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2019年01月01日
豪州経済指標「四半期GDP」発表前後のAUDJPY反応分析(3訂版)
本稿は、過去の本指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のAUDJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
豪州経済集計(Australian National Accounts)は、 オーストラリア統計局 (ABS:Australian Bureau of Statistics)が、四半期ごとのGDP・最終消費支出・総固定資産(設備投資)・GDPデフレータ(価格指数)・貿易寄与・実質純可処分所得を発表する指標です(発表事例:Sep 2018 )。
発表項目が多いものの、目的を発表都度の短期FX取引に絞る限り、季節調整済のGDP前期比と前年比だけに関心を持てば十分です。
以下、特に断らない限り季節調整済の前期比や前年比を単に「前期比」「前年比」と表記します。
下図は、左が1980年以降5年毎の名目GDPのAUD額とUSD換算額で、右が産業別比率(2016年)です。
規模拡大が著しく、1980年からの40年弱で約10倍の成長となっています。この間、人口は1.6倍に増加したことによって内需が拡大し、中国を始めとする新興国の成長で資源輸出の規模が拡大した点が、豪州成長の特徴だと言えるでしょう。
人口増と資源輸出で成長するなんて、先進国らしくありません。
大手証券会社等の投資信託説明を見る限りは、今後も明るい長期展望が示されています。
その裏付けとして、毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに更に約40%の人口増加の見込みを挙げていることが多いようです。確かにこれだけ人口が増えるのなら、それが内需を強く牽引するでしょう。
気になるのは、今後の資源輸出額の伸び率がこれまでより鈍化し、それにも関わらず人口増加ペースが鈍化しなければどうなるのだろう、という点です。
本分析結果に基づく過去傾向を踏まえた取引方針は、以下の通りです。
指標発表前は、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が73%で、直前1分足の過去陰線率が95%、です。指標発表前の反応は小さいので、欲張らないことが大事です。
指標発表後の平均的な反応程度は非常に大きい指標です。反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直で、平均pipsこそ反応を一方向に伸ばすことを示唆しているものの、一方向に伸びたか否かを回数を調べると50%に達していません。追撃判断が難しいものの、大きく反応を伸ばすことも多いので、利幅を伸ばせるときに伸ばしましょう。
具体的には次の方法を提案します。
上記本指標要点や過去傾向を踏まえた取引方針の論拠を以下に示します。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
指標分析範囲は、2013年1-3月期集計分〜2018年7-9月期集計分(同年12月発表分)の23回分です。そろそろ各種確率が安定し始めて一貫した傾向が見出せる標本数に達しつつあります。
以下、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)の関係を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
発表結果は定時発表値を用い、後日修正されても以下に反映していません。GDPの推移そのものに関心がある訳でなく、発表時点の反応に関心があるので、これは当然です。
2013年以降の市場予想と発表結果の推移を下図に示します。上が前期比で下が前年比、この期間の前期比平均値は0.6%で前年比平均値は2.6%です。
前期比のグラフで2016年7-9月期に急落が起きています。これは、設備投資の落ち込みと輸出伸び悩みと政府支出減少が重なった一過性のものでした。また、前期比は(2017年を除けば)例年1-3月期にその年のピークとなっています。
前年比のグラフでのピークは、2014年1-3月期・2016年4-6月期・2018年4-6月期で、ほぼ8四半期周期となっています。前年比は、前年同期が高ければ下がり前年同期が低ければ上がりやすいため、ほぼ8四半期周期というのは比較的わかりやすい傾向です。
ところが、2018年11月20日、RBA)議事要旨では2018年・2019年の経済成長率は3.5%を超えるだろう」との見通しを示しました。過去の周期性はこれから崩れる、という意味になります。
下表は、前期比と前年比の各差異と各ローソク足の方向一致率を調べた結果です。
このブログの計数ルールに従い、各差異か各ローソク足値幅の少なくとも一方が0ならばカウントしていません。それにしても、事後差異の方向一致率の高さは極端です。念のため確認したものの、ノーカウントは前年比で1度あっただけです。
ともあれ、前期比発表結果が市場予想を上回れば/下回れば、前年比も市場予想を上回る/下回るのです。そして、発表結果が市場予想を上回れば/下回れば、直後1分足がほぼ確実に素直に陽線/陰線で反応しています。
極めて指標結果に素直に反応する指標です。
こうした特徴を踏まえれば、判別式は前期比か前年比だけに注目しても良さそうです。がしかし、発表結果と市場予想が一致することが今後増えることも想定されるので、判別式は前期比と前年比を含む形式にしておきます。
事前判別式は、
とします。このとき、この判別式の解の符号(プラスで陽線、マイナスで陰線に対応)と直前10-1分足の過去方向一致率は73%に達します。
多くの場合、指標発表前の反応方向は、市場予想が前回結果に対して改善か悪化かで決まっています。
同様に、事後差異判別式は、
とします。このとき、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は96%に達します。
発表結果の市場予想に対する良し悪しに極めて素直に反応する指標です。
実態差異判別式は、
とします。このとき、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は78%に達します。
但し、事後差異判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は87%に達しています。指標発表後の反応方向は、前回結果との大小関係よりも市場予想との大小関係に依存します。
参考までに、各差異判別式の解の期間毎の平均値と全平均値を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
事後差異が事前差異や実態差異より小さく、平均的に市場予想の精度が高い指標です。
気にする必要なんてありません。本指標は影響力が非常に強いのです。
四半期GDPの発表より先に四半期小売売上高や貿易統計は発表されます。小売売上高はGDPの約20%の規模があり、貿易額はGDPの約40%の規模に達します。それら前期比の推移を下図に示します。
なお、貿易統計は毎月、過去3か月分が発表されています。GDPが1-3月分集計なら、3月集計分の貿易統計発表結果から1月・2月・3月の輸出額と輸入額の合計を四半期貿易総額としています。
さて、1.2項最初に示した通り、GDP前期比の実態差異は直後11分足との過去方向一致率が71%に達しています。実態差異との方向一致率なので、発表結果ー前回結果、がプラスかマイナスかが問題です。公平に比較するため、四半期小売売上高の実態差異や四半期貿易総額の実態差異と、増減方向を比較しておきます。
先に発表されている貿易統計で当該期の輸出入額が前期を上回るか下回るかを調べておけば、今回発表される四半期GDP前期比が前回発表値を上回るか下回るかを71%当てられる訳です。
悪い的中率ではありません。
実態差異と直後11分足の期待的中率が71%で、実態差異の期待的中率が71%ならば、本指標発表直前にポジションをオーダーして直後11分足の方向が当たる確率は、0.71✕0.71+(1ー0.71)✕(1−0.71)=59%、です。
3年間12回の発表で7勝5敗となり、直後11分足の過去平均値幅32pips✕2勝分=64pipsなので、1年あたりの期待値は21pips、1回の発表あたり5pipsということになります。試算するとわかりますが、根拠を持った取引で稼ぐというのは大変です。
分析は、反応程度の大きさだけを取り上げる方法と、反応方向だけを取り上げる方法と、それらを事前に示唆する予兆がないか、について行います。
本指標の指標分析範囲は、2013年1-3月期集計分〜2018年7-9月期集計分(同年12月発表分)の23回分です。そろそろ一貫した傾向があるなら、各種確率が安定し始める標本数に達しつつあります。
過去の4本足チャートの各ローソク足の平均値と分布を下表に纏めておきます。
平均的な反応程度は非常に大きい指標です。
RBAが政策変更するか、それをにおわさない限り、本指標は豪州経済指標で最も大きく反応しがちです。それにも関わらず、指標発表後の反応の大きさの割に発表前の動きが小さいので、気を付けましょう。
発表直後1分足の順跳幅は、平均値の0.5〜1.5倍(17〜51pips)の範囲に74%が含まれます。指標発表時刻を跨いだポジションを持つことには慎重であるべきです。
いま、各ローソク足始値で完璧な事前分析に基づきポジションをオーダーし、各ローソク足順跳幅の先端で完璧に利確できる完璧な取引ができたとします。それほど完璧な取引が行えたなら、1回の発表での4本のローソク足順跳幅で平均85pipsが稼げます。
当然、そんな完璧な分析も完璧な取引も不可能なので、1回の発表で狙うのはその2〜4割ぐらいにしておけば良いでしょう(17〜34pips)。その期間の動き全体の2〜4割しか狙わなければ、無理のない取引で勝率を稼ぎやすく、長期に亘る本指標取引での収益を最大化しやすい、との個人的感触があります。
ご参考まで。
次に、期間毎に区切った直前10-1分足と直後1分足と直後11分足の値幅推移を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
直後1分足値幅より直後11分足値幅は毎年大きく、その差は平均6pipsです。
個別反応分析は、勝率よりも期待値を重視して取引するための分析です。合理的とは言えるものの、例え連敗が続いてもずっと同じやり方で取引を続ける不屈さが必須です。
多くの指標では、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなりがちなことがわかっています。けれども、方向こそ一致しがちでも、事後差異の大きさと直後1分足値幅が比例的になる指標は少ないことがわかっています。
事後差異判別式の解(横軸)と直後1分足終値(縦軸)の関係と、直後1分足終値(横軸)と直後11分足終値(縦軸)の関係を下図に示します。前者が初期反応、後者がその後の伸びを示します。
両グラフともに相関係数が非常に高く、素直な反応が一方向に伸びがちです。
指標発表直後は、事後差異と直後1分足の方向一致率は極めて高いので、指標結果など気にせず追撃開始です。但し、過去平均値以上の跳ね(34pips以上)となったことが52%もあります。一瞬で跳ね上がったら仕方ありませんが、26pips(直後1分足値幅の過去平均値)以下で追撃を始めたいものです。
指標発表直後は大きく跳ねるため、直後1分足終値まで待って追撃を始めると、その10分後までに平均27%ぐらい(平均6pipsぐらい)値を伸ばします。もし直後1分足30pips以上跳ねた後で20pips以下まで値を戻すことがあれば、その時点で追撃を始めても構いません。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は、こちらを参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細はこちら
を参照願います。
いずれも反応程度を問題にせず、反応方向の一致回数だけを問題にしています。
事前差異・事後差異・実態差異にはいずれも偏りがありません。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は73%です。事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各96%・87%にも達しており、反応は極めて素直です。
直前10-1分足は過去陽線率が68%、直前1分足は過去陰線率が95%と、かなり極端な偏りが見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は91%に達しており、指標発表後に反転することは3年に1回ぐらいしか起きていません。
次に、反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で追撃が有効か否かが判断できます。詳細はこちらを参照願います。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は、前述の通り91%です。そして、その91%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。けれども、直後1分足と直後11分足の方向が一致していても、終値同士を比べて反応を伸ばしていたことは48%です。
指標発表後の追撃は、1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いでしょう。
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。
直前10-1分足は、過去平均順跳幅が6pips、同値幅が4pipsです。過去の陽線率が68%、事前差異との方向一致率は73%です。
この期間は、事前差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を6pipsとします。
もし過去23回発表時の直前10-1分足で利確/損切を10pipsとしていたら、2勝1敗1不明(成立率17%)で損益は+10pips+?です。同様に、利確/損切を過去平均順跳幅の6pipsとしていたら、9勝2敗1不明(成立率52%)で損益は+42pips+?です。もし利確/損切を過去平均値幅の4pipsとしていたら、11勝4敗3不明(成立率78%)で損益は+28pips+?です。
利確/損切の目安を6pipsにすると、48%の事例では目安に達しません。そんなときは、指標発表1分前に利確/損切することになります。
次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。
直前1分足は、過去平均順跳幅が4pips、同値幅が3pipsです。陰線率は95%にも達しており、この数字を見てこの期間にとてもロングは採れません。
また、上図の通り上ヒゲが目立ちます。よって、この期間には陽線側に跳ねたのを確認してから、逆張りでショートをオーダーすることになります。また、陰線側に下ヒゲが形成されたことは少ないので、陰線側に戻すのは指標発表直前になることが多い、と推察されます。ということは、ショートのポジション取得・解消するのは指標発表直前のぎりぎりになることが多くなります。
指標発表の1〜2分前以降に陽線側に4pips跳ねたら逆張りでショートをオーダーし、利確/損切を4pipsでやるか、遅くとも指標発表5秒前には決済します。
発表5秒前決済はミスしないようにしましょう。本指標の指標発表直後の跳ねは、豪州指標で最も大きく跳ねがちです。1秒前まで粘っていたらスマホの通信表示がクルクルして、それが終わったらぼろ負けしてた、なんてことが過去にはありました。
そして、下図は直後1分足と直後11分足の始値基準ローソク足です。
直後1分足は過去平均順跳幅が34pips、同値幅が26pipsです。直後11分足は過去平均順跳幅が41pips、同値幅が32pipsです。
上図から、大きな逆ヒゲ(値幅方向と逆向きのヒゲ)の発生頻度は小さいようです。
20pips以上の逆ヒゲが発生したことは過去1回(頻度4%)です。10pips以上だったことは2回(頻度9%)、5pips以上だったことは6回(26%)です。よって、指標発表時刻を跨ぐポジションを持つなら、利確/損切の目安を10pips以上にしておけば、逆ヒゲに騙される頻度は3年に1回程度になります(5pips以上なら1年に1回程度)。
