2018年10月26日
昭和戦争 真の責任は何処に? その2
その2
【楽しいアクアリウムの世界】
３ 満州事変が日本滅亡の始まり
1931年、旧大日本帝国陸軍の関東軍（満州に駐留して居た日本軍）の高級参謀と現地部隊指揮官達と大本営の中枢を占めて居た高級参謀達は「満蒙（満州と内蒙古）は日本の生命線だ。満蒙における日本の権益を失えば日本は滅亡する」として満州事変を起こした。満州事変は、旧大日本帝国陸軍の関東軍が、昭和天皇と日本政府の統治権・統帥権を奪ったクーデターでもあった。
リットン調査団の現場検証旧大日本帝国陸軍の最高指導者達及び満州事変を実行した陸軍の高級参謀達に対しては本来、陸軍刑法や立憲君主制法治国家に対する反逆罪が適用され死刑に処されなければなら無かった筈である。しかし旧大日本帝国陸軍の参謀総長や陸軍大臣等の最高指導者達は、満州事変を実行した高級参謀達のクーデター(統治権・統帥権簒奪)を処罰しなかった。
処罰する処か、逆に彼らの行為を追認し称賛し、これ等の高級参謀達はその後異例の昇進をした。この結果彼等は実質的には日本の政治を乗っとる事に為り、日本国は旧大日本帝国陸軍が実質的に占領する事に為った。彼等の立憲君主制法治国家である日本に対する反逆、即ち昭和天皇と日本政府の統治権・統帥権の簒奪が、昭和戦争の惨禍を引き起こしたのである。
満州事変を伝える兵士たちの勇姿絵葉書き
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満州事変、日中戦争を引き起こした関東軍・支那派遣軍と大本営の高級参謀達は昭和戦争の惨禍を引き起こした指導者責任を免れる事は出来ない。彼等を処罰せず更には太平洋戦争開戦を決断した東条英機等旧大日本帝国陸軍の最高指導者達は、戦争の惨禍を引き起こし拡大させ戦争の終結を遅らせ惨禍を拡大させた指導者責任を免れる事は出来ない。
・・・当時と比べて、日本は現在海外領土は一切領有して居ない。しかし日本国民は当時とは比べものに為らない程の経済的な豊かさを享受して居る。戦前とは比較になら無い程国際平和の維持と世界各国の経済発展に貢献して居る。
「満蒙（満州と内蒙古）は日本の生命線だ。満蒙における日本の権益を失えば日本は滅亡する」とうそぶいていた彼等は何を考えて居たのだろう・・・
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４．中国侵略の拡大が日米開戦を必然的にした
旧大日本帝国軍部（陸軍＆海軍）の最高指導者達には、中国の主権を尊重すると云う思想が一欠けらも無かった。関東軍や支那派遣軍（中国に侵攻した日本軍）の高級参謀達や指揮官達は、ワシントン体制の核心である「中国の主権を尊重する」と云う事を頭から無視して居た。中国の主権を尊重すると云う事は、彼等の意識の中には全く存在しなかったのだ。
19世紀の帝国主義の影響で、旧大日本帝国軍部（陸軍＆海軍）は中国の領土を武力占領する事に何等の罪悪感も持っていなかつた。増してや満州で中国人の農地を強奪する事に何らの罪悪感も持っていなかつた。
太平洋戦争の惨禍を目にした敗戦後も、東条英機はこの無知で愚かな意識を変えて居ない。（渡部昇一著『東條英機 歴史の証言－東京裁判宣誓供述書を読みとく』 （祥伝社 2006年８月発行 第56頁～第66頁、第71頁～第74頁、第89頁～第90頁） 中国・韓国が旧大日本帝国陸軍の最高指導者達を目の敵（めのかたき)にする所以である。
注 目の敵（めのかたき）＝何かにつけて憎く思うこと。
更には、旧大日本帝国陸軍の高級参謀達は、昭和天皇も日本政府も全く無視していた。増してや国際条約等は全く無視してら顧みる事が無かった。
