2019年01月01日
豪州経済指標「四半期GDP」発表前後のAUDJPY反応分析(3訂版)
本稿は、過去の本指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のAUDJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
豪州経済集計(Australian National Accounts)は、 オーストラリア統計局 (ABS:Australian Bureau of Statistics)が、四半期ごとのGDP・最終消費支出・総固定資産(設備投資)・GDPデフレータ(価格指数)・貿易寄与・実質純可処分所得を発表する指標です(発表事例:Sep 2018 )。
発表項目が多いものの、目的を発表都度の短期FX取引に絞る限り、季節調整済のGDP前期比と前年比だけに関心を持てば十分です。
以下、特に断らない限り季節調整済の前期比や前年比を単に「前期比」「前年比」と表記します。
下図は、左が1980年以降5年毎の名目GDPのAUD額とUSD換算額で、右が産業別比率(2016年)です。
規模拡大が著しく、1980年からの40年弱で約10倍の成長となっています。この間、人口は1.6倍に増加したことによって内需が拡大し、中国を始めとする新興国の成長で資源輸出の規模が拡大した点が、豪州成長の特徴だと言えるでしょう。
人口増と資源輸出で成長するなんて、先進国らしくありません。
大手証券会社等の投資信託説明を見る限りは、今後も明るい長期展望が示されています。
その裏付けとして、毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに更に約40%の人口増加の見込みを挙げていることが多いようです。確かにこれだけ人口が増えるのなら、それが内需を強く牽引するでしょう。
気になるのは、今後の資源輸出額の伸び率がこれまでより鈍化し、それにも関わらず人口増加ペースが鈍化しなければどうなるのだろう、という点です。
本分析結果に基づく過去傾向を踏まえた取引方針は、以下の通りです。
指標発表前は、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が73%で、直前1分足の過去陰線率が95%、です。指標発表前の反応は小さいので、欲張らないことが大事です。
指標発表後の平均的な反応程度は非常に大きい指標です。反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直で、平均pipsこそ反応を一方向に伸ばすことを示唆しているものの、一方向に伸びたか否かを回数を調べると50%に達していません。追撃判断が難しいものの、大きく反応を伸ばすことも多いので、利幅を伸ばせるときに伸ばしましょう。
具体的には次の方法を提案します。
上記本指標要点や過去傾向を踏まえた取引方針の論拠を以下に示します。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
指標分析範囲は、2013年1-3月期集計分〜2018年7-9月期集計分(同年12月発表分)の23回分です。そろそろ各種確率が安定し始めて一貫した傾向が見出せる標本数に達しつつあります。
以下、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)の関係を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
発表結果は定時発表値を用い、後日修正されても以下に反映していません。GDPの推移そのものに関心がある訳でなく、発表時点の反応に関心があるので、これは当然です。
2013年以降の市場予想と発表結果の推移を下図に示します。上が前期比で下が前年比、この期間の前期比平均値は0.6%で前年比平均値は2.6%です。
前期比のグラフで2016年7-9月期に急落が起きています。これは、設備投資の落ち込みと輸出伸び悩みと政府支出減少が重なった一過性のものでした。また、前期比は(2017年を除けば)例年1-3月期にその年のピークとなっています。
前年比のグラフでのピークは、2014年1-3月期・2016年4-6月期・2018年4-6月期で、ほぼ8四半期周期となっています。前年比は、前年同期が高ければ下がり前年同期が低ければ上がりやすいため、ほぼ8四半期周期というのは比較的わかりやすい傾向です。
ところが、2018年11月20日、RBA)議事要旨では2018年・2019年の経済成長率は3.5%を超えるだろう」との見通しを示しました。過去の周期性はこれから崩れる、という意味になります。
下表は、前期比と前年比の各差異と各ローソク足の方向一致率を調べた結果です。
このブログの計数ルールに従い、各差異か各ローソク足値幅の少なくとも一方が0ならばカウントしていません。それにしても、事後差異の方向一致率の高さは極端です。念のため確認したものの、ノーカウントは前年比で1度あっただけです。
ともあれ、前期比発表結果が市場予想を上回れば/下回れば、前年比も市場予想を上回る/下回るのです。そして、発表結果が市場予想を上回れば/下回れば、直後1分足がほぼ確実に素直に陽線/陰線で反応しています。
極めて指標結果に素直に反応する指標です。
こうした特徴を踏まえれば、判別式は前期比か前年比だけに注目しても良さそうです。がしかし、発表結果と市場予想が一致することが今後増えることも想定されるので、判別式は前期比と前年比を含む形式にしておきます。
事前判別式は、
とします。このとき、この判別式の解の符号(プラスで陽線、マイナスで陰線に対応)と直前10-1分足の過去方向一致率は73%に達します。
多くの場合、指標発表前の反応方向は、市場予想が前回結果に対して改善か悪化かで決まっています。
同様に、事後差異判別式は、
とします。このとき、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は96%に達します。
