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2024年07月19日

エッジウェア卿の死 感想

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エッジウェア卿の死 感想






このブログは
アガサクリスティーが好きすぎて
無人島になにを持って行きたいかと聞かれたら
「アガサクリスティーの本」と答えるくらいの熱量があります
この本のこの作品のココが好き
または
この本のこういう所が見所!
というのを紹介していくブログです
自分の独断と偏見で★を付けていますが完全好みの問題なので、皆様とは違う価値観かもしれません。
ご容赦願います

このブログの最初はこちら

エッジウェア卿の死
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ポアロがだまされる度    ★★★
犯人に同情できない度    ★★★
女優の華やかさ度      ★★★
無人島に持ってきたい度   ☆☆☆



ネタばれなしの紹介

この作品は読み始めからドラマティックです
華やかなショービジネスが舞台、美男美女が出てきますし何しろポアロの友人のヘイスティングズが最初に”ある非常に魅力的な一女性の心からの願いを実現することにもなる”などと思わせぶりに読み手を誘うからです

この頃のショービジネスの風景も今と変わりがないようで、結婚離婚の繰り返しで世間を賑やかすのは定番
そこにはお金とスキャンダルがてんこ盛りです
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そんな中、よりによってポアロに離婚問題の解決を依頼する美人女優が出てくるのです
それがエッジウェア卿の奥様、ジェーン・ウィルキンスンなのです

エッジウェア卿は大金持ち、しかし性格に難ありで有名なひとなのですが前の夫人ともすったもんだでなかなか離婚に応じなかった過去があります

それが分かっていながら、その問題のエッジウェア卿と結婚するなんて女優っておかしな生き物ですねっ?と凡人の私などは思うのですが、大金持ちというのは変人を魅力的に魅せるものですから何回も問題おこしつつ結婚しちゃうわけです(だろうと思われます)

なので簡単にはいかない離婚に応じるように説得して欲しいと名探偵ポアロにお願いするのも分からないではないのですが、そもそもポアロがやることがない案件です

自ら面白いと思う事件しか引き受けないポアロも強引な女優に無理やりその離婚問題を引き受けさせられますがどちらかというと、ヘイスティングズがその女優のファンだったから、と言うのが理由ではないかと思います
ヘイスティングズは女性に弱いんだなと毎回思いますが、今回もその傾向は顕著です

とにかくその離婚問題が事件の発端になりますが離婚問題はあっけなく解決します
さすがポアロ!と言いたくなりますが別にポアロの手柄ではありません
ポアロが離婚問題に着手する前にエッジウェア卿はすでに離婚に応じていたというのです
そこもこの作品を惑わせるひとつの要因です

ウソをついているのは夫か夫人かどっちなのか?どちらもだまされているのか?
題名通りポアロが会ったその後にエッジウェア卿が殺されて亡くなるので、いうなればポアロは無理やり事件に巻き込まさせられたと言っていいと思います

離婚したい理由が、他の男と結婚したいからと言ってのけていた夫人の女優ジェーンは限りなく怪しい!
しかし、完璧なアリバイがあるのです
犯人は今の夫人と結婚したい新しい男なのか、前の夫人との間に出来た娘なのか、それとも他に恨みを持つ人間がいるのか?
一体エッジウェア卿を殺したのは誰なのか?
事件は解決出来るのか?そんな作品です

アガサの作品にはいくつか女優が出てくる作品があります
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女優ってこういう生き物でしょって言わんばかりのアガサの表現の面白さがそこにあります
例えば『鏡は横にひび割れて』なども女優が登場しますが(この作品はエリザベステイラーが演じられていた事もあります)こちらの女優はまたちがう表現をされてます

沢山の女優さんの表現がある中で自分がどんなに魅力的か分かっている女優のエゴイストの表現は上手いなと思います

そして同時に芸術として賞賛される女優も出てきたりします
リスペクトもされているのでしょう

今作ではカーロッタ・アダムズという女優の存在が面白いです
とても面白いなと思います
それだけでも読む価値はあるかもしれません

それをふまえた上で、
この『エッジウェア卿の死』重要人物の女優が大げさと思いますし(そこが面白いと言えば面白いけれども)そこは置いといても、今作のポアロの推理はちょっと冴えが良くない気がするんです

