2020年09月03日
【たまには食べたい】高級食材の現状
秋の味覚マツタケは、国際的にもマツタケと呼ばれています。学名もトリコローマ・マツタケです。
世界でもマツタケを好んで食べるのは、日本人ぐらいですが、いまや国産品のシェアはわずかに5%程度です。広島県や長野県、岡山県、岩手県、京都府などで、細々と収穫されているにすぎません。山仕事をする人が少なくなって山が荒れ、また異常気象が増えている日本では、繊細なマツタケは年々育ちにくくなっているのです。
そこで残りの95%のマツタケは、世界各国から輸入されています。韓国や中国といった古株のほかにも、アメリカやカナダ、ロシア、ニュージーランド、さらにメキシコ、トルコ、モロッコ、ブータンなどからも輸入されています。
マツタケの特長は香りにあります。その香りは、収穫してからどれだけ早く調理されるかによって決まります。なので、輸送に時間のかかる輸入物は、同じ形、大きさでも、香りが乏しい分、国内産より割安になります。国内産の価格を100とすると韓国産は50、中国産は40、カナダ産などは20以下といわれています。日本との距離と価格が、反比例するわけです。
フグといえば下関です。その下関フグのブランドが確立したきっかけは、長州出身の初代総理大臣伊藤博文の下関訪問だったそうです。1888年に下関を訪れた伊藤博文が、食べたフグのあまりの美味しさに豊臣秀吉以来のフグ食の禁止令を解きました。それをきっかけに下関のフグが有名になりました。
下関のはえどまり市場の周辺には、現在数十社は入居するフグの加工団地があります。セリ落とされたばかりのフグが次々とさばかれ、肝など毒のある部位が取り除かれていきます。フグの処理施設を持つ市場は全国でも少なく、フグを食用とするには特別な技術が必要なことから、全国のフグが下関に集まってきました。こうして全国のフグの8割が下関に集まるようになり、フグの値段は下関が決めると長年いわれてきました。そして、フグが高級魚化するにつれて、下関のフグはブランド化されてきました。
ところが、この下関ブランドの威光が揺らいでいます。下関産と名乗らないフグが、市場に出回るようになりました。1980年頃は、下関産の天然トラフグは、20匹前後で100万円の値がつくこともありました。それが今では10万円前後にしかなりません。その大きな理由は、全国に出回るフグの多くが養殖ものになったことです。品質も安定し、下関の独占的な地位がくずれてきました。さらに、地球温暖化の影響で日本近海の海水温度が上昇し、いまでは伊勢湾や遠州灘、宮城沖あたりでも、フグが水揚げされるようになったことも、大きな理由です。
一時期、三重や静岡で獲れたフグは、いったん下関へ運ばれ、下関産として出荷されたりしましたが、産地から直接出荷されるようになりました。フグの卸業者が、必ずしも下関ブランドにこだわらなくなり、直接安い値段で取引するようになりました。
また、産地表示が義務付けられたことも大きいです。これまで、黄海や東シナ海で獲れた天然もののフグは、下関市場に水揚げされ、下関産として売られてきました。しかし、今では東シナ海産と表示しなければならず、下関ブランドが使えなくなりました。
なお、現在では、下関市内にも養殖ものを使った安いフグ料理店が増えつつあります。
世界三大珍味に数えられるキャビアは、ご存知のようにチョウザメの卵を塩漬けにしたものです。舌ざわりはどこまでもやわらかく、とろけるような食感があります。
しかし、意外な場所で出会ったキャビアは、膜がかたく、プチッと卵を噛むような食感があるかもしれません。それは世の中にチョウザメ以外の魚の卵でつくった模造品が大量に出回っているからです。模造品には、タラやニシン、トビウオなどの卵が使われています。チョウザメのキャビアと同じように塩漬けにし、その後で調味液に浸漬したり、着色されて市場に出回ります。欧米では、これら模造品は本物と厳密に区別され、販売されます。値段は本物のキャビアと1ケタ、場合によっては2ケタ異なります。
本物と模造品の見分け方、まず色をよく見ることです。模造品は、着色されて黒光りしていますが、本物のキャビアはくすんだ灰色です。
世界でもマツタケを好んで食べるのは、日本人ぐらいですが、いまや国産品のシェアはわずかに5%程度です。山仕事をする人が少なくなって山が荒れ、また異常気象が増えている日本では、繊細なマツタケは年々育ちにくくなっているのです。そこで残りの95%のマツタケは、世界各国から輸入されています。マツタケの特長は香りにあります。その香りは、収穫してからどれだけ早く調理されるかによって決まります。
フグの処理施設を持つ市場は全国でも少なく、フグを食用とするには特別な技術が必要なことから、全国のフグが下関に集まってきました。こうして全国のフグの8割が下関に集まるようになり、フグの値段は下関が決めると長年いわれてきました。そして、フグが高級魚化するにつれて、下関のフグはブランド化されてきました。ところが、この下関ブランドの威光が揺らいでいます。その大きな理由は、全国に出回るフグの多くが養殖ものになったこと、地球温暖化の影響で日本近海の海水温度が上昇し、伊勢湾や遠州灘、宮城沖あたりでも、フグが水揚げされるようになったことです。
世界三大珍味に数えられるキャビアは、チョウザメの卵を塩漬けにしたもので、舌ざわりはどこまでもやわらかく、とろけるような食感があります。しかし、世の中にチョウザメ以外の魚の卵でつくった模造品が大量に出回っています。模造品には、タラやニシン、トビウオなどの卵が使われています。模造品は、着色されて黒光りしていますが、本物のキャビアはくすんだ灰色です。
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