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2020年04月30日

90年前「世界大恐慌」から学べる「教訓」




 90年前 「世界大恐慌」から学べる「教訓」

         〜新潮社 フォーサイト 磯山友幸 4/30(木) 15:00配信〜


      043006.jpg


 米ニューヨーク商業取引所で4月20日、原油先物価格が史上初めてマイナスと為った。米国原油の指標であるウエスト・テキサス・インターミディエート・WTI先物が、1バレル当たりマイナス37.63ドルで取り引きを終えたのだ。簡単に言えば、原油を買うとお金を貰えると云う訳である。
 新型コロナウイルス感染症の蔓延で、世界の原油消費が一気に冷え込む中で、貯蔵施設が5月に満杯に為る恐れが有るとの見方が広がった。先の「マイナス価格」は、生産者が買い手に代金を払ってでも引き取って貰いたいと云う状態に為って居る事を意味して居る。
 5月物の最終取り引きを翌日に控えて居たと云う特殊事情が有るとは云え、如何に「需要が消えた」事のショックが大きいかを物語って居た。

 大量の失業者を生ま無ければ

 世界は今、未曾有の大恐慌のとば口に立たされて居る。新型コロナの蔓延で経済活動が「凍り着き」猛烈な勢いで経済収縮が始まって居る。新型コロナが早期に収束しないと、これ迄経験した事の無い大デフレが遣って来そうだ。その予兆の1つが、原油市場で誰も経験した事の無かった「マイナス価格」だと云う事だろう。

 大恐慌で一体何が起きるのか。千葉大学名誉教授・秋元英一氏の著書『世界大恐慌 1929年に何がおこったか』(講談社学術文庫)には、世界大恐慌下の米国の様子が描かれて居る。

 〈一家の主たる働き手が失業してしまった場合、先ず貯金が使われ、それもヤガテ無く為ると、住宅が自分の所有で有れば、融資返済が出来無いから抵当解除で追い出される。親戚や知人の好意に縋って身を寄せる事も出来るが、失業の長期化でストレスも溜り居辛く為る。
 ひとり、またひとりと個人が、そしてヤガテは家族全体が家やコミュニティの絆を捨てて新たな生活を求めて彷徨し始める。この様なホームレスの人々の群が次第にアチコチで目立ち始め、恐慌の比較的初期でも「国中に移動民の新たな群が動き回って居る」事が確認された〉

 
 1929年に始まる世界大恐慌の際、米国の失業者は1,238万人、当時の労働者の24.9%に上ったと云う。しかも、1929年10月24日の株式大暴落はホンの始まりに過ぎず、4人に1人が職を失う最も深刻な事態に陥ったのは1933年の事だった。
 株価暴落で始まった当初は、影響は株式を保有する一部の人だけに及ぶ問題だとの見方も在った。それが企業の資金繰りや業績の悪化、それに伴う金融機関の破綻が相次いだ事で、一気に雇用者に人員整理の波が広がった。立場の弱い労働者や農民にシワ寄せが行ったのである。

           043007.jpg ハーバート・フーヴァー 

 秋元氏の本を読んで知る大恐慌の教訓は「失業しない事」職が有れば何とか嵐が去るのを耐え忍ぶ事が出来た。だが、職を失った人の生活は悲惨そのものだった。
 家や農地を追われた人々は仕事と住む場所を求めて都市間を彷徨し、公園には掘っ建て小屋が建てられた。対応が後手に回った当時の大統領ハーバート・フーヴァーを当て擦って、こうしたスラムは「フーヴァーヴィル・HooverVille」と呼ばれ、ニューヨークのセントラル・パークにもフーヴァーヴィルが誕生した。この事を鑑みれば、如何に大量の失業者を生ま無い為の政策を政府が迅速に打つかが重要に為る事が分かるだろう。

 「7人に1人」が失職

 その次の「恐慌」は、同じ顔をしては遣って来なかった。2008年のリーマンショックは1929年の再来と言われたが、G20に代表される国際協調や金融政策・財政政策に依って何とか乗り切った。各国の株価は数年を要したものの、それでもショック前に回復した。
 だが、今回の新型コロナ蔓延に依って遣って来る「コロナ大恐慌」は2008年の比では無く、それ処か1929年を上回る経済への激震に為る可能性がある。

