭の猫草に違いなかった。夏の夜の脱走で心配なのが、猫らが蚊に刺されないかということだ。体はほぼ毛に覆われているので安心だ。
心配なのは猫の毛に覆われてない部分で、鼻先なら猫も気づくだろうし舌がペロリと届きそうだが、毛の薄い耳は蚊に刺されやすそうだ。ところが、猫の耳はうまくできているもので、ちょっとした物が耳に接しただけで、猫は自分の耳をパタパタさせる。これはもしかして、猫が進化の過程で得られた「蚊対策」なのではないのか。猫は熟睡していたとしても、耳に何かが接すると耳を無意識にパタパタさせて蚊を追い払うのだと思われる。
残る猫が蚊に狙われそうな毛の無い部分は足の肉球だろう。多分、猫らは夜外で寝る時は、呑気に横になって寝てないはずで、猫らが得意技の、あの前足を器用に折り畳んで座る「香箱座り」で寝ているはずだ。これなら毛の無い肉球をちゃんと隠せるので、これで寝てるはず。いざという時もすぐに走り出せる。香箱座りなら、後ろ足の肉球も地面に接地しており、蚊に刺される心配がない。もしこの自説が本当だとすると、猫というのは中々の頭脳的な生き物である。
その朝8時、またしても何があったか、またあのキツネがこのムーミン谷に響き渡る大声で二回も鳴いた。とても蛍ちゃんが得意な「ルールールールー」で、どうにかなりそうな、ワシの手に負える相手とは到底思えなかった。
猫日記より(2021.8.28)
スーパーで買ってきた、シシャモより大きくて安いイワシを焼いてみたが、骨がしっかりしていて、とても丸ごと食えないと思い、頭を切って猫らにあげた途端、またしてもシロタンが「ウ〜」と野生に戻って唸って食べていた。他二匹は静か。