2021年07月07日

池袋のプリウス暴走事故についてのトヨタ自動車のコメントに思うこと

池袋のプリウス暴走事故について、自動車を運転していた飯塚幸三さんが「車に異常があった」と主張しているのに対し、トヨタ自動車は「車両に問題はなかった」とコメントを出しています。
これについて、ネット上のニュースや、個人ブログなどで書かれている文章を読むと、ちょっと結論を急ぎすぎていると感じます。


トヨタ自動車のコメント全文


2021年6月21日トヨタ自動車が報道各社に出したコメントです。
ネット上で探すと、コメント全文が掲載されているところがなかなかなくて、朝日新聞デジタルの記事でやっと見つけることができました。


「車両に異常なかった」池袋暴走事故、トヨタがコメント:朝日新聞デジタル より

今回の事故でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、おけがをされた方の一日も早い回復をお祈り申し上げます

私たちは、クルマが安全であることはもちろん、お客様が心から安心してクルマをお使いいただけることが大切であると常日頃から考えております

本件の被告人が、裁判の中で、本件の車両に技術的な欠陥があると主張されていますが、当局要請に基づく調査協力の結果、車両に異常や技術的な問題は認められませんでした

自分たちが製造したクルマが関わった事故により、大切な命とご遺族の方々の幸せな日常までもが一瞬で失われたという事実から決して目を背けることなく、こうした悲しい事故がなくなるよう、今後とも安全で安心なクルマの開発に全身全霊をかけて取り組んでまいります

トヨタは、重大な事故や事案などの発生時、当局からの要請の他、お客様からのお申し出に対し、きちんと車両の技術面を調査するための仕組みをすでに運用しております。今後もしっかり対応してまいりたいと思います

これからも皆様に安心してお乗りいただきたいとの思いも含め、クルマ社会に関わる全ての皆様と一緒になり、安全で安心に暮らすことができるクルマ社会の実現に向けて、引き続きあらゆる努力を続けてまいります

朝日新聞デジタルの記事へのリンクだけにすべきかとも考えましたが、ニュース記事は削除されることが多いので、全文をコピーさせていただきました。


このコメントでは、「当局要請に基づく調査協力の結果、車両に異常や技術的な問題は認められませんでした」と書いているものの、具体的にどのような調査をして問題がなかったとしているのかは、書いてありません。


ネット上の記事はおおむねトヨタのコメント寄り


トヨタのコメントからは具体的に何をもって車に問題がなかったとしているのか分かりませんが、ネット上で書かれている他の記事を見ていくと、その根拠と思われる検証方法が見つかります。
その一つは、事故を起こした車のブレーキ・アクセルをテストして、正常に動作したというもの。
もう一つが、EDR(イベント・データ・レコーダー)という事故記録装置に記録されたデータから、車に問題がなかったことを立証できるというものです。


ベストカーWebでも、そのように書いています。
 【池袋暴走事故】事故記録装置で判明した“踏み間違い”は100%正確!? 誤データ「あり得ない」 認定アナリストの眼 - 自動車情報誌「ベストカー」
この記事では、「今回の事故の重要な証拠となりうるEDRのデータは確固たるものなのである。」と結んでいます。


EDRのデータは確固たるものなのか


ベストカーWebの記事の中に、ちょっと気になる部分があります。

よくEDRはアクセル開度までわかる、といわれている。確かにそのとおりだが、実際に踏んでいたアクセルペダルの開度ではない。

 現在のクルマのアクセルは電子制御スロットルなのである。つまりドライバーが踏み込んだアクセル開度がそのままエンジン側のスロットル開度とは限らない。

 アクセルペダルの踏み込み量によって、ドライバーの要求トルクをコンピューターが判断して「スロットル開度」を決めるのだ。EDRはこのスロットル開度を記録する。

「アクセル開度」とか「ドライバーの要求トルク」といった専門的な言葉から分かりにくい感じもしますが、要するに、アクセルペダルやブレーキペダルが実際にどれだけ踏まれたか(動いたか)が記録されるのではなく、アクセルペダルやブレーキペダルが踏まれたとコンピューターが判断した状態を記録しているということです。


つまり、何らかの不具合によって、ブレーキペダルを踏んでいるのに、コンピューターがアクセルペダルを踏んでいると認識していたとしたら、EDRに記録されるデーターは、アクセルペダルを踏んでいるというデーターになってしまう可能性があるということです。
コンピューターと周辺機器は、正常に動作しているという前提があれば人間のすることより正確ですが、実際はそうではないことも多いのは、誰もが知っていることです。
「今回の事故の重要な証拠となりうるEDRのデータは確固たるものなのである。」と結論付けるのは、かなり無理があると思いませんか。


さらなる不具合の可能性の追求


結局のところ、事故車両に不具合が起きていなかったとは、まったく証明出来ていないのではないかと思っています。
事故車両のブレーキやアクセルの動作テストをして、不具合が起きないことが確認できたとしても、事故の瞬間は不具合が起きていた可能性は残ります。
EDRは、ブレーキやアクセルに不具合が起きたときには、そのとおりに記録するだけで、実際にブレーキを踏んでいるのにアクセルが開く不具合が起きたとしたら、アクセルを踏んだと記録される可能性もあります。


自動車の EDR搭載を義務付ける動きもあります。
 国もEDR搭載の義務付け方針を打ち出す、事故時の責任を速やかに特定 – 一般社団法人 日本自動車会議所
一つの検証材料として、EDR の義務付けは意味があると思いますが、今回のような車の不具合が疑われるケースでは、急加速時に足元を撮影するようなアナログな仕組みの方が必要ではないでしょうか。


事故当時、事故現場付近で電子機器などの誤動作が発生していなかったか。
強力な電波などによって、誤動作させることができるのではないか。
まだ、検証すべきことはあります。
もし、すでに検証済みだったとしたら、そのことこそ報告すべきです。


その上で、やはり自動車に不具合はなく、運転手の踏み間違いが原因だったということが、真実として明らかになるのかもしれません。
ただ、今はまだ「車両に問題はなかった」と結論付けるのは早急すぎて、自動車の安全性に確信が持てません。
裁判で、このまま運転手のブレーキとアクセルの踏み間違いとして片付けられてしまわないことを、切に望みます。



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ぽん太親父
建築関係の小さな事務所で、他に適当な人間がいないことから、コンピューター関連の担当をさせられています。 趣味でけっこう長い間パソコンを使っていますが、ちゃんと勉強していないので、うまくいかなくて冷や汗をかくこともしばしば。
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