 3月13日に国家非常事態を宣言した米国では、その翌週から失業保険の新規申請件数が激増した。宣言が出される前の申請件数は、3月7日迄の1週間が21万件、14日迄の1週間は28万1,000件だった。それが、非常事態宣言後の21日迄の1週間で328万3,000件、翌週28日迄は664万8,000件と一挙に激増した。
 今回の事態が起きる前の申請件数の最多は、第2次オイルショックの影響を受けた1982年10月の69万5,000件だったから、その約10倍と云う事だ。非常事態宣言後の3月15日から4月18日迄の僅か1カ月間の累計申請件数は、2620万9,000件。言う迄も無く、2,620万9,000人が失業した事を示して居る。大恐慌時代の1,238万人を一気に突破した。
 勿論90年で人口は大きく増えて居るので、失業率は未だ25%には達して居ない。それでも、米国の労働人口は1億6,353万9,000人なので、単純計算すれば現状でも6人に1人が職を失った事に為る。

 但しこれは、90年の間に整備された失業保険で救われる人達の数でもある。職を失っても直ぐに露頭に迷う訳では無い。しかも米国は、3月27日に2兆2,000億ドル(236兆1,260億円)の緊急経済対策法案に大統領が署名して発効。全国民の大人1人に対し1200ドル・約12万9,000円、子供1人に500ドル・約5万4,000円の現金給付が始まって居る。
 収入が無く為って貯金を使い果たし、家を手離すと云う悪循環に陥れば、世界大恐慌時の二の舞である。流石米国には、それを分かって居る政策家が居るのだろう。

 米国の中央銀行であるFRB・連邦準備制度理事会は非常事態宣言から10日後の3月23日には、早くも無制限の量的緩和を発表した。しかも、4月9日には米企業や地方政府に、最大2兆3,000億ドル・約250兆円の資金供給を行うと発表している。
 企業を破綻させれば失業に結び着く。又最前線で対策に当たる地方政府に資金が無ければ何も出来無い。それを分かった上で、兎に角スピード勝負で政策を打ち出して居る。

 「成功体験」に囚われて

 翻(ひるがえ)って我が日本政府は、安倍晋三内閣が4月7日、約108兆円の緊急経済対策を閣議決定した。「世界的に見ても最大級の経済対策」だと安倍首相は胸を張った。しかし108兆円と云っても、実際にお金が国や地方から出て行く歳出は27兆円余りで、財政投融資も12兆円余り。更に国会での成立が4月30日なので「小さ過ぎ、遅過ぎ」と云う批判は交わせない。

 スッタモンダの挙句、全国民に10万円の給付が盛り込まれたが、実際に現金を国民が手に出来るのは早くて5月末とされる。問題はそれ迄、個人事業主や非正規雇用者が耐えられるかどうかだろう。
 失業対策で国が拘り続けているのが「雇用調整助成金」の活用である。支給要件を緩和したり手続きを簡素化したりする等して、この助成金の申請を呼び掛けて居る。

 地域の労働局やハローワークの窓口には相談者が溢れて居るが、実際にはナカナカ使い難い。休業計画書を提出し、先ずは休業補償を従業員に支払った上で申請し無ければ、休業補償分の9割が補填され無い仕組みで、直ぐに資金が手に入る訳では無い。余りの悪評に、4月25日に為って10割補填するルールに変えたが、先払いが必要な事に変わら無い上、大型連休明け迄ルール変更の詳細が決まらず申請作業が遅れると云う混乱を招いている。どうも厚生労働省は、2008年のリーマンショック後の「成功体験」に囚われて居るのではないか。

 雇用調整助成金の支給決定件数の過去のピークは、2009年度の79万4,113件で、これに依って6,536億円が使われ、2,130万人が救済された。その後10年度75万件・11年度52万件・12年度32万件と支給決定され、その分、失業者を生み出さ無いで済んだと云う事に為る。恐らく、厚労省の官僚は、雇用調整助成金が失業抑制に効果を発揮したと考えて居るのだ。
 確かにリーマンショックの時はそうだったろう。だが、当時は金融市場発の恐慌だったので、大企業からその影響が出始めた。中小企業や零細企業等下流に影響が及ぶのにはヤヤ時間的にユトリがあった。雇用調整助成金の申請も、当初は大企業や中堅企業の申請が多かったと考えられる。少なくとも、雇用契約書や就業規則・売り上げの係数把握等をキチンと遣って居る会社が多く、申請書を書くのも難無く熟すか、社会保険労務士を日頃から使って居た会社が多かったのではないか。

