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2020年04月21日

新型コロナウイルスは呼気や会話でも感染!小さな飛沫によるエアロゾル感染の危険性

【政府・厚生労働省の新型コロナウイルス (COVID-19) 情報】
▢厚生労働省:感染症の特徴
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00094.html#tokucho
▢首相官邸:感染が疑われる方へ
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html#c3
▢国際感染症センター:症状・診断・治療概要
http://dcc.ncgm.go.jp/index.html


米国立アレルギー感染研究所は4月3日、新型コロナウイルスの感染様式について、

『咳やくしゃみだけでなく通常の呼吸や会話を通じて伝染する可能性がある』

との見解を発表しました。

しかし、これらの新型コロナウイルスの感染様式については、

日本国内で既に3月18日に緊急寄稿された白木公康・千里金蘭大学副学長による、

『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察』

という学術論文の中で詳しく解説されています。


その学術論文の中で、

注意すべき点は,湿気の高い密室では2m離れていても,くしゃみや咳だけでなく,呼気に含まれる1μm程度のエアロゾルさえ感染性を保持して浮遊し,吸気によって上気道または下気道で感染するということである。

と指摘しています。


今回の記事では、新型コロナウイルスの飛沫による感染様式の特異性や

空気中での生存時間(活性時間)、さらにエアロゾル感染の可能性

などについて考察していきます。



【目次:記事内容と要点】

Ⅰ.新型コロナウイルスの飛沫は呼気や会話からでも感染する
◆通常の呼気や会話でも1.8mの距離まで飛び散る?
◆呼気・会話から吸引した飛沫は一挙に肺胞に到達する

Ⅱ.飛沫の大きさ・粘性によって感染様式や生存時間が異なる
◆飛沫の種類(大きさと粘性)は大きく3つ
◆3種類の飛沫によって異なる感染様式

Ⅲ.湿気の多い密閉空間でのエアロゾル感染の危険性
◆湿気の多い密閉空間では3時間も生存(感染能力を保持)
◆湿気の多い密閉空間では2m離れても危険




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Ⅰ.新型コロナウイルスの飛沫は呼気や会話からでも感染する

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米国立アレルギー感染研究所は4月3日に、

『咳やくしゃみだけでなく通常の呼吸や会話でも感染する』という見解を発表。


この見解は、3月18日に緊急寄稿した「白木公康・千里金蘭大学副学長」

学術論文の信ぴょう性を裏付けた結果となっています。


「白木公康・千里金蘭大学副学長」は、次のように指摘しています。


【白木公康氏の学術論文から引用】
注意すべき点は,湿気の高い密室では2m離れていても,くしゃみや咳だけでなく,呼気に含まれる1μm程度のエアロゾルさえ感染性を保持して浮遊し,吸気によって上気道または下気道で感染するということである。

※1μm(マイクロメートル)=0.001mm


つまり、分かりやすく言えば、

呼気に含まれる飛沫粒子は1μm程度と小さいので、

吸気(吸引)によって上気道・下気道で感染するということ」



ただし、湿気の高い密室では2m離れていても」とあります。


通常の風通しの良い屋外や換気の良い室内においては、

咳やくしゃみから放出される60μm~100μmの大きな飛沫粒子でさえも

2mに到達するまでに乾燥して飛沫核となり感染能力を失活するとされています。


従って、風通しの良い屋外や換気の良い室内において、

呼気や会話で放出される1μm程度の飛沫粒子は、2m離れていれば感染のリスクは少なく

逆に1m以内での濃厚接触で感染するリスクが高いと思われます。


【白木公康氏の学術論文から引用】
オープンエアでは,2mまで到達する前に,種々の大きさのaerosol(エアロゾル,微小な空気中で浮遊できる粒子)は乾燥する。60~100μmの大きな粒子でさえ,乾燥して飛沫核になり,インフルエンザウイルスを含む多くのウイルスは乾燥して感染性を失う。したがって,コロナウイルスはインフルエンザ同様,エアロゾルが乾燥する距離である2m離れたら感染しないと思われる。





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通常の呼気や会話でも1.8mの距離まで飛び散る?


米国立アレルギー感染研究所は4月3日に、

『通常の呼気や会話による飛沫でも1.8mほど飛散する』という見解も公表。


しかし、『1.8mほど飛散する』としても、

呼気や会話による飛沫は1μm前後と小さく、すぐに乾燥してしまうので、

風通しの良い屋外や換気の良い室内では感染力を失活すると思われます。


『通常の呼気や会話による飛沫でも1.8mほど飛散する』という見解は、

その結果が判断された環境条件は明らかにされていませんが、

換気の悪い密閉空間であれば感染力を保持できると考えられます。


【白木公康氏の学術論文から引用】
しかし,湿気のある密室では空中に浮遊するエアロゾル中のウイルスは乾燥を免れるため,驚くことに,秒単位から1分ではなく,数分から30分程度も感染性を保持する。



呼気・会話から吸引した飛沫は一挙に肺胞に到達する


咳やくしゃみによって放出される飛沫粒子の大きさは、1~100μmとさまざま。


平均的な5~10μmの大きさの飛沫粒子沈着部位は、

主に鼻腔や口腔、咽頭や喉頭の上気道とされています。


しかし、呼気や会話で放出される1μm前後の小さな飛沫粒子は、

鼻や口から吸引することで、一気に下気道の肺胞にまで達するとされています。


従って、呼気や会話での小さな飛沫粒子を吸引すると

感染初期に診られる風邪ようの軽い症状が発現しないまま、

急に肺炎症状を発現して重症化するリスクが高いと思われます。


【白木公康氏の学術論文から引用】
5~10μmのエアロゾル(飛沫と呼ばれる)は30mの落下に17~62分を要し,沈着部位は鼻腔や上気道である。一方,2~3μm(飛沫核)は落下せず,吸入時には肺胞に達する。このように,エアロゾルは大きさによって上気道や肺胞の標的細胞に達する。インフルエンザウイルスでは,通常の呼気の87%を占める1μmのエアロゾルも感染性を有し気道で感染する