ヘイスティングズの気に入った女性への盲目度は特に今回半端ないですし、イライラするほどです。ヘイスティングズのいい所でもあるんですけどね(アガサはわざとでしょうが)

そんなわけでこの作品が好きですか?と聞かれれば 私はポアロのキレが弱い気がしてあんまり好きではありませんと答えます。
でもこの作品を面白いか、と言われれば、面白いと答えるでしょう

矛盾するかも知れませんが、そんなわけで無人島までは持っていかない本ではあるんですけど単純に見えて複雑な事件にしている、あり得ない設定のそんな作品とだけ言っておきます

ポアロのクリスマス 感想


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ポアロのクリスマス


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クリスマスアドベントカレンダーのような作品   ★★★
アガサのクリスマスは陰と陽度          ★★★
内容は血に飢えたクリスマス度          ★★★ 
クズ男がモテるのは何故なんだ度         ★★★
無人島にもっていきたい度            ★★☆

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感想(0件)





ネタバレなしの紹介

人気作家であるアガサクリスティーの作品は出版社が『クリスマスにはアガサを』とキャッチフレーズにしてキャンペーンをしていたのは有名な話ですね。売るための出版社なりの作戦だったのでしょうが、それだけ楽しみにしていた読者のファンがいたということでしょう。そのための新作を出し続けるアガサも相当凄いと思います。

今回紹介するのは、そのキャンペーにのっとって書いたズバリ『ポアロのクリスマス』という作品です。
クリスマスと言えば、ケーキにツリーにリース、ご馳走の数々など明るいお祭りのように思う人も多いかもしれません。
実際、アガサもイギリスらしいクリスマス、プティング等のご馳走が大好きで『クリスマスプティングの冒険』では思う存分ご馳走を登場させて明るいクリスマスの作品を書いています。
しかし今回の『ポアロのクリスマス』は全く違います。

『クリスマスプティングの冒険』が陽だとすると『ポアロのクリスマス』は陰といったところでしょう。
何しろ、読者の一人に『もっと血まみれの殺人を書いて欲しい』と言われて奮起して書いているのですから、始末が悪い!
(とても誉めています)
くらいクリスマス.png

実際には12月22日から28日までの7日間の話になりますが、犯罪が起こる前の22日はこんなことがあった、23日は、というようにアドベントカレンダーをなぞるように始まります。作品事件が起こるのはクリスマスイブの24日、犯人が分かるのが27日、エンディングが28日、つまりポアロの灰色の脳細胞に掛かればクリスマスイブに事件が起ころうとも年内に解決してしまうのです。

殺されるのはお金持ちの老人、若い頃から散々女を(男も)泣かせてきた良心の欠片もない老人になったシメオン・リーという男です。

でもなぜ、こんなクズのような男が女に好かれるのでしょうか、私にとっては全く不思議でしかないのです。顔がイイとだけは描いてありますけど、中味はクズです。(何回言うのだろう)そしてクズがお金を持つとさらにタチが悪いし女好き、、、、となればまあ、殺されても仕方ないか!と思える人物に書かれています。

だからこそ血まみれになって殺害された時、マクベスの台詞『あの年寄りが、あんなにたくさんの血をもっていると誰が考えただろう』を登場人物に言わせて人間の愚かさを全面に出しているのかもしれません。

ネタバレちょっとあり

イギリスのクリスマスは、日本で言うところの『お盆』や『お正月』の行事と同じような感覚ではないでしょうか。

疎遠になってる家族、親戚等がクリスマスだから、と言って集まる口実がそこにあります。
当然、犯人は集まった親戚家族の中にいるわけですが、そんなクリスマスだからこその事件と言って良いでしょう。どうしてこんな話を思い付くのか、いつもながらびっくりします。私は最後まで犯人を見抜けませんでした!

