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2023年08月23日

CD評−横浜フォール・イン・ラブ



今回のCD評は私にとって意外な歌手でした。日野美香さん「氷雨」に代表されるように
演歌、流行歌歌手だとずっと思っておりました。今回あるきっかけでこの「横浜フォール
・イン・ラブ」知ることとなり、えっ! jazzもすごいじゃんと感じ、紹介する事にしました。

本CDは「港が見える丘」「蘇州夜曲」のように戦前のヒット曲、「海を見ていた午後」
のユーミンに代表されるヒット曲、そしてオリジナル曲から編成されています。曲の編成
を並べますと、

  1. 港が見える丘
  2. 横浜フォール・イン・ラブ
  3. 蘇州夜曲
  4. 別れのブルース
  5. 海を見ていた午後
  6. 横浜ホンキートンク・ブルース
  7. 秋の気配
  8. 氷雨(ジャズバージョン)(新録)
  9. Smile again(新録)
  10. 横浜フォール・イン・ラブ(Instrumental)  

私の趣味を言わせてもらえれば、まずはタイトル曲の「横浜フォール・イン・ラブ」です。
イントロがなかなかやりますね。そしてサビの4ビートのパートがなんともジャージーで素
敵です。そして「別れのブルース」、正直、淡谷のり子の歌はやや聴きあき感があり、どう
しても聴きたいという感じではありませんが、日野美香の「別れのブルース」は、まずアレ
ンジが無茶苦茶しjazzです。そして主旋律やバックを流れるビブラフォンの音と演奏が堪り
ません。セクシーです。

そしてかの松田優作も歌った「横浜ホンキートンク・ブルース」、横浜でブルースて言った
らこれしかないよねという曲。今までいろいろな人が歌っているが、出だしのペースのバッ
クのみでの歌い出しが艶っぽい。この曲も相当長い間歌い継がれて来た曲なのに、少しも古
さを感じさせない。日野美香もよい雰囲気を保ちながら、気持ちよく歌っている。

最後は勿論、「氷雨(ジャズバージョン)」もよいのだけれど、更にその上を行くのが、「Sm
ile again」。正直、日本人の作曲とは思えないくらいjazzyです。このCDのテーマがこの1曲に
凝縮されたような素晴らしい曲です。私ならこの曲をテーマ曲とした大人の恋愛ドラマを、
ぜひ監督して作ってみたいと思います。主演の男優と女優が目に浮かぶようです。この曲を
聴きながら彼女とお酒なんか飲んだ日には、なるようになっちゃうでしょうね。
それでは又。

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posted by norch at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | CD評

2023年07月25日

書評−妻のトリセツ



大反響の黒川伊保子氏の「妻のトリセツ」について、書いてみたいと思います。
私も例外でなく、何十年と妻との戦いを続けて来ましたが、そういう無益な戦い
に終止符を打てるのならと、期待を持って本を手にしました。

読んでみるとなる程、女性の脳の構造はこうなっているのか、それであんな理屈
にもならない事を、さも得意そうに吠えられるんだなという事が、よおおおおく
判りました。

今まで特に理解できなかった事に、いきなり結婚当初の事を持ち出して、その時
あなたはああ言ったこう言ったと、もうあれから40年も経っているのに。しか
し自分の事は忘れるくせに、人の事になるとよく覚えているなあとしみじみ感じ
た事が、この本を読んで理解できました。

又ある時は、子供に都合の悪い事が起きると、すぐに私の性格のせいにして、私の
家系の悪い血のせいで、子供がダメになるみたいな事を言い出すに至っては、余り
の馬鹿馬鹿しさに、蹴りを入れてやりたくなる事が多々ございました。著者からす
るとこれも女性の性で、うまくかわさないといけないらしい。そしてこれでもかと
言うくらい、妻への夫としての対処方法が書いてあります。

正直ここまで読んで、ちょっと待てよと。よくよく考えてみれば、この著者の言っ
ている事は、女性脳を理解して、妻の機嫌のよくなる対応を学びなさいという事?
なに、妻の奴隷になれという事? と思い、猛烈に腹が立ちました。夫が女性脳を
理解する努力をするなら、妻も男性脳の勉強をして、お互いに思いやりのある結婚
生活を構築するというのが、筋じゃないのかなあと感じました。

