2020年07月20日
【社会の課題解決】可能性を秘めたゲノム編集食品
野生の植物を栽培できるようにしたり、さまざまな目的に合わせた品種を作ったりする品種改良では、DNAの中でも 遺伝情報を伝える領域となる遺伝子の変化によって性質が変化することを利用しています。生物の体の中では、DNAが切れることがありますが、それを元通りに直す仕組みを持っています。しかしながら、たまに直し方を誤ることがあります。これが突然変異です。
ゲノムとは、DNAのすべての遺伝情報のことです。ゲノム編集技術は、生物が持つゲノムの中の特定のDNA配列を意図的に切断することです。生物は切れたDNAを直す仕組みを持っていますが、誤ることもあります。ゲノム編集技術で特定の場所を切れば、そこに突然変異を起こすことができます。ゲノム中のどこに突然変異を起こさせるかをあらかじめ決めることができるのが、自然に起きる突然変異やこれまでの人為的な突然変異とは異なる大きなメリットです。
ゲノム編集を行うためには、ゲノム中の特定の場所を切る酵素が必要です。そのために開発されたのが、部位特異的ヌクレアーゼというDNA切断酵素です。CRISPR-Cas9などの酵素があり、DNAの4種類の塩基と呼ばれるアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトニン(C)の並び方を目印にして結合し、そこでDNAを切断します。ゲノム中の1カ所を指定することも可能となります。
もっとも重大な課題は、世界的な人口増加と地球温暖化による世界的な気候変動による農耕地の乾燥化、塩害の拡大、熱帯や亜熱帯地域の病虫害の北上に起因する食糧不足です。国内に目を向けると、高齢化による農業の衰退です。これらの課題を解決するため、さまざまな要望に合わせた農作物や食品を開発する必要性が生じています。
これらの課題が急速に進んでいるため、農作物の品種改良も、今まで以上にスピードアップが求められます。この課題の解決に向け期待されているのが、ゲノム編集技術です。ゲノム編集技術は、植物がもともと有している、収量や環境耐性、栄養成分、食味などに関わる遺伝子をピンポイントで狙って変化させることで、品種改良を大幅にスピードアップできる画期的な技術となります。従来では、品種改良にて必要とされる交配を何度も繰り返す手間とコストを大幅に削減でき、交配に長い年月を必要としていた作物は、これまでになかった新しい品種を作れるようになると期待されています。
ゲノム編集技術は、医療分野や食品分野でも注目が集まっています。医療分野では、遺伝子の異常が原因となっている遺伝性疾患の根本治療技術の開発、医薬品の生産を効率良く行うための応用が注目されています。食品分野では、健康寿命を伸ばすための機能性食品や、アレルギーの原因物質を減らした食品の開発が期待されています。 このように、ゲノム編集技術は、生活をとりまくさまざまな社会課題を解決する画期的な技術として、多大な期待を寄せられています。
ゲノム編集技術は、自然界でも起こる突然変異であり、意図的にゲノム上の特定の位置に突然変異を起こし、遺伝子の配列を目的とした並びに変えることができます。つまり、ゲノム編集は既にある遺伝子を変えることで目的の形質を得る技術です。目的とする性質の遺伝子だけを編集、すなわち遺伝子を切ったり繋げたりすることができるため、優れた特徴を持つ品種に新たな性質をピンポイントで追加することが可能です。
遺伝子組換えは、ある生物から目的とする遺伝子を取り出し、別の生物のゲノムに導入することで、その生物に新しい特性を付与することが目的です。つまり、遺伝子組換えは新しい遺伝子を足すことで目的の形質を得る技術です。交配不可能な種の遺伝子はもちろんのこと、植物に微生物や動物の遺伝子を導入することができます。自然界で発生しない現象を実現できるのが、遺伝子組み換え技術です。
ゲノム編集技術は、その生物がもともと持っていた遺伝子を変化させる技術で、自然界でも生じうる変化です。そのため、ゲノム編集技術を活用して開発される農林水産物や食品の多くは、これまで食べてきたものと同じようなものと予想されます。
さらに新しい機能性成分を増加させるなど、これまでになかった食品が開発される可能性があります。この場合は、厚生労働省が定めるゲノム編集技術応用食品等の食品衛生上の方針と取扱要領に従って、開発者等から届け出られる情報に基づき、必要に応じて安全性審査などが行われることとなります。その結果、安全性が確認されたものだけが流通することとなります。
ゲノム編集技術を応用して作られた食品で、外来遺伝子が残っておらず、自然界で起こり得るような変異によるものは、自然に起こる突然変異や従来の品種改良で生じる遺伝子の変化の範囲内であるため、食品としての安全性は従来の食品と同等と考えられています。従って、そのような食品は食品衛生法による規制の対象とはならず、遺伝子組換え食品に課されているような安全性審査は不要とされています。
ただし、開発者などは必要な情報を厚生労働省へ届け出ることが強く求められています。届出をする情報としては、どのような食品をどのように開発したか、外来遺伝子が残っていないか、新たなアレルゲン物質の産生や毒性を持った物質の増加が起きていないか、特定の成分の増加もしくは低減を行った場合には、関連する成分がどのように変化しているかといった食品安全に関する情報も含まれます。厚生労働省は、場合に応じて、食品安全委員会への問い合わせも行いながら検討を進め、安全性について判断することになります。安全性が確認された食品が届出されて、受理された後にその食品が流通することになります。
ゲノム編集の際、ごくまれに狙った場所以外で意図しない変異が生じることをオフターゲット変異と言います。オフターゲット変異が起こりにくいようにしたり、起きていない個体を選んだり、交配などの過程で取り除かれたりすることにより、品種にオフターゲット変異が残る可能性は極めて低いと考えられます。また、万が一残っても、同じような変異は自然界や従来の品種改良の過程でも起こっており、食品安全上のリスクは従来の品種や食品と変わらないと考えられています。
ゲノムとは、DNAのすべての遺伝情報のことです。ゲノム編集技術は、生物が持つゲノムの中の特定のDNA配列を意図的に切断することです。ゲノム編集技術で特定の場所を切れば、そこに突然変異を起こすことができます。ゲノム中のどこに突然変異を起こさせるかをあらかじめ決めることができるのが、自然に起きる突然変異やこれまでの人為的な突然変異とは異なる大きなメリットです。このメリットが世界的な人口増加や地球温暖化に起因する食糧不足を解決する可能性があります。
ゲノム編集技術は、自然界でも起こる突然変異であり、既にある遺伝子を変えることで目的の形質を得る技術です。目的とする性質の遺伝子だけを編集、すなわち遺伝子を切ったり繋げたりすることができるため、優れた特徴を持つ品種に新たな性質をピンポイントで追加することが可能です。そのため、ゲノム編集技術を活用して開発される農林水産物や食品の多くは、これまで食べてきたものと同じようなものと予想されます。さらに新しい機能性成分を増加させるなど、これまでになかった食品が開発される可能性があります。
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