発表結果の市場予想に対する良し悪しに極めて素直に反応する指標です。
実態差異判別式は、
とします。このとき、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は78%に達します。
但し、事後差異判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は87%に達しています。指標発表後の反応方向は、前回結果との大小関係よりも市場予想との大小関係に依存します。
参考までに、各差異判別式の解の期間毎の平均値と全平均値を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
事後差異が事前差異や実態差異より小さく、平均的に市場予想の精度が高い指標です。
気にする必要なんてありません。本指標は影響力が非常に強いのです。
四半期GDPの発表より先に四半期小売売上高や貿易統計は発表されます。小売売上高はGDPの約20%の規模があり、貿易額はGDPの約40%の規模に達します。それら前期比の推移を下図に示します。
なお、貿易統計は毎月、過去3か月分が発表されています。GDPが1-3月分集計なら、3月集計分の貿易統計発表結果から1月・2月・3月の輸出額と輸入額の合計を四半期貿易総額としています。
さて、1.2項最初に示した通り、GDP前期比の実態差異は直後11分足との過去方向一致率が71%に達しています。実態差異との方向一致率なので、発表結果ー前回結果、がプラスかマイナスかが問題です。公平に比較するため、四半期小売売上高の実態差異や四半期貿易総額の実態差異と、増減方向を比較しておきます。
先に発表されている貿易統計で当該期の輸出入額が前期を上回るか下回るかを調べておけば、今回発表される四半期GDP前期比が前回発表値を上回るか下回るかを71%当てられる訳です。
悪い的中率ではありません。
実態差異と直後11分足の期待的中率が71%で、実態差異の期待的中率が71%ならば、本指標発表直前にポジションをオーダーして直後11分足の方向が当たる確率は、0.71✕0.71+(1ー0.71)✕(1−0.71)=59%、です。
3年間12回の発表で7勝5敗となり、直後11分足の過去平均値幅32pips✕2勝分=64pipsなので、1年あたりの期待値は21pips、1回の発表あたり5pipsということになります。試算するとわかりますが、根拠を持った取引で稼ぐというのは大変です。
分析は、反応程度の大きさだけを取り上げる方法と、反応方向だけを取り上げる方法と、それらを事前に示唆する予兆がないか、について行います。
本指標の指標分析範囲は、2013年1-3月期集計分〜2018年7-9月期集計分(同年12月発表分)の23回分です。そろそろ一貫した傾向があるなら、各種確率が安定し始める標本数に達しつつあります。
過去の4本足チャートの各ローソク足の平均値と分布を下表に纏めておきます。
平均的な反応程度は非常に大きい指標です。
RBAが政策変更するか、それをにおわさない限り、本指標は豪州経済指標で最も大きく反応しがちです。それにも関わらず、指標発表後の反応の大きさの割に発表前の動きが小さいので、気を付けましょう。
発表直後1分足の順跳幅は、平均値の0.5〜1.5倍(17〜51pips)の範囲に74%が含まれます。指標発表時刻を跨いだポジションを持つことには慎重であるべきです。
いま、各ローソク足始値で完璧な事前分析に基づきポジションをオーダーし、各ローソク足順跳幅の先端で完璧に利確できる完璧な取引ができたとします。それほど完璧な取引が行えたなら、1回の発表での4本のローソク足順跳幅で平均85pipsが稼げます。
当然、そんな完璧な分析も完璧な取引も不可能なので、1回の発表で狙うのはその2〜4割ぐらいにしておけば良いでしょう(17〜34pips)。その期間の動き全体の2〜4割しか狙わなければ、無理のない取引で勝率を稼ぎやすく、長期に亘る本指標取引での収益を最大化しやすい、との個人的感触があります。
ご参考まで。
次に、期間毎に区切った直前10-1分足と直後1分足と直後11分足の値幅推移を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
直後1分足値幅より直後11分足値幅は毎年大きく、その差は平均6pipsです。
個別反応分析は、勝率よりも期待値を重視して取引するための分析です。合理的とは言えるものの、例え連敗が続いてもずっと同じやり方で取引を続ける不屈さが必須です。
多くの指標では、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなりがちなことがわかっています。けれども、方向こそ一致しがちでも、事後差異の大きさと直後1分足値幅が比例的になる指標は少ないことがわかっています。
事後差異判別式の解(横軸)と直後1分足終値(縦軸)の関係と、直後1分足終値(横軸)と直後11分足終値(縦軸)の関係を下図に示します。前者が初期反応、後者がその後の伸びを示します。
両グラフともに相関係数が非常に高く、素直な反応が一方向に伸びがちです。
指標発表直後は、事後差異と直後1分足の方向一致率は極めて高いので、指標結果など気にせず追撃開始です。但し、過去平均値以上の跳ね(34pips以上)となったことが52%もあります。一瞬で跳ね上がったら仕方ありませんが、26pips(直後1分足値幅の過去平均値)以下で追撃を始めたいものです。
指標発表直後は大きく跳ねるため、直後1分足終値まで待って追撃を始めると、その10分後までに平均27%ぐらい(平均6pipsぐらい)値を伸ばします。もし直後1分足30pips以上跳ねた後で20pips以下まで値を戻すことがあれば、その時点で追撃を始めても構いません。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は、こちらを参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細はこちら
を参照願います。
