アフィリエイト広告を利用しています
ファン
検索
<< 2022年02月 >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28          
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
ヨリちゃんさんの画像
ヨリちゃん
プロフィール

広告

posted by fanblog

2020年05月04日

ポストコロナ「日本特殊論」との決別が必要な訳




 ポストコロナ「日本特殊論」との決別が必要な訳

            〜東洋経済オンライン 5/4(月) 5:40配信〜


     050407.jpg

 アジア・パシフィック・イニシアティブの船橋洋一理事長(右)と慶応義塾大学の細谷雄一教授(写真は何れも本人提供)

 〜新型コロナウイルスの猛威が世界を震撼させ、人々は底無し沼に喘いで居ます。何時終息するのか、その見通しすら立た無い現状の中、日本を含む世界の社会と経済は既に大きな打撃を受け、ポスト・コロナでは国際政治や世界経済の構造や秩序が大きく変化してしまう事が予想されます。
 ポスト・コロナの世界はどの様に変容してしまうのか。コロナウイルスが私達に突き付ける歴史的意味とは何か。ジャーナリストでシンクタンクのアジア・パシフィック・イニシアティブ・APIを率いる船橋洋一氏と国際政治学者でAPI上席研究員でも有る細谷雄一・慶応義塾大学教授の緊急対談を4回に渉りお届けします。本対談はオンライン会議で行われました〜


 世界史を動かしたパンデミック 

 船橋 洋一(以下・船橋) 新型コロナウイルスは全世界の社会を震撼させ、経済に打撃を与え、世界の秩序を変えつつ有る様に見えます。歴史・国際政治・日本の外交を研究されて来たお立場から、今回の危機をどの様に位置付けて居られますか。

 細谷 雄一(以下・細谷) 言う迄も有りませんが、我々は今、大変な世界の中に居るのだと思います。アメリカではこの1カ月で2,000万人が職を失いました。過去10年間の失業者数の合計と同じ数です。
 中国の経済成長率が第1四半期でマイナス9%(前年同期比)と云う数字も出て居ます。過つて、20年程前の事ですが、中国の専門家の中には「中国のGDPの成長率が7%を切ると、共産党の統治の正当性が失われて権力の維持が難しく為る」と云う見方をする研究者が居ました。今年の成長率は殆ど0%に近い、前例の無い数字に為って仕舞う事が予想されます。
 詰り、アメリカの膨大な数の失業者や中国の経済成長の鈍化等、今、世界で起こって居る事は、我々が全く想定して居なかった・想像も出来無かった事態です。先ず、私自身が、国際政治学者として感染症が世界に与える影響を過小評価し、そのインパクトの大きさを十分に理解出来て居なかった不徳を言わ無ければ為ら無いと思っています。
 又、これを機会に改めて歴史を紐解いて看て、感染症が世界史を動かして来た事に思い至り、これだけ重要な問題が、国際政治学と云う領域での私の視点から欠落して居た事を反省して居ます。

 船橋 世界史を動かしたパンデミック・感染症の世界的大流行と云うと、中世のペストが先ず思い浮かびますが。  
 
 細谷 世界史を概観すると、人類はパンデミックに依る世界史の激動を幾度か経験して居ます。ご指摘の中世の欧州で大流行したペストと、第1次世界大戦中のスペイン風邪がその典型です。
 先ず中世のペストです。カトリック教会が欧州の人々の精神的支柱で有ると同時に、欧州の社会と生活を事実上支配して居た時代ですから、当然の事として、人々は救いを求めて教会に殺到しました。当時の人々は勿論それを知りませんが、至る所が「3密」の空間と為った事で、ペストは一気に拡散しました。結果、ペストの脅威の前に無力を露呈したカトリック教会の権威は失墜します。
 ペストにより欧州の人口の3分の1が失われたと云われて居ます。人口の減少は社会構造に変化を与え、中世の封建制度のヒエラルキーの下で最下層に在った人々の地位が相対的に上がった事で封建制は動揺しました。
 そして、封建制の揺るぎとカトリック教会の権威の失墜により、国家が政治の中心と為る近代的な社会が誕生したのです。詰り、教会が支配した中世から国家が支配する近代への変化は、ペストを重要な1つの起因として居たのです。.