中国に肩入れするドイツ世界の主要国は、この様な旧大日本帝国陸海軍の国際条約を無視した思い上がった態度と侵略行動の果てしない拡大に強く反発した。併せて、日本の侵略行動から中国における自国の利益や自国民を守る為にこぞって中国を軍事支援した。ヒトラーが政権掌握する前のドイツは、中国へ大量の武器支援を行って居た。ゼークト元陸軍参謀総長を団長とする強力な軍事顧問団を中国に派遣して中国軍の強化育成に注力した。ヒトラー政権下でも対中武器輸出は継続された。
ハンス・フォン・ゼークト 軍事顧問団団長
ソ連は1937年８月の中ソ不可侵条約締結を契機に中国に大々的な軍事援助を開始した。輸出・供与合わせて、航空機985機・戦車82両・大砲1300門以上、 機関銃１万4000丁以上を供給した。米国は、大量の武器や軍事物資のみ為らず、操縦士付きの戦闘機部隊から成る中国支援義勇隊を派遣する程、強力に中国を軍事支援した。
アメリカ義勇部隊 Flying Tigers
中・アメリカ・イギリス首脳会談
関東軍や支那派遣軍の高級参謀・指揮官達の行動を放置・追認して、何らの処罰を行わ無かった旧大日本帝国陸軍の最高指導者達の無能・無策・無責任によって、1931年以後日本政府は事実上、国の進路を意思決定する機能を喪失した。
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５ 口（くち）では統帥権（昭和天皇の最高軍司令官としての権限）の独立を唱えながら、昭和天皇の意思は悉く無視した
1931年以後、旧大日本帝国軍部（陸軍＆海軍）の最高指導者達や高級参謀達は、統帥権（天皇の大権）の独立を唱え日本政府の方針を無視したが、肝心要の統帥権の大本（おおもと）である昭和天皇の意思は全く無視していた。彼等は不忠の輩（やから）であった。
要するに、自分達だけが持って居る武器の力で脅かして、統帥権の独立と称して誰からも掣肘されず自分達の遣りたい事を勝手気ままにやって、 国民に耐え難い苦痛を強いて国を滅亡させたのである。
彼等が従った唯一の例外が1945年８月の昭和天皇の無条件降伏の決断であった。陸海軍の元帥や大将どもは挙って降伏に強く反対した。しかし、無差別焼夷弾爆撃の惨状と米国海空軍の海上封鎖による食糧輸入の途絶を明確に認識して居た昭和天皇は、都市部の住民の大量餓死が絵空事では無く差し迫った現実に為りつつあり、陸海軍のキチガイ参謀どもが2,000万人カミカゼ特攻を本気で考えて居た事を憂慮して無条件降伏の決断をした。
因みに、終戦直後マッカーサー元帥と会見した昭和天皇は、冒頭「日本国民に食糧を与えて欲しい」と懇願し「You can hang me」と発言したと言われる。
読売新聞（朝刊）2005年11月9日第16面＆第17面『検証・戦争責任②』より転載 この記事は読売新聞社の許諾を得て転載して居ます。複製、送信、出版、頒布等、著作権を侵害する一切の行為を禁止します。
昭和天皇は1928年（昭和３年）６月４日の張作霖爆殺事件に対する当時の田中義一内閣の対応に激怒し田中内閣を辞職させた。しかし元老・西園寺公望の強い諫言？によつて、以後自分の意思を通す事が出来なく為った。国際連盟脱退についても、国際友好と憲法遵守を理念とする昭和天皇は終始反対であったが、牧野内大臣に「政府は国際連盟脱退の方針を決定し全権も既に出発して居ます」と言われ、反対の意思を貫く事が出来ない情勢であった。
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昭和天皇は「2.26事件・支那事変（日中戦争)・三国同盟等」陸軍の暴走に常に強い嫌悪感を示し、日本の将来を懸念して居た。文藝春秋2008年２月特別号第141頁で半藤一利氏は、
「昭和天皇は日独伊三国同盟に反対の意向を常々表明して居た」
「昭和天皇は近衛首相に対して『三国同盟は、もう少し独ソ関係を見極めた上で締結したらどうであるか』と言い、又『この同盟は非常に重大な同盟で、同盟を結べばアメリカは日本に対して直ぐにも石油やクズ鉄の輸出を停止して来るかも知れない。そう為ったら日本はどうなるか。大変な苦境と暗黒のうちに置かれるかも知れない』と質問した」と述べて居る。第144頁では、
「当時の陸軍中央部においては、昭和天皇の平和への希求など何処吹く風である。合理的判断を放棄した盛んなる敵愾心のみが軍中央部には充満して居たのである。何と、不忠の臣ばかりであった事か」 と述べている。
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６ 天皇制崇拝思想（国体思想）という詐欺手段
昭和戦争（日中戦争・太平洋戦争・日ソ戦争）敗戦以前の日本は、マスコミを含めて官民挙げて軍事最優先の帝国主義国家であった。この国家体制と、旧大日本帝国軍部による徹底した神がかりの天皇制崇拝思想（国体思想）が日本を破滅させたのである。軍部批判や政府批判は不敬罪にすり替えられて徹底的に弾圧された。
注 神がかり＝科学や真理を無視して、理屈に合わない事がらを信じ行うこと。
旧大日本帝国陸軍が昭和天皇から実質的な統治権・統帥権を簒奪した1931年以後から1945年の敗戦まで、旧大日本帝国陸軍は神がかりの天皇制崇拝思想（国体思想）と云う詐欺手段を使って日本国民を騙して、日本国民を徴兵して日中戦争・太平洋戦争に駆り立てた。
旧大日本帝国陸軍は「日独伊三国同盟には反対」「支那事変は遣りたく無かった」と云う昭和天皇の意思＝統帥権を無視して、日中戦争拡大を推し進めた。日中戦争の拡大が太平洋戦争に繋がった。旧大日本帝国陸軍は、昭和天皇の意思＝統帥権を無視して置きながら国民に対しては、天皇制崇拝思想（国体思想）を強制して大日本帝国陸軍は天皇の軍隊であると唱え続けた。
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７ 命令無視が引き起こした日中戦争泥沼化
日本軍の南京入城旧大日本帝国陸軍と海軍の現地軍最高指揮官と高級参謀達と大本営の高級参謀達は口先では「お国の為、天皇陛下の為」と唱え続けながら、昭和天皇の意思や日本政府の「支那事変不拡大方針」や、 陸軍上層部の「上海で停戦、制令線を越えて南京へ進撃してはならない」と云う意思・方針・命令を徹底的に無視して南京へ進撃して大事件（南京事件）を引き起こした。
2008年4月7日午前0時55分～ 1時50分、日本テレビから『NNNドキュメント'08 兵士達が記録した南京大虐殺』が放送された。余りにもの残忍さに・・・・・・・
南京虐殺シーン
この現地軍の方針命令徹底無視の南京進撃が日中戦争泥沼化と太平洋戦争開戦に繋がった。人道に反する中国人の大虐殺と合わせて、現地軍の司令官・部隊指揮官達と高級参謀達大本営の高級参謀達の罪は、文字通り万死に値すると思う。彼等を弁護する余地は全く無い残忍極まる歴史事実である。
この時点における日中戦争の拡大は、昭和天皇の意思に反しＡ級戦犯の共同謀議も存在しなかった。従って日中戦争に関しては当時の現地軍の司令官・部隊指揮官達・高級参謀達と大本営の高級参謀達が、当時の陸軍刑法によって厳しく軍紀違反の罪を問われるべきであったと思う。
南京陥落を喜ぶ市民
しかし、日本中の新聞が「皇軍の赫々(かくかく)たる戦禍（戦争の惨禍）」を報道して居た時代においてはあり得無い事ではあるが。
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８ 無知で愚かな若手海軍将校と情報音痴の艦隊派海軍将官の開戦責任
五・一五事件 檄文
1932年5月15日の海軍の若手将校達は犬養毅首相を殺害した・・・5・15事件である。軍部の主戦派を追放して、満州事変を中国との話し合いで解決しようとして居た犬養首相を殺害した犯人達は、誰一人死刑に為ること無く数年で釈放された。
客観的に見れば、5・15事件は、旧大日本帝国軍部が、軍部に反抗する人物は総理大臣と言えども抹殺すると云う事を事実を以て示す為に行わせた軍部公認のテロ事件であったとすら言える。
5・15事件や2・26事件を実行した若手将校達の動機は純粋な私心の無い愛国心であった。しかし彼等の行動は視野の狭い偏ったものの見方による無知で愚かなテロ行為であった。彼等の無知で愚かなテロ行為は軍部独裁⇒日中戦争・太平洋戦争へと繋がり、彼等が想像もしていなかった国内・海外における数百万人・数千万人・数億人の死亡者とその家族の惨禍・不幸と云う結果を齎した。日本人が忘れては為ら無い悲惨な歴史の教訓である。
二・二六事件（2・26事件） 土橋付近の写真
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昭和戦争の惨禍の原因の一つとして見逃す事の出来ない事件は、1930年の旧大日本帝国海軍軍令部の統帥権干犯主張と、東郷元帥と伏見宮博恭王による条約派海軍将官の徹底追放人事である。
1922年のワシントン会議と1930年のロンドン会議で、日本・米国・英国などの主要国は、アジア・太平洋の地域秩序を確立する為に「中国の主権尊重・門戸開放と海軍力制限」等の三つの条約を締結した。ワシントン体制と呼ばれるこの国際協調秩序確立と海軍力制限に、旧大日本帝国海軍軍令部は強く反発した。
皇族の軍令部総長 伏見宮 博恭王当時の加藤寛治海軍軍令部長はロンドン条約調印に反対する為、直接昭和天皇に抗議して直接昭和天皇に辞表を提出した。しかし昭和天皇は、浜口内閣のロンドン条約調印決定を裁可した。統帥権の大本（物事の根本に為るもの）である昭和天皇が、日本政府と日本帝国議会の方針・議決を全面的に承認した。統帥権を犯して居たのは他為らぬ旧日本帝国海軍軍令部であった。
1930年のロンドン条約調印後、日露戦争の救国の英雄である東郷元帥が海軍力制限に強く反対し、統帥権干犯主張に同調して、条約に調印した財部彪海軍大臣を名指しで非難した。更に旧大日本帝国海軍最高の実力者で絶大な権勢を誇って居た伏見宮博恭王元帥が統帥権干犯主張に同調して、1932年に軍令部長に就任して海軍の人事権を一手に掌握するや、対米英不戦を主張する条約派海軍将官の徹底的追放を行った。
その後、艦隊派と言われた国際情勢音痴の最高指導者達が支配した帝国海軍は、太平洋における覇権の確立を目的に、米国を仮想敵国として戦争準備に狂奔し遂には対米開戦を決意して日本を破滅させた。1930年の艦隊派の海軍軍令部が唱え出した統帥権干犯主張と云う邪剣が、立憲君主制法治国家・日本を刺し殺し遂には日本を破滅させたのである。
旧帝国海軍の最高の実力者と言われ、人事を壟断し対米英開戦を主導した伏見宮博恭王元帥の指導者責任は厳しく非難され無ければ為らない。無知で愚かであった海軍の艦隊派の最高指導者達と高級参謀達は、現存する米国の太平洋艦隊を撃滅すれば 太平洋における制空権と制海権を把握出来る。ヒトラーのドイツがソ連を打ち負かし英国を降伏させれば、日本は東南アジアの石油資源を確保出来ると考えて居たのである。
山本五十六海軍少将（当時）は、1930年のロンドン海軍軍縮会議には次席随員として参加した。現地で、山口多聞海軍中佐（当時）と共に強硬に対米７割を主張して若槻禮次郎全権を困らせた。大蔵省から参加した賀屋興宣氏が、財政面から多額の軍備拡張負担には堪えられ無いと言うと、山本五十六少将は「黙れ、賀屋！尚言うと鉄拳が飛ぶぞ!」と怒鳴り点けた。青ざめた賀屋興宣氏は慌てて次の言葉を飲み込んだと言われる。
山本五十六この事件は、当時から、山本五十六少将（当時）は、条約派で無く艦隊派である事を明確に示して居る。以後海軍内で、山本五十六海軍少将（当時）は対米開戦の推進力として重用される事に為った。1934年当時から山本五十六海軍少将（当時）は、真珠湾攻撃を口（くち）にして居た。
「俺も軍人だからね。どうしても米国と遣れと言われればやってご覧に 入れたいね。真珠湾攻撃は俺の夢なんだからね。空母10隻と航空機800機を準備する。機動艦隊を編成して真珠湾とマニラを奇襲すれば、米国太平洋艦隊と米国アジア艦隊を潰す事は確実に出来るんだよ」
と同郷の斉藤博駐米日本大使に語ったと伝えられて居る。山本五十六連合艦隊司令長官は、豪語するだけでは無かった。海軍の天皇と言われた彼の強力な主導により空母が次々と建造された。 1941年12月の日米開戦時に於いて、日本が保有して居た艦隊型空母は、赤城・加賀・蒼龍・飛龍・翔鶴・瑞鶴・瑞鳳・鳳翔・龍驤の９隻であった。
米国が当時保有していた艦隊型空母は、レキシントン・サラトガ・レンジャー・ヨークタウン・エンタープライズ・ホーネット・ワスプの７隻であった。この他に日本は４隻、米国は５隻の空母を建造中であった。
零式艦上戦闘機
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1939年には画期的な性能を誇る零式艦上戦闘機が開発・製造された。1931年以降、日本の航空魚雷は、次々と改良を重ねて行った。平均水深12メートルの真珠湾で使用出来る特殊な魚雷が開発された。その上で、真珠湾の米太平洋艦隊を全滅させると云う目的の パイロットの猛訓練が行われた。
東京裁判に引き出されたが、判事投票１票差で辛うじて絞首刑を免れた 陸軍省軍務局長であった佐藤賢了陸軍中将によると、大東亜戦争開戦直後に海軍省軍務局長であった岡敬純海軍中将が、本来、御前会議に提出する筈だった対米開戦の可否を検討する資料を佐藤賢了陸軍軍務局長の処へ持ち込んだ事があった。その資料は対米戦争を遂行するのは不可能であると判断せざるを得無いものだった。
しかし御前会議に提出されたのは、山本五十六連合艦隊司令長官により「対米戦争遂行可」とするものに擦り替えられて居た。
佐藤賢了陸軍軍務局長は、岡敬純海軍省軍務局長に「どうして、海軍は対米開戦に、強く反対し無かったんだ」と問い質した。
岡敬純海軍省軍務局長は「海軍の中では、誰も、山本五十六連合艦隊司令長官に楯突く（たてつく）事は出来ない」と答えたと云う。因みに岡敬純海軍中将(海軍省軍務局長)
は、永野修身元帥(海軍軍令部総長) 嶋田繁太郎大将(海軍大臣)と共に海軍側のＡ級戦犯として東京裁判に引き出された３人の１人で海軍の最高指導者の一人である。この資料すり替え事件以後、佐藤賢了陸軍軍務局長は、生涯、山本五十六長官を信用し無かったと言われる。
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戦前・戦中を通じて、日本の陸海軍は犬猿の仲であった。1943年4月18日まで、日本海軍は完全に山本五十六連合艦隊司令長官が指揮して居た。従って、対米開戦・ミッドウエィ海戦大敗北・ガダルカナル大敗北を含めて、それまでの日本海軍の勝利と敗北は全て山本五十六連合艦隊司令長官の功績であり責任であった。
旧日本帝国陸海軍の最高指導者達が対米開戦を決意した最も重要な前提条件は「ヒトラーのドイツはスターリンのソ連を打ち負かし、スターリン政権を崩壊させる」と云う事であった。この最も重要な前提条件が間違って居た事が明瞭に為った以上、対米英開戦準備が100％完了していても日本は対米英開戦を躊躇無く止めるべきであった。
東条英機・伏見宮博恭王・永野修身・嶋田繁太郎・山本五十六等旧日本帝国陸海軍の最高指導者達の、余りにもの愚かさに改めて呆れざるを得ない。
その3につづく
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