直後1分足と直後11分足が反転したことは過去9%しかないので、直後1分足の逆ヒゲに騙されなければ、大きな利幅が狙えます。
そして、前期比の実態差異と直後11分足の方向一致率は71%、前期比の実態差異と四半期貿易総額の実態差異の方向一致率は71%、です。よって、先に発表される四半期貿易総額の実態差異と同じ方向に、本指標発表直前に取得したポジションで直後11分足跳幅を狙います。
直後11分足の順跳幅が10pips以上だったことは過去96%です。30pips以上だったことは70%、50pips以上は30%です。利確/損切の目安は30pipsにしておけば良いでしょう。
よって、指標発表直前に四半期貿易総額の実態差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を30pipsとします。
次に、直後1分足と直後11分足との方向一致率は91%です。そして、その91%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。けれども、例え直後1分足と直後11分足が方向一致していても、直後1分足終値を超えて直後11分足が反応を伸ばしていたことは48%です。
初期反応方向を確認したら早期追撃開始するなら、高値/安値掴みは避けたいものです。直後11分足の過去平均順跳幅は41pips、です。そして、直後1分足の逆ヒゲが10pips以上だったことは過去9%しかありません。
よって、直後1分足形成中に初期反応方向に30pips以下ならば追撃開始し、直後11分足順跳幅を狙って利確/損切の目安を10pipsとします。
直後1分足終値が30pips以上に達したことが過去10回(頻度43%)あります。この10回の事例では、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が伸びていたことが8回(80%)です。この8回の事例で直後1分足終値がついた時点で追撃開始し、直後11分足跳幅で決済すると平均16pipsの利確、直後11分足値幅(終値)で決済すると平均11pipsの利確、となっていたはずです。
よって、直後1分足値幅が30pips以上なら、直後1分足終値がついた時点で再追撃を開始し、利確/損切の目安を15pipsとし、目安に達しなければ直後11分足終値がつく頃に決済します。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率を下げてしまいがちです。
取引成績は、この分析に記載方針に沿って実際に取引を行った結果だけを纏めています。実際に取引した結果以外は、例え事前方針が妥当だったとしてもここには含みません。また、事前方針に挙げていない取引(方針外取引)の成績は含めません。
実際の取引は、例え結果的に陽線だったとしても終値1秒前まで長い陰線側へのヒゲをずっと形成していたりします。そういった場合、事前のその期間の取引方針がロングが正解かショートが正解かわかりません。実際の取引で利確できたか損切せざるを得なかったかだけが公平な判定基準だと言えます。そして、方針外取引をここに含めると、事前分析の有効性が後日検証できなくなってしまいます。
取引方針の記述を、勝ちやすく・分析結果を誤解しにくく・自己裁量部分がわかるように、進歩・改善していくしかありません。記述はがんじがらめ過ぎても取引がうまくいきません。その兼ね合いが難しいので、試行錯誤しています。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
スキャル専用口座とHPで公言している会社です。取引回数が増えるほど、キャッシュバック額も多くなります。今なら「小林芳彦あられ」のプレゼントももらえます。あられが欲しいとは思わないけれど、私は同氏のファンです。
同氏はホンモノに強いので、大きな指標発表前には取引を控えることを表明しています。確かに、かつて同氏のツイッター通りに1か月ぐらい取引したら、その間の勝率は70%ぐらいになりました。きっと、エントリーとイグジットのタイミングを私がもっとうまく捉えられたなら、この勝率は更に高くなっていたのでしょう。
会員限定の彼の解説が読めることも、この会社を薦める理由です。
経済指標発表前後以外は、彼の相場感をアテにして、エントリーとイグジットのタイミングやミスジャッジしたときの撤退(損切)のセンスを磨くというのは、練習法としてアリだと思います。
彼の解説を読んで思うのは、テクニカル指標や、個々のファンダメンタルの変化を捉えるだけではダメだということです。それらの軽重判断を反応方向や程度に結び付けて、収益期待値が高く保てないと、有益な相場観とは言えないことがよくわかります。
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豪州経済集計(Australian National Accounts)は、 オーストラリア統計局 (ABS:Australian Bureau of Statistics)が、四半期ごとのGDP・最終消費支出・総固定資産(設備投資)・GDPデフレータ(価格指数)・貿易寄与・実質純可処分所得を発表する指標です(発表事例:Sep 2018 )。
発表項目が多いものの、目的を発表都度の短期FX取引に絞る限り、季節調整済のGDP前期比と前年比だけに関心を持てば十分です。
以下、特に断らない限り季節調整済の前期比や前年比を単に「前期比」「前年比」と表記します。
下図は、左が1980年以降5年毎の名目GDPのAUD額とUSD換算額で、右が産業別比率(2016年)です。
規模拡大が著しく、1980年からの40年弱で約10倍の成長となっています。この間、人口は1.6倍に増加したことによって内需が拡大し、中国を始めとする新興国の成長で資源輸出の規模が拡大した点が、豪州成長の特徴だと言えるでしょう。
人口増と資源輸出で成長するなんて、先進国らしくありません。
大手証券会社等の投資信託説明を見る限りは、今後も明るい長期展望が示されています。
その裏付けとして、毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに更に約40%の人口増加の見込みを挙げていることが多いようです。確かにこれだけ人口が増えるのなら、それが内需を強く牽引するでしょう。
気になるのは、今後の資源輸出額の伸び率がこれまでより鈍化し、それにも関わらず人口増加ペースが鈍化しなければどうなるのだろう、という点です。
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本分析結果に基づく過去傾向を踏まえた取引方針は、以下の通りです。
指標発表前は、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が73%で、直前1分足の過去陰線率が95%、です。指標発表前の反応は小さいので、欲張らないことが大事です。
指標発表後の平均的な反応程度は非常に大きい指標です。反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直で、平均pipsこそ反応を一方向に伸ばすことを示唆しているものの、一方向に伸びたか否かを回数を調べると50%に達していません。追撃判断が難しいものの、大きく反応を伸ばすことも多いので、利幅を伸ばせるときに伸ばしましょう。
具体的には次の方法を提案します。
- 直前10-1分足は、事前差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を6pipsとします。
- 指標発表の1〜2分前以降に陽線側に4pips跳ねたら逆張りでショートをオーダーし、利確/損切を4pipsでやるか、遅くとも指標発表5秒前には決済します。
- 指標発表直前に四半期貿易総額の実態差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を30pipsとします。遅くとも発表11分後には決済します。
- 直後1分足形成中に初期反応方向に30pips以下ならば追撃開始し、直後11分足順跳幅を狙って利確/損切の目安を10pipsとします。
- 直後1分足値幅が30pips以上なら、直後1分足終値がついた時点で再追撃を開始し、利確/損切の目安を15pipsとし、目安に達しなければ直後11分足終値がつく頃に決済します。
上記本指標要点や過去傾向を踏まえた取引方針の論拠を以下に示します。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
T.指標分析
指標分析範囲は、2013年1-3月期集計分〜2018年7-9月期集計分(同年12月発表分)の23回分です。そろそろ各種確率が安定し始めて一貫した傾向が見出せる標本数に達しつつあります。
以下、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)の関係を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
【1.1 指標推移】
発表結果は定時発表値を用い、後日修正されても以下に反映していません。GDPの推移そのものに関心がある訳でなく、発表時点の反応に関心があるので、これは当然です。
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2013年以降の市場予想と発表結果の推移を下図に示します。上が前期比で下が前年比、この期間の前期比平均値は0.6%で前年比平均値は2.6%です。
前期比のグラフで2016年7-9月期に急落が起きています。これは、設備投資の落ち込みと輸出伸び悩みと政府支出減少が重なった一過性のものでした。また、前期比は(2017年を除けば)例年1-3月期にその年のピークとなっています。
前年比のグラフでのピークは、2014年1-3月期・2016年4-6月期・2018年4-6月期で、ほぼ8四半期周期となっています。前年比は、前年同期が高ければ下がり前年同期が低ければ上がりやすいため、ほぼ8四半期周期というのは比較的わかりやすい傾向です。
ところが、2018年11月20日、RBA)議事要旨では2018年・2019年の経済成長率は3.5%を超えるだろう」との見通しを示しました。過去の周期性はこれから崩れる、という意味になります。
【1.2 指標結果良否判定】
下表は、前期比と前年比の各差異と各ローソク足の方向一致率を調べた結果です。
このブログの計数ルールに従い、各差異か各ローソク足値幅の少なくとも一方が0ならばカウントしていません。それにしても、事後差異の方向一致率の高さは極端です。念のため確認したものの、ノーカウントは前年比で1度あっただけです。
ともあれ、前期比発表結果が市場予想を上回れば/下回れば、前年比も市場予想を上回る/下回るのです。そして、発表結果が市場予想を上回れば/下回れば、直後1分足がほぼ確実に素直に陽線/陰線で反応しています。
極めて指標結果に素直に反応する指標です。
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こうした特徴を踏まえれば、判別式は前期比か前年比だけに注目しても良さそうです。がしかし、発表結果と市場予想が一致することが今後増えることも想定されるので、判別式は前期比と前年比を含む形式にしておきます。
事前判別式は、
- 4✕前期比の事前差異+1✕前年比の事前差異
とします。このとき、この判別式の解の符号(プラスで陽線、マイナスで陰線に対応)と直前10-1分足の過去方向一致率は73%に達します。
多くの場合、指標発表前の反応方向は、市場予想が前回結果に対して改善か悪化かで決まっています。
同様に、事後差異判別式は、
- 3✕前期比の事後差異+2✕前年比の事後差異
とします。このとき、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は96%に達します。
発表結果の市場予想に対する良し悪しに極めて素直に反応する指標です。
実態差異判別式は、
- 3✕前期比の実態差異+2✕前年比の実態差異
とします。このとき、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は78%に達します。
但し、事後差異判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は87%に達しています。指標発表後の反応方向は、前回結果との大小関係よりも市場予想との大小関係に依存します。
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参考までに、各差異判別式の解の期間毎の平均値と全平均値を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
事後差異が事前差異や実態差異より小さく、平均的に市場予想の精度が高い指標です。
【1.3 指標間一致性分析】
(1.3.1 過去同時発表指標との反応方向への影響力強弱)
気にする必要なんてありません。本指標は影響力が非常に強いのです。
(1.3.2 四半期小売売上高・四半期貿易総額との対比)
四半期GDPの発表より先に四半期小売売上高や貿易統計は発表されます。小売売上高はGDPの約20%の規模があり、貿易額はGDPの約40%の規模に達します。それら前期比の推移を下図に示します。
なお、貿易統計は毎月、過去3か月分が発表されています。GDPが1-3月分集計なら、3月集計分の貿易統計発表結果から1月・2月・3月の輸出額と輸入額の合計を四半期貿易総額としています。
さて、1.2項最初に示した通り、GDP前期比の実態差異は直後11分足との過去方向一致率が71%に達しています。実態差異との方向一致率なので、発表結果ー前回結果、がプラスかマイナスかが問題です。公平に比較するため、四半期小売売上高の実態差異や四半期貿易総額の実態差異と、増減方向を比較しておきます。
先に発表されている貿易統計で当該期の輸出入額が前期を上回るか下回るかを調べておけば、今回発表される四半期GDP前期比が前回発表値を上回るか下回るかを71%当てられる訳です。
悪い的中率ではありません。
実態差異と直後11分足の期待的中率が71%で、実態差異の期待的中率が71%ならば、本指標発表直前にポジションをオーダーして直後11分足の方向が当たる確率は、0.71✕0.71+(1ー0.71)✕(1−0.71)=59%、です。
3年間12回の発表で7勝5敗となり、直後11分足の過去平均値幅32pips✕2勝分=64pipsなので、1年あたりの期待値は21pips、1回の発表あたり5pipsということになります。試算するとわかりますが、根拠を持った取引で稼ぐというのは大変です。
【1.4 指標分析結論】
- 指標発表後は、前期比と前年比の発表結果と市場予想の大小関係に極めて素直に反応します。
- 過去5年間は、前期比に4四半期周期、前年比に8四半期周期が見られます。けれども、2019年以降のRBAの成長率見通しを参考にするなら、今後はこの周期性が崩れることになります。
- 前期比の実態差異と直後11分足の方向一致率は71%、前期比の実態差異と四半期貿易総額の実態差異の方向一致率は71%、です。よって、先に発表される四半期貿易総額の実態差異を参考にして、本指標発表直前に取得したポジションを直後11分足終値で解消した場合、勝率は59%、期待値は+5pips、となります。
U.反応分析
分析は、反応程度の大きさだけを取り上げる方法と、反応方向だけを取り上げる方法と、それらを事前に示唆する予兆がないか、について行います。
本指標の指標分析範囲は、2013年1-3月期集計分〜2018年7-9月期集計分(同年12月発表分)の23回分です。そろそろ一貫した傾向があるなら、各種確率が安定し始める標本数に達しつつあります。
【2.1 反応程度】
過去の4本足チャートの各ローソク足の平均値と分布を下表に纏めておきます。
平均的な反応程度は非常に大きい指標です。
RBAが政策変更するか、それをにおわさない限り、本指標は豪州経済指標で最も大きく反応しがちです。それにも関わらず、指標発表後の反応の大きさの割に発表前の動きが小さいので、気を付けましょう。
発表直後1分足の順跳幅は、平均値の0.5〜1.5倍(17〜51pips)の範囲に74%が含まれます。指標発表時刻を跨いだポジションを持つことには慎重であるべきです。