いずれも反応程度を問題にせず、反応方向の一致回数だけを問題にしています。
事前差異・事後差異・実態差異にはいずれも偏りがありません。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は73%です。事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各96%・87%にも達しており、反応は極めて素直です。
直前10-1分足は過去陽線率が68%、直前1分足は過去陰線率が95%と、かなり極端な偏りが見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は91%に達しており、指標発表後に反転することは3年に1回ぐらいしか起きていません。
次に、反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で追撃が有効か否かが判断できます。詳細はこちらを参照願います。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は、前述の通り91%です。そして、その91%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。けれども、直後1分足と直後11分足の方向が一致していても、終値同士を比べて反応を伸ばしていたことは48%です。
指標発表後の追撃は、1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いでしょう。
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。
直前10-1分足は、過去平均順跳幅が6pips、同値幅が4pipsです。過去の陽線率が68%、事前差異との方向一致率は73%です。
この期間は、事前差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を6pipsとします。
もし過去23回発表時の直前10-1分足で利確/損切を10pipsとしていたら、2勝1敗1不明(成立率17%)で損益は+10pips+?です。同様に、利確/損切を過去平均順跳幅の6pipsとしていたら、9勝2敗1不明(成立率52%)で損益は+42pips+?です。もし利確/損切を過去平均値幅の4pipsとしていたら、11勝4敗3不明(成立率78%)で損益は+28pips+?です。
利確/損切の目安を6pipsにすると、48%の事例では目安に達しません。そんなときは、指標発表1分前に利確/損切することになります。
次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。
直前1分足は、過去平均順跳幅が4pips、同値幅が3pipsです。陰線率は95%にも達しており、この数字を見てこの期間にとてもロングは採れません。
また、上図の通り上ヒゲが目立ちます。よって、この期間には陽線側に跳ねたのを確認してから、逆張りでショートをオーダーすることになります。また、陰線側に下ヒゲが形成されたことは少ないので、陰線側に戻すのは指標発表直前になることが多い、と推察されます。ということは、ショートのポジション取得・解消するのは指標発表直前のぎりぎりになることが多くなります。
指標発表の1〜2分前以降に陽線側に4pips跳ねたら逆張りでショートをオーダーし、利確/損切を4pipsでやるか、遅くとも指標発表5秒前には決済します。
発表5秒前決済はミスしないようにしましょう。本指標の指標発表直後の跳ねは、豪州指標で最も大きく跳ねがちです。1秒前まで粘っていたらスマホの通信表示がクルクルして、それが終わったらぼろ負けしてた、なんてことが過去にはありました。
そして、下図は直後1分足と直後11分足の始値基準ローソク足です。
直後1分足は過去平均順跳幅が34pips、同値幅が26pipsです。直後11分足は過去平均順跳幅が41pips、同値幅が32pipsです。
上図から、大きな逆ヒゲ(値幅方向と逆向きのヒゲ)の発生頻度は小さいようです。
20pips以上の逆ヒゲが発生したことは過去1回(頻度4%)です。10pips以上だったことは2回(頻度9%)、5pips以上だったことは6回(26%)です。よって、指標発表時刻を跨ぐポジションを持つなら、利確/損切の目安を10pips以上にしておけば、逆ヒゲに騙される頻度は3年に1回程度になります(5pips以上なら1年に1回程度)。
直後1分足と直後11分足が反転したことは過去9%しかないので、直後1分足の逆ヒゲに騙されなければ、大きな利幅が狙えます。
そして、前期比の実態差異と直後11分足の方向一致率は71%、前期比の実態差異と四半期貿易総額の実態差異の方向一致率は71%、です。よって、先に発表される四半期貿易総額の実態差異と同じ方向に、本指標発表直前に取得したポジションで直後11分足跳幅を狙います。
直後11分足の順跳幅が10pips以上だったことは過去96%です。30pips以上だったことは70%、50pips以上は30%です。利確/損切の目安は30pipsにしておけば良いでしょう。
よって、指標発表直前に四半期貿易総額の実態差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を30pipsとします。
次に、直後1分足と直後11分足との方向一致率は91%です。そして、その91%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。けれども、例え直後1分足と直後11分足が方向一致していても、直後1分足終値を超えて直後11分足が反応を伸ばしていたことは48%です。
初期反応方向を確認したら早期追撃開始するなら、高値/安値掴みは避けたいものです。直後11分足の過去平均順跳幅は41pips、です。そして、直後1分足の逆ヒゲが10pips以上だったことは過去9%しかありません。
