またまた性懲りもなく書評です。今回は羽田圭介氏の「スクラップ・アンド・
ビルド」。内容を良く見ず、ミステリーかと思って図書館で借りた本だったの
ですが、これがまた芥川賞の受賞作で、しかも一風変わった介護ものでした。
私も今年で67歳になり、認知症や介護の対象となる年齢になって、介護問題
も本当に他人ごとではないと痛切に感じるようになっています。40年以上も
サラリーマン生活をし、若さを良い事に不摂生極まりない生活もして来ました
ので、誰でもこの年頃になれば病気の2つ3つあるのが当たり前だと思います。
そういう年代を経て、早い人では60代から要介護になる人もいます。この物語
では、主人公健斗の祖父が介護の対象ですが、長年親族の間をたらい回しになっ
た祖父が、いよいよ最後の砦の長女(健斗の母)の世話になるところから話はス
タートします。
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普通は介護というと、病院や介護施設の完全介護が、被介護者にとっては最高の
環境と思われがちですが、実はこの薬漬けを含めた完全介護が、年寄りをいち早く
死に至らしめる最短コースであるという事は、この本を読むまで知りませんでした。
主人公の健斗はこの事を受け止め、自宅介護で未来に何の希望もない、ただ苦痛に
耐えるだけの祖父を何とか楽にしてあげようと、できるだけ完全介護に近い看護で
、祖父の知力と体力を消耗させ、楽にあの世に旅立たせようとしますが、どっこい
いろいろな状況が次々と展開し、話は佳境へと進んで行きます。
また登場人物も皆大変なくせ者で、祖父も口では毎日すぐ死にそうな言葉を口にし
ていますが、誰もいないところではけっこうスタスタ歩いていたり、健斗の母親も
祖父を口汚く罵ったりしますが、実は祖父を思いやっての行動であったりして、な
かなか一筋縄では行きません。当の健斗にしても前の会社を辞め、30歳を前にし
ての実家でのプータロー生活で、落ちてばかりの採用面接にも懲りずに、祖父の状
況を反面教師としたストイックなまでの筋トレ生活を送るという変わり者です。
この変わり者の家族が、祖父のいろいろな事件を通してどうなっていくのかは、読ん
でのお楽しみですが、どこの家でも起こりうる介護問題について、本当に考えさせら
れます。株式投資とは直接関係はありませんが、投資生活においても健康は欠かせま
せん。幾つになっても健康で株式投資を楽しみ、ポックリ行きたいと思うのは私だけ
でしょうか。この物語のしみじみとしたエンディングが妙に心に残りました。
それでは又。
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