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2020年10月10日

インフレ?デフレ?

インフレとデフレはなぜ起こるのでしょうか?

わかっているようで、わかりにくいのが

インフレ・デフレですね。

これらがどのような現象なのか

説明する必要は無いと思いますが

「なぜ起こるのか?」

あるいは

「人為的にコントロールして程よい
『湯加減』にできないのか?」

という問題について答えるのは

なかなか難しいですね。

マクロ(大局的視点)で問題をとらえて

簡潔に考えてみましょう。

★インフレとデフレの原因をきわめて
 シンプルにまとめれば。

1. 需要が多い
2. 需要が少ない
3. 供給が多い
4. 供給が少ない

の4つの要素の組み合わせで考えることが

できます。

需要と供給はそれぞれ

「買い手」「売り手」

と置き換えたほうがわかりやすいですね。

そして、日本や世界の経済を、株式市場を

始めとする投資市場としてイメージすれば

さらにわかりやすいのではないでしょうか?

市場に「買い手」(需要)がたくさん存在すれば

価格(株価)が上昇する

のは明らかであり

逆に「売り手」(供給)が数多くいれば

価格(株価)は下落する。

もちろん、市場は需給以外の要因で一時的に

変動することもありますが

長期的には市場の需給を反映して価格が

形成されます。

この原理は、日本経済・世界経済で起こる

インフレ・デフレに対しても同じように

適用できます。

1990年頃のバブル崩壊後、今日まで長く続いた

デフレ(低インフレ)は、バブルの熱狂による

需要が激減したことによりひきおこされ

(前述「1.需要が多い」から「2.需要が少ない」
 への転換)