よって、直後1分足形成中に初期反応方向に30pips以下ならば追撃開始し、直後11分足順跳幅を狙って利確/損切の目安を10pipsとします。
直後1分足終値が30pips以上に達したことが過去10回(頻度43%)あります。この10回の事例では、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が伸びていたことが8回(80%)です。この8回の事例で直後1分足終値がついた時点で追撃開始し、直後11分足跳幅で決済すると平均16pipsの利確、直後11分足値幅(終値)で決済すると平均11pipsの利確、となっていたはずです。
よって、直後1分足値幅が30pips以上なら、直後1分足終値がついた時点で再追撃を開始し、利確/損切の目安を15pipsとし、目安に達しなければ直後11分足終値がつく頃に決済します。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率を下げてしまいがちです。
取引成績は、この分析に記載方針に沿って実際に取引を行った結果だけを纏めています。実際に取引した結果以外は、例え事前方針が妥当だったとしてもここには含みません。また、事前方針に挙げていない取引(方針外取引)の成績は含めません。
実際の取引は、例え結果的に陽線だったとしても終値1秒前まで長い陰線側へのヒゲをずっと形成していたりします。そういった場合、事前のその期間の取引方針がロングが正解かショートが正解かわかりません。実際の取引で利確できたか損切せざるを得なかったかだけが公平な判定基準だと言えます。そして、方針外取引をここに含めると、事前分析の有効性が後日検証できなくなってしまいます。
取引方針の記述を、勝ちやすく・分析結果を誤解しにくく・自己裁量部分がわかるように、進歩・改善していくしかありません。記述はがんじがらめ過ぎても取引がうまくいきません。その兼ね合いが難しいので、試行錯誤しています。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
スキャル専用口座とHPで公言している会社です。取引回数が増えるほど、キャッシュバック額も多くなります。今なら「小林芳彦あられ」のプレゼントももらえます。あられが欲しいとは思わないけれど、私は同氏のファンです。
同氏はホンモノに強いので、大きな指標発表前には取引を控えることを表明しています。確かに、かつて同氏のツイッター通りに1か月ぐらい取引したら、その間の勝率は70%ぐらいになりました。きっと、エントリーとイグジットのタイミングを私がもっとうまく捉えられたなら、この勝率は更に高くなっていたのでしょう。
会員限定の彼の解説が読めることも、この会社を薦める理由です。
経済指標発表前後以外は、彼の相場感をアテにして、エントリーとイグジットのタイミングやミスジャッジしたときの撤退(損切)のセンスを磨くというのは、練習法としてアリだと思います。
彼の解説を読んで思うのは、テクニカル指標や、個々のファンダメンタルの変化を捉えるだけではダメだということです。それらの軽重判断を反応方向や程度に結び付けて、収益期待値が高く保てないと、有益な相場観とは言えないことがよくわかります。
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豪州経済集計(Australian National Accounts)は、 オーストラリア統計局 (ABS:Australian Bureau of Statistics)が、四半期ごとのGDP・最終消費支出・総固定資産(設備投資)・GDPデフレータ(価格指数)・貿易寄与・実質純可処分所得を発表する指標です(発表事例:Sep 2018 )。
発表項目が多いものの、目的を発表都度の短期FX取引に絞る限り、季節調整済のGDP前期比と前年比だけに関心を持てば十分です。
以下、特に断らない限り季節調整済の前期比や前年比を単に「前期比」「前年比」と表記します。
下図は、左が1980年以降5年毎の名目GDPのAUD額とUSD換算額で、右が産業別比率(2016年)です。
規模拡大が著しく、1980年からの40年弱で約10倍の成長となっています。この間、人口は1.6倍に増加したことによって内需が拡大し、中国を始めとする新興国の成長で資源輸出の規模が拡大した点が、豪州成長の特徴だと言えるでしょう。
人口増と資源輸出で成長するなんて、先進国らしくありません。
大手証券会社等の投資信託説明を見る限りは、今後も明るい長期展望が示されています。
その裏付けとして、毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに更に約40%の人口増加の見込みを挙げていることが多いようです。確かにこれだけ人口が増えるのなら、それが内需を強く牽引するでしょう。
気になるのは、今後の資源輸出額の伸び率がこれまでより鈍化し、それにも関わらず人口増加ペースが鈍化しなければどうなるのだろう、という点です。
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本分析結果に基づく過去傾向を踏まえた取引方針は、以下の通りです。
指標発表前は、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が73%で、直前1分足の過去陰線率が95%、です。指標発表前の反応は小さいので、欲張らないことが大事です。
指標発表後の平均的な反応程度は非常に大きい指標です。反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直で、平均pipsこそ反応を一方向に伸ばすことを示唆しているものの、一方向に伸びたか否かを回数を調べると50%に達していません。追撃判断が難しいものの、大きく反応を伸ばすことも多いので、利幅を伸ばせるときに伸ばしましょう。
具体的には次の方法を提案します。
- 直前10-1分足は、事前差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を6pipsとします。
