言うまでもなく、サプリメント業界は、消費者をサポートし、選択肢を広げ、有害物質を含まず健康と環境に配慮したクリーンで効果的な製品を提供するために日々進化を遂げています。そうした取り組みがおそらく今後も継続されることを踏まえて、今回は2022年に注目したい製品の傾向を詳しく見ていきたいと思います。

新たな剤形(形態):グミおよび液体


かつては、子供向けのチュアブルや液体タイプを除き、味にこだわった栄養補助食品はごく少数でしたが最近では大人向けのフレーバー付き製品も増えつつあり、グミタイプのビタミンやミネラルが広く普及するようになりました。現在ではアシュワガンダエルダーベリー(セイヨウニワトコ)のような一部のハーブ製品もグミとして販売されており、消費者の選択肢やサプリメントの形態が増加傾向にあります。

グミだけでなく、液状のサプリメントなどの剤形も増えています。一般に、液体の栄養素は吸収されやすいというメリットがあります。これは、サプリメントを液体で供給することで成分の分散性が飛躍的に向上し、消化管で吸収されやすくなるためです。液状の栄養素は、カルシウムマグネシウムといったミネラルのサプリメントに多いものですが、最近では液体コラーゲン液体マルチビタミンなどの新製品も人気を集めています。

このように、メリットが多い液体タイプやグミタイプのサプリメントにも問題点はあります。栄養素やハーブは苦味などクセの強いものが多いため、風味を損なわないように製造工程で少なめに配合され、有効成分の量や数が限られてしまう可能性があるという点です。そのため、グミや液状のサプリメントを購入する際は、製品に含まれる各成分の量を確認しましょう。中には、効果を発揮するのに必要な最小量に満たない製品もあるかもしれません。状況によっては、期待される成分を十分に摂取するには従来のカプセルの方が良い場合もあります。

充填剤の削減と純度


消費者の知識が深まるにつれ、より良い品質であることはもちろん、クリーンな製品を求める声も高まっています。メーカーでは、製造上の問題や外見上の理由により、製造過程で流動化剤(粉体の流動性を良くする添加物)、染料、潤滑剤、結合剤などの充填剤を含む賦形剤(ふけいざい。薬剤の量を増やしたり、形状を安定させるための添加剤)が使用されますが、サプリメント業界では、こうした添加物を最小限に抑えるか、あるいは排除したクリーンな製品を求める傾向が強くなっています。

マルチビタミンやハーブ製品からビタミンC亜鉛のような個別の栄養素に至るまで、製造を簡略化するために栄養補助食品に充填剤が添加されることは珍しくありません。今後さらなる調査が必要ですが、一般的な充填物の多くには何らかの懸念要素があるのではないかと指摘する研究結果があるように、充填剤、流動化剤、結合剤の中には、消化管に炎症を起こしたり、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを崩すものがあると考えられます。懸念される添加物としては、マルトデキストリン、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、二酸化チタン、二酸化ケイ素(粒子の形状と大きさに基づく)などが挙げられます。また、口当たりを良くするために添加される人工甘味料も、腸内フローラに悪影響を及ぼす可能性があるようです。

このように、有害性が疑われる添加物を問題視する研究が増えるに従って、消費者はこれらの添加物を含まない製品を吟味するようになってきました。このことから、たとえ製造に手間がかかっても、充填剤を含まないサプリメントは市場シェアを伸ばしており、一部ではコラーゲンプロテインによく用いられるバルク粉体に特化し、添加物を一切加えずに有効成分のみを供給する企業も出てきています。

最適な活性成分形態


より生化学的な活性成分を含むサプリメントを求める傾向は2022年もまだまだ続くのではないでしょうか。活性型の栄養素は、吸収利用される際に酵素の変化をほぼ必要としないため、バイオアベイラビリティ(摂取した栄養素が血流に乗って体内で利用される量)が高いのが特徴です。ビタミンB2(リボフラビン-5'-リン酸)、ビタミンB6(ピリドキサール-5'-リン酸)、ビタミンB12(メチルコバラミン)、葉酸(メチル葉酸)といったビタミンB群など、活性成分を含むサプリメントは人気が高まっています。

