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2020年08月03日

老後の生活の柱となる年金の上限

老後の生活の柱となる年金の上限は

いくら位もらえるのか?

何となく疑問に思った事はありませんか?

年金を準備する方法として、20歳以上60歳未満の

国民すべてが加入する義務のある「国民年金」と

会社員や公務員が加入する「厚生年金」の

2種類がありますね。

国民年金を積み立てると将来

「老齢基礎年金」

を受け取れます。

それに対して、厚生年金を積み立てると

「老齢厚生年金」を受け取れます。

厚生年金に加入すると、国民年金にも

同時に加入することになりますので

会社員や公務員などは、老齢厚生年金に

加えて老齢基礎年金ももらえることに

なります。

そのため、厚生年金は

「2階建ての制度」

などとよくいわれます。

1階部分が老齢基礎年金
2階部分が老齢厚生年金

というわけです。

★収入が多ければ年金も多い?

国民年金保険料は加入者の収入に関係なく

一定の保険料を納めます。

20歳から60歳の40年間全て納めた場合

65歳からの年金支給額は

「月額約6万5,000円(令和2年度)」

です。

一方、厚生年金保険料は給与の額に比例して

毎月の保険料が決まるため、収入によって

違いがあります。

厚生年金保険料は、毎月の給与額を1〜31等級に

分けた

「標準報酬月額保険料額表」

という一覧表を基に計算します。

1等級の給与額は8万8,000円、上限の31等級の

給与額は62万円となります。

毎月の収入に応じて納める保険料が増えること

になり、それに伴い将来受け取る年金も

多くなるしくみになっています。

もし、毎月の給与が62万円以上でも、31等級以上

はありません。

毎月の給与が62万円以上の場合であれば

保険料、さらには将来の老齢厚生年金の額は

一律となるよう、上限が設けてあります。

そのため、例えば給与が毎月100万円以上だった

としても、より多くの年金を受け取ることには

なりません。

★年金の理論上の最高額はどんな条件が必要?

1階部分の老齢基礎年金は、20歳から60歳までの

40年間すべて保険料を納付していれば

月額約6万5000円×12か月=年額約78万円(令和2年度)

の満額を受け取ることができます。

一方、2階部分の老齢厚生年金は、給与の金額や

加入期間が人によって違ってきます。

老齢厚生年金は、会社に入社した時点から

最大70歳までが加入対象となります。

そのため、もし中卒・高卒で会社に就職した場合

であれば、その時点から厚生年金保険を

掛けることになります。

そうなれば、大卒で就職するよりも加入期間は

長くなります。

★老齢厚生年金を計算してみましょう

老齢厚生年金をざっくりと出すための

計算式は以下のとおりです。

(A)=平均標準報酬月額※1 ×7.125/1000×2003年3月
   までの被保険者期間の加入月数
(B)=平均標準報酬月額※2 ×5.481/1000×2003年4月
   以後の被保険者期間の加入月数
(A)+(B)=老齢厚生年金の年額

※被保険者であった期間の標準報酬月額の合計を
 被保険者であった期間の月数で割った額をあてはめます。
※被保険者であった期間の標準報酬月額と標準賞与額の
 合計を被保険者であった期間の月数で割った額をあてはめます。

賞与も毎月の給与と同じく厚生年金保険料の

対象となる「総報酬制度」が導入されました。

このため、平均標準報酬月額の計算は

2003年4月の前と後で標準報酬月額の

対象部分と料率に違いがあります。

★年金額が理論上の最高額となる条件とは

年金額の理論上の最高額を計算してみます。

年金の金額が理論上の最高額となる条件として

以下のものを設定します。

加入期間:中学校を卒業後すぐに就職し、70歳に
     なるまで継続して会社で働いたと考え
     16歳から69歳までの54年間にわたり
     厚生年金に加入したことにします。
標準報酬月額:保険料の最大限を常に納めることに
     なる62万円以上を期間中ずっと受け取った
     ことにします。
標準賞与:賞与は、限度回数がいっぱいの年3回
     それぞれ上限額となる150万円
     受け取ったことにします。

具体的には、以下のようになります。

加入期間)

2003年3月まで37年(加入月数は444ヶ月)
2003年4月から現在まで17年(加入月数は204ヶ月)

平均標準報酬月額)

2003年3月まで62万円
2003年4月から標準報酬月額62万円と
標準賞与37.5万円(150万円×年3回/12ヶ月)
を合計し(62万円+37.5万円)

これらの条件を上記の計算式に当てはめて計算してみましょう。

(A)62万円×7.125/1000×444ヶ月=1,961,370円
(B)(62万円+37.5万円)×5.481/1000×204ヶ月=1,112,533円
(A)+(B)=3,073,903円≒307万円

これより、老齢厚生年金支給額の満額は307万円となります。

実際に年金を受け取る際は

1階の老齢基礎年金
2階の老齢厚生年金

が合算して支払われるため、年金額は以下のようになります。

老齢基礎年金:月額約6万5,000円(年額78万円)
老齢厚生年金:月額約25万6,000円(年額307万円)
公的年金合計:月額約32万1,000円(年額385万円)

年金の理論上の最高額はだいたい月額32万円となります。

この最高額の年金を受け取るための年収を改めて

確認してみると以下のようになります。

月額給与額:62万円×12ヶ月=744万円※1
賞与額:150万円×3回=450万円※2
合計年収額:744万円+450万円=1,194万円

※2003年3月までは、平均標準報酬月の対象は給与のみ
 だったため、年収は744万円以上となります。
※2003年4月からは、平均標準報酬月額の対象に賞与も
 含まれます。そのため年収は1,194万円以上となります。

中学を卒業して、退職するまでの54年間にわたり

少なくとも、約1,200万円(744万円〜1,194万円)

の年収をもらい、上限の厚生年金保険料を

支払い続けた結果、受け取る年金額は

現役時代の年収の約3分の1の

385万円(月額32万円)となります。

ちなみに、一般的なゆとりのある老後生活費用の

平均額は36万円と言われています。

そのため、前述した月額32万円を年金で受け取る

ことができれば、一見ゆとりの老後生活を送れる

ようにも感じます。

しかし、32万円の年金を受け取ることができる人

というのは、現役時代に年間の収入をならせば

毎月100万円ほどの給与を受け取る人です。

実際のところ、収入は1/3に減少したことになり

現役時代と年金との収入の差を考えると

ゆとりの老後生活といえるのか?と思います。

高所得者には厳しい制度であることは

これで理解頂けたかと思います。

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