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2017年03月27日

書評−マネーの公理



ここの所、書評やCD評が続いていますが、たまの息抜きとご容赦下さい。
今回はマックス・ギュンターの名著「マネーの公理」を取り上げてみたいと
思います。この本は投資に悩んでいた頃書評で知り、こういう考え方もある
のかと大変感動した本の1冊です。今回息子にあげようと思い再読してみまし
たが、何度読んでも得る所がありました。

作者のギュンターはスイス人の銀行家を父に持つスイス系アメリカ人です。
幼い頃から父親に投機について学び、自分も金融の世界で生き抜いてきた投
機家です。スイスには昔から「チューリッヒの公理」と言われて継承されて
いるマネーに関する公理があり、この本はそれを説明したものですが、公理
だけでも12もありここでその全てを書くことはできませんので、主だった
所を解説できればと思います。

・「リスクについて」
  金儲けにはリスクがつきもので、本当の金持ちになりたければ自分が耐
  えうる最大限のリスクにお金をさらす必要がある。この代償は心配だが
  一度慣れてしまえばそれを楽しめる。

・「強欲について」
  常に早すぎる程早く利喰えという事で、その後たとえ利益が伸びたとこ
  ろで長くは続かない。確実に毎回利益を確保する事が重要。

・「希望について」
  問題が発生したらうろたえてはいけない。船が沈み始めたら祈るな、飛
  込め。

・「予測について」
  人間の行動は予測できない。誰であれ未来が予測できるという人を、例え
  わずかでも信じてはいけない。アナリストや経済学者の予測が当たった試
  しがない。

・「パターンについて」
  歴史は繰り返すが、この次も繰り返すとは限らない。研究で優位性を上げ
  る事は可能だが、勝敗は常に運である。

・「直観について」
  投機において強い直感が閃いた時には、公理はそれをテストしろと教えて
  いる。その直感を裏付ける情報が自分の中にあるなら信頼せよ、もし無い  
  なら無視しろ。

・「楽観と悲観について」
  楽観主義は投機家の敵である。いい気分にはなれるが、それだけに危険で
  ある。楽観は判断を曇らせる、そしてあなたを出口のない投資に導いてし
  まう危険を孕んでいる。

・「コンセンサスについて」
  大多数の意見は無視しろ。それは多くの場合間違っている。「人の行く裏
  に道あり花の山」という意味合いをもう一度よく考えろ。

・「執着について」
  投資対象を絞り込むことは大変重要だが、その対象に執着しすぎるあまり、
  撤退の時期を誤ってはならない。

このような定理が12とそれ以外の副公理があり、どれもそれなりに納得のいく
説明がされていて興味が尽きない。その中でも私が最も驚嘆したのは、株式投資
は投資ではなく投機だと言い切ったところです。株は誰が何と言おうとギャンブ
ルという事でしょうか。それでは又。

マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール

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2017年01月30日

書評−株は技術だ




さて私も書評は今まで幾つか書いて来ましたが、今回の相場師郎氏の
「株は技術だ」どちらかというと中上級者向けかなと思います。但し
だからと言って初心者が読んではいけないというものではありません。
初心者の方には、将来こういう方向へ行くんだよという指針とプロの
相場師とはどういうものかというイメージが掴めると思います。

相場師郎氏については以前のブログ「7step株式投資法」の中で、シリ
ーズで内容について詳しく説明致しましたが、それを簡潔にまとめ株
式投資の解説本にしたのが本書です。紙数の関係から簡略化せざるを
得ない部分もありますが、全体として良くまとまった本だと思います。

株式投資に関する本は世に掃いて捨てる程ありますが、本当に勉強に
なる読むに値する本は、5%程度と言われています。私の見立てでは、
林輝太郎氏関連の本、パンローリング社の本、そして本書くらいでは
ないでしょうか。

本書は所謂「うねり取り」というプロ投資家の手法で、マスターする
には時間と情熱を要求されますが、一旦自分の物にすれば、これほど
力強い、再現性のある投資法もありません。

著者はこの本の中で、再三に渡り株式投資は技術の習得である事を述
べており、ピアノやゴルフの習得と同じように基礎技術の繰り返し練
習の重要性を説いています。具体的には株価のの流れを読む事と、建
玉操作の訓練で、その為にはこれらの技術の習得の為の練習、練習、
また練習につきるという訳です。

もちろん「うねり取り」の具体的なやり方についても解説はしていま
すが、この本を読んで解かったつもりになっても、すぐに実践して安
定した利益を得る事はまず無理だと思います。そのくらい判っている
事とできる事の間には違いがあるという事です。