- 指標発表の1〜2分前以降に陽線側に4pips跳ねたら逆張りでショートをオーダーし、利確/損切を4pipsでやるか、遅くとも指標発表5秒前には決済します。
- 指標発表直前に四半期貿易総額の実態差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を30pipsとします。遅くとも発表11分後には決済します。
- 直後1分足形成中に初期反応方向に30pips以下ならば追撃開始し、直後11分足順跳幅を狙って利確/損切の目安を10pipsとします。
- 直後1分足値幅が30pips以上なら、直後1分足終値がついた時点で再追撃を開始し、利確/損切の目安を15pipsとし、目安に達しなければ直後11分足終値がつく頃に決済します。
上記本指標要点や過去傾向を踏まえた取引方針の論拠を以下に示します。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
T.指標分析
指標分析範囲は、2013年1-3月期集計分〜2018年7-9月期集計分(同年12月発表分)の23回分です。そろそろ各種確率が安定し始めて一貫した傾向が見出せる標本数に達しつつあります。
以下、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)の関係を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
【1.1 指標推移】
発表結果は定時発表値を用い、後日修正されても以下に反映していません。GDPの推移そのものに関心がある訳でなく、発表時点の反応に関心があるので、これは当然です。
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2013年以降の市場予想と発表結果の推移を下図に示します。上が前期比で下が前年比、この期間の前期比平均値は0.6%で前年比平均値は2.6%です。
前期比のグラフで2016年7-9月期に急落が起きています。これは、設備投資の落ち込みと輸出伸び悩みと政府支出減少が重なった一過性のものでした。また、前期比は(2017年を除けば)例年1-3月期にその年のピークとなっています。
前年比のグラフでのピークは、2014年1-3月期・2016年4-6月期・2018年4-6月期で、ほぼ8四半期周期となっています。前年比は、前年同期が高ければ下がり前年同期が低ければ上がりやすいため、ほぼ8四半期周期というのは比較的わかりやすい傾向です。
ところが、2018年11月20日、RBA)議事要旨では2018年・2019年の経済成長率は3.5%を超えるだろう」との見通しを示しました。過去の周期性はこれから崩れる、という意味になります。
【1.2 指標結果良否判定】
下表は、前期比と前年比の各差異と各ローソク足の方向一致率を調べた結果です。
このブログの計数ルールに従い、各差異か各ローソク足値幅の少なくとも一方が0ならばカウントしていません。それにしても、事後差異の方向一致率の高さは極端です。念のため確認したものの、ノーカウントは前年比で1度あっただけです。
ともあれ、前期比発表結果が市場予想を上回れば/下回れば、前年比も市場予想を上回る/下回るのです。そして、発表結果が市場予想を上回れば/下回れば、直後1分足がほぼ確実に素直に陽線/陰線で反応しています。
極めて指標結果に素直に反応する指標です。
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こうした特徴を踏まえれば、判別式は前期比か前年比だけに注目しても良さそうです。がしかし、発表結果と市場予想が一致することが今後増えることも想定されるので、判別式は前期比と前年比を含む形式にしておきます。
事前判別式は、
- 4✕前期比の事前差異+1✕前年比の事前差異
とします。このとき、この判別式の解の符号(プラスで陽線、マイナスで陰線に対応)と直前10-1分足の過去方向一致率は73%に達します。
多くの場合、指標発表前の反応方向は、市場予想が前回結果に対して改善か悪化かで決まっています。
同様に、事後差異判別式は、
- 3✕前期比の事後差異+2✕前年比の事後差異
とします。このとき、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は96%に達します。
発表結果の市場予想に対する良し悪しに極めて素直に反応する指標です。
実態差異判別式は、
- 3✕前期比の実態差異+2✕前年比の実態差異
とします。このとき、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は78%に達します。
但し、事後差異判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は87%に達しています。指標発表後の反応方向は、前回結果との大小関係よりも市場予想との大小関係に依存します。
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参考までに、各差異判別式の解の期間毎の平均値と全平均値を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
事後差異が事前差異や実態差異より小さく、平均的に市場予想の精度が高い指標です。
【1.3 指標間一致性分析】
(1.3.1 過去同時発表指標との反応方向への影響力強弱)
気にする必要なんてありません。本指標は影響力が非常に強いのです。
(1.3.2 四半期小売売上高・四半期貿易総額との対比)
四半期GDPの発表より先に四半期小売売上高や貿易統計は発表されます。小売売上高はGDPの約20%の規模があり、貿易額はGDPの約40%の規模に達します。それら前期比の推移を下図に示します。
なお、貿易統計は毎月、過去3か月分が発表されています。GDPが1-3月分集計なら、3月集計分の貿易統計発表結果から1月・2月・3月の輸出額と輸入額の合計を四半期貿易総額としています。
