4月20日(日曜日) 産経新聞 朝刊より
吉野裕子さん(よしの・ひろこ=民俗学者) 18日、心不全のため死去、91歳。自宅は奈良市大宮町3の5の5の202。葬儀・告別式は行われず、後日お別れ会を開く。日取りは未定。喪主はおい、赤池成義(あかいけ・しげよし)氏。
50歳から民俗学の道に入り、古代中国から入ってきた哲学「陰陽五行」の思想に基いて日本の祭りや信仰、習俗を探り、新しい視点を示した。「陰陽五行思想から見た日本の祭り」、「陰陽五行と日本の民俗」、「古代日本の女性天皇」など多くの著書を著し、十数年前からは奈良市に移り住み、研究・執筆活動を続けていた。
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50歳から独学で研究を始め、タブーを破る新説を次々と打ち出した民俗学者、吉野裕子さん。
吉野裕子さんは、東京都出身。女子学習院、津田塾大学を卒業後、英語の教師を経て主婦をしていたが、50歳のとき、習っていた日本舞踊の扇に関心を持ち、独学で研究を開始。
最初の著作「扇」(1970年)で「日本の祭事に使われる扇は男の性を象徴している」、「蛇」(1979年)では「日本民族は縄文時代から蛇を祖先神として信仰している」と大胆な説を唱え、在野の民俗学者として注目を集めた。
1977年、「陰陽五行思想から見た日本の祭り」により、筑波大学(東京教育大学)文学博士号取得。
蛇信仰と並んで、古代中国の哲学、陰陽五行の考え方をもとに研究を進めた。
1995年に東京から奈良市へ転居。
生前、 「素人の晩学だったからこそ、学界の既成概念にとらわれなかった」と話していた。
昨年1月から「吉野裕子全集」(人文書院)が発行され、最終の12巻の発行を今年6月に控えていた。 著書多数。全集全10巻がある。
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過日、ブログに丸木スマさんと小松茂美さんのことを書いた。今回は吉野裕子さん。
何れの方も、晩い歳から創作や研究を開始され、夫々の道を究められた方である。
好きなことが出来るのは幸せである。しかし、それを究めることは生易しいものではない。
三名の方の生き方に感銘すると共に、大切なことを教わった気がする。
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