と考えて良いでしょう。

しかし、需要が減っただけではなく

「供給が増えた」

ことも考えないとですね。

1978年からケ小平を中心に始まった

共産主義中国の改革・開放は

1989年の天安門事件から2001年のWTO加盟に

よって花開きました。

その改革・開放の成功に大きく貢献したのが

「薄利多売」の「ディスカウント戦略」

です。

それまで先進国で製造していたのと

同じような製品を中国大陸で破格の安値で

製造するというやり方です。

13億人は下らない労働力を低価格(賃金)で

供給するのだから、世界中の企業が飛びつきました。

もちろん日本も例外ではないですね。

マスクの製造のすさまじい中国依存ぶりや

アパレルを始めとする「汎用品(コモディティー)」

における、中国を始めとする発展途上国への

依存は大きいですね。

日本を始めとする先進国の企業が、なかなか中国に

見切りをつけない理由もわからないではないですが

中国のような大規模な

「薄利多売」の「ディスカウント戦略」

を実行可能な国は他に見当たらないのも現状です。

また、いわゆるグローバル企業は、低賃金国で生産し

「最終製品価格を引き下げる以上に
 仕入れ価格を引き下げる」

ことによって大きな利潤を生んできました。

先進国の勤労者が受け取るはずであった利益を

発展途上国の勤労者たちと自分たちで分配

していたという事ですね。

このようなからくりでグローバル企業は

成長してきたから

「金の卵を産むニワトリ」

との取引を継続したいのが本音でしょう。

しかし、今や先進国から「人類の敵」と名指し

されている共産主義中国との取引を続けることや

媚中的言動を行う企業は、米国の経済制裁の

ターゲットにもなりかねないですね。

もちろんいわゆるグローバル企業は、中国大陸での

ビジネスが途絶しても、他の発展途上国で同様な

ビジネスを継続しようとするでしょう。

しかし、それらの国々ではボリューム的に

とても足らないので補完的なものにならざるを得ないですね。

また、今回のパンデミックは、地球上の最も

コストの安いところに工場を建てて長距離を

輸送するという「極めてエネルギー効率が悪い」

生産方式の問題点もあぶり出しました。

輸送コストが高いだけではなく、万が一の場合

需要地の近くで生産している場合よりも

大きなリスクを負います。

日本政府も製造業の国内回帰を奨励していますが

ただ安いものを求めるのだけではなく

「安全・安心」を含めた物やサービスに価値を

見出すようになれば、当然価格は上昇し

インフレ傾向となるでしょう。

激しいインフレは、エネルギーや食糧の価格高騰

をきっかけにして起こることが多いです。

例えば、1973年10月6日に勃発した第4次中東戦争

に端を発した

第1次オイルショック(原油不足・価格高騰)。

「狂乱物価」と呼ばれる翌年(1974年)の日本の

物価の異常な高騰を記憶されている方も多いでしょう。

今年に入ってから、パンデミックの影響などで

原油先物価格がマイナスになったことが

大きく騒がれましたが、化石燃料は現代文明に

不可欠なものであり、むしろ資源の枯渇や価格の

高騰に注意しなければならないですね。

エネルギーがどれほど重要なものかは

今年の夏に熱中症で死亡した方々が

新型肺炎で亡くなった方よりも多いなど

と言われることからも明らかです。

酷暑の中、電力供給がストップしてクーラー

が使えなければ生死にかかわるし

世界中で発電されるエネルギーの

約75%(一部原子力発電を含む)は化石燃料に

よるものであり、伝統的な水力発電を含めても

いわゆる再生可能エネルギーの比率は

25%程度にしか過ぎないのですから。

食糧問題はもっと深刻です。

日本の例和元年度の食糧自給率は

カロリーベスで38%(生産額ベースで66%)

にしか過ぎないのです。

現在フードロスが問題になるなど、削減可能な

食糧の無駄遣いはあるにしても、輸入なしで

我々に必要な食糧を確保するのは難しい状況です。

日本は食糧の多くを輸入に頼っているが

農水省の資料によれば2019年に中国はアメリカに

次いで2番目に重要な輸入先となっています。

品目的に多い方から

冷凍野菜934億円
鶏肉調整品910億円
生鮮野菜375億円

を中国から輸入しており、外食産業や

スーパーマーケットにとって中国産食品は

なくてはならないものとなっています。

工業製品だけではなく、食糧にもおいても

日本は中国大陸への依存を強めているのです。

中国では、「改革・開放」による

工業化、商業化によって農業は打ち捨てられ

破壊されたため、食糧が足りなくなったからと

言って短期間で元に戻し、13億人以上を養うこと

は難しいでしょう。

長年にわたって農産物の価格低迷が続き

「砂糖の価格が同じ重さの工事用の土砂よりも安い」

などと言われる時代が長かったため

食糧増産のための基本的な投資が行われて

きませんでした。

原油設備も価格低迷で廃棄されたりするが

食糧生産用の土地が荒れてしまうと

復活するのはさらに難しいのです。

価格が低下して生産意欲が落ちれば

「4.供給が少ない」状況に陥りやすくなり
「2.需要が少ない」と思っていたものが
「1.需要が多い」と急激に変化した場合に

対応するのが難しくなりますね。

エネルギーや食糧は、節約が可能であっても

どのような高値でも調達しなければならない

「必需品」であるから、需給バランスが崩れれば

一気に高騰します。

パンデミックも災害の1つであるから被害者の救済

は当然必要であります。

しかし、日本を含む世界の国々の財政的な対策は

「やりすぎ」

であります。

史上空前のバラマキによって、世界経済が危機から

救われた部分もあるのだが

「お金と物やサービスとの関係」

において

「お金の価値が下がる」

のは必然ですね。

金融システム破綻というような壊滅的事態に至らなくても

商品やサービスの供給が制約され、お金の供給が

増えれば(相対的な価値は低下)

物やサービスの需要がそれほど盛り上がらなくても

インフレが将来やってくるのは必然だと考えます。

インフレ=円の価値減少

将来決まった金額を円で貰う時に価値が無くなる

という事にもなりますね。

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