いま、各ローソク足始値で完璧な事前分析に基づきポジションをオーダーし、各ローソク足順跳幅の先端で完璧に利確できる完璧な取引ができたとします。それほど完璧な取引が行えたなら、1回の発表での4本のローソク足順跳幅で平均85pipsが稼げます。
当然、そんな完璧な分析も完璧な取引も不可能なので、1回の発表で狙うのはその2〜4割ぐらいにしておけば良いでしょう(17〜34pips)。その期間の動き全体の2〜4割しか狙わなければ、無理のない取引で勝率を稼ぎやすく、長期に亘る本指標取引での収益を最大化しやすい、との個人的感触があります。
ご参考まで。
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次に、期間毎に区切った直前10-1分足と直後1分足と直後11分足の値幅推移を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
直後1分足値幅より直後11分足値幅は毎年大きく、その差は平均6pipsです。
【2.2 個別反応分析】
個別反応分析は、勝率よりも期待値を重視して取引するための分析です。合理的とは言えるものの、例え連敗が続いてもずっと同じやり方で取引を続ける不屈さが必須です。
多くの指標では、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなりがちなことがわかっています。けれども、方向こそ一致しがちでも、事後差異の大きさと直後1分足値幅が比例的になる指標は少ないことがわかっています。
事後差異判別式の解(横軸)と直後1分足終値(縦軸)の関係と、直後1分足終値(横軸)と直後11分足終値(縦軸)の関係を下図に示します。前者が初期反応、後者がその後の伸びを示します。
両グラフともに相関係数が非常に高く、素直な反応が一方向に伸びがちです。
指標発表直後は、事後差異と直後1分足の方向一致率は極めて高いので、指標結果など気にせず追撃開始です。但し、過去平均値以上の跳ね(34pips以上)となったことが52%もあります。一瞬で跳ね上がったら仕方ありませんが、26pips(直後1分足値幅の過去平均値)以下で追撃を始めたいものです。
指標発表直後は大きく跳ねるため、直後1分足終値まで待って追撃を始めると、その10分後までに平均27%ぐらい(平均6pipsぐらい)値を伸ばします。もし直後1分足30pips以上跳ねた後で20pips以下まで値を戻すことがあれば、その時点で追撃を始めても構いません。
【2.3 回数反応分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は、こちらを参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細はこちら
を参照願います。
いずれも反応程度を問題にせず、反応方向の一致回数だけを問題にしています。
事前差異・事後差異・実態差異にはいずれも偏りがありません。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は73%です。事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各96%・87%にも達しており、反応は極めて素直です。
直前10-1分足は過去陽線率が68%、直前1分足は過去陰線率が95%と、かなり極端な偏りが見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は91%に達しており、指標発表後に反転することは3年に1回ぐらいしか起きていません。
次に、反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で追撃が有効か否かが判断できます。詳細はこちらを参照願います。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は、前述の通り91%です。そして、その91%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。けれども、直後1分足と直後11分足の方向が一致していても、終値同士を比べて反応を伸ばしていたことは48%です。
指標発表後の追撃は、1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いでしょう。
【2.4 反応分析結論】
- 平均的な反応程度は非常に大きい指標です。反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直で、平均pipsこそ反応を一方向に伸ばすことを示唆しているものの、一方向に伸びたか否かを回数を調べると50%に達していません。
追撃判断が難しい指標だと言えます。 - 指標発表前は、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が73%で、直前1分足の過去陰線率が95%、です。指標発表前の反応は小さいので、欲張らないことが大事です。
- 指標発表後は、直後の大きな跳ねで高値/安値掴みに気を付けましょう。直後1分足値幅の過去平均値は26pipsなので、それ以下で追撃を始めれば初期反応方向を確認してから追撃を始めても勝率が稼げそうです。
V.取引方針
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3.1 直前10-1分足】
下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。
直前10-1分足は、過去平均順跳幅が6pips、同値幅が4pipsです。過去の陽線率が68%、事前差異との方向一致率は73%です。
この期間は、事前差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を6pipsとします。
もし過去23回発表時の直前10-1分足で利確/損切を10pipsとしていたら、2勝1敗1不明(成立率17%)で損益は+10pips+?です。同様に、利確/損切を過去平均順跳幅の6pipsとしていたら、9勝2敗1不明(成立率52%)で損益は+42pips+?です。もし利確/損切を過去平均値幅の4pipsとしていたら、11勝4敗3不明(成立率78%)で損益は+28pips+?です。
利確/損切の目安を6pipsにすると、48%の事例では目安に達しません。そんなときは、指標発表1分前に利確/損切することになります。
【3.2 直前1分足】
次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。
直前1分足は、過去平均順跳幅が4pips、同値幅が3pipsです。陰線率は95%にも達しており、この数字を見てこの期間にとてもロングは採れません。
また、上図の通り上ヒゲが目立ちます。よって、この期間には陽線側に跳ねたのを確認してから、逆張りでショートをオーダーすることになります。また、陰線側に下ヒゲが形成されたことは少ないので、陰線側に戻すのは指標発表直前になることが多い、と推察されます。ということは、ショートのポジション取得・解消するのは指標発表直前のぎりぎりになることが多くなります。
指標発表の1〜2分前以降に陽線側に4pips跳ねたら逆張りでショートをオーダーし、利確/損切を4pipsでやるか、遅くとも指標発表5秒前には決済します。
発表5秒前決済はミスしないようにしましょう。本指標の指標発表直後の跳ねは、豪州指標で最も大きく跳ねがちです。1秒前まで粘っていたらスマホの通信表示がクルクルして、それが終わったらぼろ負けしてた、なんてことが過去にはありました。
【3.3 指標発表後】
そして、下図は直後1分足と直後11分足の始値基準ローソク足です。
直後1分足は過去平均順跳幅が34pips、同値幅が26pipsです。直後11分足は過去平均順跳幅が41pips、同値幅が32pipsです。
上図から、大きな逆ヒゲ(値幅方向と逆向きのヒゲ)の発生頻度は小さいようです。
20pips以上の逆ヒゲが発生したことは過去1回(頻度4%)です。10pips以上だったことは2回(頻度9%)、5pips以上だったことは6回(26%)です。よって、指標発表時刻を跨ぐポジションを持つなら、利確/損切の目安を10pips以上にしておけば、逆ヒゲに騙される頻度は3年に1回程度になります(5pips以上なら1年に1回程度)。
直後1分足と直後11分足が反転したことは過去9%しかないので、直後1分足の逆ヒゲに騙されなければ、大きな利幅が狙えます。
そして、前期比の実態差異と直後11分足の方向一致率は71%、前期比の実態差異と四半期貿易総額の実態差異の方向一致率は71%、です。よって、先に発表される四半期貿易総額の実態差異と同じ方向に、本指標発表直前に取得したポジションで直後11分足跳幅を狙います。
直後11分足の順跳幅が10pips以上だったことは過去96%です。30pips以上だったことは70%、50pips以上は30%です。利確/損切の目安は30pipsにしておけば良いでしょう。
よって、指標発表直前に四半期貿易総額の実態差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を30pipsとします。
次に、直後1分足と直後11分足との方向一致率は91%です。そして、その91%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。けれども、例え直後1分足と直後11分足が方向一致していても、直後1分足終値を超えて直後11分足が反応を伸ばしていたことは48%です。
初期反応方向を確認したら早期追撃開始するなら、高値/安値掴みは避けたいものです。直後11分足の過去平均順跳幅は41pips、です。そして、直後1分足の逆ヒゲが10pips以上だったことは過去9%しかありません。
よって、直後1分足形成中に初期反応方向に30pips以下ならば追撃開始し、直後11分足順跳幅を狙って利確/損切の目安を10pipsとします。
直後1分足終値が30pips以上に達したことが過去10回(頻度43%)あります。この10回の事例では、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が伸びていたことが8回(80%)です。この8回の事例で直後1分足終値がついた時点で追撃開始し、直後11分足跳幅で決済すると平均16pipsの利確、直後11分足値幅(終値)で決済すると平均11pipsの利確、となっていたはずです。
よって、直後1分足値幅が30pips以上なら、直後1分足終値がついた時点で再追撃を開始し、利確/損切の目安を15pipsとし、目安に達しなければ直後11分足終値がつく頃に決済します。
【3.4 方針結論】
- 直前10-1分足は、事前差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を6pipsとします。
- 指標発表の1〜2分前以降に陽線側に4pips跳ねたら逆張りでショートをオーダーし、利確/損切を4pipsでやるか、遅くとも指標発表5秒前には決済します。
- 指標発表直前に四半期貿易総額の実態差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を30pipsとします。
- 直後1分足形成中に初期反応方向に30pips以下ならば追撃開始し、直後11分足順跳幅を狙って利確/損切の目安を10pipsとします。
- 直後1分足値幅が30pips以上なら、直後1分足終値がついた時点で再追撃を開始し、利確/損切の目安を15pipsとし、目安に達しなければ直後11分足終値がつく頃に決済します。
W.分析結論
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率を下げてしまいがちです。
- 本指標は、多くの四半期集計項目が同時発表されますが、注目するのは前期比・前年比だけで十分です。他の指標と同時発表されることがあっても気にする必要なんてありません。
過去5年間は、前期比に4四半期周期、前年比に8四半期周期が見られます。けれども、2019年以降のRBAの成長率見通しを参考にするなら、今後はこの周期性が崩れることになります。 - 指標発表前は、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が73%で、直前1分足の過去陰線率が95%、です。指標発表前の反応は小さいので、欲張らないことが大事です。
- 指標発表後の平均的な反応程度は非常に大きい指標です。反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直で、平均pipsこそ反応を一方向に伸ばすことを示唆しているものの、一方向に伸びたか否かを回数を調べると50%に達していません。
追撃判断が難しい指標だと言えます。
X.取引成績
取引成績は、この分析に記載方針に沿って実際に取引を行った結果だけを纏めています。実際に取引した結果以外は、例え事前方針が妥当だったとしてもここには含みません。また、事前方針に挙げていない取引(方針外取引)の成績は含めません。
実際の取引は、例え結果的に陽線だったとしても終値1秒前まで長い陰線側へのヒゲをずっと形成していたりします。そういった場合、事前のその期間の取引方針がロングが正解かショートが正解かわかりません。実際の取引で利確できたか損切せざるを得なかったかだけが公平な判定基準だと言えます。そして、方針外取引をここに含めると、事前分析の有効性が後日検証できなくなってしまいます。
取引方針の記述を、勝ちやすく・分析結果を誤解しにくく・自己裁量部分がわかるように、進歩・改善していくしかありません。記述はがんじがらめ過ぎても取引がうまくいきません。その兼ね合いが難しいので、試行錯誤しています。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
スキャル専用口座とHPで公言している会社です。取引回数が増えるほど、キャッシュバック額も多くなります。今なら「小林芳彦あられ」のプレゼントももらえます。あられが欲しいとは思わないけれど、私は同氏のファンです。
同氏はホンモノに強いので、大きな指標発表前には取引を控えることを表明しています。確かに、かつて同氏のツイッター通りに1か月ぐらい取引したら、その間の勝率は70%ぐらいになりました。きっと、エントリーとイグジットのタイミングを私がもっとうまく捉えられたなら、この勝率は更に高くなっていたのでしょう。
会員限定の彼の解説が読めることも、この会社を薦める理由です。
経済指標発表前後以外は、彼の相場感をアテにして、エントリーとイグジットのタイミングやミスジャッジしたときの撤退(損切)のセンスを磨くというのは、練習法としてアリだと思います。
彼の解説を読んで思うのは、テクニカル指標や、個々のファンダメンタルの変化を捉えるだけではダメだということです。それらの軽重判断を反応方向や程度に結び付けて、収益期待値が高く保てないと、有益な相場観とは言えないことがよくわかります。
広告以上
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2018年12月31日
豪州収支指標「貿易統計」発表前後のAUDJPY反応分析(1.1訂版)
本稿は、過去の本指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のAUDJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
豪州貿易統計(International Trade in Goods and Services)は、 オーストラリア統計局 (Australian Bureau of Statistics)が、モノとサービスの貿易収支額・輸出額・輸入額と、それらの季節調整済額と、それらの前月比を発表する指標です。翌々月に発表され、更に2か月遡って修正値が発表されます。例えば5月発表値は3月の集計分で、2月分と1月分が修正されることがあります。但し、指標発表直後に注目されるのは最新の季節調整された貿易収支額と輸出額です(発表事例)。
以下、特に断らない限り季節調整済の貿易収支額や輸出額を単に「貿易収支」「輸出」と表記します。
豪州貿易収支(数10億AUD〜百数10億AUD/年)は、GDP(約1.7兆AUD、名目値)に比べると、決して大きくありません。けれども、貿易全体の概要をざっくりまとめると、
です。なお、上記数値は2016年基準で、出典は外務省HPのオーストラリアの項を引用しています。
