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2016年03月17日

ディアボーイズの続きが見てみたい57話  〜哀川と保科のワンオンワン〜

ダムダムダム

体育館にドリブルが響く。


場所には西宮市立中央体育館


保科の計らいで、内緒でプロチームの練習に参加していた哀川と藤原であった。


プロのチームに交ざる事は本来であれば緊張する場面であるが、保科や薬師丸がいる事によって、不思議と緊張感はなかった。


本田監督「保科、サンキューな。哀川君と練習ができるなんて・・・彼は日本が誇る逸材だ。既にプロに入ってもトップクラス。日本屈指の実力だ。栃木の田沢とまともにやりあう事もできるだろう。日本代表にも彼の名前が上がっているよ。卑怯かもしれないが、こうやってうち相手に練習してくれるのはこっちにとってのメリットの方が大きいかもしれない」


保科「何いってるんですかボス。こっちがラッキーとかじゃなくて、俺、哀川に勝つ為に呼んだですから。勝ちますよ」


髪を後ろで結び始めた保科。

保科「お〜い、哀川。ワンオンワンやろう〜ぜ。練習始まるまでちょっと時間あるしよ」


哀川「ほっしなちゃ〜ん。いいよ!やろうよ」


笑顔で保科に答える。


ダムダムダム。ドリブルを始める保科。


これには先輩達も自分達の練習を中止して、ストレッチをしながらワンオンワンを見ていた。


いつもの光景に慣れている藤原と薬師丸は、自分のアップをしていた。



ドライブで突っ込む保科。ディフェンスは追いついているものの捉えきれない。

フロントで切り返す保科


哀川(保科ちゃん、技増やしたな。ドリブルで突っ込む時はスピードにのせて、右手が多かったのに、左手に・・しかもフロントで切り替えてきた・・・)


保科「つあっ」


キュキュ。

哀川「くっ」


タンタン。強引にゴール下に切り込み。少し体制を崩しながらもレイアップ。


哀川のブロックが届かずに・・・


ザシュ


一同「おおおおおお〜」
  

 「保科が決めたで」


 「やるやん。あいつ」


 「あんなにあいつはやかったっけ?」


藤原(ふふふ。保科が決めたみたいだな。あいつはやっぱすげ〜よ。哀川が相手だからムキになっているのもあるんだろ〜よ)


哀川「保科ちゃ〜ん、技増やしたの?ちょっとびっくりした。またスピード上がったんじゃない?次は俺が行くかんね!!」


保科「ああ、望むところだぜ」


本田(哀川君のディフェンスのレベルが低いのか?それとも保科のレベルが高いのか?ただ、今の保科のドリブルはむちゃくちゃ早くて、綺麗だった・・・あいつも成長しとるんか?)


楽しそうにドリブルを始める哀川。

哀川(やっぱ保科ちゃんとのワンオンワンはワクワクするよ。よぉ〜し、ここはあれ使うか)
「保科ちゃん、行くよ。」


アップをやめて二人を見る藤原と薬師丸


ダムダム。ゆっくりと保科に近づく哀川。


保科(さぁどうくる?右か左か)


右手でドリブルをしている哀川


保科(チェンジオブペース・・・くる。こっちだ!!!)


キュキュッ


藤原「!?!?!?」


次の瞬間哀川は保科を抜いていた。


保科(どこだ?哀川)


パス。


冷静にレイアップを決めている哀川


保科「な・・・田沢さんのドリブル・・・」


藤原「シャムゴッドか・・・こないだ俺がやったドリブル。やっぱ哀川もできるんだな」




「今のシャムゴッドだな」

「それしても早かったな」

「ああ、栃木の田沢クラスだ。ディフェンスについている時にあの動きをされれば、身体は逆に動いてもおかしくない」


本田監督(上半身を動かさず、一瞬左に行くように身体を全てその方向に向けていた。ディフェンスが無意識にそちらへ来ると反応している時には既に右手で切り替えている。この時はまだ、身体は左の方向だった。ディフェンスは完璧にそっちと思いこんでからは、逆方向に向かっている為、ディフェンスはそれに追いつけない・・・か。理論で説明するのは簡単だが、さっきのあのレベルは田沢並だったぞ。日本屈指のレベルだ)


哀川「こないだ、拓が試合でやっててさ。真似させてもらった。保科ちゃんは知ってるだろ」


悔しそうな保科の表情
「ああ、やってくれるじゃないか・・・ちょっと苦い思い出だぜ・・・次はぜってぇ〜止めてやっからな」


このあと、二人のワンオンワンは、お互いのオフェンス力が相手のディフェンス力を超えており、アンストッパブルな状況となり、周辺を注目させたが、練習時間が来たため引き分けとなった。


この後、全体練習や1対1。2対2。3対3。など様々な練習メニューをこなす。


次に周辺を驚かせたのは、哀川ではなく、寡黙な男だった。


DEARBOYS NEXT




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