また、特定のミネラルも、吸収されやすい形態の栄養素を選ぶことが大切です。例えば、炭酸カルシウムは現在でもよく使われているカルシウムの形態ですが、吸収に胃酸が不可欠である一方、クエン酸カルシウムのような形態であれば胃酸は必要ありません。マグネシウムも同様で、キレート型や水溶性のものが吸収に優れています。さらに、最近の研究では、他のマグネシウムよりも脳への効果が期待できるとして特定型のトレオン酸マグネシウムが脚光を浴びています。このように、消費者の健康への関心やニーズに応えようと、これまでとは異なる多種多様なミネラルを選択する企業が増えています。

吸収性の向上


その他、吸収されにくい栄養補助食品にも、リポソームやナノ粒子(超微粒子)といった新しいタイプの処方が登場しています。場合によっては、黒コショウエキス、酵素、レシチンなど、吸収を促進する成分が配合されることもあります。クルクミンケルセチンのようなポリフェノールは吸収されにくいため、吸収を高めるために特殊な処方が用いられる製品としてよく知られています。

リポソームは、リン脂質からなる小さな球体で、脂溶性・水溶性の両方の性質を持つ化合物です。この球体にさまざまな栄養素やその他の成分を封じ込めることで、より効果的に吸収問題をクリアできるのがリポソームの特徴です。その一例として、ビタミンCはある基準値を超えると吸収率が下がるため、吸収率を高めようと、メーカーがリポソーム型を製造販売するようになった経緯が挙げられるでしょう。ビタミンCは最も一般的な製品の一つですが、抗酸化物質であるグルタチオンなど、他のリポソーム製品も市場に出回るようになりました。

一方、ナノテクノロジーも、栄養補助食品業界にとって有望であると同時に懸念材料があります。成分の粒径(粒子の大きさ)を極端に微細化することで吸収を高めた化合物もありますが、ナノ粒子と通常の大きな粒子とでは体内での相互作用がまったく異なる可能性があるためです。ナノテクノロジーは、主にミネラル系の日焼け止めやコロイダルシルバー(コロイド銀)として広く使用されていますが、栄養補助食品にも急速に拡大すると思われます。安全性試験が十分に実施された暁には、ナノテクノロジーが従来の処方以上の効果をもたらす日が来るかもしれません。

より優れた配合


過去2年にわたって、免疫系や消化器系のサプリメントに対する需要が高まっており、それに後押しされて業界全体の選択肢が広がり、免疫と消化器系の健康をサポートする多様な新製品が注目を浴びるようになりました。特に、亜鉛ビタミンCエキナセアエルダーベリーを配合した製品は、メーカーが需要の増加に対応する中、入手困難となるケースも少なくありません。他にも、プロバイオティクスプレバイオティクスなど、腸内のマイクロバイオーム(微生物叢)の働きをサポートする新製品も話題となっています。中でも、プロバイオティクスは呼吸器感染症にかかりにくくなることが実証されており、人気が高いのも当然と言えるでしょう。

環境に配慮したサステイナブルな製品


地球が抱える環境問題を認識する個人や企業が増えるにつれ、サプリメントの製造とサステイナブルな流通も重視されるようになりました。通常、サプリメントにはプラスチック製の容器やパッケージが使用されていますが、一部の企業はプラスチックに代わってコンポスト(堆肥化)可能またはリサイクル可能なパウチや容器を使用しています。

また、配送時の梱包材料にもプラスチックや発泡スチロールなど、リサイクルしにくい素材が使われているのが一般的ですが、それらを排除して、段ボールや紙の他、デンプンを原料とする緩衝材を使用する企業もあります。

大量にエネルギーを消費し、大気中に二酸化炭素などの化合物を大量放出する製造工程は、環境にとって大きな脅威となるものです。気候や地球全体への影響を考えると、このような汚染が長期的な懸念事項となるのは明らかでしょう。先進的な企業は、エネルギー需要の削減と製造施設の大気環境基準の改善に努め、自社技術のグリーン化を推進して、地球環境に配慮した取り組みを行っています。今後さらにサステイナブルな方向性を示す企業を見守り、こうした取り組みを可能な限り支援することは何よりも優先すべきではないでしょうか。

結論


2022年以降の栄養補助食品業界には、今から発売が待ち遠しい新製品が多数登場するでしょう。処方の改良からよりサステイナブルな製造・流通まで、メーカー側は消費者の声に耳を傾け、ニーズに合った製品の提供に努めています。新しい年を迎えた今、新たな処方を模索し、個人的な使用が可能かどうかを見極めることが大切です。特に、従来の処方よりもメリットが多い場合はなおさらでしょう。