 歴史上最悪のパンデミックと言われて居るスペイン風邪は、第1次世界大戦の戦況や戦局・趨勢に大きな影響を与え、更に、戦後の国際機関の誕生の流れに竿を指しました。スペイン風邪は、第1次世界大戦最中の1918年から世界中で大流行しました。
 正確な数字は明らかではありませんが、世界全体の死者数は1,700万人から5,000万人とも推定され、第1次世界大戦の戦死者推定1,600万人を遥かに上回ります。スペイン風邪は当然の事として、ドイツやフランス・イギリス等の交戦国にもその兵士にも蔓延し、取り分け感染拡大に依り戦争継続が困難と為り、ドイツ敗北の遠因と為ったと指摘する研究も有ります。

 ドイツ敗戦の遠因と為り、WHOを生んだスペイン風邪

 第1次世界大戦中、交戦国は国内や軍隊での感染の事実を公表して居ませんでした。軍隊の士気の低下や、志願兵の減少を懸念したからです。唯一、国内のパンデミックを公表したのが中立国のスペインでした。それをメディアが世界中に発信した為「スペイン風邪」の名を残す事に為ってしまったのです。
 スペイン風邪の発生源には諸説有りますが、アメリカ起源説も有力です。1917年にアメリカが欧州戦線に参戦した事が切っ掛けで、欧州に蔓延したと推測されて居ます。詰り、兵士の移動でアメリカとヨーロッパが繋がれた事に依り、感染症が拡大したと考えられました。所謂グローバル化の流れですね。

 戦後、設立された国際連盟は、こうした分析を基に、国際的な協力無しには感染症には対処出来無いと云う認識を深め、1923年に国際連盟保健機関が設立されました。その後、保健機関は今日の世界保健機関・WHOへと引き継がれます。ペストが近代社会の生みの親と為り、スペイン風邪が現代の国際秩序の礎と為った事からも判る通り、世界史は、パンデミックが社会の有り方や世界の秩序を激変させる事を示唆して居ます。
 詰り、現在進行形で起こって居る新型コロナのパンデミックは、我々の社会や世界を今とは別の場所に連れて行ってしまう可能性が高いと云う事です。国際政治学的な視点では「アフター・コロナ」或いは「ポスト・コロナ」の世界を的確に見通して、それに適切に対処出来た国が、ポスト・コロナの世界秩序をリードして行く事に為ると予想して居ます。しかし、コロナの前と後の変化の質やその大きさ、そしてこれから変化して行く方向を見極めるのは非常に困難だと思われます。

 通信技術の支配者がポスト・コロナの世界をリードする

 船橋 予測のヒントと為る様な事は有りますか。

 細谷 何時の時代もそうですが、社会や世界には変化する事と、変わら無いものがあり、それを見極める事がトテモ重要に為るのだと思います。ポスト・コロナの世界でも、継続し変わら無いのは、国際社会が国家を単位として動いて行く事と、人々が最後に救済を求められるのは国家しか無いと云う事だと思います。
 国連やWHOは人々に経済援助して呉れる訳でも大量のマスクを配って呉れる訳でも有りません。他国の政府からも一定程度以上の援助を期待するべきでは無いのでしょう。人々は、結局の所は、自国政府に救済を依存せざるを得ない。こうした現実は、人々をナショナリズムの方向へと誘導して行く可能性が高いと思われます。

 他方で、グローバル化が止まる事は無いと思います。コロナの影響で、インターネットを利用してのコミュニケーションやビジネスは、国境を越えた形も含めて寧ろ加速して居ます。
 詰り、政治に於ける国家主義的な傾向が強まるのと同時に、我々の生活がより一層、インターネットに依存したスタイルに変わって行く事に為ろうかと思います。その前提が正しければ、19世紀にイギリスがシー・コミュニケーションを支配して、シー・パワーとして「7つの海」を支配し「パクス・ブリタニカ」を確立した様に、ポスト・コロナの世界では、テレコミュニケーション・通信技術を支配した国や勢力が、国際秩序の形成に大きな影響を与える事が予測されます。

