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2016年01月13日

「ルシーの明日」で書かなかった事その1

 「ルシーの明日」では、子孫がいなくなり、やがては先細りして人類が死滅してしまう危惧を示唆しています。
 しかし、実際には、地球の人口は増えていく一方であり、とても先細りなどはしていません。ところが、それが大きな罠なのでもあります。

 そもそも、人類の絶対数は自然界の生物ピラミッドを無視しています。本来ならば、地球で一番強い生物である人間は、もっとも数が少なくなければ、生物ピラミッドは成り立たないはずなのです。それを可能ならしめたのは、人類が自分の食用の動物や植物ばかりを大量に飼育・生産する独自の生物ピラミッドを確立しているからなのですが、「ルシーの明日」で指摘しているように、もし地球温暖化による気候破壊が進めば、この人間の為の生物ピラミッドも壊れてしまいます。つまり、ヘタに人口ばかりが多すぎるのも困り者で、もし食糧が不足してしまえば、多すぎる人口はいっきに餓死して、なしくずしに全滅してしまう危険性があるのです。

 この危機に対して、先進文明国が、なんとか人口や食糧の調整をおこなって、最悪の事態の回避をしていきたいところなのですが、ここで今度は「ルシーの明日」で提示している問題が絡んできます。先進国の方は、人口が増える一方の途上国と反対に、若い世代がいないのです。先細りして滅びかねない道を歩んでいるのであり、他国の事にまでかまってられない状態なのであります。そこに、「ルシーの明日」で唱えているAI(人工知能)の交代劇も加わってくるかもしれません。

 人間の後継者がいない先進国を、やむなくAIが引き継ぎ、政治も経済も文化もAIが担当する時代の到来です。その一方で、途上国では人口が増えていく一方なのですから、地球の主導権は先進国が握っている以上、本当に、この世界は先進国のAIが途上国の人類を管理支配する図式になっていくのかもしれません。

 まさに、古いSFで語り継がれてきたコンピュータが人類を支配する暗黒の未来図ですが、恐ろしい事に、それが本当に現実味を帯び始めているのであります。

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posted by anu at 16:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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