2016年12月08日
ディアボーイズの続きが見てみたい147話 〜健二、こんな不味い寿司は食えね〜な〜
静かに寿司を握る健二。息子の寿司を握る姿を見ている大吉。
土橋「よっと。これでどうだい?親父」
大吉「おっ、出来たか。見よう見まねでやった割には綺麗な形してるじゃないか」
土橋「どうしたの?急に」
大吉「いや、別に。たまには人に作ってもらうのも悪くないかなって思ってな。これ、食べていいか?」
土橋「えっ、ああ。いいよ。食べてみてよ」
パクッ モグモグモグモグモグ・・・
土橋「どうだい?」
大吉「ゴク・・・お茶をくれ」
土橋「あ、ああ。はい」
大吉「ゴクゴクゴク。ぷはぁ〜〜。健二・・・不味い・・・・」
土橋「え??」
大吉「こんな不味い寿司は食った事がねぇ〜な。これじゃお客さんに失礼で出せないぞ」
土橋「えっ。だって・・親父に教えてもらった通りに握ったぞ。分量だって間違ってないし、ネタは親父が切ったものを使っているんだ。シャリだって親父が作ったものなのに、味は同じはずじゃ」
大吉「でも、不味い。食えたもんじゃね〜な」
土橋「・・・」
大吉「健二、父さんは寿司職人になる為に、それこそ修行したもんだ。友達と遊びたいって気持ちも出てこないくらいにな。そんな事しているうちにやっと握らせて貰えるようになったんだ。自分でも自信が持てるようになった頃、お母さんと知り合ったんだよ。お母さんはお客さんだったんだ」
土橋「そうなんだ」
大吉「心を込めて、かぁ〜さんに寿司を握ったよ。そうしたら気持ちが伝わるもんだ。それで結婚まで出来ちまったからな」
土橋「・・・」
大吉「父さんはな、自分の作る寿司に自信を持っていた。それだけに打込んで、一生懸命やってきたのに誰にも負けるわけはない。ってな」
土橋「へぇ〜、知らなかったよ・・・」
大吉「お前は・・・今の状態でそれだけ真剣に寿司を握る事ができるのか?」
土橋「え・・・」
大吉「出来ないだろう。今のお前には」
土橋「お、おやじ」
大吉「寿司ってのはな、手で直接握るもんだ。それをお客さんが食べるんだ。言わば、裸と裸の付き合いなんだ。わかるか?迷った状態で握る寿司ってのは、裸同士で向き合うとバレちまうもんなんだよ」
土橋「おやじ、俺、俺、どうすれば・・・」
大吉「迷う事はねぇ〜。こっちは母さんと二人で店回す方が気が楽だ。まだ出来の悪い息子に教える時間を取るほど店も暇じゃね〜しな」
目に涙をためている土橋
「く・・・って客いないじゃね〜か」
大吉「今日はたまたま天気が悪いだけだ」
涙をこぼす土橋
「ふふっ。天気良いけどな」
大吉「で、どうするんだ?まだ迷いながら不味い寿司握るのか?」
涙で下を向いている土橋
「う、う、うう。いや・・・バスケ・・・まだバスケが・・・」
大吉「ああ、聞こえね〜なぁ〜」
大吉を見て話をする土橋
「親父、あと4年、4年だけバスケをやらせてくれ。俺大学に行きたい。まだバスケがしたい」
大吉「いつ俺が店を手伝ってくれって頼んだ?」
土橋「おやじ・・」
大吉「出来の悪い息子だ。大学くらい出てもらわね〜と。この厳しい世の中、寿司屋継いだ時に経理も出来ね〜ぞ」
土橋「・・・・・・」グズ
「あ、ありがとう・・・」グズ
店の前で扉を開けようとして、開けられなかったお客が一人いた。
グズングズン。
「良い息子持ったじゃね〜か。ダイキっツァンよぉ〜。う〜今日は涙で寿司が食えネ〜。帰ってうちのバカ息子と、久しぶりに飯でも食うかぁ〜」
偶然立ち聞きしてしまった、石井の父。自分の息子の成長には、良い友達がいた事を改めて知る事が出来た夜だった。
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土橋「よっと。これでどうだい?親父」
大吉「おっ、出来たか。見よう見まねでやった割には綺麗な形してるじゃないか」
土橋「どうしたの?急に」
大吉「いや、別に。たまには人に作ってもらうのも悪くないかなって思ってな。これ、食べていいか?」
土橋「えっ、ああ。いいよ。食べてみてよ」
パクッ モグモグモグモグモグ・・・
土橋「どうだい?」
