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2020年08月26日

厚生年金は給料の低い人が得する制度?

厚生年金は給料の低い人が得する制度?

厚生年金は、給料が倍になれば保険料も

倍になります。

当然、受け取る額も倍になる……

と思いがちですが、そうではありません。

国民年金保険料は一律

厚生年金保険料は給料

に比例します。

公的年金に限らず社会保険制度は

保険料を払っている人が保険事故
(歳を取った時、大黒柱に万が一のことが
 あった時、一定の障害の状態にあった時)

があった時に給付を受け取る仕組みです。

その保険料の仕組みを見てみましょう。

●国民年金保険料

国民年金は所得に関係なく一律(1万6540円)

●厚生年金などの社会保険料

会社員が加入する社会保険制度
(健康保険や厚生年金保険)
については、給料やボーナスの額に
比例して保険料が決められています。
厚生年金を例にとって見ると
現在(令和2年神奈川県40歳以上)
(各都道府県で多少の差があります)

・月給20万円:毎月の保険料は3万6600円
 (本人の負担は半分の1万8300円)
・月給50万円:毎月の保険料は9万1500円
 (本人の負担は半分の4万5750円)

上の例だと、給料は20万円と50万円とで

2.5倍の差があり、保険料についても

3万6600円と9万1500円との差がちょうど

2.5倍ですから、給料と保険料は

比例していることがわかります。

★保険料が2.5倍なら、受け取る年金も2.5倍になる?

給料に比例して保険料が上がることはわかりました。

それなら、保険料が上がればそれにしたがって

受け取る年金も増えるはず!と思いますね。

先ほどのケースなら、保険料が2.5倍になって

いますので、将来受け取る老齢年金の額も

2.5倍になって

「当たり前」

なわけですが、実際のところはちがいます。

厚生年金は

「入社から退職までの平均給与」
「加入年数」

で金額が決まります。

計算式は、ざっくり言うと

「平均報酬額×5.769/1000×被保険者期間の月数」

となりますから

被保険者期間の月数が同じなら、報酬額に

比例して年金額が決まることがわかります。

先ほどの、給料が20万円と50万円のケースで

考えてみましょう。

加入期間が同じなら、平均給与が2.5倍高くなると

受け取る厚生年金額も2.5倍増えることになります。

保険料が2.5倍で、受け取る厚生年金が2.5倍となり

これだけ見ると給料が高くても低くても不公平感は全く

ないですよね。

ただ、これで終わらないのが日本の年金制度なのです。

忘れてはいけない国民年金の存在)

不公平の原因は、国民年金の存在にあります。

厚生年金は、保険料の中に国民年金の保険料が

含まれていることになっていますが

この部分がポイントになります。

厚生年金に加入することで、厚生年金に

加えて国民年金(老齢基礎年金)も

受け取れることになります。

ただ、国民年金から支給される老齢基礎年金は

加入期間だけで年金額が決まりますので

厚生年金の保険料
(その中に含まれる国民年金の保険料)を

「いくら払っているのか?」

は一切関係ありません。

ですから、給料が20万円の人と50万円の人で

厚生年金の額に「差」はあるものの

老齢基礎年金の「差」はないことになります。

ここに不公平が存在しているのです。

★保険料は2.5倍だが、受け取れる年金額は?

この不公平感を実感するために、具体的に

数字を使って検証してみます。

前提条件として加入期間30年、賞与なし

全て平成15年4月以降の期間、厚生年金に

ついては、スライド等は考慮せず

金額は概算で便宜上100円未満を切り捨てて

計算しています。

国民年金については平成27年度価格とします。

●平均給与20万円

厚生年金:20万円×5.769/1000×360月=41万5300円
国民年金(老齢基礎年金):78万0100円×360/480=58万5100円
⇒合計100万400円

●平均給与50万円
厚生年金:50万円×5.769/1000×360月=103万8400円
国民年金(老齢基礎年金):78万0100円×360/480=58万5100円
⇒合計162万3500円

20万円と50万円で、保険料は2.5倍ですが

受け取れる年金は約1.6倍でしかありません。

平均給与が低いほど費用対効果が高い

ということがわかると思います。

国民年金の額が同じであることが

費用対効果の差に結びついていますね。

また、加給年金や第3号被保険者分の

老齢基礎年金という「定額」の年金が

加わる場合もあります。

そうなると費用対効果の「差」はさらに

広がることになります。

厚生年金は高い!というイメージですが

「給料が低い人」

がお得な制度だといえるかもしれませんね。

また保障も手厚いです。

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