2020年08月04日
【熾烈】野菜のマーケティングと生存戦略
最近ブロッコリーを食べたのはいつですかと聞かれれば、多くの人が1カ月以内に食べましたと答えるのではないでしょうか。では、最近カリフラワーを食べたのはいつですかと聞かれると、いかがでしょうか。いつ食べたか定かではないという人が少なくないかもしれません。ブロッコリーとカリフラワーは、どちらも地中海の原産で、キャベツの仲間です。花のつぼみを食べることも共通しています。
ところが、人気の高いのがどちらかといえば、圧倒的にブロッコリーが優勢です。40年以上前はカリフラワーの方がポピュラーでしたが、いまやその形勢は逆転しています。年間の出荷量は、ブロッコリーがカリフラワーと比べて断然多くなっています。
カリフラワーがブロッコリーに敗北を喫したのは、その色が要因のようです。1980年代からの健康ブームで、緑黄色野菜を食べましょうということが盛んにいわれるようになりました。そういわれるたびに白いカリフラワーは敬遠され、緑色のブロッコリーが売り上げを伸ばしていきました。カリフラワーは、色が白い野菜であっても、ビタミンCはオレンジ以上、カリウムも豊富に含んでいます。しかし、消費者の健康志向の前に、白色のカリフラワーは白旗をあげざるを得なかったようです。
沖縄を舞台としたNHK朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」をきっかけにゴーヤは全国区となりました。ゴーヤは本土ではニガウリと呼ばれている野菜の沖縄での呼び名です。2001年の東京の大手卸売業者が扱ったゴーヤの量は、テレビの影響もあり前年の1.7倍となりました。スーパーのお惣菜売り場にもゴーヤチャンプルやゴーヤのサラダが目立つようになり、夏野菜の定番の地位を確立しています。ゴーヤといえば沖縄のイメージが強いですが、首都圏や大阪で食べているゴーヤの半分は沖縄産ではなく、九州産となります。
もちろん、ゴーヤの最大の産地は沖縄ですが、県外への出荷はそれほど多くありません。しかも、沖縄産の出荷のピークは6月で、それ以降は九州産が中心となります。
沖縄のゴーヤは、やや太めで苦みが少ないのに対し、九州産のゴーヤは、細長くて苦みが強い傾向です。形や味に違いはありますが、たいていの人は気づきません。
いつのまにか、ホウレンソウの葉っぱの形状が変わっています。といってもホウレンソウのおひたしくらいしか見ない人には、ぴんとこないかもしれません。昔のホウレンソウの葉には、たくさんの切れ込みがあってギザギザになっていました。今のホウレンソウの葉には、浅い切れ込みが2〜3あるだけです。
これは40年以上前に日本で栽培されるホウレンソウの品種が変わったからです。もともとホウレンソウの原産地は、ロシアのコーカサス地方で、そこから広がりました。日本には江戸時代初期に中国から伝わり、以来和種としてホウレンソウが栽培されてきました。ところが1970年代から、ホウレンソウの種類が、従来の和種から和種と西洋種をかけあわせたものへと切り替わりはじめました。西洋種は、原産地のロシアからヨーロッパへと伝わり、その葉の形は切れ込みのない丸い葉です。つまり、現在のホウレンソウの葉は、ギザギザの和種と丸い葉の西洋種の中間の形をしているのです。
ちなみに和種と西洋種が掛け合わされたのは、西洋種がホウレンソウの大敵である「べと病」に強い遺伝子をもっていたからです。
また、収穫期は秋から早春の和種と春から夏の西洋種を掛け合わせたことで、ホウレンソウは1年中栽培することが可能になりました。
ブロッコリーとカリフラワーは、どちらも地中海の原産で、キャベツの仲間です。花のつぼみを食べることも共通しています。カリフラワーがブロッコリーに敗北を喫したのは、その色が要因です。緑黄色野菜を食べましょうということが盛んにいわれるようになり、そのたびに白いカリフラワーは敬遠され、緑色のブロッコリーが売り上げを伸ばしていきました。
ゴーヤはテレビの影響もあり、スーパーのお惣菜売り場にもゴーヤチャンプルやゴーヤのサラダが目立つようになり、夏野菜の定番の地位を確立しています。
ホウレンソウはいつのまにか形状が変わりました。現在のホウレンソウの葉は、ギザギザの和種と丸い葉の西洋種の中間の形をしています。和種と西洋種を掛け合わせることで、ホウレンソウの大敵であるべと病に強い遺伝子を獲得しています。
野菜も情報に左右されることで、野菜同士の戦いが繰り広げられたり、知名度が向上するころで、人気が爆発したりします。また、掛け合わせにより病気に強い遺伝子を獲得し、進化を遂げています。
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10090151
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。