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2019年05月30日

厚生年金は給料の低い人が得する制度!?

厚生年金は給料の低い人が得する制度!?

厚生年金は、給料が倍になれば保険料

も倍になります。

当然、受け取る額も倍になる……

と思いがちですが、そうではありません。

国民年金保険料は一律、厚生年金保険料

は給料に比例します。

公的年金に限らず社会保険制度は

保険料を払っている人が保険事故
(歳を取った時、大黒柱に万が一のこと
があった時、一定の障害の状態にあった時)

があった時に給付を受け取る仕組みです。

その保険料の仕組みはどうなんって

いるのか?見てみましょう。

●国民年金保険料
まず、国民年金は所得に関係なく一律(1万6340円)

●厚生年金などの社会保険料
会社員が加入する社会保険制度(健康保険や厚生年金保険)
については、給料やボーナスの額に比例して
保険料が決められています。
厚生年金を例にとって見ると
(各都道府県で多少の差があります)

・毎月の給料が20万円:毎月の保険料は3万5656円
(本人の負担は半分の1万7828円)
・毎月の給料が50万円:毎月の保険料は8万9140円
(本人の負担は半分の4万4570円)

上の例だと、給料は20万円と50万円とで

2.5倍の差があり、保険料についても

3万5656円と8万9140円との差がちょうど

2.5倍ですから、給料と保険料は比例している

ことがわかります。

★保険料が2.5倍なら、受け取る年金も2.5倍になる?
給料に比例して保険料が上がることはわかりました。

それなら、保険料が上がればそれにしたがって

受け取る年金も増えるはず!と思いますね。

先ほどのケースなら、保険料が2.5倍になって

いますので、将来受け取る老齢年金の額も

2.5倍になって「当たり前」なわけですが

実際のところは違います。

厚生年金は

「入社から退職までの平均給与」
「加入年数」

で金額が決まります。

計算式は、ざっくり言うと

「平均報酬額×5.769/1000×被保険者期間の月数」

となりますから

被保険者期間の月数が同じなら、報酬額に

比例して年金額が決まることがわかります。

先ほどの、給料が20万円と50万円のケースで

考えてみましょう。加入期間が同じなら

平均給与が2.5倍高くなると、受け取る

厚生年金額も2.5倍増えることになります。

保険料が2.5倍で、受け取る厚生年金が2.5倍となり

これだけ見ると給料が高くても低くても

不公平感は全くないですよね。

ただ、これで終わらないのが日本の年金制度なのです。

忘れてはいけない国民年金の存在)
不公平の原因は、国民年金の存在にあります。

厚生年金は、保険料の中に国民年金の保険料が

含まれていることになっていますが

この部分がポイントになります。

厚生年金に加入することで、厚生年金に

加えて国民年金(老齢基礎年金)も

受け取れることになります。

ただ、国民年金から支給される老齢基礎年金

は加入期間だけで年金額が決まりますので

厚生年金の保険料(その中に含まれる国民年金の保険料)

を「いくら払っているのか?」は一切関係ありません。

ですから、給料が20万円の人と50万円の人で

厚生年金の額に「差」はあるものの、老齢基礎年金の「差」は

ないことになります。ここに不公平が存在しているのです。

★保険料は2.5倍だが、受け取れる年金額は?
この不公平感を実感するために、具体的に数字を使って検証してみます。

前提条件として加入期間30年、賞与なし

全て平成15年4月以降の期間、厚生年金に

ついては、スライド等は考慮せず、金額は概算で

便宜上100円未満を切り捨てて計算しています。

国民年金については平成27年度価格とします。

●平均給与20万円
厚生年金:20万円×5.769/1000×360月=41万5300円
国民年金(老齢基礎年金):78万0100円×360/480=58万5100円
⇒合計100万400円

●平均給与50万円
厚生年金:50万円×5.769/1000×360月=103万8400円
国民年金(老齢基礎年金):78万0100円×360/480=58万5100円
⇒合計162万3500円

20万円と50万円で、保険料は2.5倍ですが

受け取れる年金は約1.6倍でしかありません。

平均給与が低いほど費用対効果が高いという

ことがわかると思います。

国民年金の額が同じであることが費用対効果

の差に結びついていますね。

また、加給年金や第3号被保険者分の

老齢基礎年金という「定額」の年金が

加わる場合もあります。

そうなると費用対効果の「差」はさらに

広がることになります。

厚生年金は高い!というイメージですが

「給料が低い人」

がお得な制度だといえるかもしれませんね。

また保障も手厚いです。

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