馬頭観音とは憤怒(ふんぬ)の相をもち、馬の守護神と知られる仏様
馬頭観音とは、馬頭観世音とも呼ばれ、馬の守護神として知られる仏様です。
成り立ちはヒンドゥー教の神話
インドでは馬は四聖獣に該当し、神聖視されていたことも神話の成り立ちの背景にあります。
仏教では、現世の行いにより死後にめぐる世界が六つに分かれると考えられています。
知性がなく、本能のみで生きているため、いつになっても仏の教えを得ることができません。
馬頭観音は、憤怒の相で畜生道に生まれた人々を見つめ、救済する仏なのです。
腕が多い分、持物(じもつ:仏像が手に持っている仏具のこと)が多いことも特徴的で、煩悩を打ち砕くための剣や斧、棒を持っており戦闘的である様子も他の観音像との大きな違いです。
中でも、馬は武家では戦に出向き、農家では農耕を務め、人々の移動手段としても活躍する存在であり、人々の生活とは切っても切れない動物。
今でも、競馬関係者からは篤い信仰を集めており、レース中の事故などで亡くなった馬を供養するためなどに競馬場の近くに祀られる場合もあります。
この他、東京競馬場には馬頭観音像を二体も祀り、馬の供養や競走馬の無事を祈願しているのです。
福岡県太宰府市にある観世音寺は、斉明天皇の冥福を祈るために天智天皇の発願により80年の時を経て746年に完成した歴史ある寺院です。
正面と左右、後頭部に4つの面があり、それぞれの額に第三の眼を表現。
左右に三本ずつある手はそれぞれが異なった持物を持ち、正面の手は馬頭観音特有の馬口印を結んでいます。
命を落とした馬の供養や、競走馬の無事を願い競馬場に馬頭観音像があることは珍しくなく、その多くはパドック(レースに出走する馬がファンの前を歩き、様子を見せる場所のこと)付近にある一方で東京競馬場は敷地外の二カ所に安置されています。
一カ所は宅地化が進んだ住宅街の中に位置します。
https://ikikata.nishinippon.co.jp/term/720/