2020年07月21日
【原則禁止】残留農薬に関するポジティブリスト制度
ポジティブリスト制度は、すべての農薬など(農薬、飼料添加物、動物用医薬品)に残留基準を設定し、規準を超えて農薬などが残留する食品中の販売を原則禁止する制度です。
残留農薬の規制の方法は、ポジティブリスト制度とネガティブリスト制度という2つの考え方があります。ポジティブリスト制度は、原則すべてを禁止し、残留を認めるもののみをリスト化する方式です。ネガティブリスト制度は、原則として規制がなく、規制するものをリスト化し、リストに記載された農薬のみ残留基準を定めています。
日本の残留農薬の規制は、残留基準が設定された農薬についてのみが該当し、その基準をこえた食品の販売を禁止するというネガティブリスト制度に則した方法でした。しかし、この方式では、残留基準が設定されていない農薬に残留があっても規制することができず、輸入農産物が増加する中で問題となっていました。そのために2003年の食品衛生法改正によりポジティブリスト制度の導入が決定し、2006年5月から施行されました。
ポジティブリスト制度施行以前では、食品衛生法で残留基準が設定されている農薬などは283品目でしたが、科学的な評価により設定される国際基準などを参考に、国際的に広く使用されている農薬などに新たに残留基準を設定し、これまでに残留基準のあったものも含め、799品目に残留基準が設定されました。
ポジティブリスト制度では、すべての農薬などを対象としており、その対象は3つのカテゴリーに分かれます。
食品の成分にかかわる残留基準が定められています。基準以内での食品への残留は認められていますが、残留基準をこえて農薬などが残留する食品は、販売などが禁止されます。ポジティブリスト制度の導入に当たり、食品衛生法に基づき、残留基準が設定されましたが、導入時に残留基準が設定されていない農薬は、国際基準などを参考にして基準が設定されました。
食品の成分にかかわる残留基準が定められていないものです。人の健康を損なうおそれのない一定量として、0.01ppm(100万分の1)が設定されています。日本国内にて農薬登録がなく、国際基準、つまり国際的に食品の規格の策定を行うコーデックス委員会による基準や外国基準がない農薬が該当します。一定量をこえて農薬などが残留する食品の販売などは、禁止されます。登録されていない農薬は、残留基準が設定されていないため、この一定量で規制することができます。
食品衛生法の規定により、人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして、厚生労働大臣が定める物質で、ポジティブリスト制度対象外の物質です。現在、下記に示す66物質が指定されています。
亜鉛、アザジラクチン(インドセンダンという植物の種子に存在し、数多くの害虫に対して摂食阻害効果を示す成分)、アスコルビン酸(ビタミンC)、アスタキサンチン、アスパラギン、β-アポ-8-カロチン酸エチルエステル(カロテノイド)、アラニン、アリシン、アルギニン、アンモニウム、硫黄、イノシトール、塩素、オレイン酸、カリウム、カルシウム、カルシフェロール(ビタミンD)、β-カロテン、クエン酸、グリシン、グルタミン、クロレラ抽出物、ケイ素、ケイソウ土、ケイ皮アルデヒド、コバラミン、コリン、シイタケ菌糸体抽出物、重曹、酒石酸、セリン、セレン、ソルビン酸、チアミン(ビタミンB1)、チロシン、鉄、銅、トウガラシ色素、トコフェロール(ビタミンE)、ナイアシン、ニームオイル(ニームの果物と種子から搾り取った植物油で病害虫を防ぐ)、乳酸、尿素、パラフィン、バリウム、バリン、パントテン酸、ビオチン、ヒスチジン、ヒドロキシプロピルデンプン(加工でんぷん)、ピリドキシン(ビタミンB6)、プロピレングリコール、マグネシウム、マシン油(越冬害虫防除)、マリーゴールド色素、ミネラルオイル、メチオニン、メナジオン、葉酸、ヨウ素、リボフラビン(ビタミンB2)、レシチン、レチノール(ビタミンA)、ロイシン、ワックス、タウリン
ポジティブリスト制度は、すべての農薬など(農薬、飼料添加物、動物用医薬品)に残留基準を設定し、規準を超えて農薬などが残留する食品中の販売を原則禁止する制度です。
ポジティブリスト制度では、農薬などは「残留基準が定められているもの」、「残留基準が定められておらず、人の健康を損なうおそれのない一定量として、0.01ppmが設定されているもの」、「人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして、基準を設定しないもの」の3つのカテゴリーに分けられます。
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