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2022年01月20日

家事按分についてA

昨日に引き続き

今日は家事按分の税法上の取扱いは

どのようなものか?を書きます。

★税法上における定義とは

税法上では、収入に関わる費用であれば

経費として計上すべきであるとされています。

そのため、事業と生活で共用する費用のうち

事業用の費用を合理的に切り離せる場合には

その金額を経費計上することが可能です。

事業所得から経費として扱える部分については

下記のように定義されています。

「収入の総額に対する原価およびその収入を
 得るために直接必要となった費用」
「事業において販売や管理などにかかった費用」

つまり、少しでも事業に直接関わる費用に

ついては、すべて経費として取扱うことができます。

ただし、事業用と生活用の費用を

きちんと区分できる場合のみです。

★家事按分の基準の決め方について
 家事按分の基準を決める時、そこに合理性かつ
 客観性が求められます。
 家事按分について取決めがない分
 自分自身で基準を決めることになりますが
 そこには主観が混じることもあり得ます。

 そこで、家事按分の基準については
 明確にしておき、税務調査の際に調査官に
 具体的に説明できるように準備しなければ
 なりません。
 もし、調査官から家事按分の基準について
 調査官が納得しなかった場合、計上した経費を
 否認され、所得税の追加徴税
 また過少申告加算税が課せられる可能性があります。

★家事按分を計算する上で必要なポイント
 家事按分の計算で必要となるポイントとは
 どのような点でしょう。

・業務に直接関連するか
 このポイントについては、法律上明確な
 線引きがあるわけではありません。
 ただし、過去の判例を見ると、その経費が
 事業活動のどれに費やしたものか
 経費を使用した目的は何か
 経費を費やしたことが事業に有益に
 働いたかといった点を重視されています。

・業務上必要であるか
 例えば、個人事業主が家族を従業員とした例で
 従業員の慰安旅行として家族で旅行に
 行ったとします。
 従業員が家族でない場合は、旅行にかかった
 費用は福利厚生費として考えられますが
 家族で出かけた場合はどうなるかがポイント
 とです。
 本来、福利厚生は従業員のモチベーションを
 上げて離職率を下げる目的がありますが
 上記のケースの過去判例では、この旅行により
 従業員=家族が離職する可能性は低いと
 されました。
 それに伴い、旅行を行わないことで業務に
 支障も出ないと判断され、家族での慰安旅行
 は業務上必要ではないとの判決が下っています。

・業務にかかった費用をきちんと区別できるか
 上記の、従業員=家族での旅行を慰安旅行
 とするかと考えたとき、業務の一環=福利厚生
 となる部分と、家族での団らんとなる部分の
 明確な区別が付きづらいです。
 この点も含めると、旅行にかかった費用を
 必要経費として認められないという判断になります。

★肝心となるのは税務調査が入った時
 家事按分によって、事業にかかる経費を計算し
 確定申告で問題がなかったとしても、その時点
 で経費が認められたことにはなりません。

 日本の税制においては、申告納税制度が
 採用されており、事業主が自ら所得税を
 計算して自己申告をすることが基本です。
 しかし、自己申告した金額が適正であるか
 どうかは、実際に税務調査が入ったときに
 判断されます。
 そのため、確定申告で通ったとしても
 税務調査で否認を受ける可能性が十分にあります。

★税務調査で指摘を受ける例
 税務調査が入ったとき、経費について指摘を
 受けるケースには、以下のようなものが
 考えられます。

・家事按分の割合が実際より多かった場合
 確定申告の際に、家事按分を考慮せずに
 地代家賃や水道光熱費をそのまま経費計上
 するケースがありますが
 もちろんこの計算方法は認められません。

・罰金などを経費計上した場合
 例えば、事業用の車で交通違反をし
 罰金を支払ったとします。この罰金は
 いかなる場合も経費として計上することは
 できません。

・生計を共にする家族や親族が所有する
 物件を事業所として借りている場合
 
 このケースでは、家族・親族間での金銭の
 やりとりである観点から、地代家賃として
 計上することができません。
 ただし、固定資産税などは経費として
 認められます。

★白色申告と青色申告での考え方の違いとは

 家事按分は、確定申告の際に必要ですが
 白色申告と青色申告では考え方に違いが
 あります。
 総じて、青色申告のほうが家事按分の
 許容範囲は広いです。

★白色申告では許容範囲が限定される
 白色申告においては家事按分に制限があり
 基本的には事業に関わる費用の割合が
 5割を超える場合でなければ、家事按分に
 よる経費計上ができないとされています。
 ただし、自宅兼事業所であってそれぞれの
 スペースが完全に仕切られているなど
 明確に区分することが可能なケースでは
 経費計上が認められる場合もあります。

★青色申告ではすべてのケースで
 家事按分が認められる
 
 青色申告では、家事按分の方法で算出した
 経費が、事業に必要かつ合理的・客観的に
 納得できるものであれば、その割合が
 50%に満たなくとも経費計上が可能です。

 加えて、一定条件を満たした個人事業主が
 青色申告を行った場合には、30万円未満の
 備品などについて
 「少額減価償却資産の特例」
 により一括で償却することができます。
 この特例では、備品などの取得価額を
 家事按分する前の金額で一括償却する
 ことができます。

★家事按分で算出した経費の記帳方法について
 勘定科目はどれを選択するか
 
 家事按分を行ったとき、事業用部分は
 経費に応じた勘定科目とし、生活用部分を
 事業主貸とします。

 例えば、自宅兼事業所の家賃について
 事業用が25%、生活用を75%としたとき
 勘定科目は25%分が地代家賃
 75%分は事業主貸です。
 事業主貸は、事業用の資金の中で生活に
 供した費用に充てられる勘定科目で
 家事按分以外にも様々に利用できます。

★家事按分した際の記帳方法とは
 家事按分における記帳には、毎月計算する
 方法と、決算時に1年分をまとめて計算する
 方法があります。
 自宅兼事業所の賃料が月10万円で
 地代家賃25%、事業主貸75%と按分した
 際を例にあげ、それぞれの記帳方法を紹介します。

★毎月家事按分を行う時
 毎月家事按分を行って処理する場合
 借方に地代家賃(10万円の25%=25,000円)と
 事業主貸(10万円の75%=75,000円)を
 記載します。
 貸方には、勘定科目を現預金として
 賃料をまとめた10万円を記載します。

★1年分まとめて家事按分を行う時
 1年分の賃料を決算時にまとめて
 家事按分する際は、記帳の方法や手間が
 省けます。
 また、取引きを複数に分ける必要も
 ないため、複合仕訳と単一仕訳で
 悩むこともありません。

 毎月の記帳では、月額の賃料をすべて
 地代家賃で計上します。

個人事業主が事業用の経費について

家事按分をする時、その基準は迷って

しまいがちです。

事業用と生活用の割合を合理的に計算し

それに基づいて事業用経費を計算すれば

税法上は問題ありません。

ただし、家事按分が認められる範囲に

ついては、確定申告時に白色申告と青色申告で

条件が異なるため、注意が必要です。

正しく経費計上するために、家事按分の方法や

記帳方法をきちんと覚えておきましょう。

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連絡先:t.yokoi@imple.net
担当:横井
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