2020年08月03日
【こだわり】ラーメン店の自家製麺と自家製スープ
行列のできるラーメン店は、麺にもこだわります。信頼できる製麺所から仕入れるところもあれば、手打ちのところもあります。うまい麺づくりは、まず小麦粉選びから始まります。腕のいいラーメン職人ほど国産小麦にこだわっていると思われがちですが、実はそうではありません。こだわり派ほど輸入小麦を使っています。ひと口に小麦粉といっても、食パン用の強力粉からお菓子やてんぷらに使う薄力粉まで、さまざまな種類があります。そのうちラーメンに向いているのは、グルテンの量が11%以上の準強力粉です。グルテンの量が11%より少ないと、コシが弱く弾力に欠けた麺になってしまいます。
また、小麦粉は含まれる灰分の量によって3つの等級に分かれ、ラーメン用は最も灰分の少ない1等級が最適とされています。つまり、ラーメンに向くのは、グルテン量が多く、灰分の少ない小麦粉ということになります。ところが、国産の小麦粉はグルテンの量が少ない種類です。うどんやてんぷらに使われる小麦粉が中心です。そのため、ラーメンにはオーストラリア産のスタンダードホワイトやアメリカ産のウェスタンホワイト、ハードレッドウィンターなどの種類が使われています。
牛丼1杯の値段は大きく変わらず、そばやカツ丼、天丼も同様の傾向です。ところが、値上がりを続けているのが、ラーメンです。いまや1杯800円は当たり前で、チャーシュー麺などは1,000円を越えることもしばしばです。
かつては気軽に食べられる庶民の味方だったラーメンが、相対的に高級化しているのは、こだわりのラーメン職人が増えているからです。いまでもセントラルキッチンで製造したものを誰できるようにマニュアル化し、ラーメンを手軽に提供してくれるところもあります。しかし、こだわりのラーメン職人は、例えば化学調味料を一切使わず、天然の原材料を煮込むことでうま味を引き出すため、どうしても1杯あたりの値段は高くなってしまいます。ご存知のようにラーメンのスープは、鶏ガラや豚骨、魚介類、野菜など複数の原材料からとります。しかも、こだわり派のラーメン職人は、そのひとつひとつの原材料を吟味するため、どうしても原材料費がかさんでしまいます。
また、納得のいくスープをつくるためには、寝る時間も惜しんでスープの番をしなければなりません。手間をかければかけるほどコストがかかり、ラーメンの値段はますます高くなります。もっともラーメン好きの舌も肥えてきたので、化学調味料のみに頼った単調なスープでは、客足が遠のきつぶれてしまうところも多いです。ラーメン店が生き残るためには、味にこだわるしかないけれども、こだわればこだわるほど1杯あたりの値段は高くなる宿命にあるのです。
ラーメン店でもっとも大変な仕事は、スープの仕込みです。ラーメン職人のこだわりはこのスープの仕込みにこそ発揮されます。もっとも多くのラーメン店では、専門業者から濃縮スープを購入しています。それをのばしたり、ブレンドしたり、店舗で炊きだしたスープの調整用として使用しています。一方、行列のできるような名店では、基本的にオリジナルな味にとことんこだわって、自家製スープをつくっています。
この自家製スープがつくってみると意外にコストがかかります。鶏ガラや豚骨、魚介類など原材料にこだわれば、それだけコストが上がるのは当然だが、それ以外にもかなりの出費を覚悟しなければなりません。とくに鶏ガラは、血管や内臓の取り残しがあると、てきめんにスープが濁ってしまいます。そのため、水を出しっぱなしにして、丁寧に洗い落とす必要があります。たいていはその店で修業中の若い人の仕事ですが、大量の鶏ガラを洗い終えるのに毎日数時間かかります。水道代もばかになりません。
さらにスープを取り終えた鶏ガラや豚骨は、その後大量のゴミとなります。一般用のゴミ置場に出すわけにもいかず、コストをかけて業者に処分してもらう必要があり、こちらも月数万円かかります。そのほかに廃水や悪臭を処理する費用を合わせると月数十万円のコストとなります。そのため、最初は自家製スープづくりに燃えていたものの採算が合わず、泣く泣く業務用濃縮スープを使用するラーメン店もあります。
食品メーカーの販売するこの業務用濃縮スープは、工場で数トンから数十トン単位で炊きだしています。もちろん原材料や炊き出し温度、時間などの管理はきちんとなされています。炊きだしたのち、ろ過や濃縮工程を経て、小分け包装し、冷却の上、倉庫に保管されます。大量に製造するため、コストを抑えることが可能となります。
ラーメンに向いているのは、グルテンの量が11%以上の準強力粉です。グルテンの量が11%より少ないと、コシが弱く弾力に欠けた麺になってしまいます。国産の小麦粉はグルテンの量が少ない種類のため、ラーメンには輸入小麦が使われています。
こだわりのラーメン職人は、鶏ガラや豚骨、魚介類、野菜など複数の原材料からとります。しかも、そのひとつひとつの原材料を吟味するため、どうしても原材料費がかさんでしまい1杯の値段は高くなってしまいます。スープをとり終えた鶏ガラや豚骨の処理にもかなりのコストが発生します。このコストを抑えるために食品メーカーは業務用濃縮スープを販売しています。
食品メーカーの販売する業務用濃縮スープは、トン単位で炊きだしています。原材料や炊き出し温度、時間などの管理はきちんとなされており、炊きだした香りやスープの味は名店の自家製スープに引けをとらないレベルです。ただし、そのあとのろ過や濃縮、保存の過程で、風味は残念ながら徐々に失われてしまいます。
※お試しとその行動から得られる納得感
最近は味や香り、食感を実感してもらうために、低額でお試しができることが増えています。大きな負担なく気軽に試すことができるので、気になるときは体験してみることもありです。体験して納得できれば、リピートや友人などにも紹介することで喜ばれます。まずは最初の行動です。行動しなければ、何も始まりません。行動することが何よりも一番の近道です。もしも、味や香り、食感に十分満足できなければ、その知見をもとに納得して次回は別のものを試すことができます。
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