さて、1.2項最初に示した通り、GDP前期比の実態差異は直後11分足との過去方向一致率が71%に達しています。実態差異との方向一致率なので、発表結果ー前回結果、がプラスかマイナスかが問題です。公平に比較するため、四半期小売売上高の実態差異や四半期貿易総額の実態差異と、増減方向を比較しておきます。
先に発表されている貿易統計で当該期の輸出入額が前期を上回るか下回るかを調べておけば、今回発表される四半期GDP前期比が前回発表値を上回るか下回るかを71%当てられる訳です。
悪い的中率ではありません。
実態差異と直後11分足の期待的中率が71%で、実態差異の期待的中率が71%ならば、本指標発表直前にポジションをオーダーして直後11分足の方向が当たる確率は、0.71✕0.71+(1ー0.71)✕(1−0.71)=59%、です。
3年間12回の発表で7勝5敗となり、直後11分足の過去平均値幅32pips✕2勝分=64pipsなので、1年あたりの期待値は21pips、1回の発表あたり5pipsということになります。試算するとわかりますが、根拠を持った取引で稼ぐというのは大変です。
【1.4 指標分析結論】
- 指標発表後は、前期比と前年比の発表結果と市場予想の大小関係に極めて素直に反応します。
- 過去5年間は、前期比に4四半期周期、前年比に8四半期周期が見られます。けれども、2019年以降のRBAの成長率見通しを参考にするなら、今後はこの周期性が崩れることになります。
- 前期比の実態差異と直後11分足の方向一致率は71%、前期比の実態差異と四半期貿易総額の実態差異の方向一致率は71%、です。よって、先に発表される四半期貿易総額の実態差異を参考にして、本指標発表直前に取得したポジションを直後11分足終値で解消した場合、勝率は59%、期待値は+5pips、となります。
U.反応分析
分析は、反応程度の大きさだけを取り上げる方法と、反応方向だけを取り上げる方法と、それらを事前に示唆する予兆がないか、について行います。
本指標の指標分析範囲は、2013年1-3月期集計分〜2018年7-9月期集計分(同年12月発表分)の23回分です。そろそろ一貫した傾向があるなら、各種確率が安定し始める標本数に達しつつあります。
【2.1 反応程度】
過去の4本足チャートの各ローソク足の平均値と分布を下表に纏めておきます。
平均的な反応程度は非常に大きい指標です。
RBAが政策変更するか、それをにおわさない限り、本指標は豪州経済指標で最も大きく反応しがちです。それにも関わらず、指標発表後の反応の大きさの割に発表前の動きが小さいので、気を付けましょう。
発表直後1分足の順跳幅は、平均値の0.5〜1.5倍(17〜51pips)の範囲に74%が含まれます。指標発表時刻を跨いだポジションを持つことには慎重であるべきです。
いま、各ローソク足始値で完璧な事前分析に基づきポジションをオーダーし、各ローソク足順跳幅の先端で完璧に利確できる完璧な取引ができたとします。それほど完璧な取引が行えたなら、1回の発表での4本のローソク足順跳幅で平均85pipsが稼げます。
当然、そんな完璧な分析も完璧な取引も不可能なので、1回の発表で狙うのはその2〜4割ぐらいにしておけば良いでしょう(17〜34pips)。その期間の動き全体の2〜4割しか狙わなければ、無理のない取引で勝率を稼ぎやすく、長期に亘る本指標取引での収益を最大化しやすい、との個人的感触があります。
ご参考まで。
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次に、期間毎に区切った直前10-1分足と直後1分足と直後11分足の値幅推移を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。
直後1分足値幅より直後11分足値幅は毎年大きく、その差は平均6pipsです。
【2.2 個別反応分析】
個別反応分析は、勝率よりも期待値を重視して取引するための分析です。合理的とは言えるものの、例え連敗が続いてもずっと同じやり方で取引を続ける不屈さが必須です。
多くの指標では、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなりがちなことがわかっています。けれども、方向こそ一致しがちでも、事後差異の大きさと直後1分足値幅が比例的になる指標は少ないことがわかっています。
事後差異判別式の解(横軸)と直後1分足終値(縦軸)の関係と、直後1分足終値(横軸)と直後11分足終値(縦軸)の関係を下図に示します。前者が初期反応、後者がその後の伸びを示します。
両グラフともに相関係数が非常に高く、素直な反応が一方向に伸びがちです。
指標発表直後は、事後差異と直後1分足の方向一致率は極めて高いので、指標結果など気にせず追撃開始です。但し、過去平均値以上の跳ね(34pips以上)となったことが52%もあります。一瞬で跳ね上がったら仕方ありませんが、26pips(直後1分足値幅の過去平均値)以下で追撃を始めたいものです。
指標発表直後は大きく跳ねるため、直後1分足終値まで待って追撃を始めると、その10分後までに平均27%ぐらい(平均6pipsぐらい)値を伸ばします。もし直後1分足30pips以上跳ねた後で20pips以下まで値を戻すことがあれば、その時点で追撃を始めても構いません。
【2.3 回数反応分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は、こちらを参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細はこちら
を参照願います。
いずれも反応程度を問題にせず、反応方向の一致回数だけを問題にしています。
事前差異・事後差異・実態差異にはいずれも偏りがありません。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は73%です。事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各96%・87%にも達しており、反応は極めて素直です。
