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2024年07月14日

娘は娘






このブログは
アガサクリスティーが好きすぎて
無人島になにを持って行きたいかと聞かれたら
「アガサクリスティーの本」と答えるくらいの熱量があります
この本のこの作品のココが好き
または
この本のこういう所が見所!
というのを紹介していくブログです
自分の独断と偏見で★を付けていますが完全好みの問題なので、皆様とは違う価値観かもしれません。
ご容赦願います


このブログの最初はこちら

娘は娘


探偵モノではないが気になる一冊度    ★★☆
娘を持つ人が読んでおきたい度      ★★★
成長するって時間がかかる度       ★★★
アガサの男女感がわかる度        ★★☆
アガサはこういう本もいい度       ★★☆
無人島に持っていきたい度        ☆☆☆

娘は.png

アガサクリスティーと言えば『ポアロ』や『ミスマープル』など探偵が出てくるミステリーが有名でしょう!
しかしこの作品は探偵モノではありません


私も、アガサが推理もの以外の小説を書いていることは、かなりの探偵小説を読んでから知りました
アガサの別の名のメアリ・ウエストマコットで書かれた探偵もの以外の作品です


なので、アガサクリスティーの探偵作品のファンには戸惑いの一冊かもしれません。
しかし『春にして君を離れ』を読んでその世界を理解した後の私には読みたいなという気にさせました。
(詳しくは『春にして君を離れ』のところをご覧ください)


簡単にいうなら人間ドラマです
例えるなら日本のドラマで言うなら『渡る世間は鬼ばかり』の親子版という感じでしょうか
(ざっくり言うと)

最初は深い愛をもつ典型的な母に焦点があります
娘の幸せだけを願う母、盲目的かと思えるほどに娘に服従し、娘は自分ではそうとは分からず母に依存している関係です


娘の身体が大きくなるにつれ、しかし心はまだ身体に追いつかないアンバランスな状態も良く書かれています。
ひとつ思うのは、母親もこういう大人になりかけの娘を育てるのは初めての事だということ。母親自身が無事に大人になったという経験はありますが、娘が大人になるということは全く別の話なのだとこの作品を読んで分かりました。
まず母がシングルマザーであり、新しい恋に生きようとする可能性、自由があるということ
この母親に新しい恋人が出来る設定もよくあるようで、現実にはとても難しい問題があることもある程度想像がつくでしょう
この作品では娘が子どもであることの武器を総動員して母の幸せを阻止するのです

子どもの気持ちは『お母さんの為を思って』なのであるから、一番始末が悪い
『あんな男と結婚したらお母さんは不幸になる』と、母の恋人の欠点だけをことさら大きく宣伝し娘自ら思い込み母の恋人は敵であるから、全力で攻撃をしまくるのである
ある意味それは正しい


なぜなら、完璧な人などいないから、娘が”この人のここはダメだと思う”は正しいのである
一方、母は大人であるから人は誰も完璧ではないことを知っている。
恋をするとは結婚するとは、夫婦になるということは
完璧な人同士だから幸せになるとは限らないということも知っている
結局は娘の幼さ故、母の愛を独占したいためということも分かりながら、母親は自分の幸せを”娘の為に”苦しくてたまらないのに手放すのである

そういうわけで。。。。
結果的には、相手の幸せを願ったはずなのにそれが相手の幸せにならない愚かさを実に巧妙に書いています
何が言いたいかというと、この作品には人生の滑稽さと未熟さと犠牲の醜さを書いていると言えるのではないだろうか
傍から見たら、冷静に判断できるが(この作品を読んだ後の自分というのもあるが)
もし、当事者であったなら、きっと自分も”何かに負けて”この母のように、犠牲の愚かさ”を選択するのであろうとも思った
娘は娘1.png


小説の中の母は恋人と娘の二択を迫られて、娘のことを取る構図となっているが、結局はこの母は、その時どっちを選んでも悩み苦しい結果になっただろうとは思う。そういう人であろうから。
小説のように娘を選んだ母の立場で物を言うなら、他人から観た自分も意識したり、娘に恩を売る気持ちがあったかもしれない。
でも『誰かの為の犠牲』と自分が思っている限り自分の幸せもない(なかなかそれに気がつかないけど)

これが他人なら違う感想もあるかもしれないが、母娘なので、他の人間関係よりは干渉せざるえないことも『娘は娘』の題に表されているかもしれない。(ちなみに『母と息子』だとこうはならない、絶対に違う。)
作品の後半はそんな母娘の対決になるのですが、そこが唯一謎解きのようにスカッとさせます


そんなわけで、読み応えある一冊ではありますが、私が無人島にもって行くには湿っぽいし、無人島に行ってまで親子関係の謎解きはもうイイかな、と思うので、持っていきたい気持ちはありません(ばっさり)でも、良い作品ですよ!


