素材?それとも加工?性能も含め、気になるところです。
「TPU」は熱可塑性ポリウレタン
TPU(Thermoplastic Polyurethane)は、熱可塑性ポリウレタンの事です。
機械的強度・ゴム弾性・耐摩耗性・耐屈曲性・耐油性などに優れます。
熱可塑性(ねつかそせい:thermoplastic)は、高温にすると軟化および流動化し、冷めると硬化する性質です。
さまざまな用途に使われるTPU
「TPU」(熱可塑性ポリウレタン)は、生産性・加工性・リサイクル性の高さから、日常の様々な用途に使われています。
<製品>
代表的なものは、携帯電話・タブレットのケース、パソコンキーボード保護カバー。
そのほか、自動車部品、靴底部材、ホース・チューブ、機能性フィルム・シート、電線・ケーブル被覆材、パッキン材、キャスターホイール、搬送ベルト、グリップ部材、繊維塗層など。
<添加剤としての用途>
添加材として使用され、他のポリマー・樹脂を改質する機能があります。
特に、PVC樹脂へ添加すると、耐摩耗性・耐衝撃性・低温柔軟性が改良されることで知られます。
このPVC樹脂も、耐久性・耐候性・防水性に優れ、防水リュックによく使われる素材です。
性能と特徴
「TPU」(熱可塑性ポリウレタン)のおもな性能・特徴は以下の通りです。
<長所>
・耐摩耗性が非常に高い
・引張強度・引裂き強度・耐衝撃性が高い
・ゴム弾性・柔軟性に優れ、消音・防振効果が高い
・石油・グリース・一般薬品性への耐性が良好
・耐候性、耐オゾン性等も良好
・リサイクル性に優れ、低VOC(揮発性有機化合物)
・硬度が幅広い範囲で調整可能
・成形が容易で、汎用プラスチックと同様な成形が可能
<短所>
・耐熱性が少し劣る(約80℃)
・使用環境により、黄変することがある
などが挙げられます。
リュック生地としての「TPU」
「TPU」(熱可塑性ポリウレタン)は、リュックでは素材単体で用いられることはなく、ナイロン生地・ポリエステル生地などにコーティングされることで用いられます。
「TPU加工」「TPUコーティング」などの表記で示される生地は、耐候性・防水性・耐久性・耐摩耗性に優れ、防水性の高いリュックにもよく用いられます。
「TPU加工」「TPUコーティング」は、「PVC加工」「PVCコーティング」や「ターポリン」と並んで、防水リュック生地の加工として信頼できる素材です。
なお、熱可塑性の性質を持つため(耐熱性約80℃)、日常生活でそういった温度になることはないと思いますが、念のため、炎天下での車内への放置や、冬場のストーブの近くなどは、避けたほうが良いかもしれません。
「TPU加工」「TPUコーティング」のほかにも、複数の素材や加工を組み合わせて、高い防水性と耐久性を発揮しているものもあります。各メーカーの工夫された加工や素材を知ると、リュックを選ぶ際の目安になることでしょう。
< 用語 > の他の項目を見る →
リュック生地の「 D (デニール)」とは? リュックに関する素朴な疑問。
リュック生地の「 PVC」とは? リュックに関する素朴な疑問。
リュック生地の「 ターポリン」とは? リュックに関する素朴な疑問。
リュックの「オーガナイザー 」とは? リュックに関する素朴な疑問。
リュックの「ベルクロ」とは? リュックに関する素朴な疑問。
「リュックサック」と「バックパック」の違いは? リュックに関する素朴な疑問。
リュック生地の「 トラックタープ」とは? リュックに関する素朴な疑問。
リュックの「ハイドレーション」とは? リュックに関する素朴な疑問。
「アルパイン」とは?リュックに関する素朴な疑問。
ポケットの「マチ」とは?リュックに関する素朴な疑問。
「60/40クロス(ロクヨンクロス)」とは?リュックに関する素朴な疑問。
リュックの「ハーネス」とは? リュックに関する素朴な疑問。
「保護等級IP」とは?リュックに関する素朴な疑問。
リュックの「ベンチレーション」とは?リュックに関する素朴な疑問。
リュックの「デイジーチェーン」とは?リュックに関する素朴な疑問。
リュックの「コンプレッションベルト」とは?リュックに関する素朴な疑問。
リュック生地の「PU」とは? リュックに関する素朴な疑問。