 処が今回は、行き成り消費の現場、しかも零細企業や個人経営が多い飲食店や小売店等が直撃されて居る。営業をして居ても殆ど客が来ず、売り上げが「消滅」して居る所も少無く無い。又、こうした店では就業規則も無く、雇用契約も口頭だけで、労働保険に加入させて居ないケースも多い。
 雇用調整助成金を申請しろと言っても、日頃、労働局に足を運ぶ機会等無い経営者が殆どなのだ。労働保険に入って居ないのは違法だと云う事を知って居れば未だしも、知らずにアルバイトを雇って商売して居る人も可成りの数に上る。そう云う経営者に「易しく為った」雇用調整助成金の申請をしろ、と言ってもどう考えても難しい。

 優良企業の「トヨタ」が

 企業等に雇われて居る日本の雇用者数は、3月迄の処増加が続いて居り、過去最高水準を維持して居た。とは言え、その段階でも、雇用者全体の約38%に当たる2,159万人が非正規従業員である。アルバイトが461万人・パートが1,055万人居る。飲食店や小売店等の小規模企業を何としても破綻から救わ無ければ、こうした非正規従業員から職を失って行く事に為るだろう。

 90年前の世界大恐慌の際には、大企業は当初、正社員の雇用を守り賃金を下げずに居たが、徐々に難しく為った。前出の秋元名誉教授の著書『世界大恐慌』によれば、

  〈(鉄鋼大手)U・S・スティールのフルタイム就業者の数は1929年には22万4,980人だったが、1930年には21万1,055人、1931年には5万3,929人、1932年には1万5,938人、そして遂に1933年4月にはゼロと為ってしまった〉  

 労働者保護法制が整って居なかった当時は、フルタイム労働者をドンドン減らし、パートタイム労働者を残すと云う選択がされ、同社は11万人程のパートタイム労働者だけが働く会社に為ったと云う。

 現在、事態の深刻化を受けて、日本の大企業の中からも、主要取引先銀行や政府系金融機関に対して、融資やコミットメントライン・融資枠の設定を要請する所が増えて居る。日本一の優良企業で在る筈の「トヨタ自動車」が、真っ先に1兆円の融資枠を要請したと報道された。その後も「ANAホールディングス」が1兆3000億円「日産自動車」が5000億円「JAL」が3000億円と云った報道が続いて居る。
 航空会社は国際線の9割が運休し、国内線も大幅に減便される中で、最早体力勝負に為って居る。米国では、ドナルド・トランプ大統領が早い段階で航空会社の救済を念頭に置いた発言をし、企業支援の方策を整えて居る。新型コロナの蔓延が長期化すれば、日本でも大手航空会社の経営が苦しく為り、雇用を維持出来るかどうか危うく為って来る可能性がある。

 又、国内外で自動車販売も激減して居り、自動車メーカーも厳しい。リーマンショックの時、決済用のドル資金が調達出来無く為った苦い経験を持つトヨタが真っ先に資金確保に動いたのは当然とも言える。日本の大企業の場合内部留保も大きく、長期雇用が前提なので、直ぐに雇用が切られ失業者が溢れる事態には為ら無いだろう。
 逆に言えば、大企業を絶対に破綻させ無い為に、国が資本注入する事も想定する必要が有る。必要なインフラ企業を破綻させては、コロナ終息後に経済回復が覚束無く為るからだ。何れにせよ、経済危機は始まったばかりだ。世界大恐慌のもう1つの教訓は、当時のフーヴァー大統領の「政策が後手後手に回り」「小さ過ぎ、遅過ぎた」云う事だ。その轍を踏ま無い事が何より肝心だろう。フーヴァーヴィル為らぬ「アベノスラム」が出来無い事を祈るばかりだ。


             磯山友幸      以上














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