 船橋 中国がカギに為ると云う事でしょうか。

 細谷 その可能性は少なく無いと思います。その事をいち早く察知しコロナ前からその様に動いて来たのが中国でした。既に、世界中にファーウェイの5Gシステムを構築しようとし、テレコミュニケーションの支配を確立しようとして居ます。
 しかし、中国は幾つかの点で国際社会の信頼を失って居るので、その様な未来は流動的だと考えます。日本を含めた国々が、今後、中国が作った5Gのシステムに依存して行くのか、それとも、別の選択肢を求めるのか、それに依って世界の趨勢は大きく違って来ると思います。


 「最悪のシナリオ」通りの危機
 
 船橋 示唆に富んだお話を有難うございます。私も今回のコロナには心底、衝撃を受けて居ます。全く違う世界が現れて来るのでは無いかと云う予感と共に、その中で日本がどう為るだろうかと云う不安を感じます。未だ、これからどう為るか見通しが着か無い、それでも日本はこの敵に一丸と為って戦えるだろうかと云う漠たる不安です。
 私もジャーナリストとして日本の戦後の危機を色々取材して来ました。1971年のドルショック、1973年の石油危機、1985年のプラザ合意、1991年の湾岸戦争を取材しました。今世紀に入ってからも北朝鮮の核保有やリーマンショックや福島の原発事故と云った国家的危機を取材して来ました。 
 夫々の危機は世界の秩序を大きく揺るがし、日本の国益や戦略にも大きなインパクトを与えました。そして、危機が通り過ぎ、それを取材し記事に書き本として世に出す度に或る種の敗北感を味わいました。何故、日本はコンな戦いしか出来無かったのだろうと云う敗北感ですね。
 特にフクシマでは、政府の危機対応の根本的問題はガバナンスの欠陥に有ると痛感しました。国家として言えば統治の欠陥です。本当の国家的危機を戦い抜く為の「国の形」に為って居ないのでは無いかと云う敗北感です。福島原発危機の有り様を総括する積りで著した本のタイトルを『原発敗戦』としました。

 特に対外的な危機に直面した時は、どの様な戦略を構想したとしても、内政にそれを支える裏打ちが無ければ、チャンとした統治が機能し無ければ戦略は貫徹出来無い。戦略は統治を超えられ無い・・・と云うのが、フクシマに対する私の総括でした。
 アノ時、民主党政権の菅直人首相は危機の最中に近藤駿介原子力委員会委員長に「最悪のシナリオ」を作らせました。しかし、既にそれは起こってしまって居た。「最悪のシナリオ」は有事に備えて平時に作って置かなければ意味が無いと云う事です。そして、常に新しいリスクを想定しながら、プランを更新し続けて居なければ・プランニングし続け無ければ、本当の備えには為ら無いと云う事を学びました。
 福島の原発事故の後、私達は「福島原発事故独立検証委員会・民間事故調」を立ち上げ報告書を刊行しましたが、その経験を踏まえ、第2弾のプロジェクトとして「日本政権の為の危機管理」の有り方を研究し『日本最悪のシナリオ 9つの死角』(新潮社、2013年)と云う緊急レポートを刊行しました。
 9つの死角として「尖閣衝突」「国債暴落」「首都直下地震」「サイバーテロ」等と共に「パンデミック」も取り上げました。「医療が消えた日」と云う副題を着け、当時、東京慈恵医大の准教授だった浦島充佳先生に執筆して頂きました。 

 「未知のウイルスが猛威を振るう中、人工呼吸器等の医療機器・医師や医療スタッフの不足に依り医療現場は崩壊の危機に直面する。問題解決の糸口と為るのは『死ぬ順番』を決められるかどうかなのだが・・・」と云う非常に衝撃的な内容でしたが、実際に、私達は今、その「最悪のシナリオ」の危機に直面して居ます。
 只、浦島先生に執筆をお願いし、恐ろしい程迫真性の有る最悪のシナリオを描いて頂いたにも関わらず、パンデミックの危機に関しては十分にイメージ出来ませんでした。今、改めて浦島先生の慧眼に驚くと同時に、自らの不明を恥じて居ます。同時に、日本がコロナウイルスの脅威を前に「最悪のシナリオ」に向かわ無い為に何が必要なのか、それを確り見て置かなくてはと思って居ます。