貿易収支がGDPに占める比率が小さくても、貿易総額はGDPの約40%に当たります。この総額の付加価値分だけがGDPへの寄与になりますが、貿易の好不調が豪州景気への影響が大きいことは想像がつきます。
参考までに、日本の場合、名目GDP539兆円に対して貿易の総額は152兆円なので、対名目GDP比28.2%です。貿易額が減ると景気への波及効果が大きいのは、近年どこの国でも同じですが、豪州はGDPに対する貿易額が大きいため、貿易の好不調が経済に与える影響が大きい訳です。
貿易額さえ大きければ赤字・黒字が国内景気とあまり関係ないようです。それなのに貿易収支の多寡にAUDが素直に反応するのはちょっと不思議です。
気になるのは、FXをやらない人たちの中には、何となく資源輸出国の豪州を貿易黒字国と誤解をしている人が結構います。がしかし、豪州は過去ほとんどの時期が貿易赤字状態で、貿易黒字状態の時期が少ない国です。最近は、その限られた貿易黒字の時期です。
下図をご覧ください。下図は、1980年以降5年毎と2015年以降毎年の輸出額・輸入額と貿易収支額・経常収支額の推移です。
資源輸出国は、一般に輸出が好調なら景気が良くなります。けれども、景気が良くなっっても製造業の裾野が狭いため輸入も増えます。その結果、左図のように輸出入額はいつも拮抗し、右図のように収支は中国で建設ラッシュが起きていた2010年頃を除いて赤字の方が通常になっています。
なお、上右図の経常収支は、本稿とは別の主題になりますが、かつては鉱山投資、最近は住宅投資、そして以前から比較的高金利で信用格付けの高い債券投資(にリンクした生命保険等)が好調だったため、経常収支も慢性的な赤字です。被投資国は投資への配当や利息を払い続けることになるため、長く見れば持ち出しが増えて経常収支は慢性的な赤字になってしまいます。そうでなければ、誰も投資なんてしません。
世界景気が後退すれば、海外からの投資資金は引き上げられるとともに、頼みの資源輸出も減速するため、客観的にはAUDが安全な通貨だとは思えません。一方、日本は投資国なので、景気後退期やリスク発生時にはAUDJPYが大きくAUD売JPY買に動きます。現にリーマンショック後のAUDJPYはほぼ半値まで下げ、先進主要国で最も大きく通貨価値を下げました。
だから、AUDは長期でレバレッジを使った投資には向かない通貨で、ここ2年ぐらい貿易黒字が続いても安心できません。投資資金を現地に留めて、その配当や利息を地道に得る方が適しているようです。
近年、中国人資産家は、問題になるほど現地住宅を購入し、その家賃収入をバックさせていたことが知られています。
本分析結果に基づく過去傾向を踏まえた取引方針は、以下の通りです。
平均的な反応程度は小さい指標です。順跳幅は平均値よりやや小さく狙い、値幅は平均値の半分程度にしておいた方が良さそうです。指標発表直後は貿易収支の事後差異に、発表から少し経つと輸出額の実態差異に注目した方が良いでしょう。
直前10-1分足は、指標発表直後1分足の方向と過去88%一致しています。
その直後1分足は事後差異との方向一致率が88%と素直なものの、直後1分足と直後11分足の方向一致率が63%とやや低く、初期反応方向への追撃には躊躇します。むしろ、直後1分足と直後11分足が同方向の63%の事例では、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を100%超える一方、全ての事例を見てみると直後11分足値幅は直後1分足値幅を削るか反転したことが75%となっています。よって、指標発表後は1分を過ぎてから逆張りの機会を窺う方が良さそうです。
具体的には次の方法を提案します。
上記本指標要点や過去傾向を踏まえた取引方針の論拠を以下に示します。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
本指標の指標分析範囲は、2015年1月集計分〜2018年10月集計分(同年12月発表分)の46回分です。もし一貫した傾向があるなら、十分な標本数に達しています。
以下、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)の関係を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
発表結果は定時発表値を用い、後日修正されても以下に反映していません。貿易収支の推移そのものに関心がある訳でなく、発表時点の反応に関心があるので、これは当然です。
2015年以降の市場予想と発表結果の推移を下図に示します。
※ 2018年12月集計分(2019年2月発表分)反映済
そして、この間の分析対象期間の資源価格の推移を下図に示します。
上図縦軸は、鉄鉱石価格がUSD/DMTU、石炭価格がUSD/ton、原油価格がUSD/barrel、が単位で各月の平均価格をプロットしています。
2014年に貿易収支は赤字に転じ、2016年末頃まで赤字状態が続いています。この時期は、主要輸出品の鉄鉱石・石炭価格といった資源価格が下がっていた時期です。2015年秋以降は中国が中小高炉の減産や操業停止を行いました(中国は鉄鋼生産で世界のほぼ半分を占めます)。廃炉や生産調整の効果もあって、2016年には鉄鉱石価格が上昇に転じました。
資源価格が上昇し始めた2016年後半には貿易赤字が減少し始め、同年末頃には黒字転換しました。その後は2017年末頃を除き、ほぼ貿易黒字が続きました。この時期は、米中の住宅販売や自動車販売が好調だった時期にあたり、資源価格が高くなり貿易収支も好調でした。
2017年末頃に一時、赤字転換した時期は、中国での住宅開発などの景気刺激策が息切れし始め、好調だった新車販売が一時減少に転じた影響と思われます。
なお、今後は液化天然ガス(LNG)の輸出にも注目すべきかも知れません。2019年以降の数年間は、LNG生産高が世界一になる見通しを、豪政府は2018年11月に示しています。
次に、2015年以降の輸出入額の季節調整値の推移を下図に示します。
2016年後半から輸出入額が増え始めています。
先述の通り、本指標の分析には貿易収支しか用いません。輸出・輸入・貿易総額については、市場予想がありません(あるかも知れませんが、あまり目にしません)。
下表は、貿易収支の各差異と各ローソク足の方向一致率と、輸出・輸入・貿易総額の実態差異と直後11分足の方向一致率を整理したものです。
実態差異と直後11分足の方向一致率で、貿易収支の良し悪しよりも輸出額の増減の方が反応方向への影響が強いようです。
よって、本指標の各判別式は、
としておきます。
事前差異判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線に対応)と直前10-1分足の方向一致率は38%しかありません。市場予想なんか関係ありません。
事後差異判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は88%です。指標発表直後は、市場予想との大小関係に非常に素直に反応します。
実態差異判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は63%です。この判別式だけ、輸出額の差異なのでちょっと面倒です。
参考までに、各差異判別式の解の期間毎の平均値と全平均値を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
指標発表後の反応方向との相関が高い事後差異は、2017年を除けば0.7[10億AUD]付近で安定しています。けれども毎年、事前差異はそれより小さくなっています。平均的には、市場予想の変動は発表結果の変動の半分ぐらいしかない、ということがわかります。
本指標が小売売上高と同時発表されたときは、反応方向への影響力が、貿易収支<小売売上高、の関係となります。
1.1項に図示したように、貿易収支と鉄鉱石価格とは相関がある可能性があります。
幸い、貿易収支は翌々月に発表されるため、その月の鉄鉱石価格が上昇したか下落したかを知ってから貿易収支の発表を迎えることになります。
がしかし、この対比には意味がありません。1.2項に記した通り、貿易収支実態差異と直後11分足は方向一致率が50%で、もし鉄鉱石価格が貿易集を先行示唆しているにせよ、反応方向との相関が見出せないからです。
参考までに下図は、貿易収支と鉄鉱石価格の実態差異の方向一致率を示しています。横軸は「鉄鉱石価格が貿易収支より〇か月先行」と読みます。
同様に、輸出額と鉄鉱石価格の関係を示します。
貿易収支や輸出額と鉄鉱石価格は僅かに同期している兆しが見えます。がしかし、この結果を取引に活用することはできません。方向一致率が低く、ポジションの根拠にできません。
この結果は、価格が高いときにモノを買う人は居ない、という常識に沿ったものです。けれども、価格上昇が続くと、その心理は反転します。もっと高くなる前に買っておこう、と。よって、このグラフの一致率が高い時差には納得できる点があります。
なお、日本だけかも知れませんが、大手製鉄会社は四半期ごとに豪州からの鉄鉱石購入価格を合意する契約となっています。
分析は、反応程度の大きさだけを取り上げる方法と、反応方向だけを取り上げる方法と、それらを事前に示唆する予兆がないか、について行います。
以下、反応方向に関する分析は、2017年10月集計分〜2018年10月集計分のうち、本指標が小売売上高と同時発表されなかった8回です。標本数が少ないため、反応方向に関わる期待的中率(各種の確率)は、まだ精度が悪い可能性が高いことを予めご承知おきください。
過去の4本足チャートの各ローソク足の平均値と分布を下表に纏めておきます。
平均的な反応程度は小さい指標です。
順跳幅は平均値よりやや小さく狙い、値幅は平均値の半分程度にしておいた方が良さそうです。
いま、各ローソク足始値で完璧な事前分析に基づきポジションをオーダーし、各ローソク足順跳幅の先端で完璧に利確できる完璧な取引ができたとします。それほど完璧な取引が行えたなら、1回の発表での4本のローソク足順跳幅で平均29pipsが稼げます。
当然、そんな完璧な分析も完璧な取引も不可能なので、1回の発表で狙うのはその2〜4割ぐらいにしておけば良いでしょう(6〜12pips)。その期間の動き全体の2〜4割しか狙わなければ、無理のない取引で勝率を稼ぎやすく、長期に亘る本指標取引での収益を最大化しやすい、との個人的感触があります。
ご参考まで。
次に、期間毎に区切った直前10-1分足と直後1分足と直後11分足の反応程度の推移を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
まだ、2018年発表分しか集計できていません。
平均値をアテにするなら、直前10-1分足値幅を基準に、直後1分足値幅はその2倍、直後11分足値幅はその3倍と思っておけば良い訳です。
それにしても反応が小さいため、本指標は跳幅を狙わないと、取引する意味がありません。
個別反応分析は、勝率よりも期待値を重視して取引するための分析です。合理的とは言えるものの、例え連敗が続いてもずっと同じやり方で取引を続ける不屈さが必須です。
多くの指標では、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなりがちなことがわかっています。けれども、方向こそ一致しがちでも、事後差異の大きさと直後1分足値幅が比例的になる指標は少ないことがわかっています。
事後差異判別式の解(横軸)と直後1分足終値(縦軸)の関係と、直後1分足終値(横軸)と直後11分足終値(縦軸)の関係を下図に示します。前者が初期反応、後者がその後の伸びを示します。
初期反応方向は素直なものの、指標発表から1分後と11分後では反応を伸ばすと言えません。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細はこちらを参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細はこちらを参照願います。
いずれも反応程度を問題にせず、反応方向の一致回数だけを問題にしています。
方向率は、直前1分足の陽線率が75%、直後1分足の陽線率が88%、と偏りが見られます。
指標方向一致率は、事後差異と直後1分足・直後11分足が各88%・75%となっています。反応方向一致率は、直前10-1分足と直後11分足が88%となっています。
次に、反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で追撃が有効か否かが判断できます。詳細はこちらを参照願います。
直後1分足と直後11分足の方向が一致したことは過去63%あります。その63%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしていたことは100%です。けれども、直後1分足と直後11分足の方向が一致しているときでさえ、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしていたことは40%しかありません。
全ての場合において、直後1分足終値がついた時点から直後11分足終値を見ると、終値同士で反応を伸ばしたことは25%しかなく、直後1分足終値が付いたら逆張りした方が良さそうです。
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
図の歯抜け箇所は反応分析対象外です
下図は直前10-1分足・直前1分足・直後1分足の各始値基準ローソク足です。
この間に、先に形成されるローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
直前1分足や直後1分足の過去陽線率には偏りがあるものの、直後1分足は事後差異との方向一致率が88%あり、この間は発表結果が市場予想よりも大きかったことが多かったためです。
世界的な景気減速懸念が強まっていることを踏まえると、今後も陽線率が高い状況が続くか疑問があります。
気になることがあるときは、取引しないのが一番です。
直前10-1分足と直後11分足の方向一致率は88%にも達しています。また、直後1分足終値に対して直後11分足終値は、値幅を削るか反転したことが75%に達します。
事前差異がどうあれ、直後1分足の方向がどうあれ、多くの本指標発表前後の取引参加者はそれらのことを知っているはずです。知らずに取引するのは残念です。
下図をご覧ください。
指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを得て、発表直後の跳ねか、発表から1分を過ぎて直後11分足跳幅を狙って利確/損切です。
また、指標発表後に反応が10pipsを超えたら逆張りです。けれども、2018年9月の直後1分足と直後11分足をご覧ください。逆張りを放置すると損切が大きくなります。そこで、逆張りの利確/損切の目安は5pipsぐらいにしておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率を下げてしまいがちです。
取引成績は、この分析に記載方針に沿って実際に取引を行った結果だけを纏めています。実際に取引した結果以外は、例え事前方針が妥当だったとしてもここには含みません。また、事前方針に挙げていない取引(方針外取引)の成績は含めません。
実際の取引は、例え結果的に陽線だったとしても終値1秒前まで長い陰線側へのヒゲをずっと形成していたりします。そういった場合、事前のその期間の取引方針がロングが正解かショートが正解かわかりません。実際の取引で利確できたか損切せざるを得なかったかだけが公平な判定基準だと言えます。そして、方針外取引をここに含めると、事前分析の有効性が後日検証できなくなってしまいます。
取引方針の記述を、勝ちやすく・分析結果を誤解しにくく・自己裁量部分がわかるように、進歩・改善していくしかありません。記述はがんじがらめ過ぎても取引がうまくいきません。その兼ね合いが難しいので、試行錯誤しています。
反応分析の回数も少なく、各種数値が安定するにはまだ1・2年を要するでしょう。
※ 2019年2月18日最新版に差替
2019年個別記録先
※ 書式統一:2018年12月31日
※ 1.1訂:指標推移グラフ更新、成績表更新:2019年2月18日
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
スキャル専用口座とHPで公言している会社です。取引回数が増えるほど、キャッシュバック額も多くなります。今なら「小林芳彦あられ」のプレゼントももらえます。あられが欲しいとは思わないけれど、私は同氏のファンです。
