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2024年07月22日

招かれざる客 感想







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招かれざる客


このブログは
アガサクリスティーが好きすぎて
無人島になにを持って行きたいかと聞かれたら
「アガサクリスティーの本」と答えるくらいの熱量があります
この本のこの作品のココが好き
または
この本のこういう所が見所!
というのを紹介していくブログです
自分の独断と偏見で★を付けていますが完全好みの問題なので、皆様とは違う価値観かもしれません。
ご容赦願います


このブログの最初はこちら


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アガサクリスティーのミステリー戯曲のひとつです。
題名が秀逸です!
ポアロやマープルのような有名な登場人物は出てこない戯曲ですが、ミステリアスに登場する主人公がばっちり読者をつかみます。
そして、主人公はおそらく美人ですが、男運が悪い!と、思ってしまうような展開に、私はつっこみまくりました!
ですが面白い!
そういう方向で読んでも、違った印象の楽しい作品になるかもなと思います。

戯曲としての面白さ    ★★★
ドラマティック度     ★★★
どんでん返し度      ★★★
人妻のドラマティック度  ★★★
無人島に持って行きたい度 ★★☆

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感想(2件)




ネタバレなしの紹介

この作品は戯曲、つまり舞台で上演されるのを前提とした作品です。
戯曲とは台本のようなシナリオなので本を開くと、舞台の配置図の記載があります。
そこで読み慣れてない人は『ん?』と思うでしょうが。大丈夫、十分面白く読めます!
長編ほどには時間がかからずサクッと読めますし
舞台としてどんな風に俳優が動くのかなとか、思ったりしながら読むのも楽しいです。

戯曲としては『ブラックコーヒー』というポアロの主人公のものがアガサの初めて書いた戯曲になりますが、この『招かれざる客』は、有名な登場人物はいない作品です。
つまりポアロなどの有名な探偵は出てきませんがすでに舞台でもヒットを飛ばしているアガサの腕は確かで、登場人物が無名であっても面白さ十分なのです。
そもそも、アガサは題名の付け方が抜群にうまいのです。
印象的な題としては『そして誰もいなくなった』『ABC殺人事件』『春にして君を離れ』などがあると思いますが、この”招かれざる客”も優れた題名だと思います。

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あらすじ

車の故障で困ってる男が、屋敷に助けを求めてくるところから始まります。
すると、なんとその屋敷の中には男の死体があり、その同じ部屋にいる美しい女性が『私が殺しました』と言い放つという、ドラマチックな始まりです。
そしてこの女性は死んでいる男の妻なのですが、なぜか偶然訪ねてきたこの男が、話を聞くうちに殺した女性に同情できる点があるとして、彼女を助けようとする話です。

ネタバレ少しあり

この作品の面白さは、観客をいかにロマンチックにだますか、ということを工夫している点かなと思います。アガサの作品は読者があっと驚くような仕掛けのミステリーが得意ですが、これはそれに愛憎劇が混じるのです。
突然現れた見ず知らずの男マイクル・スタークウエッターがやってきて、困っている美しい妻ローラを助けようとする、簡単に言えばその一部始終なのですが、そのやりとりが小粋でおしゃれというかなんというか、魅力的です。
お互いが一目惚れなんじゃ無いの?というくらい最初から二人っきりの掛け合いシーンが刺激的に続きます。大体、突然家を訪れたら人が死んでいて、傍らにたたずむ人が”私が撃ちました”とか言ったら、すぐに警察を呼ぶなり、捕まえるなりするものでしょう?相手がいくら美人でも怖いでしょうし!しかしそうはならない、なぜなら、いきなり恋に墜ちてしまったから!!と言わんばかりの冒頭の二人のやりとりなのです。キュンキュンきますね!

観客もそんなマイクル・スタークウェッターとローラの二人へ感情移入して同情的になっていくのだろうと予想されます。(そもそも、妻と言ってる時点で夫が死んでるとはいえ人妻にあらぬ心を抱くって道徳的にどうなのと思わなくも無いけど)そしていわば突然前現れたヒーローであるかのような彼のアリバイ工作、証拠隠しを観客は一緒に見ているので一幕終わる頃には”どうなるのだろう?犯人の女性を男は隠し通せるのだろうか”と引き込まれてしまいます。

しかし、だんだんと彼女の嘘が暴かれていき本当に彼女が殺したのか、それすらもわからなくなってくるのです。なにしろ、ローラには元々不倫相手がいるのです。なんということでしょう!
ほんとに人妻とはいえ、モテる人はモテるのね!とひがんでしまいたくなりますね(と納得させるほどにローラには魅力がなきゃいけません)
じゃローラは悪女なのか?と言われたら同情できる背景が用意されてるし、そんなに単純ではありません。さすがアガサは一筋縄ではいきません。
ローラは捕まるのか?と観客が思った頃にはまんまとアガサの罠にはまっているのです。
怒濤の後半の逆転劇にうなるしかない、そんな作品です。
あまりにロマンチックすぎるのでこの作品を読むシュチュエーションとして無人島に持って行くよりは、秋の夜などにお酒を飲みながら読みたいなと思う本です(個人的な感想です)エンタメとしてすばらしい脚本です。





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