 日本特殊論の誤謬

 その1つが「日本特殊論」の幻想を持た無い事だと思います。福島の時も最初の1・2日は「日本の技術が有れば、最終的にはメルトダウンは食い止められる」と祈る様にそれでも日本を信じて居ました。しかし、その楽観は3月14日の午前11時に3号機の建屋が爆発した時吹っ飛びました。
 今回も、正直に申し上げれば「日本は何とか持ち応えるのでは無いか」と云う様な、祈りにも似た気持ちが私の中には未だ有ります。専門家会議の尾身茂副座長は「2009年、新型インフルエンザの流行を抑え込んだ成功の体験を基に今回も『日本モデル』で成功する様希望して居る」と述べて居ますが、私もその様な「希望」を持って居ます。
 しかし、もしそう為ったとしても、それを「日本特殊論」詰り日本人は我慢強いからとか、日本人は組織的団結をするからと云ったそう云う或る種の文化論は信じ無い事にして居ます。勿論そうした国民性や民度と云った要素を無視する事は出来ませんが、安全と安全保障はそうした文化論に甘える余地の殆ど無い国力と技術と備えと、冷酷なリスク評価とリスク管理そして確率論的リスクと、そしてリーダーシップの分野です。 

 此処では「最悪のシナリオ」を常に考え、出来るだけ備えて置かなくては為ら無いのです。最後の所それは「小さな安心」よりも「大きな安全」を優先させ無ければ為ら無い心理的且つ戦略的トリアージュの世界です。
 もう1つ、これも福島原発事故とも関連して居ますが、日本の技術は何故、イザと云う時役に立た無いのか・・・と云う敗北感です。危機に際して問題を解決する決め手に為ら無いと云う事です。第2次世界大戦の戸き、日本はゼロ(零戦)と云った匠の芸は有りました。しかし、持続的な量産体制、戦いながら技術を更新し、バックフィットして行く事が苦手でした。レーダーや原子力の様なパラダイム・シフト的な技術革新を生み出す力は備わって居ませんでした。
 福島の時もそうでした。日本はそれ迄「ロボット大国」を誇って居ましたが、原子炉相手にセンサー機能にしても撮影にしても運搬にしても、無人化作業を行うロボットは最後迄出て来ませんでした。最後に駆け着けて呉れたのはアメリカのアイロボット・iRobotです。フクシマの時「負けたな」と云う気持ちと共に「恥ずかしい」と云う気持ちも有りました。

 技術面で日本は明らかに後れを取って居る

 今回も何処かにその様な気持ちが有ります。中国や韓国やシンガポールや香港等感染者の割り出し・追跡・ソーシャル・ディスタンシング警報・人流管理等大胆にデジタル技術を活用し感染拡大を防止し出口戦略を模索して居るのに対して、日本は明らかに後れを取っています。
 少し前迄は「3Dプリンター」で何でも作れると云わんばかりだったのに、人工呼吸器は出来無いのでしょうか。国民を守る為の技術とイノベーションが何故こう迄進まないのか。セキュリティーの為の技術革新とイノベーション、取り分けデジタル・イノベーションが行われ無い。
 細谷さんのご指摘通り、ポスト・コロナの世界には新しい国際秩序が生まれて来る筈です。そして、今後、新秩序を巡って国々の興亡を懸けた賭けた闘争が繰り広げられるでしょう。その時、科学技術とイノベーションの力・・・中でもデータの力を社会課題の為に活用し、国民の安全に役立たせる事が出来る国が、レファレンス・参考事例と力を発揮するでしょう。
 コロナとの戦いと同時に、ポスト・コロナの世界でどの様な地位を得て、どんな役割を果たす事が出来るのかと云う戦いも行われて居るのです。その双方の戦いの最中の今「戦後」を構想する事が出来るかどうか、日本がそうした歴史的役割を果たす時だと思います。


 船橋 洋一 アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長     以上




























この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9824411
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。