自分でやってみると良くわかりますが、バーチャルトレードの練習で
は簡単にできる損切りや思いどうりの手仕舞いが、実際にお金が懸る
とほとんどできない事に気が付きます。ですからあまり安易にバアー
チャルな練習をやり過ぎると、いい加減な取引の癖が付くという弊害
も出て来ます。

何故そうなるかと言えば、人間には欲があるからです。儲けよりも損
失の方が大きく響きます。損切りで損失の確定をしたくないばっかり
に、損切りが遅れたり、塩漬けを作ってしまいます。このように株式
投資は、自分の持って生まれた本能と対峙しなければ、なかなか勝て
るようにはなりません。その為には時間を掛けて練習をして、本能的
に体が動けるようにしなくてはならない訳です。

この本には投資手法ばかりでなく、そのあたりの心構えについても詳
しく述べられています。何度も読み直す価値のある本だと思います。
ぜひ一読をお勧めします。それでは又。

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2016年10月15日

書評−天才




今回の書評は言わずと知れた石原慎太郎氏の「天才」にスポットを当てて
みたいと思います。平たく言えば、総理大臣田中角栄の人物伝です。田中
角栄という人は私にとっても大変興味尽きない人で、今までにも各種の田
中角栄伝を読みましたが、鄙には稀な宰相だと思います。

今この時代に彼が生きていたらら、北朝鮮問題、中国問題、或いは日米関
係等どのように進めて行ったのかと、つい思いを馳せてしまいます。この
小説でも生い立ちから死ぬまで、比較的時系列に沿って書かれております
が、何せ中身のそうとう濃い人物だけに、1冊の本で全てを語るという風に
は参りません。紙数などの関係で深堀出来ない部分は仕方ないと思います。

私がこの本を読んで素直に良いなあと思ったのは、一人称の文体で書かれ
ている事です。一人称にする事でその時その時の彼の心情が、臨場感を持
って蘇って来ます。田中角栄という政界の大物を表現するには、ピッタリ
と言えるでしょう。

物語は幼少の頃どもりでいじめられた事、苦労して自分の建設会社を作っ
た事、仕事の関係から立候補の機会を得、政治家になった事、とてつもな
い人生勉強をして郵政、大蔵大臣、幹事長、通産大臣と要職を歴任し、54
歳の若さで内閣総理大臣となった経緯がリアルに描かれています。

彼はよく尋常小学校しか出ていない努力の人と言われるが、私は学びの人
と言い直したい。彼はどもり、戦争、経営、そして魑魅魍魎の政治の世界
を克服していく度に、お金や人の使い方、根回しの仕方や場の空気の読み
方等を学んで行ったのだ。今流に言えば大変な人たらしの人と言えそうだ。

彼の偉大な功績と言えば大きく2つで、1つは「日本列島改造」もう1つは
「日中国交回復」だろうと思う。日本列島改造は今でも新幹線網、県空港
、全国の幹線道路網という形で、我々に恩恵を施している。金権政治家、
闇将軍等と叩かれ放題だったが、やるべき事はやっていたという事だろう。
今の政治家に、彼のように熱い情熱を持った政治家がいるだろうか。

最後は日米関係改善を強力に推し進めてしまった結果、米国に睨まれ、
ロッキード事件で嵌められしまったという下りになっているが、真相は
私には判らない。只、彼だったら米国を相手に丁々発止とやりあったで
あろう事は、今までの彼の行動を見ても十分あり得る事だと思う。

最晩年の病気や家庭生活では、やや不幸な事もあったようだが、こんな中味
の濃い人生を75年間もやって来た事が、私には信じられない。
一読をお薦めする。それでは又。

天才 (幻冬舎単行本)




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2016年09月20日

書評−エウレカの確率




またまた書評ですが、今回のはかなり異色のミステリーです。相場とは
関係はありませんが、経済学を駆使しながら犯人を追い詰めるというス
タンスにとても興味を持ちました。

エウレカの確率 経済学捜査員 伏見真守

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タイトルは「エウレカの確率」石川智健氏の作品です。エウレカとはアル
キメデスが浴場で浮力の原理を発見した時に叫んだ言葉で、そのまま発見
したという意味だそうです。

物語は川崎で起きた連続殺人でスタートします。舞台は東高津署で、ドジ
で気の弱い新米女刑事の木下麻耶、鬼より怖い上司の阿久津課長、そして
先輩刑事の塚越、このメンバーが中心に事件捜査に当たりますが、物的証
拠が多い割には1か月経っても犯人の手掛かりが掴めません。鬼の阿久津課
長の機嫌はますます悪くなり、麻耶にとっては針の筵の毎日です。