同氏はホンモノに強いので、大きな指標発表前には取引を控えることを表明しています。確かに、かつて同氏のツイッター通りに1か月ぐらい取引したら、その間の勝率は70%ぐらいになりました。きっと、エントリーとイグジットのタイミングを私がもっとうまく捉えられたなら、この勝率は更に高くなっていたのでしょう。
会員限定の彼の解説が読めることも、この会社を薦める理由です。
経済指標発表前後以外は、彼の相場感をアテにして、エントリーとイグジットのタイミングやミスジャッジしたときの撤退(損切)のセンスを磨くというのは、練習法としてアリだと思います。
彼の解説を読んで思うのは、テクニカル指標や、個々のファンダメンタルの変化を捉えるだけではダメだということです。それらの軽重判断を反応方向や程度に結び付けて、収益期待値が高く保てないと、有益な相場観とは言えないことがよくわかります。
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豪州貿易統計(International Trade in Goods and Services)は、 オーストラリア統計局 (Australian Bureau of Statistics)が、モノとサービスの貿易収支額・輸出額・輸入額と、それらの季節調整済額と、それらの前月比を発表する指標です。翌々月に発表され、更に2か月遡って修正値が発表されます。例えば5月発表値は3月の集計分で、2月分と1月分が修正されることがあります。但し、指標発表直後に注目されるのは最新の季節調整された貿易収支額と輸出額です(発表事例)。
以下、特に断らない限り季節調整済の貿易収支額や輸出額を単に「貿易収支」「輸出」と表記します。
豪州貿易収支(数10億AUD〜百数10億AUD/年)は、GDP(約1.7兆AUD、名目値)に比べると、決して大きくありません。けれども、貿易全体の概要をざっくりまとめると、
- 貿易総額: 6,726億AUD、対名目GDP比39.6%
- 貿易相手:(1)中国23.1%(2)米国9.6%(3)日本9.1%
- 輸出品目:(1)鉄鉱石(16.3%)(2)石炭(12.8%)(3)教育関連旅行サービス(6.6%)
- 輸入品目:(1)個人旅行サービス(8.3%)(2)乗用車(6.4%)(3)精製油(4.3%)
です。なお、上記数値は2016年基準で、出典は外務省HPのオーストラリアの項を引用しています。
貿易収支がGDPに占める比率が小さくても、貿易総額はGDPの約40%に当たります。この総額の付加価値分だけがGDPへの寄与になりますが、貿易の好不調が豪州景気への影響が大きいことは想像がつきます。
参考までに、日本の場合、名目GDP539兆円に対して貿易の総額は152兆円なので、対名目GDP比28.2%です。貿易額が減ると景気への波及効果が大きいのは、近年どこの国でも同じですが、豪州はGDPに対する貿易額が大きいため、貿易の好不調が経済に与える影響が大きい訳です。
貿易額さえ大きければ赤字・黒字が国内景気とあまり関係ないようです。それなのに貿易収支の多寡にAUDが素直に反応するのはちょっと不思議です。
気になるのは、FXをやらない人たちの中には、何となく資源輸出国の豪州を貿易黒字国と誤解をしている人が結構います。がしかし、豪州は過去ほとんどの時期が貿易赤字状態で、貿易黒字状態の時期が少ない国です。最近は、その限られた貿易黒字の時期です。
下図をご覧ください。下図は、1980年以降5年毎と2015年以降毎年の輸出額・輸入額と貿易収支額・経常収支額の推移です。
資源輸出国は、一般に輸出が好調なら景気が良くなります。けれども、景気が良くなっっても製造業の裾野が狭いため輸入も増えます。その結果、左図のように輸出入額はいつも拮抗し、右図のように収支は中国で建設ラッシュが起きていた2010年頃を除いて赤字の方が通常になっています。
なお、上右図の経常収支は、本稿とは別の主題になりますが、かつては鉱山投資、最近は住宅投資、そして以前から比較的高金利で信用格付けの高い債券投資(にリンクした生命保険等)が好調だったため、経常収支も慢性的な赤字です。被投資国は投資への配当や利息を払い続けることになるため、長く見れば持ち出しが増えて経常収支は慢性的な赤字になってしまいます。そうでなければ、誰も投資なんてしません。
世界景気が後退すれば、海外からの投資資金は引き上げられるとともに、頼みの資源輸出も減速するため、客観的にはAUDが安全な通貨だとは思えません。一方、日本は投資国なので、景気後退期やリスク発生時にはAUDJPYが大きくAUD売JPY買に動きます。現にリーマンショック後のAUDJPYはほぼ半値まで下げ、先進主要国で最も大きく通貨価値を下げました。
だから、AUDは長期でレバレッジを使った投資には向かない通貨で、ここ2年ぐらい貿易黒字が続いても安心できません。投資資金を現地に留めて、その配当や利息を地道に得る方が適しているようです。
近年、中国人資産家は、問題になるほど現地住宅を購入し、その家賃収入をバックさせていたことが知られています。
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本分析結果に基づく過去傾向を踏まえた取引方針は、以下の通りです。
平均的な反応程度は小さい指標です。順跳幅は平均値よりやや小さく狙い、値幅は平均値の半分程度にしておいた方が良さそうです。指標発表直後は貿易収支の事後差異に、発表から少し経つと輸出額の実態差異に注目した方が良いでしょう。
直前10-1分足は、指標発表直後1分足の方向と過去88%一致しています。
その直後1分足は事後差異との方向一致率が88%と素直なものの、直後1分足と直後11分足の方向一致率が63%とやや低く、初期反応方向への追撃には躊躇します。むしろ、直後1分足と直後11分足が同方向の63%の事例では、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を100%超える一方、全ての事例を見てみると直後11分足値幅は直後1分足値幅を削るか反転したことが75%となっています。よって、指標発表後は1分を過ぎてから逆張りの機会を窺う方が良さそうです。
具体的には次の方法を提案します。
- 指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを得て、発表直後の跳ねか、発表から1分を過ぎて直後11分足跳幅を狙って利確/損切です。
- 指標発表後に反応が10pipsを超えたら逆張りです。逆張りの利確/損切の目安は5pipsぐらいにしておきましょう。
上記本指標要点や過去傾向を踏まえた取引方針の論拠を以下に示します。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
T.指標分析
本指標の指標分析範囲は、2015年1月集計分〜2018年10月集計分(同年12月発表分)の46回分です。もし一貫した傾向があるなら、十分な標本数に達しています。
以下、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)の関係を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
【1.1 指標推移】
発表結果は定時発表値を用い、後日修正されても以下に反映していません。貿易収支の推移そのものに関心がある訳でなく、発表時点の反応に関心があるので、これは当然です。
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2015年以降の市場予想と発表結果の推移を下図に示します。
※ 2018年12月集計分(2019年2月発表分)反映済
そして、この間の分析対象期間の資源価格の推移を下図に示します。
上図縦軸は、鉄鉱石価格がUSD/DMTU、石炭価格がUSD/ton、原油価格がUSD/barrel、が単位で各月の平均価格をプロットしています。
2014年に貿易収支は赤字に転じ、2016年末頃まで赤字状態が続いています。この時期は、主要輸出品の鉄鉱石・石炭価格といった資源価格が下がっていた時期です。2015年秋以降は中国が中小高炉の減産や操業停止を行いました(中国は鉄鋼生産で世界のほぼ半分を占めます)。廃炉や生産調整の効果もあって、2016年には鉄鉱石価格が上昇に転じました。
資源価格が上昇し始めた2016年後半には貿易赤字が減少し始め、同年末頃には黒字転換しました。その後は2017年末頃を除き、ほぼ貿易黒字が続きました。この時期は、米中の住宅販売や自動車販売が好調だった時期にあたり、資源価格が高くなり貿易収支も好調でした。
2017年末頃に一時、赤字転換した時期は、中国での住宅開発などの景気刺激策が息切れし始め、好調だった新車販売が一時減少に転じた影響と思われます。
なお、今後は液化天然ガス(LNG)の輸出にも注目すべきかも知れません。2019年以降の数年間は、LNG生産高が世界一になる見通しを、豪政府は2018年11月に示しています。
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次に、2015年以降の輸出入額の季節調整値の推移を下図に示します。
2016年後半から輸出入額が増え始めています。
【1.2 指標結果良否判定】
先述の通り、本指標の分析には貿易収支しか用いません。輸出・輸入・貿易総額については、市場予想がありません(あるかも知れませんが、あまり目にしません)。
下表は、貿易収支の各差異と各ローソク足の方向一致率と、輸出・輸入・貿易総額の実態差異と直後11分足の方向一致率を整理したものです。
実態差異と直後11分足の方向一致率で、貿易収支の良し悪しよりも輸出額の増減の方が反応方向への影響が強いようです。
よって、本指標の各判別式は、
- 事前差異判別式=貿易収支の(市場予想ー前回結果)
- 事後差異判別式=貿易収支の(発表結果ー市場予想)
- 実態差異判別式=輸出額の(発表結果ー前回結果)
としておきます。
事前差異判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線に対応)と直前10-1分足の方向一致率は38%しかありません。市場予想なんか関係ありません。
事後差異判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は88%です。指標発表直後は、市場予想との大小関係に非常に素直に反応します。
実態差異判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は63%です。この判別式だけ、輸出額の差異なのでちょっと面倒です。
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参考までに、各差異判別式の解の期間毎の平均値と全平均値を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
指標発表後の反応方向との相関が高い事後差異は、2017年を除けば0.7[10億AUD]付近で安定しています。けれども毎年、事前差異はそれより小さくなっています。平均的には、市場予想の変動は発表結果の変動の半分ぐらいしかない、ということがわかります。
【1.3 指標間一致性分析】
(1.3.1 過去同時発表指標との反応方向への影響力強弱)
本指標が小売売上高と同時発表されたときは、反応方向への影響力が、貿易収支<小売売上高、の関係となります。
(1.3.2 資源価格との対比)
1.1項に図示したように、貿易収支と鉄鉱石価格とは相関がある可能性があります。
幸い、貿易収支は翌々月に発表されるため、その月の鉄鉱石価格が上昇したか下落したかを知ってから貿易収支の発表を迎えることになります。
がしかし、この対比には意味がありません。1.2項に記した通り、貿易収支実態差異と直後11分足は方向一致率が50%で、もし鉄鉱石価格が貿易集を先行示唆しているにせよ、反応方向との相関が見出せないからです。
参考までに下図は、貿易収支と鉄鉱石価格の実態差異の方向一致率を示しています。横軸は「鉄鉱石価格が貿易収支より〇か月先行」と読みます。
同様に、輸出額と鉄鉱石価格の関係を示します。
貿易収支や輸出額と鉄鉱石価格は僅かに同期している兆しが見えます。がしかし、この結果を取引に活用することはできません。方向一致率が低く、ポジションの根拠にできません。
この結果は、価格が高いときにモノを買う人は居ない、という常識に沿ったものです。けれども、価格上昇が続くと、その心理は反転します。もっと高くなる前に買っておこう、と。よって、このグラフの一致率が高い時差には納得できる点があります。
なお、日本だけかも知れませんが、大手製鉄会社は四半期ごとに豪州からの鉄鉱石購入価格を合意する契約となっています。
【1.4 指標分析結論】
- 豪州は、貿易総額がGDPの約40%を占めている輸出依存度が高い国です。過去ほとんどの期間の貿易収支は赤字なので、赤字が必ずしもAUD安に繋がる訳ではありませんが、輸出額ないしは貿易総額の減少時期はAUDJPYが急落するリスクがあります。
直近2年間ぐらい貿易黒字となっていますが、それに安心してレバレッジを効かせたAUDを長期保有すべきではありません。 - 指標発表直後は貿易収支の事後差異に、発表から少し経つと輸出額の実態差異に注目した方が良いでしょう。貿易収支や輸出額と資源価格とは同期している兆しが僅かに窺えるものの、信頼度が高い兆しではありません。
U.反応分析
分析は、反応程度の大きさだけを取り上げる方法と、反応方向だけを取り上げる方法と、それらを事前に示唆する予兆がないか、について行います。
以下、反応方向に関する分析は、2017年10月集計分〜2018年10月集計分のうち、本指標が小売売上高と同時発表されなかった8回です。標本数が少ないため、反応方向に関わる期待的中率(各種の確率)は、まだ精度が悪い可能性が高いことを予めご承知おきください。
【2.1 反応程度】
過去の4本足チャートの各ローソク足の平均値と分布を下表に纏めておきます。
平均的な反応程度は小さい指標です。
順跳幅は平均値よりやや小さく狙い、値幅は平均値の半分程度にしておいた方が良さそうです。
いま、各ローソク足始値で完璧な事前分析に基づきポジションをオーダーし、各ローソク足順跳幅の先端で完璧に利確できる完璧な取引ができたとします。それほど完璧な取引が行えたなら、1回の発表での4本のローソク足順跳幅で平均29pipsが稼げます。
当然、そんな完璧な分析も完璧な取引も不可能なので、1回の発表で狙うのはその2〜4割ぐらいにしておけば良いでしょう(6〜12pips)。その期間の動き全体の2〜4割しか狙わなければ、無理のない取引で勝率を稼ぎやすく、長期に亘る本指標取引での収益を最大化しやすい、との個人的感触があります。
ご参考まで。
ーーー$€¥£A$ーーー
次に、期間毎に区切った直前10-1分足と直後1分足と直後11分足の反応程度の推移を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
まだ、2018年発表分しか集計できていません。
平均値をアテにするなら、直前10-1分足値幅を基準に、直後1分足値幅はその2倍、直後11分足値幅はその3倍と思っておけば良い訳です。
それにしても反応が小さいため、本指標は跳幅を狙わないと、取引する意味がありません。
【2.2 個別反応分析】
個別反応分析は、勝率よりも期待値を重視して取引するための分析です。合理的とは言えるものの、例え連敗が続いてもずっと同じやり方で取引を続ける不屈さが必須です。
多くの指標では、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなりがちなことがわかっています。けれども、方向こそ一致しがちでも、事後差異の大きさと直後1分足値幅が比例的になる指標は少ないことがわかっています。
事後差異判別式の解(横軸)と直後1分足終値(縦軸)の関係と、直後1分足終値(横軸)と直後11分足終値(縦軸)の関係を下図に示します。前者が初期反応、後者がその後の伸びを示します。
初期反応方向は素直なものの、指標発表から1分後と11分後では反応を伸ばすと言えません。
【2.3 回数反応分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細はこちらを参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細はこちらを参照願います。