直前10-1分足は過去陽線率が68%、直前1分足は過去陰線率が95%と、かなり極端な偏りが見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は91%に達しており、指標発表後に反転することは3年に1回ぐらいしか起きていません。
次に、反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で追撃が有効か否かが判断できます。詳細はこちらを参照願います。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は、前述の通り91%です。そして、その91%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。けれども、直後1分足と直後11分足の方向が一致していても、終値同士を比べて反応を伸ばしていたことは48%です。
指標発表後の追撃は、1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いでしょう。
【2.4 反応分析結論】
- 平均的な反応程度は非常に大きい指標です。反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直で、平均pipsこそ反応を一方向に伸ばすことを示唆しているものの、一方向に伸びたか否かを回数を調べると50%に達していません。
追撃判断が難しい指標だと言えます。 - 指標発表前は、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が73%で、直前1分足の過去陰線率が95%、です。指標発表前の反応は小さいので、欲張らないことが大事です。
- 指標発表後は、直後の大きな跳ねで高値/安値掴みに気を付けましょう。直後1分足値幅の過去平均値は26pipsなので、それ以下で追撃を始めれば初期反応方向を確認してから追撃を始めても勝率が稼げそうです。
V.取引方針
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3.1 直前10-1分足】
下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。
直前10-1分足は、過去平均順跳幅が6pips、同値幅が4pipsです。過去の陽線率が68%、事前差異との方向一致率は73%です。
この期間は、事前差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を6pipsとします。
もし過去23回発表時の直前10-1分足で利確/損切を10pipsとしていたら、2勝1敗1不明(成立率17%)で損益は+10pips+?です。同様に、利確/損切を過去平均順跳幅の6pipsとしていたら、9勝2敗1不明(成立率52%)で損益は+42pips+?です。もし利確/損切を過去平均値幅の4pipsとしていたら、11勝4敗3不明(成立率78%)で損益は+28pips+?です。
利確/損切の目安を6pipsにすると、48%の事例では目安に達しません。そんなときは、指標発表1分前に利確/損切することになります。
【3.2 直前1分足】
次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。
直前1分足は、過去平均順跳幅が4pips、同値幅が3pipsです。陰線率は95%にも達しており、この数字を見てこの期間にとてもロングは採れません。
また、上図の通り上ヒゲが目立ちます。よって、この期間には陽線側に跳ねたのを確認してから、逆張りでショートをオーダーすることになります。また、陰線側に下ヒゲが形成されたことは少ないので、陰線側に戻すのは指標発表直前になることが多い、と推察されます。ということは、ショートのポジション取得・解消するのは指標発表直前のぎりぎりになることが多くなります。
指標発表の1〜2分前以降に陽線側に4pips跳ねたら逆張りでショートをオーダーし、利確/損切を4pipsでやるか、遅くとも指標発表5秒前には決済します。
発表5秒前決済はミスしないようにしましょう。本指標の指標発表直後の跳ねは、豪州指標で最も大きく跳ねがちです。1秒前まで粘っていたらスマホの通信表示がクルクルして、それが終わったらぼろ負けしてた、なんてことが過去にはありました。
【3.3 指標発表後】
そして、下図は直後1分足と直後11分足の始値基準ローソク足です。
直後1分足は過去平均順跳幅が34pips、同値幅が26pipsです。直後11分足は過去平均順跳幅が41pips、同値幅が32pipsです。
上図から、大きな逆ヒゲ(値幅方向と逆向きのヒゲ)の発生頻度は小さいようです。
20pips以上の逆ヒゲが発生したことは過去1回(頻度4%)です。10pips以上だったことは2回(頻度9%)、5pips以上だったことは6回(26%)です。よって、指標発表時刻を跨ぐポジションを持つなら、利確/損切の目安を10pips以上にしておけば、逆ヒゲに騙される頻度は3年に1回程度になります(5pips以上なら1年に1回程度)。
直後1分足と直後11分足が反転したことは過去9%しかないので、直後1分足の逆ヒゲに騙されなければ、大きな利幅が狙えます。
そして、前期比の実態差異と直後11分足の方向一致率は71%、前期比の実態差異と四半期貿易総額の実態差異の方向一致率は71%、です。よって、先に発表される四半期貿易総額の実態差異と同じ方向に、本指標発表直前に取得したポジションで直後11分足跳幅を狙います。
直後11分足の順跳幅が10pips以上だったことは過去96%です。30pips以上だったことは70%、50pips以上は30%です。利確/損切の目安は30pipsにしておけば良いでしょう。