そんな時に応援として、科学警察研究所から2名の担当が配属となった。一
人はプロファイリングの専門家、肥満の盛崎一臣。もう一人はアメリカで
刑法分野の経済分析をしていた、経済学者の伏見真守。

プロファイリングの有効性は理解できるものの、殺人事件に経済学者が何の
用?という訳で、盛崎は塚越と期待薄の伏見は勝手にしろという事で、麻耶
とペアを組む事になります。

捜査の方は一進一退しながらも進んで行きますが、最後は盛崎のプロファイ
リングが功を奏し、3つの連続殺人事件の犯人が絞り込まれて来ます。それに
対し経済学者の伏見は、3つの殺人事件の内1つは行動経済学からみても合理
的殺人であり、他の2つの無差別殺人とは犯人像が異なると主張します。しか
しプロファイルの犯人には明らかな証拠があるのに対し、伏見の犯人像には
明確な証拠がありません。捜査もここまで、プロファイルの犯人による3連続
殺人で解決かと思われた時、新たな重要事件が勃発、状況が二転三転目まぐる
しく変化して行きます。

経済学者伏見の捜査手法の中で、アンカリング、集団意思決定、期待値算出式
、主観的期待効用等いろいろな経済用語が出て来ます。中には多少こじつけ的
なものもありますが、全体としてそういう追い込み方も有りかなと思わせる所
はさすがです。

物語の終盤では、多くの登場人物が入り乱れ、大どんでん返しが待っているの
ですが、その重要な役割を演ずるのが、何とあのドジ女刑事の麻耶で、ここか
ら先は読んでのお愉しみという事にして下さい。いずれにしても相当細かく構
成されているミステリーで、読みごたえは十分ある小説だと思います。
それでは又。


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2016年06月24日

書評−スクラップ・アンド・ビルド




またまた性懲りもなく書評です。今回は羽田圭介氏の「スクラップ・アンド・
ビルド」。内容を良く見ず、ミステリーかと思って図書館で借りた本だったの
ですが、これがまた芥川賞の受賞作で、しかも一風変わった介護ものでした。

私も今年で67歳になり、認知症や介護の対象となる年齢になって、介護問題
も本当に他人ごとではないと痛切に感じるようになっています。40年以上も
サラリーマン生活をし、若さを良い事に不摂生極まりない生活もして来ました
ので、誰でもこの年頃になれば病気の2つ3つあるのが当たり前だと思います。

そういう年代を経て、早い人では60代から要介護になる人もいます。この物語
では、主人公健斗の祖父が介護の対象ですが、長年親族の間をたらい回しになっ
た祖父が、いよいよ最後の砦の長女(健斗の母)の世話になるところから話はス
タートします。

スクラップ・アンド・ビルド

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普通は介護というと、病院や介護施設の完全介護が、被介護者にとっては最高の
環境と思われがちですが、実はこの薬漬けを含めた完全介護が、年寄りをいち早く
死に至らしめる最短コースであるという事は、この本を読むまで知りませんでした。
主人公の健斗はこの事を受け止め、自宅介護で未来に何の希望もない、ただ苦痛に
耐えるだけの祖父を何とか楽にしてあげようと、できるだけ完全介護に近い看護で
、祖父の知力と体力を消耗させ、楽にあの世に旅立たせようとしますが、どっこい
いろいろな状況が次々と展開し、話は佳境へと進んで行きます。

また登場人物も皆大変なくせ者で、祖父も口では毎日すぐ死にそうな言葉を口にし
ていますが、誰もいないところではけっこうスタスタ歩いていたり、健斗の母親も
祖父を口汚く罵ったりしますが、実は祖父を思いやっての行動であったりして、な
かなか一筋縄では行きません。当の健斗にしても前の会社を辞め、30歳を前にし
ての実家でのプータロー生活で、落ちてばかりの採用面接にも懲りずに、祖父の状
況を反面教師としたストイックなまでの筋トレ生活を送るという変わり者です。

この変わり者の家族が、祖父のいろいろな事件を通してどうなっていくのかは、読ん
でのお楽しみですが、どこの家でも起こりうる介護問題について、本当に考えさせら
れます。株式投資とは直接関係はありませんが、投資生活においても健康は欠かせま
せん。幾つになっても健康で株式投資を楽しみ、ポックリ行きたいと思うのは私だけ
でしょうか。この物語のしみじみとしたエンディングが妙に心に残りました。
それでは又。

相場ゼミ 2期


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norch
43年勤めた会社を退職し、趣味でやっていた株式投資三昧の毎日。そんなに贅沢し美食したわけでもないのに、50歳から痛風予備軍と高血圧症。長年の医者通いにうんざりし、医療費節約も兼ねて、薬の個人輸入を始める。
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