いずれも反応程度を問題にせず、反応方向の一致回数だけを問題にしています。
方向率は、直前1分足の陽線率が75%、直後1分足の陽線率が88%、と偏りが見られます。
指標方向一致率は、事後差異と直後1分足・直後11分足が各88%・75%となっています。反応方向一致率は、直前10-1分足と直後11分足が88%となっています。
次に、反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で追撃が有効か否かが判断できます。詳細はこちらを参照願います。
直後1分足と直後11分足の方向が一致したことは過去63%あります。その63%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしていたことは100%です。けれども、直後1分足と直後11分足の方向が一致しているときでさえ、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしていたことは40%しかありません。
全ての場合において、直後1分足終値がついた時点から直後11分足終値を見ると、終値同士で反応を伸ばしたことは25%しかなく、直後1分足終値が付いたら逆張りした方が良さそうです。
【2.4 反応分析結論】
- 平均的な反応程度は小さい指標です。順跳幅は平均値よりやや小さく狙い、値幅は平均値の半分程度にしておいた方が良さそうです。
- 直前10-1分足は、指標発表直後1分足の方向と過去88%一致しています。
その直後1分足は事後差異との方向一致率が88%と素直なものの、直後1分足と直後11分足の方向一致率が63%とやや低く、初期反応方向への追撃には躊躇します。むしろ、直後1分足と直後11分足が同方向の63%の事例では、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を100%超える一方、全ての事例を見てみると直後11分足値幅は直後1分足値幅を削るか反転したことが75%となっています。よって、指標発表後は1分を過ぎてから逆張りの機会を窺う方が良さそうです。
V.取引方針
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
図の歯抜け箇所は反応分析対象外です
【3.1 指標発表前】
下図は直前10-1分足・直前1分足・直後1分足の各始値基準ローソク足です。
この間に、先に形成されるローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
直前1分足や直後1分足の過去陽線率には偏りがあるものの、直後1分足は事後差異との方向一致率が88%あり、この間は発表結果が市場予想よりも大きかったことが多かったためです。
世界的な景気減速懸念が強まっていることを踏まえると、今後も陽線率が高い状況が続くか疑問があります。
気になることがあるときは、取引しないのが一番です。
【3.2 指標発表後】
直前10-1分足と直後11分足の方向一致率は88%にも達しています。また、直後1分足終値に対して直後11分足終値は、値幅を削るか反転したことが75%に達します。
事前差異がどうあれ、直後1分足の方向がどうあれ、多くの本指標発表前後の取引参加者はそれらのことを知っているはずです。知らずに取引するのは残念です。
下図をご覧ください。
指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを得て、発表直後の跳ねか、発表から1分を過ぎて直後11分足跳幅を狙って利確/損切です。
また、指標発表後に反応が10pipsを超えたら逆張りです。けれども、2018年9月の直後1分足と直後11分足をご覧ください。逆張りを放置すると損切が大きくなります。そこで、逆張りの利確/損切の目安は5pipsぐらいにしておきましょう。
【3.3 方針結論】
- 指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを得て、発表直後の跳ねか、発表から1分を過ぎて直後11分足跳幅を狙って利確/損切です。
- 指標発表後に反応が10pipsを超えたら逆張りです。逆張りの利確/損切の目安は5pipsぐらいにしておきましょう。
W.分析結論
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率を下げてしまいがちです。
- 豪州は、貿易総額がGDPの約40%を占めている輸出依存度が高い国です。過去ほとんどの期間の貿易収支は赤字なので、赤字が必ずしもAUD安に繋がる訳ではありませんが、輸出額ないしは貿易総額の減少時期はAUDJPYが急落するリスクがあります。
直近2年間ぐらい貿易黒字となっていますが、それに安心してレバレッジを効かせたAUDを長期保有すべきではありません。 - 指標発表直後は貿易収支の事後差異に、発表から少し経つと輸出額の実態差異に注目した方が良いでしょう。貿易収支や輸出額と資源価格とは同期している兆しが僅かに窺えるものの、信頼度が高い兆しではありません。
- 平均的な反応程度は小さい指標です。順跳幅は平均値よりやや小さく狙い、値幅は平均値の半分程度にしておいた方が良さそうです。
- 直前10-1分足は、指標発表直後1分足の方向と過去88%一致しています。
その直後1分足は事後差異との方向一致率が88%と素直なものの、直後1分足と直後11分足の方向一致率が63%とやや低く、初期反応方向への追撃には躊躇します。むしろ、直後1分足と直後11分足が同方向の63%の事例では、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を100%超える一方、全ての事例を見てみると直後11分足値幅は直後1分足値幅を削るか反転したことが75%となっています。よって、指標発表後は1分を過ぎてから逆張りの機会を窺う方が良さそうです。
X.過去成績
取引成績は、この分析に記載方針に沿って実際に取引を行った結果だけを纏めています。実際に取引した結果以外は、例え事前方針が妥当だったとしてもここには含みません。また、事前方針に挙げていない取引(方針外取引)の成績は含めません。
実際の取引は、例え結果的に陽線だったとしても終値1秒前まで長い陰線側へのヒゲをずっと形成していたりします。そういった場合、事前のその期間の取引方針がロングが正解かショートが正解かわかりません。実際の取引で利確できたか損切せざるを得なかったかだけが公平な判定基準だと言えます。そして、方針外取引をここに含めると、事前分析の有効性が後日検証できなくなってしまいます。
取引方針の記述を、勝ちやすく・分析結果を誤解しにくく・自己裁量部分がわかるように、進歩・改善していくしかありません。記述はがんじがらめ過ぎても取引がうまくいきません。その兼ね合いが難しいので、試行錯誤しています。
反応分析の回数も少なく、各種数値が安定するにはまだ1・2年を要するでしょう。
※ 2019年2月18日最新版に差替
2019年個別記録先
※ 書式統一:2018年12月31日
※ 1.1訂:指標推移グラフ更新、成績表更新:2019年2月18日
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
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同氏はホンモノに強いので、大きな指標発表前には取引を控えることを表明しています。確かに、かつて同氏のツイッター通りに1か月ぐらい取引したら、その間の勝率は70%ぐらいになりました。きっと、エントリーとイグジットのタイミングを私がもっとうまく捉えられたなら、この勝率は更に高くなっていたのでしょう。
会員限定の彼の解説が読めることも、この会社を薦める理由です。
経済指標発表前後以外は、彼の相場感をアテにして、エントリーとイグジットのタイミングやミスジャッジしたときの撤退(損切)のセンスを磨くというのは、練習法としてアリだと思います。
彼の解説を読んで思うのは、テクニカル指標や、個々のファンダメンタルの変化を捉えるだけではダメだということです。それらの軽重判断を反応方向や程度に結び付けて、収益期待値が高く保てないと、有益な相場観とは言えないことがよくわかります。
広告以上
2018年12月27日
豪州住宅指標「住宅ローン件数」発表前後のAUDJPY反応分析(1.1訂版)
本稿は、過去の本指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のAUDJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
豪州住宅ファイナンス(Housing Finance)は、 オーストラリア統計局 (Australian Bureau of Statistics)が、住宅・建築・新築購入・既成購入(中古・新古?)の件数や、住宅向け・投資向けの融資金額など、を発表する指標です。
その代表的な指標項目が住宅件数(いわゆる「住宅ローン件数(Investment housing - fixed loans)」)で、季節調整された住宅融資件数(Number of dwelling commitmentsの表のOwner occupied housingの行)の前月比(% changeの項)が注目されます(発表事例 )。どこに表示されているか、見つけにくいですよね。
そんなややこしい発表のややこしい項目に注目するぐらいなら、季節調整前データの前年同月比をヘッドラインにして発表してくれた方が良いのに、と思います。がしかし、現実問題として(季節調整された)住宅ローン件数前月比が、本指標発表直後の反応方向を決めているのだから、文句を言っても仕方ありません。
一部のFX会社の指標カレンダーでは、季節調整された総融資金額の前月比(いわゆる「住宅投資額前月比」)も紹介されています。けれども、反応方向への影響力は、件数>金額、の実績があります。住宅投資額前月比は、市場予想すら行わていない(見つからない)ことがあるので、気にしなくても良いでしょう。
本指標は、結果の良し悪しに素直に反応し、反応程度が小さい指標に珍しく反応方向への影響持続時間が長いようです。この特徴は、欲張らなければ追撃で稼ぎやすい、ということでもあります。
事後差異と直後1分足の方向一致率は過去91%にも達します。そして、実態差異と直後11分足の方向一致率も過去82%に達します。これら数値の高さは、本指標発表後の反応方向の特徴と言えます。
本分析結果に基づく過去傾向を踏まえた取引方針は、以下の通りです。
上記本指標要点や過去傾向を踏まえた取引方針の論拠を以下に示します。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
以下、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)の関係を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
1.1項を除く分析対象範囲は、2015年1月集計分〜2018年10月集計分(同年12月発表分)の45回分です。過去の市場予想にクセがあるなら、それを抽出するのに十分な標本数に達しました。
発表結果は定時発表値を用い、後日修正されても以下に反映していません。住宅価格の推移そのものに関心がある訳でなく、発表時点の反応に関心があるので、これは当然です。
住宅ローン件数前月比(以下、単に「前月比」と略記します)の市場予想と発表結果の推移を下図に示します。
上図を一見、2017年途中まで、市場予想が上昇/下降している月は発表結果も上昇/下降し、市場予想は増減の方向精度が高いことが見て取れます。けれども、2017年途中からは、以前に比べて上下動が小さくなって、市場予想の増減方向と発表結果の増減方向に不一致が目立つようになっていることに気が付きます。
さて、我々には馴染のない仕組みですが、豪州住宅ローンには金利のみ返済ローンというのがあります(日本に金利のみ返済ローンがあるかないかは知りません)。このローンは、元利返済できないから使う訳ではありません。投資目的の場合、金利だけ支払う方が何軒も投資しやすくなります。そして、豪州の住宅の40%弱は外国人所有で、そのほとんどが中国人投資家と言われていました(2016年以前の状況)。
こうした状況は、当然のことながら地元で反発を受けてしまいます。折り悪くこの頃、確か軍基地近くの港湾や土地を買収した中国資本や、中国資本からの政治献金の存在が問題視され、安全保障上の懸念が高まり状況が一変しました。
2017年4月には、豪健全性規制庁(APRA)が銀行やローン会社への監視・規制強化策を発表し、主要銀行も金利を引き上げました。名称から内容に想像がつく「ゴーストハウス税」も外国人を対象に適用が強化されました。
こうした一連の動きは、2017年末頃から住宅価格の上昇を抑え込んだ、とされています。2018年に入ってからは、とうとう住宅価格指数前年比が3四半期続けてマイナスとなりました。
住宅価格の上昇が減速から下降に転じ始めた時期と、市場予想の方向精度が悪化し始めた時期がだいたい一致しています。融資の審査に時間のかかる外国人の投資が減った結果、市場予想の精度が下がったのかも知れません。
先述の通り、本指標の分析には前月比しか用いません。
よって、本指標の各判別式は、
です。
事前差異判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線に対応)と直前10-1分足の方向一致率は45%しかありません。市場予想なんか関係ありません。
事後差異判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は91%です。指標発表直後は、市場予想との大小関係に極めて素直に反応します。
実態差異判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は82%です。指標発表直後は、前回結果との大小関係に非常に素直に反応します。
参考までに、各差異判別式の解の期間毎の平均値と全平均値を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
下図は分析対象期間全ての事例での平均値となります。
以前から一貫して事後差異が小さいことがわかります。実態差異に比べて事後差異が小さいということは、変化の大きさの割に予想の精度が高いことを示しています。
本指標は、NAB企業信頼感指数やRBA四半期金融政策報告と同時発表されたことがあります。
後述するように、本指標自体の反応程度は小さいので、同時発表指標があるときは方向判定を行わないことにします。
本指標発表の前に同月集計分の建設許可件数前月比が発表されます。直観的には、建設許可件数と住宅ローン件数の間には時差を伴う連動があってもおかしくない気がします。がしかし、建設許可件数は「許可が必要」な地域での「新築」に必要な許可の件数です。だから、住宅ローン件数の一部である特定地域の新築分としか相関がありません。一部が全部を示唆しているか、を検証することになります。
両指標の過去推移を下図に示します。
上下動は同期していません。でも、もし時差があって連動しているとしても、この図からはわかりません。
そこで、両指標前月比の実態差異(=発表結果ー前回結果)同士を前後にずらして、実態差異の符号の一致率を調べておきます。
下図横軸は「建設許可件数前月比が住宅ローン件数前月比よりも〇か月先行/遅行」と読みます。縦軸は方向一致率を表しています。
図から、両指標の時差を踏まえて見比べても相関は低い、と言えます。住宅ローン件数の11か月前の建設許可件数との方向一致率は70%超となっていますが、その前後の10か月前・12か月前との方向一致率が30%台(不一致率60%台)となっており、高い一致率は偶然や誤差との区別ができません。
豪州に関する情報は少なく、同じ住宅分野に関する情報には飛び付きたくなるものです。けれども、建設許可件数前月比は住宅ローン件数前月比の一部の新築分を示唆する可能性があるに過ぎず、その時差も大きいと推察されるため、両指標間に連動や追従の兆候を見出すことはできません。
かと言って、両指標の新築分だけを見比べても意味がありません。そんなことがわかっても、本指標発表直後の反応方向に影響力はわからないからです(少なくとも本指標発表直後、誰もそんな数値を見て取引していないからです)。
分析は、反応程度の大きさだけを取り上げる方法と、反応方向だけを取り上げる方法と、それらを事前に示唆する予兆がないか、について行います。
