今回の書評は自伝である。ですから多少割り引いて読む必要も
ありますが、相場に参加する者にとっては、大変含蓄に富んだ言葉や
話が多く、時代は違えども参考になる本だと思いましたので取り上げて
みました。山崎種二氏の「そろばん」です。
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自伝ですので、生い立ちから修業時代、独立、兜町進出と時代を追って
話が続いて行きますがまず一つ感じるのは、郷里の借金を返す為深川の
回米問屋山繁商店に小僧奉公するわけですが、同じような境遇の小僧が
店には沢山いながら、何故山種氏だけが頭角を現して来たのかと云う事。
これは人一倍仕事熱心だった事もありますが、実は人脈を作る事に相当
長けていた事があります。
それと若くして一生の自分の人生訓とした福沢諭吉翁のことば「成功の種は
必ず苦しい時に芽生え、失敗するのは有頂天になっている時に原因が生じ
ている」を身をもって感じとった事がその後の相場道の支えとなった事。
もう一つはすばやい行動です。相場を張る、独立する、関連会社を立ち上げ
る。いずれも慎重にデータを収集して詳細に検討するのですが、やると決めた
後は躊躇無く実行します。実行しながら考えるという感じですかね。そして
時代というか先を読む目が鋭い、天性のものでしょうか。小学校しか出てい
ないので学はないが、人から話を聞き出し自分の知識とする能力が高い。
途中、商売や相場で何度も危ない目に遭っているのですが、その度に協力して
くれる人が現れ急場を凌げたのも、彼の人脈の力でしょうか。最後は自社ビル
を建て、子供達に事業を託しハッピーエンドとなるわけですが、相場師で山種氏
のように最後を全うする人は大変少ないので興味をひきます。
そしてこの本の一番の肝となる部分が最後の章の「相場雑感」でしょうか。
その中の相場の秘訣の中で、最初に相場に失敗して、その怖さを見に沁みて
感じた事。本業ではディーラーはやらずブローカーに徹した事。その儲けを基に
比較的安全なサヤトリで資産を積み上げた事。売りの山種と云われているが、
実際はバリュー投資がメインで、売りには現物他のヘッジを必ず掛けていた事。
調子の出ないと時は「休む」事も心掛けていた。
相場はいたずらに銘柄を分散することなく、少ない銘柄で如何に利益を伸ばすか。
1勝9敗でも利益を出す、相場の大きな流れを感じ取り、徹底的な逆張り手法で
利を最大限に伸ばすという事でしょうか。
時代もシステムも今とは全く異なる環境での相場手法の為、今では役に立たない
と感じるかも知れませんが、全然そんな事はありません。ある意味で投資の王道
といえる手法で、今でもこれから相場の世界に入る人にとって、大変参考になる
書物ではないでしょうか。
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