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はぴせ
元会社員の後期高齡者。自称平均的な日本人。札幌市出身、東京都在住。「心と体の健康維持・増進」を願い、求める極意は「自然体」で「頑張りすぎない程度に頑張って」日々を暮らすこと。
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2015年06月16日
A450・自分の被介護を考える〜子・孫に過大な負担をかけないために(2)
自分が介護される状態になった時、子や孫に過大な負担をかけないようにする為、この先どの様に心がけ、どの様なことをしておく必要があるのか?

所謂介護期間はゼロに近く、周囲に迷惑をかけないことが理想ではありますが、自分でコントロール出来ないケースが多々想定されて、あれこれ考えはしますがなかなか収斂しそうにありません。

この度、高齢者の終末期医療問題に取組み、活動されているドクター夫妻(*)のブログに出合いました。
要点を引用させていただきながら、頭を整理していきたいと思います。

(*)宮本顕二(北海道中央労災病院長・「高齢者の終末期医療を考える会」事務局)・礼子(桜台明日佳病院認知症総合支援センター長・「高齢者の終末期医療を考える会」代表)
著書『欧米に寝たきり老人はいない―自分で決める人生最後の医療』(中央公論新社、税抜き1400円)平成27年6月新刊

2、「寝たきり老人」〜欧米ではあまり見られない? 引用文;斜字体

ドクター夫妻「日本では高齢者が終末期に食べられなくなると、点滴や経管栄養(鼻チューブ、胃ろう)で水分と栄養が補給されます。本人は何もわからないだけでなく、とても苦しいたんの吸引をされ、床ずれもできます。栄養の管を抜かないように手が縛られることもあります。
人生の終わりがこれでよいのだろうかとブログで発信すると、多くの読者から体験に基づいた切実な意見が寄せられました。これを本にして多くの人に紹介し、高齢者の延命問題を一緒に考えたいと思いました」


人が老齢化し、病気など他の要因も加わって衰弱して自分で食事を摂れなくなったなら、本能的に己の運命を悟るのだろうと思っています。

しかし、患者を慕う人々は「何時までも長生きを!」と願い、医療関係者は倫理観とか作られた社会通念などで、何かをしなければ!と思い、点滴やら人工的な栄養補給など延命措置を行ないます。

医療者は「処置した」という実績を残し、身内の者は「処置をした」ということである程度、とりあえず安堵します。

点滴や経管栄養(鼻チューブ、胃ろう)などの是非の評価は、老衰なのか、ガンなのか、その他の病気なのかなど時と場合の問題はあるでしょうが、
誰のための処置なのか!?の観点に立つと、
処置される当人が望むことなのか?
苦しみが増すばかりではないのか?
親、配偶者或は祖父母を介護し、付き添っている人の多くはこの思いで葛藤し続けます。

「延命措置は望まない!」
私も私の家族も同じ思いでいます。
私の場合は「延命措置は行わないこと」を書き置こうと思っています。
同じ考えの人が最近は随分増えている様に感じます。

「終末期の高齢者に延命治療が普通に行われる背景に、どんな状態でも延命すべきと思い込んでいる医師が多数いる」

という実態があるとのことですが、「終末期の高齢者医療」について、現在のような「延命治療」ではなく、当人の命運のままに、苦しまずに、「自然のままに生きる」手助けをする医療(緩和医療という言葉があるそうですが)に変わっていってほしいと思うのです。

病院が延命治療に拘るのは、遺族の一部からの賠償請求に備えてのこともある様で、医師だけでは解決できない要因が多分にあるとも言われます。

それにしても、日本とスエーデン、オーストラリアの医師の感覚があまりにも違うことに強い驚きを覚えます。(以下の記事をご参照)

「(日本では)医学生時代は終末期医療の教育を受けませんでした。医療現場では終末期医療について、先輩や同僚と話すことはありません。そのため、・・・点滴や経管栄養を減らすとか、行わないとかは考えもしませんでした。
むしろ、脱水状態や低栄養にしてはいけないと思い、終末期の高齢者だからといって、医療の内容を変えることはしませんでした」
・・・
「スウェーデンでは(2007年海外視察)・・・食べなくなった高齢者に点滴も経管栄養もしないで、食べるだけ、飲めるだけで看取みとります。(これは衝撃的でした)
・・・患者は苦しまない。かえって楽に死ねるとわかり、夫と私の常識はひっくり返ったのです。
・・・
日本では、高齢患者が・・・”誤嚥ごえん性肺炎”で亡くなることが多く、・・誤嚥性肺炎対策が高齢者医療の重要なテーマです。
しかし、この誤嚥性肺炎について、スウェーデンで尋ねたら、”何それ?”ときょとんとされたのが衝撃でした。スウェーデンでは、誤嚥性肺炎を繰り返すような悪い状態になる前に亡くなっているので、あまり問題にならないのです。延命処置で病気を作って、かえって患者を苦しめている日本の現状を強く認識しました。」


私は昨年97才の母を看取りました。寝たきりになって8か月を自宅介護しましたが、内科医、看護士さん、介護ヘルパーさんと、何時も、”誤嚥性肺炎を起こさないように”と話し合っていました。如何にスエーデンであっても、医師が知らないとは?! 多分に信じがたい思いです。

「・・・
スウェーデンがあまりにも日本と違うことをしているので、他の国の実態を確かめようとオーストラリに行ったのですが、ここも同じで、・・日本のほうが特殊な国だったのです。

ただ、よく考えてみると、日本も昔はスウェーデンと同じで、食べられなくなった高齢者はリンゴの搾り汁を口に含む程度で、家で穏やかに亡くなっていました。昔の日本の終末期医療は、今のスウェーデンやオーストラリアと同じであったことに気がつきました。
・・・
(他にも)オーストリア、オランダ、スペイン、アメリカと6か国の終末期医療を視察し、・・無意味な延命治療をしないというプラス面・・・、必要な治療が受けられないなどのマイナス面も(冒頭紹介の著書に)書いています。」

「延命処置をしないというと勘違いされるのですが、何もしないわけじゃない。延命処置はしなくても、緩和医療には手を尽くす。延命処置をする時間があったら、緩和医療に時間や人を割こうというのが、海外視察を通じて学んだことです」


紹介文にある様に、日本でも、私が子供の頃の70〜80年前は、リンゴの搾り汁を口に含む程度の、家で穏やかな終末期医療が行われていたように思いだされます。

近年、日本は豊かになり、医療技術の進歩、医療資源が強化されたことが、こと高齢者医療に於いては、病院の経営とか、関連企業・団体の利害とか、処置をしなかったことへの賠償訴訟など様々な人間関係が絡んで、本来患者のためにあるべき医療から大きくかい離してしまっている部分が目立つようになってしまっているのだと理解されます。

「先祖帰り」といいますか、日本にあった昔の姿が、今の世界の多くの国の姿であり、日本は特異な存在になっていることを関係者それぞれが知るよう努力する。という流れが大きくなることを願うのです。

一筋縄にはいかないのでしょうが「日本では緩和医療がおろそかにされている」という事実を我々一般人もよく知ることが大切だと思うのです。何れは自分の問題となることですね。
「転ばぬ先の杖」「備えあれば患いなし」。先人の知恵に学びます。

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