2019年06月09日
第97回日本消化器内視鏡学会総会 ブスコパンの使用の有無でADR(adenoma detection rate)は変化するのか!?
第97回日本消化器内視鏡学会総会のパネルディスカッション
「検診における内視鏡の位置づけ 大腸がん検診」で
特別発言をさせていただきました。
貴重な機会をいただき感謝ですね。
私の特別発言などはどうでもいいのですが、
そのパネルの演題の中で興味深い発表がありました。
それは「ブスコパンの使用の有無でADR(adenoma detection rate)は変化するのか!?」
という前向き研究のご発表です。
ADRは大腸内視鏡検査の質の評価をはかる大切な指標の一つとして認識されています。
その研究では、内視鏡施行医と患者さんに対し
ダブルブラインドでブスコパンを使用・不使用と割りつけを行いました。
ブスコパンは腸管を弛緩させる作用があり、使用しなければスパスム等により
ADRが低下するのではないかという仮説に対する研究です。
結果は、ブスコパンの使用の有無でADRは変化しないというものでした。
ナガイチ的にはとてもしっくりする結論です。
自分も同じような検討をしたことがあったからです。
AJR Am J Roentgenol 2015;204(1):76-82.
大腸CT検査においてブスコパンの使用の有無を
前向きにランダマイズしてダブルブラインドに割付けました。
ブスコパンの使用の有無が腸管拡張に影響するのかを比較検討したわけです。
大腸CT検査が進んでいる米国でブスコパンが一切使用されていないため
疑問に思って実施した研究でした。
アメリカではブスコパンを使用しなくても腸管がきれいに膨らむのですよ!
日本ではなぜブスコパンを使用しないといけないとされてるの??
はたしてその結果は!?
やはり、ブスコパンの使用の有無は腸管拡張に影響しない!というものでした。
で、先日の第97回日本消化器内視鏡学会総会に戻ります。
ブスコパンの使用の有無でADRは変化しないという結果について
フロアから質問といいますかコメントがありました。
ブスコパンを使用できない症例では
経験的に内視鏡の挿入が明らかに困難である。
だから、ADRに影響しないというのおかしいのではないか?
というコメントです。
ところが、このフロアからのコメントには大きなバイアスが存在します。
ブスコパンの使用の有無をランダマイズに割り付けるのではなく
ブスコパンの使用ができない人での経験に過ぎないというバイアスです。
ブスコパンを使用できない患者さんは
不整脈、緑内障があるなどfragileであったり
高齢者であったりするわけです。
ブスコパン不使用群ではこうした患者さんが臨床現場では割り付けられることになり
当然、元気な方、あるいは若い方と比べて挿入な難しく成り得る可能性があるわけです。
ブスコパン使用の有無よりも、
ブスコパンが使用できない高齢、憩室多発(結果的に多くなる)などの
因子の方が強く関与している可能性の方が大きいでしょう。
バイアスを理解することは
とても大切だと思うのです。
「検診における内視鏡の位置づけ 大腸がん検診」で
特別発言をさせていただきました。
貴重な機会をいただき感謝ですね。
私の特別発言などはどうでもいいのですが、
そのパネルの演題の中で興味深い発表がありました。
それは「ブスコパンの使用の有無でADR(adenoma detection rate)は変化するのか!?」
という前向き研究のご発表です。
ADRは大腸内視鏡検査の質の評価をはかる大切な指標の一つとして認識されています。
その研究では、内視鏡施行医と患者さんに対し
ダブルブラインドでブスコパンを使用・不使用と割りつけを行いました。
ブスコパンは腸管を弛緩させる作用があり、使用しなければスパスム等により
ADRが低下するのではないかという仮説に対する研究です。
結果は、ブスコパンの使用の有無でADRは変化しないというものでした。
ナガイチ的にはとてもしっくりする結論です。
自分も同じような検討をしたことがあったからです。
AJR Am J Roentgenol 2015;204(1):76-82.
大腸CT検査においてブスコパンの使用の有無を
前向きにランダマイズしてダブルブラインドに割付けました。
ブスコパンの使用の有無が腸管拡張に影響するのかを比較検討したわけです。
大腸CT検査が進んでいる米国でブスコパンが一切使用されていないため
疑問に思って実施した研究でした。
アメリカではブスコパンを使用しなくても腸管がきれいに膨らむのですよ!
日本ではなぜブスコパンを使用しないといけないとされてるの??
はたしてその結果は!?
やはり、ブスコパンの使用の有無は腸管拡張に影響しない!というものでした。
で、先日の第97回日本消化器内視鏡学会総会に戻ります。
ブスコパンの使用の有無でADRは変化しないという結果について
フロアから質問といいますかコメントがありました。
ブスコパンを使用できない症例では
経験的に内視鏡の挿入が明らかに困難である。
だから、ADRに影響しないというのおかしいのではないか?
というコメントです。
ところが、このフロアからのコメントには大きなバイアスが存在します。
ブスコパンの使用の有無をランダマイズに割り付けるのではなく
ブスコパンの使用ができない人での経験に過ぎないというバイアスです。
ブスコパンを使用できない患者さんは
不整脈、緑内障があるなどfragileであったり
高齢者であったりするわけです。
ブスコパン不使用群ではこうした患者さんが臨床現場では割り付けられることになり
当然、元気な方、あるいは若い方と比べて挿入な難しく成り得る可能性があるわけです。
ブスコパン使用の有無よりも、
ブスコパンが使用できない高齢、憩室多発(結果的に多くなる)などの
因子の方が強く関与している可能性の方が大きいでしょう。
バイアスを理解することは
とても大切だと思うのです。
タグ:ADR
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/8878145
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック