別に英語で書く必要もないですけどね。何となく格好良いから書いてみました。
以前に扱った正葉曲線と名前が似ていますが、完全に別物なので混同しないでくださいね。
デカルトの正葉線
直交座標における関数形は x と y の3次式。とてもシンプルな表式です:
x 3 −3axy + y 3 = 0 (a > 0) [1]
しかし、この方程式をただ睨んでいてもグラフは描けません。
デカルトの正葉線は媒介変数 t を用いて次のように書けることが知られています:
「本当かなー?」と疑う人は、[2] を [1] に代入して、ちゃんと方程式が成り立っていることを確認してみてください。途方もなく面倒な計算なので、あまりおすすめはしませんが。さて「この式をエクセルに放り込めばグラフの出来上がり」となりそうなのですが、そうもいかないのが正葉線の厄介なところ。 t ≒ −1 で分母があまりに小さくなるため、エクセルで正しく割り算が計算できない領域がでてきてしまいます。そこで再度次のような変数変換をして式を書き直します(a = 1 としてあります):
t = (1 + s) / (1 - s)
この変換を私が思いついたのなら「すごいだろ」と自慢しますが、残念ながら私ではありません。誰が考えたのか知りませんが(きっとすごく頭の良い人でしょう)、この変換は実に巧みにできていて全ての s に対して分母を 1 以上の値にしてくれます。こうなると、Excel に怖いものなしです。さあこれで今度こそグラフを描くことができます:
はい。これがデカルトの正葉線(a = 1)です!
「……そんなに苦労したのに、こんな簡単なグラフなの?」と思ったりしませんでした?
シンプルなグラフこそ奥深いものがあるのです。ちなみにデカルトの正葉線の漸近線は
y + x + a = 0
となることが知られています。
さすがにこれで終わるのはあんまりなので、少し変形していきましょう。
[2] において余計な係数を取り払い、なおかつ最初の ( ) の中に - s 2 という項を加えます。「なぜそんなふうにするの?」と尋ねられても「勘」としか答えようがありません。長年エクセルでグラフを描いていると、こういう妙な勘がはたらくのです。さてグラフのほうは……
漸近線に沿って伸びていた直線が葉に巻きつきます。
これもまたシンプルで美しいグラフですね。
けっこう気に入っているグラフなので何か名前をつけようと思案中です。
皆さんも何か良い名前を思いついたらコメントしてください。
さらに - s 4 という項を加えます:
葉が2重になりましたね。さすがにこのあたりになると完全にコンピューター数学の領域です。式が複雑すぎて手計算ではとても扱えません。せっかくですから葉っぱのような形のグラフを他にもいくつか紹介しておきます:
デカルトさんのように賢くなくても、コンピューターを使ってあれこれい適当に数式をいじっていると、偶然思わぬ発見があったりします。難しい計算は全てソフトが代わりに実行してくれますからね。「ひたすらに頭を捻って定理の証明法を発見する」という数学の王道とは全く別物ですが、趣味として数学で遊ぶことができるというのも現代人ならではの贅沢かもしれませんね。
新しいブログを始めます
4月から新しいブログを予定しています(タイトル未定)。都立東池袋高校の新入生が綴る日記という設定です。先輩の小春ちゃんや沙希ちゃんと絡んでどういう話が展開するのか、自分でもまだわかりませんが、興味のある方は是非お越しください。それにしても、私の書くブログやサイトというのは、ほとんどが架空人物や架空生物(こばとちゃん)が書き手という設定なんですよね。やはり基本的に創作が好きなんだと思います。本当はプロの小説家になりたいと思ったこともありますが、そこまでの才能がないことは自身で十分承知しているので、分不相応な夢はもたずに趣味でこつこつと続けていきたいと思っています。そういう点でブログは本当にいいですね。締切とかもないですしね。
今のところ唯一この『数学実験室』だけが素の自分が書いているブログということになります(たまにこばとちゃんとか出ばってきますけどね)。なにしろ題材が数学ですから、始めた頃は「ほとんどアクセスのないブログになるだろうなー」と覚悟していました。完全に趣味として割り切るつもりでいましたが……驚いたことに、私が運営する全ブログ中でもっともアクセス数の多いブログになりました。「世の中にはこんなにたくさんの数学好きがいたのかー!」と嬉しい驚きでいっぱいです。ベッセル関数とかルジャンドル関数などかなり難しい話題を扱ったページにもアクセスが確認できるので、やはり理工学部の学生さんたちが読んでくれているのでしょうか? それともすごく賢い高校生だったりとか? コメントがないのでわかりませんが、『数学実験室』を読んでくださっている方には改めてお礼を申し上げます。