よって、指標発表直前に四半期貿易総額の実態差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を30pipsとします。
次に、直後1分足と直後11分足との方向一致率は91%です。そして、その91%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは67%です。けれども、例え直後1分足と直後11分足が方向一致していても、直後1分足終値を超えて直後11分足が反応を伸ばしていたことは48%です。
初期反応方向を確認したら早期追撃開始するなら、高値/安値掴みは避けたいものです。直後11分足の過去平均順跳幅は41pips、です。そして、直後1分足の逆ヒゲが10pips以上だったことは過去9%しかありません。
よって、直後1分足形成中に初期反応方向に30pips以下ならば追撃開始し、直後11分足順跳幅を狙って利確/損切の目安を10pipsとします。
直後1分足終値が30pips以上に達したことが過去10回(頻度43%)あります。この10回の事例では、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が伸びていたことが8回(80%)です。この8回の事例で直後1分足終値がついた時点で追撃開始し、直後11分足跳幅で決済すると平均16pipsの利確、直後11分足値幅(終値)で決済すると平均11pipsの利確、となっていたはずです。
よって、直後1分足値幅が30pips以上なら、直後1分足終値がついた時点で再追撃を開始し、利確/損切の目安を15pipsとし、目安に達しなければ直後11分足終値がつく頃に決済します。
【3.4 方針結論】
- 直前10-1分足は、事前差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を6pipsとします。
- 指標発表の1〜2分前以降に陽線側に4pips跳ねたら逆張りでショートをオーダーし、利確/損切を4pipsでやるか、遅くとも指標発表5秒前には決済します。
- 指標発表直前に四半期貿易総額の実態差異と同じ方向にオーダーし、利確/損切の目安を30pipsとします。
- 直後1分足形成中に初期反応方向に30pips以下ならば追撃開始し、直後11分足順跳幅を狙って利確/損切の目安を10pipsとします。
- 直後1分足値幅が30pips以上なら、直後1分足終値がついた時点で再追撃を開始し、利確/損切の目安を15pipsとし、目安に達しなければ直後11分足終値がつく頃に決済します。
W.分析結論
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率を下げてしまいがちです。
- 本指標は、多くの四半期集計項目が同時発表されますが、注目するのは前期比・前年比だけで十分です。他の指標と同時発表されることがあっても気にする必要なんてありません。
過去5年間は、前期比に4四半期周期、前年比に8四半期周期が見られます。けれども、2019年以降のRBAの成長率見通しを参考にするなら、今後はこの周期性が崩れることになります。 - 指標発表前は、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が73%で、直前1分足の過去陰線率が95%、です。指標発表前の反応は小さいので、欲張らないことが大事です。
- 指標発表後の平均的な反応程度は非常に大きい指標です。反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直で、平均pipsこそ反応を一方向に伸ばすことを示唆しているものの、一方向に伸びたか否かを回数を調べると50%に達していません。
追撃判断が難しい指標だと言えます。
X.取引成績
取引成績は、この分析に記載方針に沿って実際に取引を行った結果だけを纏めています。実際に取引した結果以外は、例え事前方針が妥当だったとしてもここには含みません。また、事前方針に挙げていない取引(方針外取引)の成績は含めません。
実際の取引は、例え結果的に陽線だったとしても終値1秒前まで長い陰線側へのヒゲをずっと形成していたりします。そういった場合、事前のその期間の取引方針がロングが正解かショートが正解かわかりません。実際の取引で利確できたか損切せざるを得なかったかだけが公平な判定基準だと言えます。そして、方針外取引をここに含めると、事前分析の有効性が後日検証できなくなってしまいます。
取引方針の記述を、勝ちやすく・分析結果を誤解しにくく・自己裁量部分がわかるように、進歩・改善していくしかありません。記述はがんじがらめ過ぎても取引がうまくいきません。その兼ね合いが難しいので、試行錯誤しています。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
スキャル専用口座とHPで公言している会社です。取引回数が増えるほど、キャッシュバック額も多くなります。今なら「小林芳彦あられ」のプレゼントももらえます。あられが欲しいとは思わないけれど、私は同氏のファンです。
同氏はホンモノに強いので、大きな指標発表前には取引を控えることを表明しています。確かに、かつて同氏のツイッター通りに1か月ぐらい取引したら、その間の勝率は70%ぐらいになりました。きっと、エントリーとイグジットのタイミングを私がもっとうまく捉えられたなら、この勝率は更に高くなっていたのでしょう。
会員限定の彼の解説が読めることも、この会社を薦める理由です。
経済指標発表前後以外は、彼の相場感をアテにして、エントリーとイグジットのタイミングやミスジャッジしたときの撤退(損切)のセンスを磨くというのは、練習法としてアリだと思います。
彼の解説を読んで思うのは、テクニカル指標や、個々のファンダメンタルの変化を捉えるだけではダメだということです。それらの軽重判断を反応方向や程度に結び付けて、収益期待値が高く保てないと、有益な相場観とは言えないことがよくわかります。
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