反応方向に関する分析は、2017年9月集計分〜2018年10月集計分のうち、本指標が単独で発表された11回です。標本数が少ないため、まだ反応方向に関わる期待的中率(各種の確率)は精度が低い可能性があります。予めご承知おきください。
過去の4本足チャートの各ローソク足の平均値と分布を下表に纏めておきます。
平均的な反応程度は小さい指標です。
順跳幅が平均の2倍を超えることは少なく、跳幅での利確は過去平均値を狙えばよいことがわかります。一方、値幅は平均値より低めを目安にした方が良さそうです。
いま、各ローソク足始値で完璧な事前分析に基づきポジションをオーダーし、各ローソク足順跳幅の先端で完璧に利確できる完璧な取引ができたとします。それほど完璧な取引が行えたなら、1回の発表での4本のローソク足順跳幅で平均19pipsが稼げます。
当然、そんな完璧な分析も完璧な取引も不可能なので、1回の発表で狙うのはその2〜4割ぐらいにしておけば良いでしょう(3〜7pips)。その期間の動き全体の2〜4割しか狙わなければ、無理のない取引で勝率を稼ぎやすく、長期に亘る本指標取引での収益を最大化しやすい、との個人的感触があります。
ご参考まで。
次に、期間毎に区切った直前10-1分足と直後1分足と直後11分足の反応程度の推移を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
2017年発表分は、9月集計分と10月集計分の2回しか上図に反映されていません。
それにしても反応が小さいため、本指標は跳幅を狙わないと、取引する意味がありません。
個別反応分析は、勝率よりも期待値を重視して取引するための分析です。合理的とは言えるものの、例え連敗が続いてもずっと同じやり方で取引を続ける不屈さが必須です。
多くの指標では、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなりがちなことがわかっています。けれども、方向こそ一致しがちでも、事後差異の大きさと直後1分足値幅が比例的になる指標は少ないことがわかっています。
事後差異判別式の解(横軸)と直後1分足終値(縦軸)の関係と、直後1分足終値(横軸)と直後11分足終値(縦軸)の関係を下図に示します。前者が初期反応、後者がその後の伸びを示します。
初期反応方向は概ね素直で、指標発表から1分後と11分後では反応を伸ばしがちです。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細はこちらを参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細はこちらを参照願います。
いずれも反応程度を問題にせず、反応方向の一致回数だけを問題にしています。
方向率に極端な偏りは見られませんが、方向一致率にはいくつか偏りが見られます。
指標方向一致率と反応方向一致率に高い数値が重複する場合、反応方向一致率を優先します。反応方向一致率が、条件に関わらず最も取引参加者の動きを顕著に示す、と考えているためです。
2.1項記載の通り、直前1分足は反応が小さ過ぎるため取引に向きません。直後1分足値幅も小さく、狙うべきは直後1分足や直後11分足の跳幅しかありません。
直後1分足は、直前1分足との方向一致率が20%(不一致率80%)です。その直後1分足は、直後11分足の方向一致率が91%です。
次に、反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で追撃が有効か否かが判断できます。詳細はこちらを参照願います。
直後1分足と直後11分足の方向が一致したことは過去91%あります。その91%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしていたことは100%です。指標発表後の方向一致率が高く、その後に反応を伸ばしているのだから、初期反応方向を確認したら早期追撃開始です。
そして、直後1分足終値がついた時点から直後11分足終値を見ると、終値同士で反応を伸ばしたことも64%あり、直後1分足と直後11分足が反転していたことは9%しかありません。追撃は徹底すべきです。
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
図の歯抜け箇所は反応分析対象外です
下図は直前10-1分足・直前1分足・直後1分足の各始値基準ローソク足です。
指標発表前は、2.3項の指標一致性分析に図示した通り、直前10-1分足も直前1分足も事前差異との方向一致率が高くありません。反応程度も小さいことから、この期間の取引は行いません。
よって、この期間の関心事は、指標発表後の反応方向との関係の有無だけです。
2.3項の指標一致性分析では、事前差異と直後1分足の方向一致率が73%ありました。また、直前10-1分足と直後11分足の方向一致率は27%(不一致率73%)ありました。その直後11分足は直後1分足との方向一致率が91%に達しています。
一方、反応一致性分析では、直前1分足と直後1分足の方向一致率が20%(不一致率80%)です。けれども、直前1分足はあまりに小さく、方向識別に適していません。
よって、事前差異と直前10-1分足が逆方向ならば、指標発表直前に事前差異と同じ方向にポジションを取ります。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は91%にも達しています。その91%の方向一致時に、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅より反応を伸ばしていたことは100%です。
よって、初期反応方向を確認したら早期追撃開始です。
そして、下図をご覧ください。
この図は、本指標が単独で発表された過去11回のうち、直後1分足跳幅が4pips以上となった5回の4本足チャートです。図から、直後1分足跳幅が4pips以上に達したら、直後1分足終値がつくのを待って再追撃すれば、直後11分足跳幅を狙えることがわかります。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率を下げてしまいがちです。
本指標での過去取引実績はまだありません。
2019年個別記録先
※ 1.1訂:指標推移グラフ最新、記録先更新:2019年2月18日
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
スキャル専用口座とHPで公言している会社です。取引回数が増えるほど、キャッシュバック額も多くなります。今なら「小林芳彦あられ」のプレゼントももらえます。あられが欲しいとは思わないけれど、私は同氏のファンです。
同氏はホンモノに強いので、大きな指標発表前には取引を控えることを表明しています。確かに、かつて同氏のツイッター通りに1か月ぐらい取引したら、その間の勝率は70%ぐらいになりました。きっと、エントリーとイグジットのタイミングを私がもっとうまく捉えられたなら、この勝率は更に高くなっていたのでしょう。
会員限定の彼の解説が読めることも、この会社を薦める理由です。
経済指標発表前後以外は、彼の相場感をアテにして、エントリーとイグジットのタイミングやミスジャッジしたときの撤退(損切)のセンスを磨くというのは、練習法としてアリだと思います。
彼の解説を読んで思うのは、テクニカル指標や、個々のファンダメンタルの変化を捉えるだけではダメだということです。それらの軽重判断を反応方向や程度に結び付けて、収益期待値が高く保てないと、有益な相場観とは言えないことがよくわかります。
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豪州住宅ファイナンス(Housing Finance)は、 オーストラリア統計局 (Australian Bureau of Statistics)が、住宅・建築・新築購入・既成購入(中古・新古?)の件数や、住宅向け・投資向けの融資金額など、を発表する指標です。
その代表的な指標項目が住宅件数(いわゆる「住宅ローン件数(Investment housing - fixed loans)」)で、季節調整された住宅融資件数(Number of dwelling commitmentsの表のOwner occupied housingの行)の前月比(% changeの項)が注目されます(発表事例 )。どこに表示されているか、見つけにくいですよね。
そんなややこしい発表のややこしい項目に注目するぐらいなら、季節調整前データの前年同月比をヘッドラインにして発表してくれた方が良いのに、と思います。がしかし、現実問題として(季節調整された)住宅ローン件数前月比が、本指標発表直後の反応方向を決めているのだから、文句を言っても仕方ありません。
一部のFX会社の指標カレンダーでは、季節調整された総融資金額の前月比(いわゆる「住宅投資額前月比」)も紹介されています。けれども、反応方向への影響力は、件数>金額、の実績があります。住宅投資額前月比は、市場予想すら行わていない(見つからない)ことがあるので、気にしなくても良いでしょう。
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本指標は、結果の良し悪しに素直に反応し、反応程度が小さい指標に珍しく反応方向への影響持続時間が長いようです。この特徴は、欲張らなければ追撃で稼ぎやすい、ということでもあります。
事後差異と直後1分足の方向一致率は過去91%にも達します。そして、実態差異と直後11分足の方向一致率も過去82%に達します。これら数値の高さは、本指標発表後の反応方向の特徴と言えます。
本分析結果に基づく過去傾向を踏まえた取引方針は、以下の通りです。
- 事前差異と直前10-1分足が逆方向ならば、指標発表直前に事前差異と同じ方向にオーダーし、直後1分足の跳ねを狙います。
- 初期反応方向を確認したら早期追撃開始し、利確/損切の目安を5pipsとします。
- 直後1分足跳幅が4pips以上になったら、直後1分足終値がつくのを待って再追撃し、利確/損切の目安を5pipsとします。
上記本指標要点や過去傾向を踏まえた取引方針の論拠を以下に示します。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
T.指標分析
以下、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)の関係を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
1.1項を除く分析対象範囲は、2015年1月集計分〜2018年10月集計分(同年12月発表分)の45回分です。過去の市場予想にクセがあるなら、それを抽出するのに十分な標本数に達しました。
【1.1 指標推移】
発表結果は定時発表値を用い、後日修正されても以下に反映していません。住宅価格の推移そのものに関心がある訳でなく、発表時点の反応に関心があるので、これは当然です。
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住宅ローン件数前月比(以下、単に「前月比」と略記します)の市場予想と発表結果の推移を下図に示します。
※ 2018年12月集計分(2019年2月発表分)反映済
上図を一見、2017年途中まで、市場予想が上昇/下降している月は発表結果も上昇/下降し、市場予想は増減の方向精度が高いことが見て取れます。けれども、2017年途中からは、以前に比べて上下動が小さくなって、市場予想の増減方向と発表結果の増減方向に不一致が目立つようになっていることに気が付きます。
さて、我々には馴染のない仕組みですが、豪州住宅ローンには金利のみ返済ローンというのがあります(日本に金利のみ返済ローンがあるかないかは知りません)。このローンは、元利返済できないから使う訳ではありません。投資目的の場合、金利だけ支払う方が何軒も投資しやすくなります。そして、豪州の住宅の40%弱は外国人所有で、そのほとんどが中国人投資家と言われていました(2016年以前の状況)。
こうした状況は、当然のことながら地元で反発を受けてしまいます。折り悪くこの頃、確か軍基地近くの港湾や土地を買収した中国資本や、中国資本からの政治献金の存在が問題視され、安全保障上の懸念が高まり状況が一変しました。
2017年4月には、豪健全性規制庁(APRA)が銀行やローン会社への監視・規制強化策を発表し、主要銀行も金利を引き上げました。名称から内容に想像がつく「ゴーストハウス税」も外国人を対象に適用が強化されました。
こうした一連の動きは、2017年末頃から住宅価格の上昇を抑え込んだ、とされています。2018年に入ってからは、とうとう住宅価格指数前年比が3四半期続けてマイナスとなりました。
住宅価格の上昇が減速から下降に転じ始めた時期と、市場予想の方向精度が悪化し始めた時期がだいたい一致しています。融資の審査に時間のかかる外国人の投資が減った結果、市場予想の精度が下がったのかも知れません。
【1.2 指標結果良否判定】
先述の通り、本指標の分析には前月比しか用いません。
よって、本指標の各判別式は、
- 事前差異判別式=前月比の(市場予想ー前回結果)
- 事後差異判別式=前月比の(発表結果ー市場予想)
- 実態差異判別式=前月比の(発表結果ー前回結果)
です。
事前差異判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線に対応)と直前10-1分足の方向一致率は45%しかありません。市場予想なんか関係ありません。
事後差異判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は91%です。指標発表直後は、市場予想との大小関係に極めて素直に反応します。
実態差異判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は82%です。指標発表直後は、前回結果との大小関係に非常に素直に反応します。
ーーー$€¥£A$ーーー
参考までに、各差異判別式の解の期間毎の平均値と全平均値を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
下図は分析対象期間全ての事例での平均値となります。
以前から一貫して事後差異が小さいことがわかります。実態差異に比べて事後差異が小さいということは、変化の大きさの割に予想の精度が高いことを示しています。
【1.3 指標間一致性分析】
(1.3.1 過去同時発表指標との反応方向への影響力強弱)
本指標は、NAB企業信頼感指数やRBA四半期金融政策報告と同時発表されたことがあります。
後述するように、本指標自体の反応程度は小さいので、同時発表指標があるときは方向判定を行わないことにします。
(1.3.2 建設許可件数前月比との対比)
本指標発表の前に同月集計分の建設許可件数前月比が発表されます。直観的には、建設許可件数と住宅ローン件数の間には時差を伴う連動があってもおかしくない気がします。がしかし、建設許可件数は「許可が必要」な地域での「新築」に必要な許可の件数です。だから、住宅ローン件数の一部である特定地域の新築分としか相関がありません。一部が全部を示唆しているか、を検証することになります。
両指標の過去推移を下図に示します。
上下動は同期していません。でも、もし時差があって連動しているとしても、この図からはわかりません。
そこで、両指標前月比の実態差異(=発表結果ー前回結果)同士を前後にずらして、実態差異の符号の一致率を調べておきます。
下図横軸は「建設許可件数前月比が住宅ローン件数前月比よりも〇か月先行/遅行」と読みます。縦軸は方向一致率を表しています。
図から、両指標の時差を踏まえて見比べても相関は低い、と言えます。住宅ローン件数の11か月前の建設許可件数との方向一致率は70%超となっていますが、その前後の10か月前・12か月前との方向一致率が30%台(不一致率60%台)となっており、高い一致率は偶然や誤差との区別ができません。
豪州に関する情報は少なく、同じ住宅分野に関する情報には飛び付きたくなるものです。けれども、建設許可件数前月比は住宅ローン件数前月比の一部の新築分を示唆する可能性があるに過ぎず、その時差も大きいと推察されるため、両指標間に連動や追従の兆候を見出すことはできません。
かと言って、両指標の新築分だけを見比べても意味がありません。そんなことがわかっても、本指標発表直後の反応方向に影響力はわからないからです(少なくとも本指標発表直後、誰もそんな数値を見て取引していないからです)。