確かに女性は特に主婦は、家事に育児にとストレスの多い時期がある事も確かです。
しかしそれを言うなら、夫だって会社や仕事でパワハラや難易度の高い仕事などを
押し付けられて、1度や2度は自殺しないながらも、重度のうつになった人は沢山
います。事実年間の自殺者数は、仕事の悩みや経済的理由で、自殺する男性の数が
圧倒的に多いのも事実です。

夫だってもっと過酷なストレスに毎日対峙してるんだバカヤロー。という反論感情
がむくむくと湧いてきましたが、そうするとそういう男性脳が妻の感情を逆なでし
てるのよと著者の格好の餌食になりそうなので、タイトルが「妻のトリセツ」なん
だから仕方ないかと怒りの矛を収めました。

ところが読み進むうちに、最後の最後、「それでも別れないほうがいい理由」という
章で察する事が愛だと思う女性脳。褒めて認めてもらいたい女性脳。云々かんぬんと
あって、男性からすると難儀な脳だが、女性脳が拗ねたり、怒ったり、口うるさかっ
たりするうちは、未だ夫に惚れている証拠。妻の為と思わずに、自分のリスクヘッジ
の為に、妻の女性脳を慰撫しようというくだりで、何かほっとする気がした。
それでは又。

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posted by norch at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評

2023年06月24日

書評−旧友再会



今回は重松清著の「旧友再会」を取り上げてみた。重松氏と云えば「ビタミンF」
「流星ワゴン」「疾走」「ナイフ」「その日の前に」など、数々の名作を送り出し
ていますが、今回の「旧友再会」も特に「団塊の世代」と言われる人たちには、大
いに共感を持っていただけると思います。かく言う私もその一人ですが。

この短中編集は5つの物語で構成されています。
  @ あの年の秋
  A 旧友再会
  B ホームにて
  C どしゃぶり
  D ある帰郷
この内、どしやぶりが中編で、ある帰郷が超短編。
全編に共通するテーマは、ふるさと、親の介護、家族、旧友再会、仕事とは、そし
て生きるとはなど。結構重いテーマもありますが、物語は余り重さを感じさせず、
淡々と進んでいきます。

私が一番胸を打たれた物語は、「あの年の秋」でした。
博史君の家族はお父さんの三郎さん、お母さんの智恵子さん、お姉ちゃんの優子さ
んの4人家族。ある日お父さんから、おばあちゃんを3月まで預かる事になったと
の話。おばあちゃんはちょっと恍惚の人になってるみたいで心配。そしてそのおば
あちゃん君江さんは戦争で大変な苦労をし、悲しい思いをした人でした。

君江さんは戦争でご主人と長男と四男を失ってしまったのです。その後戦死と思わ
れていた横井庄一さんがフィリピンで生きていたというニュースを聴いて、長男の
隆一郎さんも生きているのではないかという考えが頭から離れず、軽い認知症もあ
って、精神が不安定になる事もあったのです。そんな君江さんを博志君一家は、当
初心配していましたが、認知症もひどくならず、落ち着いた生活が過ぎていきまし
た。

パンダの初来日のニュースが取り上げられ、博史君は早速三郎さんに上野動物園に
見に行く約束を取り付けた頃、またまたフィリピンで小野田さんが発見されたとの
ニュースが届き、君江さんの精神も不安定になるのですが、堪えている姿が痛まし
い程です。

ある日博史君がおばあちゃんの部屋で、パンダが来たら上野動物園に見に行く約束
をお父さんとした事を話したら、突然おばあちゃんの様子がおかしくなってしまっ
た。そしてキリンの赤ちゃんを見に行こうねと呟いた。そしてそれはまだ君江さん
の長男や四男が生きていた頃、家族全員で上野動物園にキリンの赤ちゃんを見に行
った時の思い出がよみがえったのだった。

それを聞いたお父さんの三郎さんが当時を思い出し、お兄さん家族も誘って、みん
なでおばあちゃんの為に、上野動物園にキリンを見に行くことを提案。当日、三郎
さんが途中から君江さんをおんぶして、それをみんなが励ましあって、思いやりの
ある楽しい行楽となった。

人は誰でもいつかは老いさらばえ、誰かの世話になってこの世を閉じる。それでは又。

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43年勤めた会社を退職し、趣味でやっていた株式投資三昧の毎日。そんなに贅沢し美食したわけでもないのに、50歳から痛風予備軍と高血圧症。長年の医者通いにうんざりし、医療費節約も兼ねて、薬の個人輸入を始める。
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