大吉「ゴク・・・お茶をくれ」
土橋「あ、ああ。はい」
大吉「ゴクゴクゴク。ぷはぁ〜〜。健二・・・不味い・・・・」
土橋「え??」
大吉「こんな不味い寿司は食った事がねぇ〜な。これじゃお客さんに失礼で出せないぞ」
土橋「えっ。だって・・親父に教えてもらった通りに握ったぞ。分量だって間違ってないし、ネタは親父が切ったものを使っているんだ。シャリだって親父が作ったものなのに、味は同じはずじゃ」
大吉「でも、不味い。食えたもんじゃね〜な」
土橋「・・・」
大吉「健二、父さんは寿司職人になる為に、それこそ修行したもんだ。友達と遊びたいって気持ちも出てこないくらいにな。そんな事しているうちにやっと握らせて貰えるようになったんだ。自分でも自信が持てるようになった頃、お母さんと知り合ったんだよ。お母さんはお客さんだったんだ」
土橋「そうなんだ」
大吉「心を込めて、かぁ〜さんに寿司を握ったよ。そうしたら気持ちが伝わるもんだ。それで結婚まで出来ちまったからな」
土橋「・・・」
大吉「父さんはな、自分の作る寿司に自信を持っていた。それだけに打込んで、一生懸命やってきたのに誰にも負けるわけはない。ってな」
土橋「へぇ〜、知らなかったよ・・・」
大吉「お前は・・・今の状態でそれだけ真剣に寿司を握る事ができるのか?」
土橋「え・・・」
大吉「出来ないだろう。今のお前には」
土橋「お、おやじ」
大吉「寿司ってのはな、手で直接握るもんだ。それをお客さんが食べるんだ。言わば、裸と裸の付き合いなんだ。わかるか?迷った状態で握る寿司ってのは、裸同士で向き合うとバレちまうもんなんだよ」
土橋「おやじ、俺、俺、どうすれば・・・」
大吉「迷う事はねぇ〜。こっちは母さんと二人で店回す方が気が楽だ。まだ出来の悪い息子に教える時間を取るほど店も暇じゃね〜しな」
目に涙をためている土橋
「く・・・って客いないじゃね〜か」
大吉「今日はたまたま天気が悪いだけだ」
涙をこぼす土橋
「ふふっ。天気良いけどな」
大吉「で、どうするんだ?まだ迷いながら不味い寿司握るのか?」
涙で下を向いている土橋
「う、う、うう。いや・・・バスケ・・・まだバスケが・・・」
大吉「ああ、聞こえね〜なぁ〜」
大吉を見て話をする土橋
「親父、あと4年、4年だけバスケをやらせてくれ。俺大学に行きたい。まだバスケがしたい」
大吉「いつ俺が店を手伝ってくれって頼んだ?」
土橋「おやじ・・」
大吉「出来の悪い息子だ。大学くらい出てもらわね〜と。この厳しい世の中、寿司屋継いだ時に経理も出来ね〜ぞ」
土橋「・・・・・・」グズ
「あ、ありがとう・・・」グズ
店の前で扉を開けようとして、開けられなかったお客が一人いた。
グズングズン。
「良い息子持ったじゃね〜か。ダイキっツァンよぉ〜。う〜今日は涙で寿司が食えネ〜。帰ってうちのバカ息子と、久しぶりに飯でも食うかぁ〜」
偶然立ち聞きしてしまった、石井の父。自分の息子の成長には、良い友達がいた事を改めて知る事が出来た夜だった。
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ありがとございます。スラムダンクのみっちーって言われてみればそうかもしれないですね(笑)意識はしてませんでしたが。
普通に考えたらインターハイ優勝チームのスタメンが、高校でバスケ辞めるなんて、よほどの事情か、バスケがしんどいって思わないとあんまりないじゃないですか。だから、何か復活するイメージしかなくて・・
最近感動ものを読んでよく泣くので、無理やり感動っぽくさせたとこはありましたぁ〜。今後も宜しくお願いします。
あっ。石井君の父の名前も出した方が良かったですかね(笑)
土橋ってあんまり書かれてなくて、ただの脇役で、僕はタダのネタキャラと今でも思っているんですけど、ちょっと泣きそうになりました。
スラダンのミッチーの、安西先生 バスケがしたいです。 思い出しちゃいました。
土橋はやりたいの我慢してたんですね。うーん。僕はそんなイメージなかったんですけど、寿司屋の中でこの下り、見てみたいですね。
あと、おとうさんの名前初めて知りました笑