【1.4 指標分析結論】
- 本指標発表直後の反応方向への影響力は「季節調整された住宅向けローン件数の前月比」というややこしい項目に対して極めて敏感です。この項目は、多くのFX会社の経済指標カレンダーで単に「住宅ローン件数前月比」と表記されています。
一部のFX会社の経済指標カレンダーでは、同時発表項目の「住宅投資額前月比」にも着目しているものの、この項目は反応方向との相関が高くありません。 - 注目すべき住宅ローン件数前月比は、毎月の上下動が大きい割に、以前から一貫して市場予想値の精度が高いことが特徴です。
けれども、市場予想値が高いからと言って、発表結果が市場予想を上回るか下回るかは一概に言えません。一概には言えないものの、鍵はやはり市場予想値の精度が高い点にあります。市場予想が大きく前回結果と乖離しているとき、発表結果も前回結果と乖離する公算が高くなります。
そして本指標は、発表結果と前回結果の大小関係が反応方向を決める確率が高いのです。 - 豪州に関する情報は少なく、同じ住宅分野に関する情報には飛び付きたくなるものです。けれども、本指標に先立って発表される建設許可件数前月比は、住宅ローン件数前月比の一部の新築分を示唆する可能性があるに過ぎず、その時差も大きいと推察されるため、両指標間に連動や追従の兆候を見出すことはできません。
U.反応分析
分析は、反応程度の大きさだけを取り上げる方法と、反応方向だけを取り上げる方法と、それらを事前に示唆する予兆がないか、について行います。
反応方向に関する分析は、2017年9月集計分〜2018年10月集計分のうち、本指標が単独で発表された11回です。標本数が少ないため、まだ反応方向に関わる期待的中率(各種の確率)は精度が低い可能性があります。予めご承知おきください。
【2.1 反応程度】
過去の4本足チャートの各ローソク足の平均値と分布を下表に纏めておきます。
平均的な反応程度は小さい指標です。
順跳幅が平均の2倍を超えることは少なく、跳幅での利確は過去平均値を狙えばよいことがわかります。一方、値幅は平均値より低めを目安にした方が良さそうです。
いま、各ローソク足始値で完璧な事前分析に基づきポジションをオーダーし、各ローソク足順跳幅の先端で完璧に利確できる完璧な取引ができたとします。それほど完璧な取引が行えたなら、1回の発表での4本のローソク足順跳幅で平均19pipsが稼げます。
当然、そんな完璧な分析も完璧な取引も不可能なので、1回の発表で狙うのはその2〜4割ぐらいにしておけば良いでしょう(3〜7pips)。その期間の動き全体の2〜4割しか狙わなければ、無理のない取引で勝率を稼ぎやすく、長期に亘る本指標取引での収益を最大化しやすい、との個人的感触があります。
ご参考まで。
ーーー$€¥£A$ーーー
次に、期間毎に区切った直前10-1分足と直後1分足と直後11分足の反応程度の推移を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
2017年発表分は、9月集計分と10月集計分の2回しか上図に反映されていません。
それにしても反応が小さいため、本指標は跳幅を狙わないと、取引する意味がありません。
【2.2 個別反応分析】
個別反応分析は、勝率よりも期待値を重視して取引するための分析です。合理的とは言えるものの、例え連敗が続いてもずっと同じやり方で取引を続ける不屈さが必須です。
多くの指標では、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなりがちなことがわかっています。けれども、方向こそ一致しがちでも、事後差異の大きさと直後1分足値幅が比例的になる指標は少ないことがわかっています。
事後差異判別式の解(横軸)と直後1分足終値(縦軸)の関係と、直後1分足終値(横軸)と直後11分足終値(縦軸)の関係を下図に示します。前者が初期反応、後者がその後の伸びを示します。
初期反応方向は概ね素直で、指標発表から1分後と11分後では反応を伸ばしがちです。
【2.3 回数反応分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細はこちらを参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細はこちらを参照願います。
いずれも反応程度を問題にせず、反応方向の一致回数だけを問題にしています。
方向率に極端な偏りは見られませんが、方向一致率にはいくつか偏りが見られます。
指標方向一致率と反応方向一致率に高い数値が重複する場合、反応方向一致率を優先します。反応方向一致率が、条件に関わらず最も取引参加者の動きを顕著に示す、と考えているためです。
2.1項記載の通り、直前1分足は反応が小さ過ぎるため取引に向きません。直後1分足値幅も小さく、狙うべきは直後1分足や直後11分足の跳幅しかありません。
直後1分足は、直前1分足との方向一致率が20%(不一致率80%)です。その直後1分足は、直後11分足の方向一致率が91%です。
次に、反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で追撃が有効か否かが判断できます。詳細はこちらを参照願います。
直後1分足と直後11分足の方向が一致したことは過去91%あります。その91%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしていたことは100%です。指標発表後の方向一致率が高く、その後に反応を伸ばしているのだから、初期反応方向を確認したら早期追撃開始です。
そして、直後1分足終値がついた時点から直後11分足終値を見ると、終値同士で反応を伸ばしたことも64%あり、直後1分足と直後11分足が反転していたことは9%しかありません。追撃は徹底すべきです。
【2.4 反応分析結論】
- 平均的な反応程度は小さい指標です。反応こそ小さいものの、反応方向は指標結果の良し悪しに素直で、影響持続時間が長い傾向が見られます。その間に跳幅を狙わないと、取引する意味がありません。
- 直後1分足と直後11分足の方向が一致したことは過去91%あります。その91%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしていたことは100%です。そして、直後1分足終値がついた時点から直後11分足終値を見ると、終値同士で反応を伸ばしたことも64%あり、直後1分足と直後11分足が反転していたことは9%しかありません。
指標発表後の方向一致率が高く、その後に反応を伸ばしているのだから、初期反応方向を確認したら早期追撃開始し、その追撃は徹底すべきです。
V.取引方針
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
図の歯抜け箇所は反応分析対象外です
【3.1 指標発表前】
下図は直前10-1分足・直前1分足・直後1分足の各始値基準ローソク足です。
指標発表前は、2.3項の指標一致性分析に図示した通り、直前10-1分足も直前1分足も事前差異との方向一致率が高くありません。反応程度も小さいことから、この期間の取引は行いません。
よって、この期間の関心事は、指標発表後の反応方向との関係の有無だけです。
2.3項の指標一致性分析では、事前差異と直後1分足の方向一致率が73%ありました。また、直前10-1分足と直後11分足の方向一致率は27%(不一致率73%)ありました。その直後11分足は直後1分足との方向一致率が91%に達しています。
一方、反応一致性分析では、直前1分足と直後1分足の方向一致率が20%(不一致率80%)です。けれども、直前1分足はあまりに小さく、方向識別に適していません。
よって、事前差異と直前10-1分足が逆方向ならば、指標発表直前に事前差異と同じ方向にポジションを取ります。
【3.2 指標発表後】
直後1分足と直後11分足の方向一致率は91%にも達しています。その91%の方向一致時に、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅より反応を伸ばしていたことは100%です。
よって、初期反応方向を確認したら早期追撃開始です。
そして、下図をご覧ください。
この図は、本指標が単独で発表された過去11回のうち、直後1分足跳幅が4pips以上となった5回の4本足チャートです。図から、直後1分足跳幅が4pips以上に達したら、直後1分足終値がつくのを待って再追撃すれば、直後11分足跳幅を狙えることがわかります。
【3.3 方針結論】
- 事前差異と直前10-1分足が逆方向ならば、指標発表直前に事前差異と同じ方向にオーダーし、直後1分足の跳ねを狙います。
- 初期反応方向を確認したら早期追撃開始し、利確/損切の目安を5pipsとします。
- 直後1分足跳幅が4pips以上になったら、直後1分足終値がつくのを待って再追撃し、利確/損切の目安を5pipsとします。
W.分析結論
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率を下げてしまいがちです。
- 豪州に関する情報は少なく、同じ住宅分野に関する情報には飛び付きたくなるものです。けれども、本指標に先立って発表される建設許可件数前月比は、住宅ローン件数前月比の一部の新築分を示唆する可能性があるに過ぎず、その時差も大きいと推察されるため、両指標間に追従連動の兆候を見出すことはできません。
本指標は、本指標自身の特徴に基づき取引すべきです。 - 例えば、本指標の市場予想の精度は高く、予想値の前月結果との差が大きいときは市場予想の方向に発表結果が振れがちです。そして本指標は、発表結果と前回結果の大小関係が反応方向を決める確率が高いので、指標発表直後の跳ねを狙って発表直前にポジションを取る判断材料となります。課題は、意味のある予想値の前回結果との差の「大きさ」がまだわからない点です。
- 代案として、事前差異と直後1分足の方向一致率が73%あり、直前10-1分足と直後11分足の方向一致率は27%(不一致率73%)あり、その直後11分足は直後1分足との方向一致率が91%に達していることに着目します。つまり、事前差異と直前10-1分足が逆方向ならば、指標発表直前に事前差異と同じ方向にポジションが取れます。
- 平均的な反応程度は小さい指標です。反応こそ小さいものの、反応方向は指標結果の良し悪しに素直で、影響持続時間が長い傾向が見られます。その間に跳幅を狙わないと、取引する意味がありません。但し、あまり欲張らないことが肝心です。
X.過去成績
本指標での過去取引実績はまだありません。
2019年個別記録先
※ 1.1訂:指標推移グラフ最新、記録先更新:2019年2月18日
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
スキャル専用口座とHPで公言している会社です。取引回数が増えるほど、キャッシュバック額も多くなります。今なら「小林芳彦あられ」のプレゼントももらえます。あられが欲しいとは思わないけれど、私は同氏のファンです。
同氏はホンモノに強いので、大きな指標発表前には取引を控えることを表明しています。確かに、かつて同氏のツイッター通りに1か月ぐらい取引したら、その間の勝率は70%ぐらいになりました。きっと、エントリーとイグジットのタイミングを私がもっとうまく捉えられたなら、この勝率は更に高くなっていたのでしょう。
会員限定の彼の解説が読めることも、この会社を薦める理由です。
経済指標発表前後以外は、彼の相場感をアテにして、エントリーとイグジットのタイミングやミスジャッジしたときの撤退(損切)のセンスを磨くというのは、練習法としてアリだと思います。
彼の解説を読んで思うのは、テクニカル指標や、個々のファンダメンタルの変化を捉えるだけではダメだということです。それらの軽重判断を反応方向や程度に結び付けて、収益期待値が高く保てないと、有益な相場観とは言えないことがよくわかります。
広告以上
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2018年12月25日
反転しないと消費税増税がなくなるのか
欧米がクリスマス休暇入りで、取引最終日のイブの夜に米株は売られました。そして、今日は日経平均が大幅下落です。
一連の株価下落は、@ 政府機関閉鎖解除が年明けまでずれ込みかねず、A 同盟重視の国防長官が辞めて、B FRB認識よりも来年の景気減速懸念が市場で強い以上、まだ続きそうです。
来年に入れば、@Aが材料から(きっと)抜ける代わりに、C 米議会のねじれの影響と、D 対中・対日貿易問題が再びクローズアップされて、E 英議会での首相離脱案の採決を迎えます。このあたりまでは、JPY買要因ばかり続くものの、DEはUSD買要因でもあります。
多少の戻しがあっても、当面は大きく反転(上昇)する気がしません。
「レンジを抜けると、抜けた側で同じ幅のレンジが始まる」という経験則は良く知られています。でも、その的中率が何%かは知りません。何%かはわからないけれど、長く続いた111円ー114円台のレンジを下に抜けたのだから、107円台ー111円のレンジが始まる可能性があることは多くの人が知っています。その結果、自己実現的に111円のレジスタンスは強固になります。
107円台付近のサポートは、107.3円と108.3円付近にあります。その前に109.8円付近のサポートを下抜けるかがポイントとなります。
今回のリスクは株価下落で認識されました。ダウ平均は現在21,800ドル付近のサポート付近に位置しており、上には22,500ドル付近にレジスタンス、下には21,000ドル付近にサポートがあります。その下のサポート20,000ドルの下抜けが、108.3円に下抜けに対応するのか107.3円下抜けに対応するのか、まだわかりません。
ちなみに、12月の日経平均はリーマンショック以来の下げ幅だったそうです。リーマンショック級の「級」の字には本来「追いついて手をかける」の意味があるものの、「等級」や「位(くらい)」と言ったように階層化した位置を示してもいます。
「リーマンショック級」ならば、来年の消費税増税は延期される、という話があります。12月の株価下落幅は、リーマンショックのときの半分ぐらいに手が届いた感じです。まだニュースで「級」という言葉が問題になっていないからには、月足下落幅だけでは全体としての「級」に至っていないということなのでしょう。
結論・見解のない話ですみません。
一連の株価下落は、@ 政府機関閉鎖解除が年明けまでずれ込みかねず、A 同盟重視の国防長官が辞めて、B FRB認識よりも来年の景気減速懸念が市場で強い以上、まだ続きそうです。
来年に入れば、@Aが材料から(きっと)抜ける代わりに、C 米議会のねじれの影響と、D 対中・対日貿易問題が再びクローズアップされて、E 英議会での首相離脱案の採決を迎えます。このあたりまでは、JPY買要因ばかり続くものの、DEはUSD買要因でもあります。
多少の戻しがあっても、当面は大きく反転(上昇)する気がしません。
「レンジを抜けると、抜けた側で同じ幅のレンジが始まる」という経験則は良く知られています。でも、その的中率が何%かは知りません。何%かはわからないけれど、長く続いた111円ー114円台のレンジを下に抜けたのだから、107円台ー111円のレンジが始まる可能性があることは多くの人が知っています。その結果、自己実現的に111円のレジスタンスは強固になります。
107円台付近のサポートは、107.3円と108.3円付近にあります。その前に109.8円付近のサポートを下抜けるかがポイントとなります。
今回のリスクは株価下落で認識されました。ダウ平均は現在21,800ドル付近のサポート付近に位置しており、上には22,500ドル付近にレジスタンス、下には21,000ドル付近にサポートがあります。その下のサポート20,000ドルの下抜けが、108.3円に下抜けに対応するのか107.3円下抜けに対応するのか、まだわかりません。
ちなみに、12月の日経平均はリーマンショック以来の下げ幅だったそうです。リーマンショック級の「級」の字には本来「追いついて手をかける」の意味があるものの、「等級」や「位(くらい)」と言ったように階層化した位置を示してもいます。
「リーマンショック級」ならば、来年の消費税増税は延期される、という話があります。12月の株価下落幅は、リーマンショックのときの半分ぐらいに手が届いた感じです。まだニュースで「級」という言葉が問題になっていないからには、月足下落幅だけでは全体としての「級」に至っていないということなのでしょう。
結論・見解のない話ですみません。
以上