従って、PCRによるウイルス検査によって、

感染初期の段階では「陰性」と判定される誤審査の原因となることが考えられます。

PCR検査における検体の抽出は、主に鼻腔の粘膜から抽出されるからです。


【白木公康氏の学術論文から引用】
このように,感染する場所と,感染が「上気道」あるいは「下気道」のどちらから始まるかが,ウイルスの検出部位(鼻咽頭拭い液か喀痰)と検出までの時間や感染病態に影響を与えていると思われる。











Ⅱ.飛沫の大きさ・粘性によって感染様式や生存時間が異なる

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咳やくしゃみや呼気から放出される飛沫粒子の種類(大きさと粘性)は、

大きく3つに分けられ、それぞれで感染様式やウイルスの感染力の保持時間が異なる

とされています。


飛沫の種類(大きさと粘性)は大きく3つ



「飛沫」とは、感染者の咳やくしゃみで放出されるエアロゾル粒子のこと。

水分に覆われたエアロゾル粒子の中に「ウイルス飛沫核」が含まれています。


飛沫の大きさは、おおよそ1μm ~100μmまで大小さまざまとされています。

なお、ウイルスそのものの大きさは、0.1μm程度の極微小粒子


「飛沫の大きさ」を3つに大別すると以下のようになります。

① 咳やくしゃみから出る粘性のない1μm~100μmのエアロゾル粒子
② 呼気から出る粘性のない1μm未満のエアロゾル粒子
③くしゃみから出る鼻汁・痰の混じった粘性のある100μm以上の大きな粒子


3種類の飛沫によって異なる感染様式


①の粘性のない1μm~100μmのエアロゾル粒子」は、

2m以内に落下して水分蒸発で乾燥し、おおよそ2分以内で感染能力を失活(死滅)すると思われます。


従って、1m以内では飛沫感染しても2m離れれば安全圏とされているのです。


4~10μmの標準的な飛沫の主な沈着部位は、

鼻腔などの上気道とされ、主に上気道内の粘膜細胞で増殖します。


しかし、1~3μmの小さな飛沫核落下せずに空気中を浮遊し、

吸入すると一気に下気道の肺胞にまで到達
するとされています。


換気や風通しの良い場所ではおおよそ2分程度で乾燥して失活(死滅)するとされていますが、

換気が悪く湿度の高い密閉空間では、数時間でも感染能力を保持するようです。


②の粘性のない1μm未満のエアロゾル粒子」は、

呼気の87%を占めており感染能力も持っていると考えられています。


しかし、【湿気の多い密室空間(エアロゾル状態)】では、

呼気で放出される1μm未満のエアロゾル粒子でも感染能力を保持したまま浮遊し、

2m以上離れていても上気道または下気道まで吸引してしまいます。



これが「エアロゾル感染」と呼ばれる感染様式です。


③の粘性のある100μm以上の大きな粒子」は、

すぐに落下するので飛沫感染のリスクは少なく

むしろ物体に付着して「接触感染」の主要な感染源となります。


粘性があるので外側が乾燥していても内部のウイルスは感染能力を保持し、

日陰や室内での生存時間は数日
にもなると思われます・



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Ⅲ.湿気の多い密閉空間でのエアロゾル感染の危険性

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「エアロゾル」とは、

「気体中に浮遊する微小な液体粒子または固体粒子」のこと。


液体粒子は霧やミストのことを言い、固体粒子は粉塵や煙のことを言います。


ウイルスが空気中の霧やミスト、粉塵や煙と混ざり合うことを「エアロゾル化」と言い、

エアロゾル化したウイルスを吸引して感染する様式を「エアロゾル感染」と呼んでいます。


「エアロゾル感染」は、

湿度の高い密室空間のエアロゾル化状態で感染リスクが非常に高まります。


湿気の多い密閉空間では3時間も生存(感染能力を保持)


最新の米国研究チームの論文によれば、

新型コロナウイルスの“エアロゾル化”の実験において、

『空気中で3時間以上も生存していた』という実験結果を得ています。


【湿気の多い密閉空間】においては、

エアロゾル化されたウイルスは乾燥を免れることができるので、

3時間程度も空気中を浮遊して感染能力を保持できます。


くしゃみや咳で放出される5μm~100μmのエアロゾル粒子はもちろん、

呼気で放出される1μm程度のエアロゾル粒子であっても感染能力を保持できます。


湿気の多い密閉空間では2m離れても危険


従って、【湿気の多い密閉空間】においては、2mの距離をおいても無意味で、

空気中を浮遊するエアロゾル化されたウイルスを吸引することで、

上気道または下気道で感染してしまうということです。


大阪で起きたライブハウスでのクラスター(集団感染)の発生は、

まさに多くの人が密集した【湿気の多い密閉空間】で起きた、

「エアロゾル感染」の例ではないかと考えます。


このような、エアロゾル感染が起こりやすい条件が揃った場所には、

できる限り行かないことで感染リスクを低減できます。


また自宅・自室の場合には、加湿器による湿度を上げ過ぎないように留意し、

換気を良くしておくことで感染リスクを低減できます。


◆参照学術論文
〇白木公康 (千里金蘭大学副学長,富山大学名誉教授)氏  登録日: 2020-03-18
『緊急寄稿:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察』
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14278




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『新型コロナ感染症の不可解な謎!回復後の再陽性は再感染?抗体免疫の獲得は可能か?』
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