なにしろアガサはびっくりする仕掛けを考えているし、タネを全部見せているようで、見せてない上手い書き方をしています。恋愛もからめて結局はハッピーエンドにするところもクリスマスのお慈悲と言ったところでしょうか。

ここでのクリスマスはイギリスの良きクリスマスではありません。『クリスマスプティングの冒険』ではクリスマスの良さを沢山書いているのに、ここではクリスマスを否定するかのような扱いです。

アガサに何があったのでしょう、と思わずにいられません。そんなアガサの気持ちも想像しながら読んでみるのも良いかもしれません。

無人島にもって行くにはちょっと好みじゃないので満点の★ではありませんが、だまされることは必須の良い作品です。

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葬儀を終えて  感想

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葬儀を終えて

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斬新な切り口のミステリー度  ★★★
人物のユニークな描写度    ★★★
遺産相続への興味惹かれる度  ★★☆
犯人への共感度        ★☆☆
無人島に持っていきたい度   ★☆☆

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感想(2件)





ネタばれなしの紹介

お葬式が終わるところからこの作品は始まります。
亡くなったのは薬で財をもうけたお金持ちのリチャードです。
唯一の子どもは先に亡くなっているので、遺産は兄弟姉妹、親戚などリチャードが残した遺言書にならって分けることになります。

何も不審な点がなかったリチャードの死ですが
葬儀に出席した妹コーラの
『だって、リチャードは殺されたんでしょう?』の一言ですべてがひっくり返ります。

コーラは昔から天真爛漫な性格で言って良いことと悪いことの区別がつかない所があり、皆が隠したがる秘密を言い当てるような所も多分にあったため、葬儀に集まった皆はその言葉の真意を計り知れないまま家路につくことになります。

そしてその言葉を言い放ったコーラは家に帰った後、誰かの手によって惨殺されるのです。

コーラがあきらかに他殺であることにより、コーラが言い残した『だって、リチャードは殺されたんでしょう?』の戯れ言がクローズアップされてきます。

葬儀に居合わせ、そのコーラの一言を聞いた全員に疑いかかかるのも無理はありません。
もしくは全然関係のない殺人なのか?
遺産相続の泥沼な争いもからめて、殺人の動機は誰にでも充分にあるのです。
ポアロは遺産管理者の一人に依頼されて真相を探ることになります。

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ネタバレちょっとありの感想

遺産相続のドタバタ、険悪さなどはミステリーにはよくありがちですが
アガサクリスティーの小説に出てくると本当にワクワクなんです。
ですから楽しんで読める、と言うのもあるのかもしれません。
そういう意味で私は楽しめました。(ひどい感想ですね、完全に他人事ですから)

後はコーラという人の人物描写が絶妙です。
最初の被害者であるコーラの描写が一番重要だからです。
コーラが『だって、リチャードは殺されたんでしょう?』と言ったのでなければ、ここまで事件にならず問題にならなかったでしょう。しかし、このコーラは残念ながら兄弟姉妹親戚共に好かれてはいない、疎遠な関係であることを冒頭にアガサは上手に書き示しています。
本当に上手い書き方だな、と思います。
それによって読み手も真実はどうだったのかと好奇心が止まらなくなります。

犯人は私にとっては意外ではなかったのですが、動機が全く分からなかった作品です。
人によっては、犯人に対して全く共感をしないでしょう。
しかし、私は同情はしないけど、共感はちょっと出来ました。
動機に対してではなくて、コーラ(に似てるタイプと接する)に対しての感情も心の奥底にあったのかなと、ちょっと感じたりしたのです。

そして一点、この作品の中に、他の作品の重要なシュチュエーションを彷彿とさせる場面が出てきます。コレは私だけが感じることかもしれませんが”多分コレはアノ作品のアノ場面にしてるな”と思う部分があります。ネタバレのなる可能性があるので、ここでは言いたいけど言いません。
ヒントはこの作品以降に書かれる作品の中にあります。
読まれる方は、そこの所も感じながら読んでみるのも面白いかもしれません。




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