親子を取り巻く人物がほんとうに面白い。腐れ縁的な悪友もそう、ばあや的なお手伝いさんもすばらしい。
読む人の立場によって感想も違ってくるであろうと思います
でも、声を大にして言いたいですが、ミステリーとしての謎解きはなくとも小説としてとても良い小説です!



posted by agata5 at 14:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 娘は娘

青色列車の秘密  感想







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この本のこの作品のココが好き
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青色列車の秘密

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ブルートレインでの殺人とルビー盗難事件

ネタバレなしのあらすじ

アメリカの大富豪ルーファス・ヴァン・アルディンの娘ルスが青色列車の中で殺される。ルスは大富豪からもらった大きなルビーを持っていたがそれも消えてなくなる。実はルスは以前、ろくでもない男ローシェと付き合っており、父のルーファスは強引にローシェと別れさせていた過去があったのだが、なんとルーファスに内緒でローシェに会いに行く不倫旅行の途中で殺されたようなのだ。当然容疑者となるがローシェにはアリバイがある。そしてルスは現夫デリクと離婚協議中であり、デリクは離婚しないまま妻が死ねば莫大な遺産が手に入るので、殺す動機がある。
偶然ルスと青色列車に乗り合わせていたポアロは、探偵を高齢のために引退しているが父ルーファスに頼まれ事件解決に乗り出すのだった。

k青色列車.png

ネタバレ少しあり感想

この作品は映像作品になるべくして書かれたと思えるアガサ作品の一つだと思います。青色列車、ブルートレインの響き、旅路、大富豪、宝石、恋愛、不倫、親子関係、美男美女そしてミステリーとてんこ盛りの内容なのです。

大富豪は娘ルスをとことん甘やかしており、そのあげく、ろくでもない男ローシェにハマり、父ルーファスがやっと別れさせたのにそれでも関係を続けてるというあきれるほど男を見る目がないにもわがまま娘なのであります。その後で結婚したデリクとも当然上手くいくはずがないのです。

しかもその夫デリクは一文無しの甲斐性無し。あまり上品と言えない女性と不倫中で、今離婚されたら絶体絶命なのです。本当にルスは男運がありません。しかし、ルスは不倫に向かう列車の中で、一人の女性キャザリン・グレイと逢い、気持ちを落ち着かせます。その矢先にルスは殺されてしまうので、そのつながりからキャザリン・グレイはポアロとともに事件解決の相棒となります。

この作品にはヘイスティングズは出てきませんのでこの女性がヘイスティングズの代わりになっているのです。(おそらく作品の順番からしてヘイスティングズはアフリカで新婚生活を送っています)苦労の長年の奉公生活の末に莫大な遺産を手にしているキャザリンには、感情移入が出来るように工夫がされています。遺産を手に入れてから、初めて自分のためにドレスを選ぶシーンは、彼女の賢さ、上品さなどがにじみ出ていて、読者に”よかったね!”と思わせています。この辺アガサは上手いと思います。


この作品で私が気になるのはポアロの”完璧ぶり”です。読者の知らないところでポアロが動いており、ポアロの過去の栄光と人脈で事件が解決したと言っても良いので、ちょっと謎解きとしたらどうかなと思うのです。でも、最初の事件が起こるまでの段階で、全ての主要な登場人物の生い立ちや背景を上手く書いているのでアガサは読者にフェアであろうとしているのが分かります。謎解きが好きな方は油断せずに読んでくださいね!


後はこの作品は男と女のミステリーと言っても良く、察しの良い読者はお分かりかと思いますが、キャザリン・グレイの恋愛とからめて謎解きが進んで行きます。とても面白い作品です。ただ、私はポアロ作品でもっと好きな作品があるので、★は少なめです。


ちなみに、ミスマープルの住んでいるセントメアリーミード村が出てきますので(ミスマープルは出てきませんが)マープル好きな方はニヤッとするでしょう。

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